ASD(自閉スペクトラム症)のある方に向いている仕事とは?おすすめの職種と仕事の探し方

ASDのイメージ

ASD(自閉スペクトラム症)のある方は、その特性から、できることとできないこと、向き不向きが大きく分かれます。障害特性により、仕事や職場の人間関係に支障が生じることも少なくありません。「仕事がなかなか覚えられない」「せっかく就職しても長続きしない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、ASDのある方に向いている仕事を一覧形式で紹介します。逆に向いていない仕事や、活躍できる仕事探しのヒントもまとめました。

ASD(自閉スペクトラム症)のある方に向いている仕事の特徴

デスクワークの女性のイメージ

まず、障害特性を踏まえ、ASDのある方にはどのような仕事が向いているのか考えていきましょう。

マニュアルやルールが明確に定められている

ASDのある方は、あいまいな指示を理解することが不得意です。「上のほうに」「昼頃までに」「きちんと整理して」など意図が伝わりにくい指示だと、どうすればよいか分からなくなってしまいます。「上から◯行目に記載する」「◯時までに」など、マニュアルや具体的なルールがあれば、元来の几帳面な特性を活かし、スムーズに仕事を進められるでしょう。

密なコミュニケーションを要さない

ASDのある方は、人との会話や意思疎通が苦手な傾向にあります。頻繁なコミュニケーションを要する仕事は、大きな負担やストレスになりかねません。おすすめなのは、人との会話が中心の仕事は避け、最小限のコミュニケーションで済ませられる仕事です。人間関係の悩みやトラブルを抱えるリスクが減り、気持ちよくはたらける可能性が高まります。

自分のペースで進められる

ASDのある方は、一つの物事に集中し過ぎるあまり、ほかをつい忘れてしまうことがあります。マイルールに反することをするのも難しく、こだわりを優先してしまいがちです。逆に、時間的な制限が少なく、自分のペースで集中して取り組める仕事に就けば、特性である真面目さや几帳面さを活かして大きな成果が上げられるかもしれません。

落ち着いた環境で過ごせる

ASDがあると、感覚過敏の特性が生じる方が多いです。聴覚や視覚などの五感が敏感だと、ほかの人が気にならないような些細な刺激が大きなストレスになり、仕事に集中しづらくなります。周囲の音や様子が気になりにくく、落ち着いた環境に身を置くことで、実力を十分に発揮できるようになるはずです。

変化や臨機応変な対応が少ない

ASDのある方は、独自のルールやこだわりを持っているケースが多く、個々の状況に即して対応を変えるのは困難です。したがって、決まったスケジュールに沿って進めたり、先の見通しが立ちやすかったりする仕事のほうが向いています。大きな変化やイレギュラーな出来事が少なく、ルーチンワークが中心の仕事なら、安心して取り組めるでしょう。

専門性や興味が活かせる

ASDのある方は、何らかの分野に強いこだわりを持つ傾向にあります。こだわりは度を越すとトラブルに発展することもありますが、視点を変えると独自の強みです。興味が活かせる仕事なら、最高のパフォーマンスを発揮できます。こだわりの内容や範囲は人によって異なるので、自身の特性を見つめ直し、興味のあることを探してみましょう。

ASD(自閉スペクトラム症)のある方に向いている仕事一覧

ここでは、ASDのある方に向いている仕事を5つのカテゴリに分けて紹介します。

事務・デスクワーク系

ルーチンワークの多い事務職やデスクワークは、ASDがある方の几帳面な特性を活かして活躍できる仕事です。具体的には、数字やデータを取り扱う定型業務が中心となる次のような仕事が向いています。

  • 経理事務
  • データ入力
  • 会計士
  • 法務

高い集中力を発揮して、スピーディーかつ正確に業務がこなせる可能性が高いでしょう。

クリエイター・芸術系

ASDがある方の視覚情報の処理が得意という特性が活かせる仕事に就きたいなら、以下のようなクリエイティブな仕事がおすすめです。

  • プログラマー
  • システムエンジニア
  • ゲームクリエイター・デバッカー
  • アニメーター
  • デザイナー
  • カメラマン

豊かな想像力と独特の感性を活かし、多くの人を感動させる作品を生み出せる可能性があります。

制作・設計系

ASDのある方は、対話や聴覚情報より、テキストベースでの業務や緻密な設計・確認が得意な傾向にあります。その特性が活かせるのは、次のような制作・設計系の仕事です。

  • ライター
  • 編集者(校正・校閲など)
  • CADオペレーター
  • 設計技術者

特に、興味や専門知識が活かせる分野なら、大きな活躍が期待できるでしょう。

学術研究・分析系

好きなことに没頭し、高い集中力を持って追求できるASDのある方には、特定の情報や分野を分析・探究する仕事が適職です。例えば、次のような仕事が挙げられます。

  • アナリスト
  • 学者
  • 研究者

興味のある分野なら、ASDのある方にとって天職になるかもしれません。

その他

ASDのある方には、次のような仕事もおすすめです。

  • ライン作業
  • 軽作業
  • 清掃員
  • ドライバー
  • コールセンター
  • レジ打ち

上記の仕事の共通点は、ルーチンワークが基本であることです。業務や対応が完全にマニュアル化されており、それに沿って進める仕事であれば、コミュニケーションが必要な職種でも活躍できる可能性があります。

そのほか、業種に限らず、柔軟にはたらきやすい在宅ワークもおすすめです。ただし、在宅ワークはやり取りに行き違いが発生しがちなので、報告・連絡・相談などの確認作業を徹底するよう心がけましょう。

ASD(自閉スペクトラム症)のある方に向いていない仕事

一般的に、ASDのある方は、以下のような仕事には不向きだといわれています。

  • 接客業
  • 営業職
  • 総務職
  • 秘書・コンシェルジュ
  • 窓口・受付対応
  • イベントスタッフ

上記に共通する特徴は、対話・交渉が多く、業務の範囲が幅広いことです。臨機応変な対応やマルチタスクがデフォルトとなるため、ASDのある方ならではの強みをうまく活かし切れません。

ASDのある方に向いている仕事を見つけるための5つのヒント

ヒントを探すイラストのイメージ

ASDのある方が自分にどんな仕事が向いているのか悩んだときは、次の5つのタスクを実践してみてください。

自己理解を深める

ASDといった発達障害のある方が自分らしくはたらける仕事を見つけるには、自己理解が肝心です。障害特性を含め、自身のことを深く知ることで、向いていること、やりたいことが見えてきます。主治医の意見も参考にしつつ、自己理解を深めてみてください。

職業スキルや知識を身につける訓練を受ける

「やりたい仕事がなかなか見つからない」「仕事が長続きしない」というときは、発達障害のある方向けの職業訓練や就労移行支援を受けてみるのも一つの方法です。例えば、ハロートレーニングや就労移行支援事業所で訓練を積み、特性への対処法やビジネススキルを身につけることで、できる仕事の範囲が大きく広がります。

障害者専門の転職・就職エージェントに相談する

自分に向いている仕事を探すためには、自己分析が重要です。自分を客観視するのは難しいものですが、障害者向けの就労支援機関に相談することで、自己分析のやり方や、最適な働き方のヒントが得られます。プロのキャリアアドバイザーとの対話の中で、自分に向いていること、やりたいことがきっと見つかるはずです。

アルバイトや短時間勤務から始めてみる

「まだはたらく自信が持てない」「就活がうまくいかない」というときは、アルバイトや短時間勤務の仕事から始めてみるのもおすすめです。はたらきながら、仕事の向き・不向きが見極められます。また、収入やキャリアが完全に途切れてしまうことを防げるほか、就活の際にも問題なくはたらける証拠になります。短期や単日のアルバイトもあるため、体調や予定に合わせてチャレンジしやすいでしょう。

障害者雇用枠を検討する

現在、一般枠の求人しか応募していないのなら、障害者雇用枠も視野に入れることで、働き方の選択肢が広がります。障害者雇用枠とは、精神障害福祉手帳を取得している方を対象とする求人枠です。障害に対して理解のある職場で、合理的配慮を得ながらはたらけます。さまざまな障害福祉サービスを活用しながら就職活動および就業ができるようになるため、よりよくはたらける道が見つけやすくなります。

ASDがある方に向いている仕事探しは「dodaチャレンジ」

ASDのある方は対人コミュニケーションが不得意な傾向にあり、職場でも人間関係に悩みを抱えがちです。しかし、一度決めたルールや決まりをきちんと守れる、明確な指示があれば正確にこなせるなど、強みだといえる部分もたくさんあります。特性が活かせる仕事ではたらけば、実力を発揮してはたらけるうえ、ストレスも最小限です。「dodaチャレンジ」で、専任のキャリアアドバイザーと一緒に、あなたにぴったりの仕事を探してみませんか。利用料は一切かかりません。ぜひお気軽にご登録ください。

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公開日:2025/9/26

監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■障害者職業生活相談員
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