失明してもできる仕事はある?視覚障害のある方が社会で活躍する仕事の選択肢
視覚障害を患い失明した場合、自分にできる仕事があるのか不安に感じる方もいるでしょう。特に中途失明の場合、現在の生活や仕事、働き方をを大きく変えなければならないのだろうかと、今後の人生を悲観している方もいるかもしれません。
今回は、重度の視覚障害の方や、失明しても活躍できるおすすめの仕事について解説します。よくある困り事を踏まえ、仕事探しがスムーズになるコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
失明の症状と仕事への影響
「失明」というと、目がまったく見えない状態だけを想像するかもしれません。しかし、実は人によって視力に大きな差があり、できる仕事の内容や範囲も異なります。まず、失明の症状と、それぞれの特徴を確認していきましょう。
全盲
「全盲」とは、目がほとんど見えず、光も感じない状態です。視覚障害の等級では、両目の全盲で1級、片目だと両眼視力の合計値やもう一方の視力によって1〜6級に分類されます。社会的自立や就業にあたっては、点字と補助ツールの活用、周囲のサポートが欠かせません。
弱視
「弱視」とは、視力をまったく失っているわけではないものの、視力がひどく落ちている状態です。「ロービジョン」とも呼ばれ、人によって程度の違いはありますが、ある程度の視覚情報が得られます。視野(見える範囲)に制限がある、光を極端にまぶしく感じやすい、暗いところでは見えづらいなどの症状も、弱視の一種です。視覚障害の等級では、視力に応じて1〜6級に分類されます。拡大鏡や矯正器具などを使用すれば、文字や画像が見えることもあるため、全盲よりは仕事の選択肢が広いといえます。
失明した方・視覚障害者の就業の現状
厚生労働省の調べによると、2023年6月時点で従業員規模5人以上の事業所に雇用されている身体障害者数は推計52万6,000人でした。そのうち、視覚障害者の割合は7.5%です。肢体不自由や内部障害、聴覚障害者の方と比べ低い割合であり、就職しづらい現状が伺えます。
(出典:「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書 令和5年6月調査」|厚生労働省職業安定局 障害者雇用対策課)
失明した方や視覚障害者が活躍している仕事の例
一般的に、失明した方や視覚障害のある方は、次のような仕事で活躍しています。
- 事務職・デスクワーク
- あはき業
- 視覚障害の特性が活かせる専門職
事務職・デスクワーク
失明して文書が読めなくても、音声入力や読み上げソフト、ICT機器などの補助ツールを利用すれば事務職に従事できます。文字起こしやデータの集計・リストアップ、電話応対、翻訳などの補助業務に従事している方も多いです。
また、リモートワークがしやすい情報通信産業(エンジニア、プログラマーなど)のデスクワークに従事している方もいます。もともと事務・PCスキルを備えており、補助ツールの導入が可能であれば、強みを活かしてはたらけるでしょう。
あはき業
「あはき業」とは、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、ヘルスキーパー(企業内理療師)など、マッサージや体調改善の治療に従事する職業の総称です。視覚以外の感覚が優れているという特性を活かしてはたらけます。いずれも国家資格であり、特別支援学校や盲学校で受験へ向けたカリキュラムが組まれているケースがあることも、従事者の多さに関係しています。
視覚障害の特性が活かせる専門職
目が見えないということは、視点を変えると強みにもなり得ます。例えば、失明後に学んだ点字を利用した商品・サービスやコンテンツ制作が代表例です。
また、視覚障害者としての経験や生き方を伝えて支援する、カウンセラーやアドバイザー、サポーター、講師などの仕事にも強みが活かせます。失明した方ならではの働き方であるとともに、他者の役に立っているというやりがいを感じられる仕事です。
失明した後の仕事・働き方にまつわる困り事
失明してしまった方は、生活が大きく変わるだけではなく、仕事・働き方に関しても次のような困り事や悩みを抱えている方が大勢います。
- 単独での外出に困難を伴う
- 就職先がなかなか見つからない
- 偏ったイメージを持たれやすい
単独での外出に困難を伴う
仕事には通勤や外勤など外出が付き物ですが、失明しているとその際に困難を伴うことが増えてしまいます。失明した方が安全に外出するためには、専門的な歩行訓練と、点字ブロックといった視覚障害者用設備の利用方法を学ぶことが必要です。一人で通勤・外出する際はもちろん、サポートを受けるにも訓練を要します。
就職先がなかなか見つからない
失明してしまうと、これまで従事していた仕事を続けられなくなることがあります。転職しようにも、視覚障害があるとできる仕事が限られてしまいます。
また、失明した方が無理なくはたらくには、周囲のサポートが不可欠です。しかし、障害の正しい理解や個々の特性に応じた配慮の得られる職場を見つけるのは容易ではありません。
偏ったイメージを持たれやすい
失明していると、周囲から「まったく仕事ができないのでは?」という偏ったイメージを持たれやすくなります。特に、視野が狭くなった方や、片目のみ失明した方の場合、外見からだけでは分かりづらいことも多く、適切な理解やサポートが受けられないと悩んでいる方もいるでしょう。誤った先入観や決めつけが、失明した方の就業の壁となって立ちはだかるケースも多いようです。
失明した方がはたらきやすい仕事を見つけるには?
ここからは、失明した方がはたらきやすい仕事を見つけるために意識すべき3つのポイントを紹介します。
自己理解を深める
失明した方がより良くはたらくには、深い自己理解が欠かせません。できること・できないことを明確化し、理解することで、特性を活かしてはたらくには何が必要なのかが分かるようになるからです。
また、自身の特性を理解して言語化できれば、それを周囲に正しく伝えられ、適切な配慮や環境整備などのサポートが得やすくなります。身近な人や専門家の意見も取り入れつつ、就活の第一歩として自己理解を深めてみてください。
スキルアップを目指す
資格の取得のほか、仕事に関連するスキルは、自身の強みになります。独学のほか、ハロートレーニングや国立障害者リハビリテーションセンター、就労移行支援事業所などで就業や自立へ向けたトレーニングが受けられるので、活用してみるとよいでしょう。スキルや、仕事をするにあたっての基礎となる生活リズムや自己を管理する能力である「職業準備性」を高めておくことで、就職の選択肢が広がり、自信をもって就活に臨めるようになります。
障害者専門の就労支援サービスを活用する
失明した方の仕事探しや就活には、さまざまな困難が伴うことがあるでしょう。障害者専門の就労支援サービスを活用することで、合理的配慮を得ながら、特性を活かしてはたらける仕事が見つかりやすくなります。
就労サポートは、ハローワークや障害者就業・生活支援センターなどでも受けられますが、おすすめは「障害者専門の転職・就職エージェント」です。一般には公開されていない非公開求人の紹介や、プロのキャリアアドバイザーによる就活準備、企業との日程調整など、幅広く手厚いサポートが受けられます。
失明した方・視覚障害のある方の転職・就職のサポートなら「dodaチャレンジ」
弱視や視力が悪くても、社会に出てはたらき、活躍している方はたくさんいます。大切なのは、目が見えないという現状を受け止め、無理なく、より良くはたらける仕事を見つけることです。転職・就職エージェントも活用し、自己分析や特性への理解を深め、納得のいく仕事や働き方を探してみましょう。
失明した方や視覚障害のある方の仕事探しは「dodaチャレンジ」が二人三脚でお手伝いします。身体障害に特化した専門知識を持つキャリアアドバイザーがあなたの専任となり、綿密なカウンセリングを通して、最適な求人の紹介や応募書類の作成および面接の準備をサポートします。一人ひとりの悩みに寄り添い、希望の就職が実現するようバックアップするので、ぜひご登録ください。
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公開日:2025/9/26
- 監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
- 上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■障害者職業生活相談員