小腸機能障害がある方の働き方|悩みを解消して障害者雇用枠ではたらくポイント

小腸機能障害の男性のイメージ

「小腸機能障害」とは、小腸が栄養素を十分に吸収できなくなり、栄養失調や免疫力の低下などの症状が出る疾患です。日常生活や就労においてさまざまな困難が生じるため、不安を抱えている方は多いでしょう。小腸機能障害のある方が安定就労するためには、理解と配慮が得やすい仕事を探すことが重要です。本記事では、小腸機能障害のある方に向いている働き方について、分かりやすく解説します。

小腸機能障害とは

小腸機能障害とは、何らかの原因で小腸機能に障害が生じる状態を指します。経口摂取による栄養維持が困難になることで、日常生活や就労が極度に制限されるほど、深刻な症状が出ることが特徴です。

小腸機能障害の症状

そもそも小腸とは、胃で消化された食べ物を細かく分解する「消化」を行い、栄養分を「吸収」して各器官へ「輸送」するための消化器官です。その小腸の機能に障害が生じることは、経口摂取した食品から栄養素を正常に吸収できなくなることを意味します。その結果として、次のような症状が生じます。

症状 特徴
腹痛 小腸の異常により強い腹痛が生じる
腹部膨満感 腸内に溜まったガスが排出されず、おなかが張った感じになる
下痢や便秘 便通が不規則になり、慢性的な下痢や便秘が続く
栄養失調 ビタミン・ミネラル・タンパク質など重要な栄養素を吸収できない
体重減少 栄養失調の状態が続くことで体重が減少して体力も低下する

これらの症状により、日常生活はもちろん仕事のパフォーマンスも大きく低下してしまうため、小腸機能障害のある方は働き方に注意が必要です。

小腸機能障害の原因

小腸機能障害の原因には、主に2種類のものがあります。

  • 小腸が疾患によって広範囲に切除されて吸収面積が減少している
  • 疾患による重大な機能障害で小腸の実行吸収面積が減少している

「疾患による広範囲の切除」や「疾患による重大な機能障害」で「小腸の吸収面積が減少」することが、小腸機能障害の原因となります。厚生労働省の資料によると、それぞれに該当する代表的な疾患は次のとおりです。

疾患による広範囲の切除 上腸間膜血管閉塞症
小腸軸捻転症
先天性小腸閉鎖症
壊死性腸炎
広汎腸管無神経節症
外傷
その他
疾患による重大な機能障害 クローン病
腸管ベーチェット病
非特異性小腸潰瘍
特発性仮性腸閉塞症
乳児期難治性下痢症
その他の良性の吸収不良症候群

クローン病が発端で小腸機能障害になる方が増えている

前述した疾患のうち、クローン病が発端で小腸機能障害になる事例が増えています。クローン病は、消化管に炎症を引き起こす慢性疾患です。小腸に炎症が広がることで、消化や吸収に障害が生じ、小腸機能障害を引き起こすことがあります。難病情報センターのコラムによると、クローン病は10代~20代の若年者に発症例が多く、その数も年々増加が続いています。

小腸機能障害は「身体障害者手帳」の交付対象となる

厚生労働省の「身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則別表第5号)」によると、小腸機能障害は身体障害者手帳の交付対象となり、その認定基準や障害等級の区分は次のとおりです。

障害等級 認定基準
1級 自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの
3級 家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの
4級 社会での日常生活活動が著しく制限されるもの

つまり、日常生活を送ること自体が困難な場合は障害等級1級、就労に制限が生じている場合は4級に該当する可能性があります。なお、小腸機能障害に障害等級2級は存在しません。

小腸機能障害のある方が就労について抱える課題・悩み

朝食のイメージ

小腸機能障害がある方は、はたらくうえで次のような課題や悩みを抱えがちです。

見た目からわからないので障害理解が得づらい

小腸機能障害は、多くの上肢障害や下肢障害とは違って見た目から分かりにくい障害であるため、周囲から理解・配慮を得ることが難しいことがあります。例えば、腹痛や下痢などの症状で頻繁に離席する場合、「なぜ休憩するのか」「きちんと仕事をしていない」など偏見や誤解を受けてしまうことがあります。こうしたストレスや孤立感、プレッシャーなどから、精神疾患を併発してしまうケースも見られます。

体調の急変や不調に対処しづらい

小腸機能障害の特性により、症状が急に悪化して、仕事が中断することや集中できないことがあります。このような体調不良は予測がつかないため、「大事な場面で症状が出てしまうかも」「迷惑をかけてしまわないか」という不安も大きいです。

特に外回りや長時間の会議など、途中で抜けることが難しい業務の場合、臨機応変な対応が容易ではありません。例えば、クライアントとの商談中に腹痛や下痢を起こすと商談が中断するため、症状が起きることへの不安が大きなストレスになってしまいます。

食事制限や栄養管理の必要がある

小腸機能障害のある方は、特定の食材を避けたり、食事を少量ずつ摂取したりする必要があります。食事の内容が障害特性や症状に合わなければ、消化不良から腹痛や下痢などを起こすことがあるため、社内食堂を利用できないなどの不便が生じることがあります。

また、少量ずつ栄養素を摂取するために、業務中に休み時間以外のタイミングで食事を取らないといけないケースも考えられるでしょう。

長時間の座り仕事や立ち仕事が困難

長時間の座り仕事や立ち仕事は、体力を消耗するうえに姿勢が腹部に負担をかけやすいため、小腸機能障害の症状悪化につながりやすいです。例えば、デスクワークを長時間続けることで便秘や膨満感が強くなり、集中力や生産性に影響を与えることがあります。

キャリアアップに制限がある

小腸機能障害により、慢性的に栄養不足の状態にあって体力が低下しているため、日々の就労自体がつらく、長時間労働は不可能な場合が多いです。昇進や昇給などのキャリアアップには成果が求められるため、どうしてもキャリアアップに制限が生じてしまうことがあります。

小腸機能障害のある方に適した働き方を探すために

小腸機能障害のある方は、身体的にさまざまなつらい症状があり、なおかつ「いつ起きるか」予測しづらいため、一般雇用枠での就労で配慮を得づらいケースが多いです。

障害者雇用枠ではたらくことで、小腸機能障害の症状に合わせた合理的配慮により、症状と付き合いながらはたらきやすくなるため、検討してみてください。障害者手帳を取得していれば、障害者雇用枠への応募が可能です。特に次のポイントを意識することで、ご自身に合った働き方が見つかりやすくなります。

体力の消耗が少ない仕事・働き方を知る

小腸機能障害のある方は、慢性的に体力が低下している状態にあるため、とにかく「体力の心配が少ない働き方」を選ぶことが重要です。

例えば、事務職やIT関連職、ライターやデザイナーなどのクリエイティブ系は、デスクワークが主体なので体力の消耗が少なく、体調に合わせた作業ペースを維持しやすい働き方です。ただし、長時間座りっぱなしも小腸の状態に悪影響を与えるため、定期的に離席・休憩できる環境であることが大切です。

柔軟な働き方の選択肢がある職場を選ぶ

ご自身の体調に合わせて、休憩や業務内容・時間などを調整するために、柔軟な働き方が選べる職場が理想的です。例えば、体調が悪いときに休憩が取れるフレックス制の職場だったり、体調管理が行いやすい在宅勤務を選んだりできれば、万が一のときにも対応しやすくなります。

体調悪化時の対処法をまとめて共有する

障害者雇用で合理的配慮を受けるためには、事前に障害特性や配慮事項について職場と共有しておく必要があります。「どんな配慮があれば通常業務に支障なくはたらけるか」「どのような状況で悪化しやすいか」「万が一の場合どんな対処法が必要か」などが重要なポイントです。

例えば、頻繁にトイレに行く必要があるため、トイレに近い場所で作業できる環境や、会議中の途中離席せざるを得ない可能性があることなどを伝えるといいでしょう。医療機関への連絡や帰宅の必要性なども考慮して、万が一の場合の連携体制も築ければ理想的です。

障害者雇用専門の転職エージェントを活用する

小腸機能障害のある方がご自身に合った仕事を探すためには、身体的な負担を避けながら、慢性的な体力不足を補える働き方を選ぶ必要があります。障害者雇用専門の転職エージェントに相談することで、プロのサポートを得ながら適切な働き方について考えることができます。ご自身の障害特性や症状に合った配慮が得られる求人の紹介もあるため、「職場で理解やサポートが得られるか」といった不安も解消できるでしょう。

小腸機能障害のある方の就労は「dodaチャレンジ」にご相談ください

キャリアカウンセリングのイメージ

小腸機能障害のある方は、身体的な負担を減らすために、体力の消耗が少ない仕事を選ぶことが大切です。また、いつ症状が出るか予測できないため、柔軟な働き方ができて理解と配慮が得られる職場が理想的です。障害者雇用専門の転職エージェントに相談することで、あなたに合った働き方を探すためのサポートが得られます。

dodaチャレンジ」では、キャリアアドバイザーがあなたの悩みや希望に寄り添い、納得のいく転職が実現するまで一緒に伴走します。求人の紹介だけでなく、どのような環境・配慮があれば小腸機能障害の症状と付き合いながらはたらけるか、最適な提案をいたします。この機会にぜひdodaチャレンジにご相談ください。

公開日:2026/2/24

監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■障害者職業生活相談員
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