障害者雇用ではたらくのは辛い?辛いといわれる原因・対処法と転職のコツ
「障害者雇用ではたらくのが辛い」と感じたことはないでしょうか。障害に対する配慮や人間関係・仕事内容など、障害のある方で困り事があったりストレスを感じたりしながら仕事をしている方は多くいます。
安心してはたらき続けられる環境を手に入れるためには、ご自身の障害特性や適性に合わせて対処する必要があります。そこで本記事では「障害者雇用ではたらくのは辛い」といわれる理由について、その対処法と併せて詳しく解説します。
目次
障害者雇用ではたらくことが「辛い」といわれる理由
障害者雇用ではたらいてみたものの、実際には「思っていたのと違った」などのギャップがあり、「辛い」と感じてしまう人は少なくありません。その理由として、次のようなものが挙げられます。
- 仕事内容や環境が合わない
- 職場の人間関係に問題がある
- 障害への合理的配慮が不十分
- 給料や労働条件に不満がある
仕事内容や環境が合わない
企業や職種によっても異なりますが、障害者雇用では単純作業やルーチンワークが多い傾向があり、自身のスキル・経験を活かしてはたらきたい方にとっては物足りないと感じるかもしれません。
その背景として、障害に対する企業や上司の理解が十分でないことや、必要以上に遠慮して仕事を任せられないことなどが挙げられます。結果的にやりがいが感じられずスキルアップの機会も得づらいため、「障害者雇用が辛い」という悩みが生じてしまいます。
職場の人間関係に問題がある
障害への配慮が欠けている職場では、偏見が根強く残っていることや、心無い発言で傷ついてしまうことがあります。また、障害者雇用であっても一般雇用の健常者とはたらく場合は、「話しづらい」「悩みを相談しづらい」などの理由から孤立してしまうこともあります。こうした問題が精神的なストレスになってはたらきづらさや体調悪化につながり「障害者雇用は辛い」と感じてしまうでしょう。
障害への合理的配慮が不十分
障害者雇用で就労しているにも関わらず、職場が提供している合理的配慮が不十分なケースもあります。 例えば、自身の障害特性について開示しているのにサポートが得られなかったり、体調が悪い場合でも休みが取りづらかったりするなどです。「車椅子で移動しづらい」「騒音で集中できない」など、障害特性に応じた配慮がなければ、障害者雇用の職場で辛いと感じることが増えてしまいます。
給料や労働条件に不満がある
厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査」によると、障害者雇用の平均賃金は次のとおりです。
障害の種類 | 平均賃金 | 前年比(前回の数値) |
---|---|---|
身体障害 | 23万5千円 | +2万円(21万5千円) |
知的障害 | 13万7千円 | +2万円(11万7千円) |
精神障害 | 14万9千円 | +2万4千円(12万5千円) |
発達障害 | 13万円 | +3千円(12万7千円) |
「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、健常者も含めた全体の平均賃金は約33万円であるため、障害者雇用とは大きな隔たりがあることが分かります。雇用形態に関しても、知的障害者・精神障害者・発達障害者は、正社員の割合が4割を下回っています。希望する収入や労働条件とのギャップがあれば「障害者雇用が辛い」と感じてしまうでしょう。
障害者雇用が辛いと感じたら?課題を改善する対処法
「障害者雇用が辛い」という現状を改善するためには、次のようなポイントを意識して、はたらくうえでの課題を解決することが大切です。
- 環境や業務内容を調整してもらう
- 配慮事項を整理して職場に伝える
- 障害者雇用の実績を調べてから応募する
- 障害者トライアル雇用制度を活用する
- 障害者向けの転職支援サービスを活用する
環境や業務内容を調整してもらう
「業務内容が合わない」「必要な配慮が得られない」という場合は、まず現職の上司に相談してみることが大切です。改善できれば現職のままではたらきやすくなり、障害者雇用ではたらくのが辛いと感じることが減るでしょう。ただし合理的配慮を求める場合は、後述するように配慮事項を分かりやすくまとめる必要があります。
配慮事項を整理して職場に伝える
はたらきやすい環境を手に入れるためには、ご自身が必要とする「合理的配慮」を職場に伝えることが欠かせません。2016年の障害者雇用促進法の改正により、障害者雇用において合理的配慮を提供することが雇用主に義務付けられています。
ただし、何が必要か分からなければ会社側も配慮を提供できないので、「勤務体系」「業務内容」「環境整備」「コミュニケーション方法」「通院」などの観点からまとめましょう。後述するように、ご自身の障害特性をきちんと把握できていない場合も多いです。主治医やキャリアアドバイザーなどの支援サービスを活用して、どんな配慮があれば仕事で成果を出せるか言語化することが必要です。
障害者雇用の実績を調べてから応募する
現職で「障害者雇用が辛い」と感じる原因を解消するのが難しい場合は、転職を検討してみましょう。その際は、企業の障害者雇用の実績や、提供している合理的配慮の内容などを調べてから応募することが大切です。
障害者トライアル雇用制度を活用する
「障害者トライアル雇用」は、障害のある方が会社で3ヶ月ほど試しにはたらくことができる制度です。実際に試してみることで、会社との相性をチェックして転職前の不安な点を確認したり、転職後のギャップを防ぐことができます。障害者トライアル雇用の利用時は、安定して通勤できるか、自分ができる仕事内容かどうか、職場の雰囲気が合うかなどの点をチェックしてみましょう。
障害者向けの転職支援サービスを活用する
障害者雇用において理想的な職場を自分ひとりで探すのは難しいため、結果的にミスマッチが生じて「障害者雇用が辛い」と感じる場合もあります。後述する障害者向けの転職支援サービスを活用して第三者のサポートを得ることで、自身に合った職場が見つかりやすくなります。
改めて知っておきたい障害者雇用の現状
そもそも「障害者雇用」とは、障害のある方の雇用促進や安定を目的とした制度であり、一般雇用枠とは別に設けられた雇用枠のことを「障害者雇用枠」と呼びます。「障害者雇用は辛い」という声がある一方で、障害者の雇用促進については法改正が進んでおり、障害者雇用枠ではたらく人は増えています。
- 「法定雇用率」の引き上げが続いている
- 実際の障害者雇用数も増加している
- 合理的配慮の提供が義務化されている
「法定雇用率」の引き上げが続いている
「障害者雇用促進法」で定められている「障害者雇用率制度」により、障害のある人を一定以上の割合で雇用することが、従業員を40人以上雇用している事業主に義務付けられています。全従業員に占める障害者の割合は「法定雇用率」と呼ばれ、令和7年時点では2.5%となっており、令和8年7月には2.7%になるなど引き上げが続いています。なお、障害者雇用の詳細については、こちらの記事も併せてご参照ください。
実際の障害者雇用数も増加している
厚生労働省の「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業において、雇用されている障害者の総数は約68万人で前年比5.5%増加しています。障害の種類別でみても雇用者数が増えており、障害者雇用数という観点で障害者雇用が推進されているといえます。
合理的配慮の提供が義務化されている
2016年の「障害者雇用促進法」の改正により、合理的配慮の提供が雇用主に義務化されています。合理的配慮とは、企業が負担になりすぎない範囲で、障害者が必要とするときにサポートを提供することです。これにより、ご自身の障害特性に合った働き方ができるなど、障害について周囲の理解が得やすい環境が整ってきています。
障害者雇用で辛いと感じたら、障害者向けの転職エージェントに相談を
障害者雇用ではたらくことが辛いと感じているなら、転職を検討してみてください。その際は「障害者向けの転職エージェント」の活用がおすすめです。豊富なサポート実績があるキャリアアドバイザーに伴走してもらうことで、どのような仕事・職場ではたらくのがご自身に向いているか、把握しながら理想の職場を探せます。
また、障害のある方が転職を目指すとき、ご自身の障害特性や必要な配慮事項を把握できてないケースも多いです。キャリアアドバイザーとの対話を重ねることで、ご自身の障害特性や適性を把握し、「何が得意か」「どんな合理的配慮が必要か」など、はたらきやすい環境を手に入れるために欠かせない自己理解が深まります。その結果、理想の就労を実現できるでしょう。
dodaチャレンジに登録して、障害者雇用で理想の働き方を叶えましょう
現職で「障害者雇用が辛い」と感じたら、まずは職場環境や業務内容の調整などを申し入れてみましょう。それでも改善が見込めない場合は、ご自身に合う職場への転職を検討してみてください。その際は障害者向け転職エージェントの活用がおすすめです。
dodaチャレンジでは、支援実績が豊富なキャリアアドバイザーのサポートにより、ご自身の障害特性や適性に合った転職先を探すことができます。dodaチャレンジのご利用者の約8割が「転職は期待どおり・期待以上」、約85%が「今後もその職場ではたらき続けたい」と答えるなど、多くの人が理想の転職に成功しています。
dodaチャレンジの利用は無料なので、転職をお考えの方はこの機会にぜひご相談ください。
まずは、キャリアアドバイザーに転職相談を

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公開日:2025/9/26
- 監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
- 上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■障害者職業生活相談員