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掲載日:2013.10.07
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映像クリエイターに喜んでもらえることが嬉しい

デジタル・フロンティア CG制作部 開発室 齊藤 弘 氏

神奈川工科大学・大学院前期課程修了後、デジタル・フロンティアへ就職。 映像制作支援に関わる開発や調査を担当。 DCCツール支援からサーバサイドまで幅広く携わっている。


後編では、デジタル・フロンティア CG制作部 開発室の齊藤弘氏にCG/VFXの世界に入ったきっかけ、プログラマーとしての抱負などを聞いた。CG業界のプログラマーは仕事の範囲が広く、新たな映像表現も手がければ、作業の効率化を推進することもある。欠かせない資質は「映像が好き」なことだという。

ツールを作って喜んでもらうのが好き

──どんな経緯で、VFX業界のプログラマーになったのですか。
もともと映像が好きで、CG(コンピュータグラフィックス)やVFX(Visual Effects)には関心がありました。大学時代にはメディア系の学科でCGを勉強していました。研究室時代、デザイナーのためのツールを書いて「便利になった」と言ってもらえるのが嬉しいと思っていました。それでVFX分野のプログラマーとしての道を選びました。
今の職場のデジタル・フロンティアでは、大学時代からアルバイトとして働いていました。私はデザイナーの経歴を経ないでプログラマーとして入社したのですが、そういう人は現状ではまだ珍しいのが実情です。
──プログラマーとしてどんな仕事をしてきましたか。
例えば、3DソフトMayaのプラグインをC++で作る仕事をしました。髪の毛をCGで表現するとき、髪の毛の長さを変えずに求める形に動かす表現が求められていたのですが、既存のツールでは良いものがなかったので、表現のためのツールを作りました。
──デザイナーが必要としている表現を、数学や物理の言葉に翻訳してプログラミングする訳ですね。その両方の言葉を知っている必要があるということでしょうか。
そうですね。CGのための数学や物理の知識も必要になります。もちろん、それを求められている表現に結びつけるための知識も必要です。
VFX制作の現場では、プログラマーはCGの表現の支援と、制作工程の支援の両方の仕事をしています。それぞれ、使う頭の場所が違います。私はその両方に関心があります。

VFX制作の現場ではカスタムツールのニーズが多い

──VFXの業界ではカスタムのツールアプリケーションを作るニーズはかなり多いのですね。
そうだと思います。VFX業界では、例えば特定のプロジェクトのための専用ツールを作ることもよくあります。汎用的なツールを作るとなると、仕様決めなど期間がかかりますので。
CG関連のソフトウェア製品の多くがライブラリや開発言語を用意しているのも、そうしたニーズに応えるためです。それに加えて、有力なCG関連ソフトウェア製品がPythonをサポートしたことも、カスタムのツールを作る動きを後押しした要因だと思います。
──PyCon APAC 2013で講演されていますが、Pythonと出会ったのはいつごろですか。
2007年にCGソフトのMayaがPythonをサポートしたのがきっかけです。それ以前は、学生時代からC/C++を書いたり、MayaのDSL(ドメイン特化言語)のMELでスクリプトを書いたりしていました。今は、ほとんどのプログラミングでPythonを使っており、手足のような感覚で使っています。特にリアルタイム性が求められる部分はC/C++で書きますが、NumPy(数値計算用のPythonライブラリ)やSciPy(科学技術計算用のPythonライブラリ)を使うことで、Pythonを使って求める速度が得られる場合もあります。社内でも、Pythonは普及していて、Pythonを使う風土は定着しています。
──開発したツールの中で、特に思い出に残っている仕事はありますか。
私が手がけたツールでは「Valhalla」です。これはコンポジットの工程を支援するツールです(前編を参照)。
コンポジットとはどういう工程か、少し説明します。まずCGでレンダリングして2Dの画像を作る訳ですが、それだけだと質感が足りないので、カットごとに他の素材を組み合わせて求める表現を得ます。例えば煙、反射、映り込みなどです。こうした、素材を組み合わせる工程がコンポジットです。
コンポジットで扱う素材は、1カットごとに例えば8~16種類といった具合にたくさんあります。「この素材のバージョンが上がりました」という情報も必要です。こうしたたくさんある素材の情報を、いちいちファイルを調べて確認するのは大変ですし、コミュニケーションロスも発生します。
そこで、それぞれのスタッフが担当する素材をすぐチェックできる専用ツールを作りました。このツールは「作業が終わったらサーバーに格納する」といった工程も管理します。
──こうした現場に密着したツールの開発がVFX業界では重要なのですね。こうしたツールの開発プロセスではどんな工夫をしているのですか。
先に説明したツール「Valhalla」の開発では、デザイナーから大量の要望が寄せられたのですが、その管理のため、RedmineとGitを導入してチケット駆動で開発しました。全部の要望を取り入れるには時間がかかりすぎるので、どうしても必要な要望はRedmineを使って切り分け、「これだけの要望を入れたものが、一週間でリリースできます」と宣言して計画的にリリースしていきました。今では、全部の開発でRedmineとGitを使うようになりました。

映像が好き、最新技術が好き

──VFX業界のプログラマーの仕事は「映像制作の支援」ということですが、その中には論文調査もあるのですね。
例えばSIGGRAPH(CG関連の最大の国際会議)の出展内容や論文を調べて社内で報告会をやったりもします。それ以外に、社内のIT部門のような役割もありますね。
──VFX分野のプログラマーには、どんな人が向いていますか。
まず映像が好きなことです。映画が好きな人、ゲームが好きな人は多いですね。それと、一つのもの、特定の技術に固執せず、いろいろなものを見ている人が向いています。VFX業界のプログラマーの仕事の範囲は幅広いので、絵作りに直接結びつかない仕事もありますが、そこでどのようにして仕事への動機付けを維持できるかどうかも大事です。
今の自分の仕事はRD(R&D、研究開発)で、この仕事は面白いと思っています。今やっていることは将来的に古くなるかもしれませんが、一つのものに固執せず、新しいものを取り入れて消化できる能力は持ち続けたいと思っています。

「CG/VFX業界ではPythonが標準言語に」:インタビュー前編へ戻る

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ココが今回のギークの学びどころ

  • VFX業界ではプログラマーが欠かせない。Pythonは標準言語として活用されている。
  • VFX業界のプログラマーの仕事は、映像制作の支援。クリエイターに喜んでもらえることが嬉しい。
  • 一つの技術に固執しない人がVFX業界に向いている。映像が好きで、幅広い仕事や技術の変化に対応できることが重要。

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