足が不自由な人の仕事探しのコツ|歩行困難・座ったままでもはたらける求人の見つけ方
近年、障害がある方でもはたらきやすいよう、労働環境におけるさまざまな改革が進められています。とはいえ、下肢障害で足が不自由だと、できる仕事があるのか不安に感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、足が不自由な方が仕事を探すうえで知っておきたい最適な職場環境と職種をご紹介します。下肢障害があっても活躍できる仕事を見つけるためのポイントもお伝えしますので、自分にぴったりの働き方を探している方はぜひ参考にしてください。
目次
足が不自由・歩行困難になる障害の種類
足が不自由で歩行困難になり、歩行器や車いす、義足などを必要とする人の総称を「下肢障害者」といいます。下肢障害の分類は、主に以下4つです。
障害の種類 | 状態 |
---|---|
下肢の機能不全 | 足のすべて、もしくは一部の動作に問題がある |
下肢の欠損 | 足のすべて、もしくは一部が切断・消失している |
下肢の変形 | 足のすべて、もしくは一部の骨・関節が曲がり運動に支障がある |
下肢の短縮 | 骨折の後遺症で足が本来よりも短くなっている |
障害の等級は、身体障害者福祉法により、先天的・後天的を問わず足の不自由の程度によって1〜7級に分けられています。1〜6級の人、もしくは7級のうち二つ以上の障害を併せ持っている方は、市区町村への申請により障害者手帳の取得が可能です。
足が不自由な人に不向きな仕事環境
足が不自由な方には、その特性からどうしても不向きな仕事が存在します。以下では、足が不自由な方に向かない仕事の特徴をみていきましょう。
移動が頻繁にある
足が不自由だと、営業職をはじめ、頻繁に移動がある仕事をするのは大きな負担です。自立歩行やスムーズで素早い歩き方が困難なため、移動が多い仕事は交通上の問題が出てきます。
立ち仕事が多い
足が不自由な方が長時間立ったままでいると、ふらつきや転倒の恐れがあるため危険です。また、起立姿勢が前提の仕事は腰かけたままだと作業・操作台の高さや目線が合わないことも多く、業務に支障が出かねません。
肉体的な重労働を伴う
日常的な走行や跳躍、足の曲げ伸ばしを行う建設・工事現場などの肉体労働は、足が不自由な方には困難です。また、重い荷物の持ち上げ・運搬や、階段の上り下りが多い引越し作業員・配送員などの仕事も身体的な負荷が大き過ぎます。
正座をする機会が多い
足が不自由だと正座が困難なため、旅館や茶道・華道の講師などの仕事は避けるほうがベターです。仮に正座ができる方でも、長時間になると足に大きなダメージを与えてしまいます。
足による機器の操作を要する
足が不自由だと、下半身に力を込めたりペダルを踏んだりするような動きをスムーズに行えないケースも少なくありません。したがって、足による繊細な機器調整や、障害対応のない車の運転を伴う仕事に就くのは難しいといえます。
バリアフリー設備が整っていない
バリアフリー設備が整っていない環境では、足が不自由な方の通勤や業務に支障が出ます。パフォーマンスを十分に発揮できないどころか、家からオフィスの自席にたどり着くだけでもひと苦労です。
周囲からの正しい理解が得られない
足が不自由な方がはたらくうえで欠かせないのが、周囲からのサポートです。下肢障害に対する偏見や無理解な人が多い環境では、人間関係が多大なストレスになってしまいます。逆に、特別扱いされ過ぎても引け目を感じてしまうかもしれません。
足が不自由な人でも活躍できる仕事の特徴
下肢障害があるとできない仕事もありますが、適切な環境を選び、実力を存分に発揮できれば活躍することは十分可能です。次は、足が不自由な方がはたらきやすい仕事の特徴をご紹介します。
通勤・職務上で足に負担がかからない
足が不自由な方は、立つ・座るなど何気ない動作すら困難に感じるため、通勤や職務上で足に負担がかからないことが仕事の必須条件です。満員電車や長距離移動の必要なくスムーズに通勤でき、落ち着いた環境で下肢を大きく動かさないまま業務に従事できるのが理想だといえます。
柔軟な働き方が選択できる
足が不自由な方には、フレックスタイムやリモートワークなど、状況に応じた柔軟な働き方が適しています。就業時間を選択できれば通勤時の混雑を避けられるほか、時間に余裕が生まれますので定期的な通院や急な不調の際も安心です。
さりげないサポートが受けられる
足が不自由な方が仕事をするうえで重要なのは、周囲との適切な距離感です。基本的には本人の意思に任せ、助けが必要なときにはさりげなくサポートしてもらえるような職場がベストだとえいます。
障害者雇用枠の求人である
障害者雇用枠とは、障害者手帳を交付されている方が対象となる求人のことです。障害があることを前提として採用しているため、合理的配慮が約束されており、足が不自由でもはたらきやすい環境が整っている可能性が高いといえます。
足が不自由でもOK!座ったままできる仕事5選
足が不自由な方には、足を使わない業務がメインとなる仕事がおすすめです。続いては、座ったままでもできる5つの職種をご紹介しますので、仕事探しの際の参考にしてください。
オフィスワーク全般
経理や総務をはじめとするオフィスワークは、基本的に座ったまま仕事をする時間が長く、下肢障害の有無にかかわらずはたらける仕事が多い傾向にあります。日商簿記やMOS、ITパスポートなど事務職によく求められる資格を取得していると、さらに活躍できるでしょう。
ITエンジニア
プログラマーやSEなどのITエンジニアは、デスクでコンピューターを扱う作業が中心となるため、歩き回る必要がありません。スキルや実績を身につけてキャリアアップを目指すなど、多様な働き方ができる職種だといえます。
Web系制作・編集
実績を積むことで、障害に関係なく自分の実力で勝負できる職種です。また、在宅勤務やリモートワークが可能な求人が多い傾向にあり、足が不自由な方でもはたらきやすいでしょう。
コールセンター
コールセンターの業務は基本的に座ったままでの電話対応ですので、正しい日本語を話すスキルとコミュニケーション能力さえあれば、足が不自由かどうかは関係ありません。最近は在宅コールセンターなども増加しており、副業やフリーランスとしてはたらく方も増えてきています。
インサイドセールス
インサイドセールスとは、電話・メールなどの遠隔コミュニケーションツールを利用する営業職を指します。外勤で取引先に行くことの多い一般的な営業職とは異なり、足が不自由でもできる仕事です。近年は電子契約や海外企業との取引が普及してきていることから、今後の求人増加も期待できるでしょう。
足が不自由な人の仕事探しに使える機関・施設
足が不自由な方が仕事を探すときは、障害者を対象とするさまざまなサービスの利用が可能です。ここでは、下肢障害のある方へ就職・就業に関するサポートを提供する代表的な4つのサービスをご紹介します。
ハローワーク(公共職業安定所)
ハローワークとは、すべての求職者が無料で利用できる総合的な雇用サービスを提供する公的機関です。専門知識を持つ職員が常駐する障害者専門窓口も設置されており、さまざまな相談に乗ってもらえるでしょう。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターとは、障害者の就業・生活面に対するサポートを提供することで自立を促すことを目的とする施設です。地域の関係機関と相互に協力しつつ、包括的な就労支援や仕事の斡旋などが行われています。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターとは、専門的なカウンセラーや相談支援専門員、ジョブコーチから職業リハビリテーションが受けられる施設です。ほかの公的機関と連携しているため、利用者それぞれに適した職業評価や準備・適応に関する支援が受けられます。
障害者専門の転職・就職エージェント
障害者専門の転職・就職エージェントとは、身体的・精神的なハンディキャップがある求職中の方へ向け、求人の紹介や、転職・就職支援を行うサービスです。そのほか、専門的な知識と蓄積されたノウハウによる自己分析や応募・面接に関するサポートが無料で受けられます。独自の情報網や非公開求人を取り扱っている場合もあり、障害があってもはたらきたい方の強力なパートナーとなってくれるでしょう。
足が不自由な人が仕事に就くときに意識したい3つのポイント
足が不自由な方が就業するに当たっては、後悔しないために押さえておくべき3つポイントがあります。以下でそれぞれ解説しますので、応募や面接、仕事の開始前にチェックしてみてください。
自分の障害に関する情報をオープンにしておく
必要に応じて、自分の足の状態を周囲へ端的かつ分かりやすく開示しておくことをおすすめします。自らの障害について会社側に伝えるのは不安に感じるかもしれませんが、自分らしくはたらけるかどうか判断するためにも大切なことです。
得意なことをアピールする
足が不自由だとできないことがあるとはいえ、そのほかは何ら問題ない方も多いため、できることや得意なことを積極的にアピールしましょう。はたらくことへの意欲が伝わり、自分に合った仕事へ配置してもらえるかもしれません。
求める配慮をあらかじめ伝えておく
応募書類や面接のタイミングで、どのような配慮が必要なのかを具体的に伝えておくとよいでしょう。本人の意向が分からないと、周囲も適切な対応が判断できず困惑してしまいます。周囲に伝えるのは気が引けるかもしれませんが、前もって明確にしておくほうがお互いのためです。
足が不自由な方の就職・転職には「dodaチャレンジ」がおすすめ
足が不自由だとしても、自分にとってはたらきやすい仕事が見つかれば活き活きとはたらけます。通勤や業務上で足にかかる負担が少ない職種を選んだうえ、障害の程度や必要とする配慮・サポートを周囲に理解してもらうことで、活躍の場がより広がるでしょう。
下肢障害のある方が仕事を探す際は、転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」へご相談ください。専任のキャリアアドバイザーがそれぞれのご事情に寄り添い、障害の特性に合わせてご納得いただける求人をご紹介いたします。その他、応募書類作成のアドバイス、面接対策、入社日等の条件交渉など転職に関して総合的なサポートをすべて無料でご利用いただけますので、ぜひお気軽にご登録ください。
公開日:2024/5/27
- 監修者:木田 正輝(きだ まさき)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
- 旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士