過集中とは?発達障害との関係や生活・仕事で役立つ対策方法

集中している男性のイメージ

「特定の作業に熱中しすぎてしまい「気がついたら何時間も経過していた」「集中すると寝食を忘れてしまう」……こうした特徴がある場合は「過集中」が疑われます。集中や熱中は必ずしも悪いことではありませんが、度がすぎると日常生活に支障をきたす恐れがあります。また、過集中は発達障害との関連性も指摘されており、自分に障害の傾向があると気づくきっかけになるかもしれません。この記事では、過集中の特徴と、自分でできる対策方法を解説します。

過集中とは

まず、過集中とはどのようなものか、定義や「ゾーン」との違いを踏まえて確認していきましょう。

過集中の定義と特徴

「過集中」とは、いまやっている作業や物事に過度に集中しすぎてしまう状態です。「何時間以上集中し続けたら」といった明確な定義はありませんが、集中しすぎることで心身の状態や社会生活、人間関係などに悪影響が出ている場合は過集中の可能性があります。

とはいえ本来、集中しすぎるという特性は決して悪いことばかりではありません。優れた集中力を活かし、与えられた仕事をスピーディーに済ませられる、興味・関心のある分野に没頭し素晴らしい成果を上げるなどの強みにもなり得ます。そのため、過集中の傾向がある方は、トラブルや不利な状況になることを回避し、特性の強みを活かして活躍するためにも、自己対策が必要です。

過集中とゾーンの違い

集中力を極めると、いわゆる「ゾーン」と呼ばれる状態に入ることがあります。ゾーンに入ると、集中の対象以外のことが意識から消失して感覚が研ぎ澄まされ、時間の経過や物の動きがゆっくりになったように感じられるそうです。驚異的な集中力により、優れたパフォーマンスを発揮することもあり、アスリートをはじめとし、各業界・分野のトップクラスの実力を持つ人物によくみられる状態としても知られています。

過集中とゾーンはいずれも「集中力が極限まで高まっている状態」を表す言葉です。そのうち過集中は、本来は過度に集中している様子そのもの、および、その行為全般を指しますが、一般的にはADHDやASDなどの発達障害の特性や困り事を伴う状態として用いられることが多いといえます。対してゾーンは、主に過集中による良好な集中状態およびその好影響や恩恵を指します。最高のパフォーマンスが発揮できている状態として、ポジティブな意味で用いられることが多いです。

過集中と発達障害の関連性

過集中は、発達障害のうち「ADHD(注意欠陥・多動症)」と「ASD(自閉スペクトラム症)」のある方によくみられる特性です。特に、ADHDとASDの特性を併せ持つ方は、過集中の症状がより強く出る傾向にあります。

ただし、過集中になりやすいからといって、必ずしも発達障害があるというわけではないので、傾向があるからといって自己判断は厳禁です。気になる症状や特性のある方は、必ず精神科や心療内科に相談してください。確定診断は、さまざまな障害福祉サービスを受けるために欠かせないプロセスでもあるため、専門家の判断を仰ぐことをおすすめします。

「大人の過集中あるある」から発達障害の傾向をセルフチェックしてみよう

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以下では、大人の過集中によくある3つの項目から、発達障害の傾向があるかどうか探ってみましょう。

生活や仕事に支障をきたすほど集中しすぎてしまう

発達障害のある方が過集中の状態にある間は、時間や寝食、物事の優先順位を忘れてしまい、日常生活や仕事に支障をきたすことがあります。周囲の音や様子、呼びかけも耳に入らなくなることが多く、遅刻や仕事への支障、人間関係に不和を生じさせる原因になるケースも少なくありません。刺激の強い物事への依存という形で過集中の傾向が現れるケースもあり、社会生活への悪影響も危ぶまれます。

また、一度過集中の状態に入ると、今やっている作業以外のことを忘れがちです。休憩や寝食を忘れて没頭するあまり、体調を崩してしまうこともあります。不健康な生活習慣が続くと、睡眠不足や過労になりやすく、それをきっかけに重篤な健康問題に発展する恐れもあります。

集中力が切れた反動で虚脱になることがある

過集中は、心身に過剰な負担をかける行為なので、集中力が切れた反動でひどい脱力感や無気力感に襲われることがあります。これを「虚脱」といい、過集中の後で燃え尽きたようにやる気がなくなってしまい、セットで困り事となるケースが多いです。虚脱状態からの回復には、ある程度の時間がかかる傾向にあります。過集中との繰り返しで、気づけば「仕事が続けられない」「日常生活すらままならない」という状態になるケースもあるようです。

興味のないことにはモチベーションが上がらない

発達障害に由来する過集中の特性が発現するのは、主に強い興味・関心のあることのみです。好きなことには時間や寝食を忘れて没頭する一方で、興味のないことにはモチベーションが上がらず、やり始めても集中力がうまく保てません。過集中に加え、やりたくないことをつい後回しにしてしまい納期に遅れる、そのままやり忘れるなどの困り事がセットになっている場合は、発達障害の特性として現れているのかもしれません。

キャリアアドバイザーが解説!過集中への対策と上手な付き合い方

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ここでは、プロのキャリアアドバイザーの視点から、過集中と上手に付き合っていくための対策方法を紹介します。

アラームやタイマーで時間やタスクを管理する

過集中には、アラームやタイマーを活用した時間管理が有効な対策手段です。事前にスケジュールやタスクを決め、時間がきたらアラームやタイマーが鳴るようにしておくことで、行動や気持ちを切り替えるきっかけになります。

また、過集中の状態だと寝食を忘れがちなので、食事や水分補給、就寝の時間を知らせる際にもアラームやタイマーが有効です。ただ、職場でアラーム・タイマーを使うと、音や振動で周囲に不快感を与えてしまう恐れがあるため、事前に相談し理解を得たうえで活用することをおすすめします。

周囲に協力を仰ぐ

過集中は、本人も無意識のときに起こるため、自分で気づいて止めるのは容易ではありません。あらかじめ過集中の傾向があることを周囲に相談し、声をかけてもらうといった配慮を得ることで、困り事が減らせる可能性が高まります。

また、周囲に特性を知らせておけば、過集中による誤解や不和を防ぐことにもつながります。周囲の協力を仰ぐためにも、特性への理解を深め、配慮事項を分かりやすく説明できるようまとめておくとよいでしょう。

特性ならではの強みを見つける

過集中は、当事者にとって困り事であると同時に、独自の強みになり得る個性です。特性があるからこそ、集中した状態を長時間維持できます。いわゆるゾーンに入ると、比類ないほど高いパフォーマンスを発揮し、短期間で成果を上げられるかもしれません。

つまり、過集中とは「得意分野や興味・関心のある物事に集中して取り組める能力」とも言い換えられます。深い理解と高品質なアウトプットにつながり、その道のプロフェッショナルとなれる可能性を秘めているのです。個々の特性に応じた環境調整や補助ツール、サポートも活用して、過集中を独自の強みとして発揮する方法を探ってみてください。

意識的に休憩・休養をとる

過集中になりやすい方は、心身を日々酷使している状態であることが多く、疲労やストレスを溜めがちです。放っておくと、いつまでも作業に取り組み続けることも多いため、あらかじめ休憩や食事、水分補給などをタスク化してスケジュールに組み込むといった心がけが必要になります。

また、休みの日はしっかり休養を取り、心身の回復に努めましょう。過集中とのバランスを図ることで、モチベーションや意欲、体力の維持・向上につながります。

過集中をあえて楽しむ日をつくる

過集中をいけないことだと決めつけると「やめなければ」とプレッシャーになり、余計にストレスを感じやすくなってしまいます。ネガティブな面ばかりに目が行きがちですが、見方を変えれば、過集中は日常をより楽しくする要素の一つです。

集中するときと、そうでないときを明確に区別することで、メリハリのついた毎日が送れるようになります。禁止するのではなく、過集中をあえて楽しむ日をつくり、趣味や好きなことに没頭する時間を設ければ、QOL(生活の質)の向上につながるかもしれません。

過集中の特性が活かせる生き方・働き方を見つけよう!

過集中の状態になると、好きなことに素晴らしい集中力を発揮し、何時間でも没頭し続けます。その一方で、発達障害との関連も指摘されており、日常生活や仕事におけるトラブルの原因になることもあります。過集中による困り事を抱えている方には、特性への自己理解を踏まえた自己対策と、周囲の協力が不可欠です。特性との自分なりの上手な付き合い方を学び、自らの個性や強みとして発揮する方法を探していきましょう。

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公開日:2025/12/25

監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■障害者職業生活相談員
  • dodaチャレンジで、専任のキャリア
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