ギフテッドと発達障害の違いとは?共通する悩みと、はたらくためのサポート

脳のイラストイメージ

ギフテッドとは、知的・芸術的・創造的な才能や感受性の強さなど、先天的に「突出した能力」を持つ人のことです。一方で発達障害は、生まれつきの脳機能の発達の偏りから、社会生活に支障がある状態を指します。

このように両者は異なる概念ですが、発達障害と似た特性があるギフテッドも多いことから、社会的に混同したり勘違いしてしまったりすることがあります。そのため、まずはそれぞれの特性を理解したうえで、共通点と違いについて知ることが大切です。本記事では、ギフテッドと発達障害について、さまざま観点から徹底解説します。

ギフテッドとは

ギフテッドは、同年代と比較して突出して高い知能や才能のある人を指します。知的能力が高く、特定の分野で優れた成果を出すことが特徴です。国内ではギフテッドの特性を備えた子どもについて、文部科学省が「特定分野に特異な才能のある児童生徒」と呼称しています。以上の点を踏まえて、ギフテッドについて知っておきたいポイントについて見ていきましょう。

ギフテッドの定義や特性

ギフテッドの判定基準については、「WISC-Ⅳ(ウェクスラー式知能検査)のスコアがIQ130以上」 という説があります。しかし、ギフテッドの特性は高IQだけではないため、基本的には数値で明確に判断できる指標はありません。千葉大学教育学部教授・石田祥代氏の「特別な教育的ニーズのある優秀児とその教育的支援に関する動向」によると、ギフテッドには次のような特性があります。

  • 記憶力が良い
  • 語彙が豊富で複雑な文章を構成できる
  • 数字遊びやパズルなど問題を解くことを好む
  • 深く激しい感情や反応を表す
  • 幼少期から理想や正義感が強い
  • 注意力や集中力が長く続く
  • 自分の考えや想像に浸りやすい
  • 人に探りを入れるような質問をする
  • いろいろな方法を試すことに興味がある
  • 鋭く変わったユーモアセンスがある

ギフテッドの特性は生まれつき

前述したようなギフテッドの特性は生まれつきのものであるため、教育などの後天的な努力では得られません。だからこそ「(才能や能力を)与えられた」という意味で、「ギフテッド」と呼ばれているのです。

孤立やストレスに直面するケースも多い

その突出した能力から、ギフテッドは学校生活や学習で困難を抱えやすい傾向があります。例えば「授業が簡単すぎて退屈」「同級生と話が合わず孤独」などです。こうした「ほかの子どもとの違い」から、クラスで浮いた存在になっていじめの標的になり、精神的な疾患や不登校につながってしまうケースもあります。

発達障害とは

発達障害とは、生まれつきの脳機能の特性により、物事の捉え方や言動に偏りがある状態のことです。学習やコミュニケーションなど、特定の分野において著しく苦手なことがあるため、日常生活や社会生活に支障が生じます。

発達障害には3種類ある

発達障害には次の3種類があり、それぞれ特性が異なります。

特性 突出した部分 ASD(自閉スペクトラム症) コミュニケーションが苦手
特定分野への興味・こだわりが強い 記憶力が優れている
論理的思考が得意 ADHD(注意欠如・多動症) 不注意・多動性・衝動性などがある 発想力や感性が豊か
行動力が旺盛
関心分野へのこだわりが強い LD(学習障害) 聞く・話す・読む・書く・計算する・推論するなどの能力の一部に著しい困難がある 視覚情報の処理能力や論理的思考力が高いなど

精神障害者保健福祉手帳を取得できる可能性がある

発達障害があり、日常生活・社会生活や就労などに困難がある場合は、精神障害者保健福祉手帳の交付対象となる可能性があります。精神障害者保健福祉手帳を取得することで、障害福祉サービスによるサービスを受けやすくなり、障害者雇用枠での就労も可能です。

ギフテッドと発達障害の類似点

ギフテッドと発達障害には次のような類似点があるため、両者は混同されることが多いです。

特定の分野で優れた能力がある

ギフテッドと発達障害は、いずれも「特定の分野で突出した能力を発揮する」という特性があります。発達障害のある方が、芸術や数学などの分野で並外れた成果を出す事例として、「サヴァン症候群」が有名です。

対人スキルが低い傾向がある

対人スキルが低い傾向があることも、ギフテッドと発達障害の共通点です。ギフテッドの場合、生まれ持った能力や独特の言動などから「他者との違い」に疲弊してしまい、他人に合わせることよりも「自分が何をしたいか」を優先させるようになります。

発達障害の中でもASDがある方は、相手が発した言葉の意味・気持ちなどを読み取ることに困難があります。これらの理由から、ギフテッド・発達障害者はいずれも他人への関心を失い、対人スキルが低い傾向があるのです。

周囲の理解が得られず孤立しやすい

ギフテッドは「他人と話が合わない」「興味のあることが違いすぎる」など、発達障害者はコミュニケーションの困難さなどの理由から、周囲から孤立してしまいがちです。

ギフテッドと発達障害の違い

発達障害のイメージ

ギフテッドと発達障害には前述した類似点がありますが、次のような違いも存在します。ただし、ギフテッドや発達障害の特性は個人差が大きいため、必ずしもこのとおりとは限りません。本記事の内容はあくまで一般論である点にご注意ください。

興味関心がある分野の範囲

ギフテッドは基本的に知的好奇心が旺盛であるため、興味関心を感じる分野の範囲が広い傾向があります。一方で発達障害、特にASDの場合は特定の分野に強いこだわりがあるため、興味関心の分野は狭いケースが多いです。

感情や衝動を制御する能力

ADHDなどの発達障害がある方は、衝動的な言動が目立ちます。また、ひとつのことに極端なまでに没頭してしまう「過集中」に悩む方も少なくありません。一方でギフテッドの場合は、個人差や場面による違いはありますが、衝動や感情は比較的コントロールしやすいです。

他人の感情を読み取る能力

発達障害がある方は、他人の感情を読み取ることが苦手な傾向があります。一方で、ギフテッドは感受性が高いという特性から、自他の感情に敏感で分析的に理解しようとすることが多いです。

できない理由・やらない理由

発達障害の場合、例えばADHDの方は集中力が別の方に向きやすいことが理由で「できないこと」が生じやすく、「できること」との差が大きくなります。

一方でギフテッドの場合は、つまらない・興味を持てないことなどが、できない・やらない理由になりやすいです。例えば、学校の課題をやらない、他人の話を聞かない、ルーチンワークをやりたがらないなどは、ギフテッドの典型的な行動パターンであるといえます。

ギフテッドで発達障害がある人は「2E」と呼ばれる

ギフテッドであり発達障害でもある人は「2E」と呼ばれます。これは「Twice-Exceptional(2重に特別な)」という意味で、前述した発達障害の特性である「著しく苦手な分野もある」ギフテッドを指します。つまり、ギフテッド特有の突出した能力がある一方で、日常生活や社会生活で困難な面もあるということです。

なお、ギフテッドそのものは障害ではないため、通常は障害者手帳の交付対象ではありません。一方でギフテッド2Eの場合は、条件を満たせば精神障害者保健福祉手帳を取得でき、障害者雇用枠での就労も可能となります。

大人のギフテッド・発達障害者がはたらくうえで抱える悩み

前述したとおり、ギフテッドも発達障害も「生まれつき」の特性なので、大人になったからといってその特性がなくなったり、定型発達者に近づいたりするわけではありません。だからこそ大人のギフテッド・発達障害者は、次のような悩みを抱えやすいのです。

職場に適応できない

ギフテッドや発達障害の特性である創造力や行動力、特有のコミュニケーションなどが原因で、企業や組織などに馴染めなかったり、既存の枠組みを乱してしまったりします。

また、オブラートに包まないダイレクトな発言で、職場の人間関係に課題が生じることもあるでしょう。仕事ではコミュニケーションに「社会性」が求められるため、大人になると幼少期より課題が増えやすいのです。その結果、次のような悩みが生じやすくなります。

  • 自分に合った職場が分からない
  • 適職に就けない
  • 過集中で業務が手につかなくなる
  • 組織に属することができない

過集中については、以下の記事で詳しく解説しているので合わせてご参照ください。

精神疾患を発症しやすい

ギフテッドと発達障害者は、前述したような人間関係やコミュニケーションなどの課題から、孤立しやすい傾向があります。周囲の理解が得られないことによる「生きづらさ」が原因で、うつ病や不安障害などの精神疾患を発症する方は少なくありません。

ギフテッドや発達障害者の方がはたらきやすい仕事とは

ギフテッドと発達障害の特性には似ている部分があるため、実は「適性のある仕事」や「向いている職場」も類似点が多く、基本的には次のような仕事が向いています。ただし、ギフテッドや発達障害の特性は個人差が大きいため、ご自身の特性を見極めたうえで仕事や働き方について検討することが大切です。

クリエイティブ系

次のような仕事は、ギフテッドや発達障害のある人が有する、独自の感性や発想力を活かしやすいです。

  • イラストレーター
  • デザイナー
  • サウンドクリエイター
  • ライター
  • 映像編集者

クリエイティブ職は過程よりも成果物が重視され、個人作業が中心で対人ストレスが少ないため、コミュニケーションに課題があるギフテッド・発達障害者もはたらきやすいでしょう。

IT・テクノロジー系

次ギフテッドや発達障害の特性である、特定分野への強い集中力や細部への観察力は、プログラマーやシステムエンジニアなどIT分野との相性が良好です。また、コミュニケーションはテキスト主体というケースも多いため、対面業務にストレスを感じやすい人にも適しています。ご自身の特性を活かしてIT分野で活躍したいという方には、先進IT分野に関するスキルが学べる就労移行支援事業所「Neuro Dive(ニューロ・ダイブ)」がおすすめです。

研究・分析系

ギフテッドや発達障害の人は知的好奇心や探求心が強く、特定分野への高い集中力を発揮できることから、次のような研究・分析系の職種にも向いています。

  • 研究職
  • 技術開発職
  • 統計分析
  • データアナリスト

対人関係よりも成果が重視される分野であるため、独自の視点や発想が新たな発見につながりやすいです。

ルーチンワークの多いデスクワーク

ギフテッドや発達障害者の方は、集中力が高く几帳面な傾向があるため、ルーチンワークの多い事務職やデスクワークも向いています。ADHDがある人の場合は、マルチタスク作業が苦手な特性がありますが、ルーチンワークであれば順番に作業しやすく、ケアレスミスも防ぎやすいでしょう。ただし、職場の理解やサポートが得られる環境を選ぶことが大事です。

ギフテッド2E・発達障害の特性に合った仕事を探すなら「dodaチャレンジ」へ

先端ITのイメージ

「周囲に理解されない」「孤立してしまう」などの悩みは、多くのギフテッドや発達障害者が抱えており、就労のうえでも大きな課題となります。特にギフテッド2Eの場合は、知的能力や洞察力が優れている一方で「話が飛躍しやすい」「組織の輪を乱してしまう」など、はたらきづらさを感じることも多いでしょう。

しかし、周囲の理解と柔軟な対応と環境があり、自身の興味関心や特性にマッチする仕事に出会えることができれば、ギフテッドや発達障害者の方は、卓越した才能によって大きな成果を上げられる可能性があります。

発達障害者やギフテッド2Eの方で、精神障害者保健福祉手帳を取得している場合は、障害者雇用枠での就労が可能です。障害者専門の転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」にご相談いただくことで、あなたが特性・適性を活かして輝ける仕事と出会えるかもしれません。この機会にぜひご登録ください。

公開日:2025/12/25

監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■障害者職業生活相談員
  • dodaチャレンジで、専任のキャリア
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