障害者雇用ではどれくらいの年収が得られる?給与を今より上げる方法も解説

給与アップのイメージ図

障害者雇用枠は、障害者手帳の取得と障害開示を前提とした求人枠です。個々の特性に応じた合理的配慮が得られてはたらきやすい反面、給与が低いというイメージもあり、生活していけるのかどうか不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、障害者雇用枠ではたらく場合の年収の目安と、障害のある方が給与を上げるにはどうすればよいのかを解説します。

障害者雇用の年収や給与の水準は?

まず、障害者雇用の実態を知るため、厚生労働省の「障害者雇用実態調査」を基に、年収・給与水準を確認しましょう(出典 :令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書 令和5年6月調査|厚生労働省職業安定局 障害者雇用対策課)。

身体障害・知的障害・精神障害がある方の平均給与と推定年収

調査に回答した6,406事業所の2023年6月現在における、身体・知的・精神障害者それぞれの平均給与は以下の通りです。

  • 身体障害者:23万5,000円(年収では推計282万円)
  • 知的障害者:13万7,000円(年収では推計164万4,000円)
  • 精神障害者:14万9,000円(年収では推計178万8,000円)
  • 発達障害者:13万円(年収では推計156万円)

いずれの障害種別でも、前回調査(2018年5月)より上回る結果となりました。

しかし、同年における一般の給与所得者の平均給与は約460万円です(出典 :令和5年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-|国税庁長官官房企画課)。一般枠に比べ、障害者雇用枠での就労は 、待遇面において厳しい状況に置かれていることが伺えます。

障害等級による収入の傾向

厚生労働省の障害年金に関する調査では、あくまでも受給者の傾向ではありますが、障害等級が軽くなるほど就業率が高いという結果になりました。逆に、障害等級が重度だと就労していない方も多く、その分収入も少ないことが想定されます。

また、障害等級が軽い方は、フルタイム勤務の割合も多いです。一方、重度になるほど短時間労働の割合が増え、賃金にも影響を及ぼしていると考えられます(出典:年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)令和元年|厚生労働省|e-Stat)。

障害者雇用の年収・給与が低いと言われる理由

障害者雇用枠の給与について考えるビジネスパーソン

次に、一般的に障害者雇用枠の給与が低いと言われる4つの理由を見ていきましょう。

正社員以外の雇用形態が多いから

障害者雇用の平均年収が低いのは、給与額自体が低いからだけでなく、正社員以外の雇用形態が多いことも関係しています。障害者雇用実態調査によると、2023年時点で正社員としてはたらく障害者の割合は以下の通りです。

  • 身体障害者:59.3%
  • 知的障害者:20.3%
  • 精神障害者:32.7%
  • 発達障害者:36.6%

なお、同年における給与所得者全体の正社員数は3,354万人 であり、全体の約66% の割合を占めます。

本来、職種や業務内容などが同じであるにもかかわらず、障害があることだけを理由とした給与の減額は差別行為に当たり、法律で禁止されています。そのため、フルタイムの正社員における給与や待遇は一般枠と大きな差はありません。

しかし、障害者雇用では、非正規雇用でのスタートとなるケースが多い傾向にあります。業務をきちんとこなせるかどうか、安定就労が可能かどうかなどをチェックしてから、ステップアップすることが想定されているのです。

労働時間が短い傾向にあるから

障害者は、労働時間が短い方の割合が多いです。障害者雇用実態調査によると、2023年時点で週所定労働時間が30時間以上となっている障害者の割合は、以下の結果となりました。

  • 身体障害者:75.1%
  • 知的障害者:64.2%
  • 精神障害者:56.2%
  • 発達障害者:60.7%

一方、給与所得者全体における、週所定労働時間30時間以上の割合は約85.2% です。つまり、障害者は、正社員数・週所定労働時間いずれも、一般の労働者より少ないことが分かりました。同じ仕事をする場合、労働時間が短いと年収も少なくなることから、給与額や年収にも影響を及ぼしていると考えられます。

合理的配慮の提供と処遇のバランスを取る必要があるから

一般的に、企業は「合理的配慮」の提供と処遇のバランスを取るために、障害者雇用の給与を調整していると言われています。合理的配慮とは、障害者雇用枠ではたらく労働者と、その周囲の人たちのはたらきやすさを高めるために必要な措置です。例えば、聴覚障害がある方へ筆談用の端末や音声文字化ツールを支給したり、知的障害がある方に特別な業務マニュアルを用意したりといった措置が該当します。

合理的配慮は企業に課せられる法的義務ですが、提供には費用や時間がかかるため、対象者の処遇を通常とは異なる基準で調整することで、バランスを取っているのです。一見すると差別のように思えるかもしれませんが、労働能力を適正に評価したうえでの調整なので、やむを得ない措置だといえます。

障害特性から昇格・昇進が難しい 場合があるから

給与が上がる最もスタンダードな方法として、管理職になることが挙げられます。昇格・昇進に加え、管理職になると職務手当がつくからです。

一般的に、管理職になるためには、一定期間以上の勤続と、チームマネジメントのような複雑な調整業務を担当した経験などが求められます。しかし、障害があると、特性によって業務の幅が限られたり、長期の勤続が難しかったりして、管理職になる道が閉ざされてしまうことがあります。 こうした昇格・昇進の難しさが、平均給与額にも影響を及ぼしているのです。

障害者が年収・給与を上げる方法

給与アップのイメージ図

ここからは、障害者雇用枠で年収や給与を上げる5つの方法を見ていきましょう。

同一職種・業界内でキャリアアップを目指す

現在の職種・業種や仕事内容が合っていて、一定の業務経験を積んでいる場合は、そのままキャリアアップを目指すことで、給与アップが見込めます。現職でのキャリアアップが制度的に難しい場合は、同一職種・業界内で雇用形態が正社員、もしくはその登用が目指せる仕事に転職するのも一つの方法です。

なお、転職時の強みとなる勤続年数の目安は3年以上です。同一職種・業界でも、大手企業・有名企業に転職できれば、給与額が上がる可能性があります。

資格・スキルを取得して専門性を高める

資格を取得し、仕事の技術や知識を高めれば、担当できる業務の幅が広がり、給与・年収アップにつながる可能性があります。資格を取得することで、職務関連の手当がつくケースも少なくありません。また、資格は自らのスキルやこれまでの経験を証明する手段となるため、転職時にも大きな強みとなります。

高収入が狙える資格の代表格は、士業をはじめとする国家資格です。また、障害のある方が取得しやすく、給与アップが見込める資格として、次のような例が挙げられます。

  • 事務・IT系の資格(日商簿記検定、MOSなど)
  • 保健・福祉系の資格(社会福祉士、介護福祉士など)

高収入が得られる仕事は、一定以上のキャリアや、スキルセットが求められるケースも多いので、関連資格の取得がキーポイントになるでしょう。

将来性のある職種・業界へ転職する

現在の仕事の平均給与が低い場合は、職種や業界を変えることで、給与アップにつながることもあります。国税庁がまとめた調査によると、2024年時点における平均給与額が最も低い業種は、宿泊業や飲食サービス業、農林水産・鉱業、サービス業などでした。逆に、平均年収の高い業種トップ3は以下の通りです。
1. 電気・ガス・熱供給・水道業
2. 金融業、保険業
3. 情報通信業
(出典 :令和6年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-|国税庁長官官房企画課

特に、IT人材は今後いっそう必要とされていくにもかかわらず、全国的に人材が不足していることから、情報通信分野は注目度が高い業界だといえます。

福利厚生が充実している会社に就職する

給与額や年収が低くても、福利厚生が充実した会社に勤務すれば、生活費の負担が減り、生計を立てやすくなります。特に、大手企業は福利厚生が充実している傾向にあり、経済面が安定しやすいでしょう。

転職エージェントを活用する

積極採用・高待遇で人気が出ることが予想される求人や、専門的な知識や経験が求められる職種などは、応募殺到の防止や情報秘匿の観点から、一般の求人サイトでは非公開となっていることがあります。そのため、今より給与をあげたい、高収入の仕事に就きたいという場合は、非公開求人の紹介が受けられる転職エージェントを利用することで、希望に合った待遇・条件を比較検討しやすくなります。

また、障害者向け転職エージェントに登録すれば、希望条件や障害特性などを考慮した求人の紹介のほか、プロのキャリアアドバイザーからのサポートが受けられるのもメリットです。障害者雇用の転職市場や年収・年収に関する情報提供、応募書類の作成、面接対策など、個々の特性に合わせた支援が提供されます。

非公開求人を含む障害者雇用枠の求人を積極的に取り扱っているか、障害者雇用のサポート実績、専任のキャリアアドバイザーの有無などを基準に、自分に合った転職エージェントを見つけましょう。

障害のある方が年収アップ・正社員へのキャリアアップに成功した転職事例を紹介!

「dodaチャレンジ」を利用して転職活動を進めた方の中には、年収アップや正社員へのステップアップに成功した方もたくさんいます。

例えば、ある支援事例では、教育関連の地方公務員から情報通信業界の企画・事業運営職への転職で年収が20万円アップしました。また、転職前と同じ職種や、一般枠から障害者雇用枠への転換で100万円以上もの年収アップを実現した方もいます。そのほか、年収額にも大きく関係する、契約社員から正社員へのキャリアアップを果たした方も少なくありません。

給与・年収アップは、仕事へのモチベーションや、やりがいに直結する重要な要素です。単に「仕事」という視点だけでなく、これから先の人生も踏まえ、適切な支援を得て、納得のいくキャリアを実現させましょう。

障害者雇用枠で年収が低く生活できないと悩む方に役立つ豆知識

国内では、障害者の経済的・社会的な自立を支援するため、さまざまな支援・福祉制度が設けられています。現在、障害者雇用枠ではたらいているものの、年収が低く、キャリアアップが難しいことに悩んでいる場合は、障害者福祉・支援制度を利用することで、経済的な負担が軽減する可能性があります。例えば、障害者の生活や就労に関する支援制度には、次のようなものがあります。

障害者支援制度 概要
障害年金 障害によって就労や生活が制限される方へ年金を支給する(はたらきながらでも受給可能)。
障害者医療費助成制度 障害者の通院・入院医療にかかる費用の一部を自治体が助成する。
障害者控除 障害のある方、もしくはその方と生計を一にする配偶者・扶養親族の所得税・住民税の一部が控除される。

上記のほか、一部の公共交通機関の運賃やNHKの受信料免除、携帯電話料金の割引などが受けられることもあるので、日常的に利用している方はチェックしてみるとよいでしょう。

障害者雇用枠で今より年収がアップする仕事を見つけるなら「dodaチャレンジ」

給与アップのイメージ図

一般的に、障害者雇用枠で採用される場合、非正規雇用からのスタートや、短時間勤務となるケースも多く、給与や年収が低くなりがちです。給与アップのポイントを押さえてキャリアアップもしくは転職すれば、収入を今より増やすことも夢ではありません。

年収アップが目指せる障害者雇用枠の仕事を探すなら「dodaチャレンジ」へ。大手・有名企業や、高収入を狙いやすい金融・メーカーなど、幅広い業界の求人を取り扱っています。転職で今よりも給与が上がるかどうか気になる方は、ぜひ気軽にご相談ください。

公開日:2021/10/4
更新日:2026/1/23

監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■障害者職業生活相談員
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