障害者雇用枠の給与は低い?今より給与を上げるためのポイントとは

給与アップのイメージ図

障害者雇用枠とは、障害者手帳をお持ちの方を対象とした雇用枠のことです。求人をお探しの方の中には、障害者雇用枠に対して「給与が低い」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は障害者雇用枠の給与について、実際の給与データなどをご紹介しながら詳しく解説していきます。本当に障害者雇用枠の給与は低いのかどうかを知りたい方や、給与を上げるためにはどうすれば良いのかお悩みの方は、ぜひご参考にしてください。

01.障害者雇用の実態について

まずは障害者雇用の実態を知るため、平均給与などの実際の調査データを見ていきましょう。ここでは、厚生労働省の「障害者雇用実態調査」の結果をご紹介します。

厚生労働省の「障害者雇用実態調査」

「障害者雇用実態調査」とは、厚生労働省が主体となって5年に一度実施している、障害者の雇用状況に関する調査のことです。障害者雇用に関する状況をより良くしたり、新しい政策を考える材料としたりする目的で、障害者雇用を行っている事業所を対象に調査が行われています。
2018年(平成30年)6月に実施され、2019年(令和元年)6月に公表された「平成30年度障害者雇用実態調査」では、以前から調査対象となっていた身体障害者、知的障害者、精神障害者に加えて、発達障害者も調査対象に加えられました。

障害者雇用の平均給与(月給)

「障害者雇用実態調査」に回答した事業所約6200社の平成30年5月度の平均給与は、以下のとおりです。

  • 身体障害者:215,000円
  • 知的障害者:117,000円
  • 精神障害者:125,000円
  • 発達障害者:127,000円

障害者雇用の形態と労働時間

給与額に大きく関わる要素として、雇用形態と労働時間があります。
雇用形態のうち、「正社員としてはたらく障害者」の割合は、以下のとおりです。

  • 身体障害者:52.5%
  • 知的障害者:19.8%
  • 精神障害者:25.5%
  • 発達障害者:22.7%

また、週所定労働時間では「所定労働時間が週30時間以上の障害者」の割合は、以下のとおりです。

  • 身体障害者:79.8%
  • 知的障害者:65.5%
  • 精神障害者:47.2%
  • 発達障害者:59.8%

参考:厚生労働省「平成30年度障害者雇用実態調査

02.障害者雇用枠の給与が低いと言われる理由

障害者雇用枠の給与について考えるビジネスパーソン

「障害者雇用実態調査」の調査結果から、障害者雇用の実態について見てきましたが、障害者雇用枠の給与が低いとされているのはなぜなのでしょうか。ここでは、その理由について考えていきます。

雇用形態や勤務時間が給与額に影響している

障害者雇用枠は非正規雇用スタートとなるケースが多いことが、理由の1つとして挙げられます。上記の「障害者雇用実態調査」によると、身体障害者の正社員率は半数程度、その他の障害者は2割程度でした。
企業側はできれば、採用する人が「業務をきちんとこなせるかどうか」や「継続的に勤務できるかどうか」などを判断してから、正社員として雇用したいと考えています。そのため、まずはパート社員や契約社員として採用するケースが多いのです。非正規雇用の場合、正社員よりも給与が低めに設定されていることもあるため、平均給与を下げる要因となっています。

また、労働時間に関する調査結果からも分かるとおり、障害者雇用枠ではたらく方の中には週30時間未満で勤務する方も一定数います。これは非正規雇用のケースが多いことに加え、長時間勤務は心身の負担が大きく短時間勤務を希望する方もいるためです。勤務時間が短くなればその分給与も下がることから、障害者雇用枠全体の平均給与を下げる要因となっています。

労働者に対して合理的配慮が提供されているから

合理的配慮とは、障害者雇用枠ではたらく労働者とその周囲の人たちのはたらきやすさを高めるための配慮のことです。例えば、聴覚障害がある方に対して筆談用の端末や音声文字化ツールを用意したり、知的障害がある方に対して特別な業務マニュアルを用意したりといったようなことです。
このような合理的配慮をとるために雇用側は費用や時間をかけているため、その分給与や業務責任などの「処遇」を下げてバランスをとっています。障害者に対する合理的配慮の提供は障害者雇用促進法で義務付けられていますが、その配慮と処遇のバランスをとるために障害のある労働者に通常の処遇基準と異なる処遇を適用し、労働能力等を適正に評価した上で給与が異なることは法で禁止する差別には当たりません。

障害特性から昇格・昇進が見込めない場合がある

一般的に、管理職になると管理職手当がつくようになることなどから、給与は大幅にアップします。ただし、管理職になるためにはチームのマネジメントなどのこれまでと異なる業務をこなすことや、勤続年数が一定以上になることなどが求められます。
障害の特性によっては担当できる業務の幅が限られているために昇格・昇進が難しい場合があることや、同じ職場で長期間勤務できるケースがあまり多くないことなどから管理職になることが難しく、平均給与額に影響していると考えられます。

03.障害者雇用枠で今よりも給与を上げるポイント

では、障害者雇用枠ではたらく際に、できるだけ給与を上げるためにはどうすれば良いのでしょうか。

正社員登用制度など、雇用形態のキャリアアップを目指す

「障害者雇用枠の給与が低いと言われる理由」の中でご紹介したとおり、障害者雇用では非正規雇用からのスタートが多いのが実状です。しかし、それと同時に正社員への登用制度を設けている企業も数多くあります。
半年や1年など一定期間が経過すると正社員になれるケースもあれば、正社員登用試験の突破や、一定の業績をあげる必要があるケースもあります。現在パート社員や契約社員として就業中の方は、まずは今の勤務先の正社員登用制度を確認してみましょう。

資格を取得するなどして専門性を高め、仕事給や職務関連手当を上げる

資格試験に挑戦して資格をとることで、仕事に関わる技術や知識を高めることができます。担当できる業務の幅が広がり、仕事給のアップにつながる可能性があります。企業や事業所によっては、資格手当などの職務関連手当がつく場合も。
また、資格は転職時にも大きな武器となります。これまでの経験を証明する手段として、資格取得にチャレンジするのも良いのではないでしょうか。

同一職種・業界内でキャリアアップ転職をする

今の仕事内容がご自身に合っていて一定のキャリアを積んでいる場合は、今はたらいている職種・業界内での転職がおすすめです。
「障害者雇用枠の給与が低いと言われる理由」の中でご紹介したとおり、雇用側は障害者雇用枠で採用する際に、所定の業務を遂行できるかどうかを不安視する傾向にあります。前職が同じ職種や業界だと「勤務実績がある」とみなすことができるため、条件の良い転職につながりやすいでしょう。

平均給与の高い職種・業界や将来性のある職種・業界へ転職をする

先ほどとは正反対の内容となりますが、現在の職種や業界全体の平均給与が低い場合は、業界を変えたほうが給与アップにつながることもあります。
国税庁の「平成30年分民間給与実態統計調査」では、平均年収の高い業種トップ3は「電気・ガス・熱供給・水道業」「金融・保険」「情報通信」となっています。特にIT人材は今後いっそう必要とされていくにもかかわらず全国的に人材が不足していることから、情報通信分野は注目度が高い業界だといえるでしょう。

障害がある方向けの転職支援サービスdodaチャレンジの運営会社・パーソルダイバースも、データサイエンスやAI・機械学習などの先端ITに特化した就労移行支援事業所「Neuro Dive(ニューロ・ダイブ)」を展開しています。
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福利厚生が充実している会社へ転職する

給与額にこだわらず、支出を抑えたりすることで収入や貯蓄を増やすのも1つの手です。
例えば、住宅手当やリーズナブルな社員食堂などの福利厚生が充実していると、毎月の生活費負担を減らせます。また、レジャー施設優待などの福利厚生があれば、あまりお金をかけずにプライベートの充実も図ることができます。
なお、会社の福利厚生はすべての従業員が対象となるため、パート社員や契約社員であっても利用する権利があります。

04.障害者雇用枠の転職を成功させるには?

ガッツポーズをするビジネスパーソン

障害者雇用枠で現状よりも良い条件の仕事を見つけるためには、転職・就職のプロのサポートを受けることがおすすめです。
やはり自力での就職活動には限界があります。仕事をしながら転職先を探すとなると、なおのこと大変でしょう。
障害者雇用に詳しい専任のエージェントがいる転職支援サービスを利用すれば、希望条件や障害特性などを考慮したうえで、あなたに合った求人情報を探してもらうことができます。
一般には公開されていない非公開求人や自分では選ばなかったような求人情報を紹介してもらい、比較検討できることは、転職活動において大きなメリットとなります。求人情報の紹介のほか、給与などの待遇に関する交渉や、面接についてのアドバイスなど、さまざまなサポートをしてもらうこともできます。

利用する転職支援サービスを選ぶ際には、障害者雇用枠の求人を積極的に取り扱っているかどうかや障害者雇用のサポート実績、専任エージェントの有無などを基準にすると良いでしょう。

05.dodaチャレンジなら今よりも良い条件の求人が見つかる!

障害者雇用枠で給与アップを目指して転職をするなら、dodaチャレンジへの相談がおすすめです。

dodaチャレンジとは?障害がある方の転職支援実績No.1の転職支援サービス

dodaチャレンジは、障害がある方の転職支援実績No.1(※)の人材紹介エージェントサービスです。総合人材サービスを提供するパーソルグループの特例子会社・パーソルダイバースが運営をしています。
パーソルグループならではの実績やノウハウと、さまざまな障害についての知識や支援経験を活かし、これまで多くの身体障害者・知的障害者・精神障害者・発達障害者の方々の転職を支援してきました。
※厚生労働省「人材サービス総合サイト」における無期雇用および4ヶ月以上の有期雇用総計人数(2023年度)

dodaチャレンジは大手企業への転職支援実績も多数。金融やメーカーなどさまざまな業界の大手企業への転職支援を行っています。サービス利用者の方の満足度は95%と、キャリアアドバイザーの話しやすさや知識の豊富さなどを評価いただいています。
dodaチャレンジの強みはこちらのページで詳しくご紹介しています。

直近の採用決定者の平均年収

転職支援実績とともに気になるのが、やはり転職後の給与のこと。そこでここでは、dodaチャレンジの紹介を通じて2021年4月から6月の間に就職・転職した方の年収金額をご紹介します。

採用決定者の年収

転職決定時の年収分布を見てみると、割合が最も多かったのが「年収251~300万円」29.2%で、半数は300万以下となっております。上記記載のとおり、障害の状況により短時間勤務や非正規雇用からのスタートする方も多く、合理的配慮と処遇のバランスにより一般採用と比較して平均年収は低くなることがわかります。

一方で3分の1が、年収額が350万円以上で転職しており、障害の状態や就労状況が安定していたり中長期的に就業実績を積まれていたりするなど、冒頭でご紹介した障害者全体の平均給与よりも良い条件で転職・就職される方もいます。転職支援サービスをご利用することで、企業との給与交渉が行える可能性もあります。

また、全体の5.6%と割合は高くありませんが、年収500万円以上の方も。
dodaチャレンジでは、年収500万円以上の障害者求人も取り扱っています。もし転職の際に武器となるようなスキルや経験があれば、年収500万以上も実現可能です。
年収500万円以上の障害者ハイキャリア転職の詳細はこちら!

まとめ

今回は、障害者雇用枠の給与が低いと言われている理由や、今よりも給与を上げるためにできることをご紹介しました。
障害者雇用枠での採用は、非正規雇用からのスタートや短時間勤務となるケースが多いために平均給与が低い傾向にあります。でも、給与アップのポイントを押さえてキャリアアップや転職をすることで、今より給与・収入を増やすことも夢ではなくなります。
転職で今よりも給与が上がるかどうか気になる方は、ぜひdodaチャレンジへお気軽にご相談ください。

公開日:2021/10/4

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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