心臓病・心臓機能障害があっても仕事はできる?自分らしくはたらける求人の見つけ方

心臓病の人物

心臓病・心臓機能障害のある方が自立した生活をしていくうえで、仕事に就けるかどうかは重大な問題だといえます。「もう仕事はできないのかな」「仕事を始めても続けていけるのだろうか」と不安に感じていらっしゃる方も多いでしょう。障害があっても就職や社会復帰は可能ですが、以前はなかった仕事上のハンディキャップが生じるため、自分に合った働き方を見つけることが大切です。
この記事では、心臓病・心臓機能障害のある方が仕事を探す際のポイントをお伝えします。無理なくはたらける仕事を見つけるコツもご紹介しますので、障害があっても仕事復帰や転職・再就職を諦めたくない方はぜひ参考にしてください。

心臓病・心臓機能障害と仕事に関するアレコレ

はじめに、心臓病・心臓機能障害と仕事との関係性への理解を深めるため、病気の症状・特性や就業上の気になるトピックスを解説します。

心臓病・心臓機能障害とは?

心臓病とは、心臓およびその周囲の血管に何らかの問題が生じ、正常な働きができなくなる疾患です。日本三大疾病に数えられる命にもかかわる病気の一つであり、以下3種類が代表的な症状だといわれています。

  • 虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)
  • 心不全
  • 不整脈

なお、一定の基準を満たした方は心臓機能障害者として身体障害者手帳の交付を受けることが可能です。心臓機能障害の場合、障害者手帳の等級は4段階に分けられており、日常生活における制限の度合いによって決まります。

心臓病・心臓機能障害になると仕事を辞めなければならない?

心臓病・心臓機能障害だからといって、ただちに仕事を辞める必要はありません。また、就業中の方が心臓病・心臓機能障害を患った場合は、病気休暇や休職などの制度が使えるケースもあります。医師の診断に応じ、今後の動向を決めることが大切です。

心臓病・心臓機能障害でまだ仕事に復帰できないケース

現時点で以下のケースに該当する方は、まだ仕事に復帰しないほうがよいでしょう。

  • 退院後すぐ
  • 経過がよくない
  • 日常生活に支障がある

手術後は退院しても経過観察を要しますし、予後に気になる症状があるときは安静が必要なため、すぐには仕事に復帰できません。また、病状や体力の低下などから日常生活に支障がある方は、仕事より回復を優先させるべきだと考えられます。

心臓病・心臓機能障害の方が仕事をするうえでの制限やハンディキャップ

心臓に障害があると、その特性上どうしても制限やハンディキャップが生じるため、どんな仕事でもできるわけではありません。続いては、心臓病・心臓機能障害のある方には向かない職業・職場とその理由をお伝えします。

力仕事

心臓病・心臓機能障害のある方が、激しい運動を要する仕事に就くのは身体に負担が大き過ぎます。例えば、重いものを頻繁に持ち運びするような、心拍数を急上昇させる可能性のある力仕事は不向きです。

長時間労働

身体の酷使や睡眠不足、ストレス過多になりやすい長時間労働や夜勤などの仕事は避けることをおすすめします。過酷な環境下ではたらくと、心臓病・心臓機能障害の症状の悪化を招く恐れがあります。

自動車の運転

心臓病・心臓機能障害がある方は、医師の許可があるケースを除き、自動車の運転はしないほうが無難です。もし突発的に血圧低下や不整脈などが起こった場合、重大な事故につながりかねません。

強い電磁波にさらされる環境

心臓病・心臓機能障害でペースメーカーを植え込んでいる場合、配線・配電盤の工事や溶接など電磁波の影響を強く受ける仕事は避けてください。強力な電磁干渉は、ペースメーカーの作動に影響を及ぼす危険性があります。

周囲からの無理解

心臓病・心臓機能障害への理解のない会社では、無理のない働き方の実現は難しいでしょう。心臓の障害は外見からは判断しにくいため、誤解されたり就業上の適切なサポートが得られなかったりするかもしれません。

心臓病・心臓機能障害のある方が仕事・求人を見つける方法

心臓病・心臓機能障害がある方には、適切な就職支援が受けられるサービスの利用をおすすめします。障害に応じたサポートを提供しているサービスは、主にハローワークと専門の就職・転職エージェントの2つです。以下でそれぞれの特徴をご説明します。

ハローワーク(公共職業安定所)

求人を探す

ハローワーク(公共職業安定所)では、求人紹介や応募に関する指導・アドバイスが無償で提供されるほか、障害者関連窓口が設置されています。窓口には障害に関する専門的な知識を持つ職員が常駐しており、ほかの支援機関と連携した総合的なサポートを受けられるでしょう。

障害者専門の転職・就職エージェント

障害者専門の転職・就職エージェントとは、求人紹介のほか、専任のキャリアアドバイザーから障害の特性に応じたサポートが受けられるサービスです。インターネットから気軽に仕事探しやキャリア相談ができるため、就職活動のハードルがぐっと下がります。また、一般には公開されていない非公開求人の紹介も行っているため、仕事探しの幅が広がるのも嬉しいポイントです。

心臓病・心臓機能障害の治療と仕事を両立できる求人の3つの条件

心臓病・心臓機能障害のある方が仕事を探すときは、職務内容や給与などの待遇だけではなく、体調や治療との両立も考慮しなければなりません。求人をチェックするときに確認すべき条件は次の3つです。

休みを取りやすい

心臓病・心臓機能障害がある方は、定期的な通院を必要とする方が少なくありません。そのため、休みを取りづらい環境では、治療や回復の妨げになります。よって、通院および体調による休暇や半休、早退などに理解のある職場が最適です。

障害者雇用枠がある

ハンディキャップがあることを前提とした障害者雇用枠の求人は、合理的配慮としての適切かつ柔軟な対応が期待できます。ただし、障害者雇用枠への応募は障害者手帳の所持が必須条件です。また、求人数が少ないため、待遇に満足いく仕事がすぐに見つかるとは限りません。

時短勤務ができる

身体的・体力的なリスクや通院治療との兼ね合いでフルタイム勤務が難しい場合は、短時間勤務から始めてみてはいかがでしょうか。法改正で障害がある方の実雇用率算定対象が拡大されたこともあり、近年は短時間勤務での採用枠を増やす企業が増加傾向です。また、会社によっては短時間勤務から徐々に復帰する「リハビリ勤務制度」が使える場合もあります。

心臓病・心臓機能障害があっても続けられる仕事を見つける7つのポイント

スーツの人物

労使双方のすり合わせをきちんと行わないまま採用されると、想定外のミスマッチが生じかねません。そこでここからは、自分らしくはたらき続けるためにあらかじめ確認しておくべき7つのポイントを解説します。

自分の病状を正しく理解する

就職活動を始める際は、身体・病状に関する自己理解を深めておくことが重要です。自分にできることとできないことを明らかにしておけば、周囲へ正確に説明でき、理解を得やすくなります。重篤な症状だけではなく、ふらつき・疲れやすさなどの小さなものまできちんと整理しておくとよいでしょう。

はたらきやすい業界・職種を知る

無理なく仕事をするためには、自分にとってはたらきやすい環境に身を置く必要があります。一般的に、心臓病・心臓機能障害がある方に向いているといわれる業界・職種は、以下のような身体的負荷が少ない仕事です。

  • オフィスワーク
  • ITエンジニア
  • Web系制作・編集
  • インサイドセールス

近年、上記の仕事は在宅勤務も増えていることから、自分のペースではたらきやすくなってきています。ただ、職種によっては夜勤や残業などがあるかもしれませんので、就業時間をチェックしておくことが必要です。

応募先の会社の情報をチェックする

求人に応募する前に、その会社の障害者雇用・安全配慮義務への取り組みや産業医の有無の確認をおすすめします。インターネットで情報を集めたり、職場見学・体験に参加したりして自分に合うかどうかを見極めてください。

自らのアピールポイントを把握する

心臓病・心臓機能障害によってできないことがあったとしても、できることもきっとあるはずです。これまでの職歴・実績を振り返り、身に付けているスキルや特技をアピールすれば、応募や面接時に好印象が得られるでしょう。

通院・服薬を続ける

心臓病・心臓機能障害は、退院後も長期的な経過観察や服薬が必要です。仕事を始めたからといって自己判断で辞めたりせず、主治医の指示に従い、定期的な通院・服薬を続けるよう心がけてください。

主治医に相談する

就労に当たっては、まず主治医にアドバイスを仰ぐほうがよいでしょう。心臓病・心臓機能障害の症状や程度は人それぞれであり、仕事上の制限も異なります。また、必要に応じて意見書を書いてもらうことで、会社からの適切な配慮が得られるかもしれません。

障害者専門の転職・就職エージェントを利用する

就職に関して悩みがあるなら、障害者専門の転職・就職エージェントへの相談してみてください。障害者専門の就職・転職エージェントは、身体的・精神的なハンディキャップがある就業希望の方の強力なサポーターです。それぞれのケースや事情に寄り添い、最適な仕事探しはもちろん、自己分析や面接相談など広範かつ充実のサポートがピンポイントで受けられます。

心臓の不安がある方の就職・転職には「dodaチャレンジ」がおすすめ

心臓病・心臓機能障害があっても、無理なくはたらける仕事に就き、周囲から理解や適切なサポートを得られれば、自分らしい働き方が実現できます。焦らずじっくりと検討したうえ、最適な仕事を見つけてください。

障害者のための転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」では、心臓病・心臓機能障害のある方が安心してはたらける企業の求人を紹介しています。就職や再就職・転職でお悩みなら、この機会にぜひご相談ください。

公開日:2024/5/24

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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