「就活の軸」とは?障害がある方にとっての最適な仕事の見つけ方
「就活の軸」は、就職活動をスムーズに進めるためのキーワードです。しかし、就活の軸という言葉自体は聞いたことがあっても、正確な意味や役割、見つけ方をよく知らないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、障害がある方にとっての就活の軸にスポットを当て、その重要性と見つけるための具体的な方法を分かりやすくご説明します。「自分に合う仕事が分からない」「就活を始めてもなかなか良い結果が出ない」とお悩みの方は、ぜひご一読ください。
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目次
そもそも「就活の軸」とは
まず、就活の軸とはどういうものか理解するため、その定義や種類、類似ワードとの違いを確認していきましょう。
就活の軸の定義
就活の軸とは、求職活動における行動指針となる価値観のことです。仕事に対する考え方や求める待遇・業務内容などは人それぞれですので、数ある要望の中で優先順位の高いものが自分にとっての就活の軸になります。
なお、就活の軸を一度決めたら二度と変えられないわけではありません。もし途中で違和感を覚えたときは、現在の就活の軸を見つめ直し、自分にとって本当に大切な条件を考えてみてください。
就活の軸の種類
就活の軸には、以下2つの種類があります。
- 本心の軸:自らの希望や欲求をストレートに反映した基準
- 対外的な軸:本心の軸を基にした、選考での発言を前提とする基準
本心の軸は、やる気の維持・向上に直結する大切な要素です。一方、対外的な軸は、自分の強みやアピールポイントの伝え方を考える際に活用できる材料になります。
志望動機との違い
就活の軸と志望動機は、似て非なるものだと位置づけられています。まず根幹に就活の軸があり、そこから生まれた具体的な応募のきっかけが志望動機です。よって、はじめに明確化すべきことは就活の軸であり、それがあってはじめて訴求力の強い志望動機が生まれます。
就活の軸を定めるメリット
次に、就活の軸のメリットについて3つの項目に分けてご説明します。
仕事選びがスムーズになる
あらかじめ就活の軸を定めておくと、企業選びの際の取捨選択がスムーズです。国内外には膨大な数の企業が存在しているため、やみくもに仕事探しをはじめると迷ってしまいます。また、就活に費やせる時間は有限であり、迷っているうちに出遅れてしまうかもしれません。就活の軸が定まっていると、仕事に求める条件が明確になるため、自分に適した求人が効率的に選べるようになります。
企業とのミスマッチが防げる
自らの就活の軸と企業の事業内容や方針を照らし合わせることで、自分の要望と合わない部分に気づけます。価値観や配慮の方向性が異なる企業に就職してしまうと、後悔するばかりか早期離職の原因にもなりかねません。就活の軸に沿って就職先を選ぶことで、自分に適切でない企業や仕事を事前に避けられるため、ミスマッチが最小限になるでしょう。
熱意が伝わりやすくなる
あらかじめ就活の軸を定めておくことは、選考対策としても有効です。企業がエントリーシートや面接で志望者をチェックする際、経歴やスキルだけではなく熱意もチェックしています。就活の軸を明確化し、それに対して企業の理念や方針がマッチしていることをアピールすれば、志望動機に一貫性が出て熱意が伝わりやすくなるはずです。
就活の軸を考える3つの視点
就活の軸を考える基準はいくつあってもかまいませんが、多すぎると選択の決定打に欠け、余計に迷ってしまうかもしれません。そこで以下では、就活の軸を構成する3つの視点を解説しますので、それらを総合的に考えてみてください。
スキル・適性
1つめの視点は、スキルや適性です。スキル・適性による就活の軸には、以下のような例があります。
【スキル・適性を基にした就活の軸の具体例】
- 強みや特技を活かせる分野ではたらきたい
- 興味がある仕事にチャレンジしたい
- これまでに得た知識や資格、実績を基にキャリアアップしたい
自らの強みを基準に就活の軸を定めることで、自分の長所や実力を発揮できる求人が見つけやすくなるでしょう。
ビジョン
2つめの視点は、自らの将来的なビジョンです。ビジョンに関する就活の軸として、下記のような例が挙げられます。
【ビジョンを基にした就活の軸の具体例】
- 自分の価値観とマッチする理念を掲げている企業ではたらきたい
- グローバルに活躍したい
- 人から喜んでもらえる仕事をしたい
上記のように、自分のポリシーや目標、やりがいなどを就活の軸に据えれば、自らの成長が見込める仕事につける可能性が高くなります。
環境
3つめの視点は、環境的な要因です。障害がある方がよりよくはたらくためには、職場での合理的配慮が欠かせません。具体的には、次のような例が環境による就活の軸になります。
【環境を基にした就活の軸の具体例】
- バリアフリー設備が整っている
- 短時間勤務やリモートワークなどの制度が整備されている
- 障害に対して理解がある
自らの障害特性に応じた配慮が得られる職場なら、身体的・精神的に負担が少なく、自分らしくはたらけるでしょう。
障害のある方が就活の軸を見つける5つの方法
ここでは、障害やその特性があることを前提とした就活の軸を見つけるポイントを5つご説明します。
1.自己分析を深める
自らを分析し、理想とするはたらき方や目標、適切な環境などをしっかりと見極めてください。特技や長所だけではなく、苦手なことや短所もあわせて考えてみると、自己理解がさらに深まります。自分の考えや気持ちがきちんと整理されていれば、就活で迷ったときでも最善の選択ができるはずです。
2.他己分析を組み合わせる
自己分析だけではどうしても主観的になりがちですが、他己分析を組み合わせれば自らを客観視できます。第三者から見た自分の長所や短所を聞くことで、これまで気づかなかった自分像が浮き彫りになり、多角的な視点から就活の軸を探せるでしょう。
3.興味の傾向から共通点を探す
過去の職歴や気になる求人をチェックして、それぞれの共通点を探してみてください。どのような内容に心引かれるか、興味を抱いたかなどの傾向は、自分が重視する仕事の条件だと考えられます。その条件を就活の軸のひとつとして据えておけば、活き活きとはたらける仕事に出会えるかもしれません。
4.障害の特性から逆算する
就活の軸を見つけたいときは、自らの障害に対し、求めるサポート内容から逆算してみるのもおすすめです。例えば、以下のように考えてみてください。
- 車椅子を使用しているためバリアフリー環境の整った職場ではたらきたい
- 四肢に不自由があるため身体的な負荷が少ない座ってできる仕事を選びたい
- 聴覚過敏があるためできる限り静かな環境で勤務したい
上記のように、障害特性から逆算し、希望に該当しないものを消去していくことで、はたらきやすい仕事や職場が選べます。
5.説明会やインターンシップに参加する
就活をする際は、企業説明会やインターンシップなどへ積極的に参加してみることをおすすめします。パンフレットやインターネットの情報だけではなく、自らの実感したことは、就活の軸を決める重要なヒントになるためです。実際に社内の雰囲気や障害に対する考え方などをじかに感じることで、自分の方向性が定まってくるでしょう。
好印象を与える就活の軸の答え方
就活の軸は、企業とのマッチングや、長期的にはたらけるかを見極めるためによく聞かれる項目です。ここからは、就活の軸を志望動機や自己PRにうまく置き換えるコツをご紹介します。
ポジティブに変換する
自分の中でまとめた就活の軸は、ポジティブなワードに変換してください。例えば、バリアフリーなど環境面での合理的配慮を期待しての志望の場合「そのほうが助かる」よりも「障害特性をカバーして実力を存分に発揮できる」のほうが好印象です。自分が就活の軸に適う企業に就職することで、どのように貢献できるのかを考えてみるとよいでしょう。
整合性をチェックする
就活の軸を定めるにあたって、無計画に考えをまとめたり応募先に迎合しようとし過ぎたりすると、整合性が取れなくなってしまいかねません。整合性のない就活の軸を基にした受け答えは、人事担当者にマイナスの印象を与えます。応募や面接に挑む前に、必ず就活の軸の整合性を確認してください。
企業のニーズと関連づける
エントリーシートや面接の志望動機を考えるときは、自分の就活の軸を企業のニーズと関連づけることで、説得力が生まれます。就活の軸の裏付けとなる具体的なエピソードを添えると、より魅力的な志望動機になるでしょう。ただし、本当の自分の気持ちを偽ってまで企業の方向性に合わせる必要はありません。あくまでも自分を中心に据え、企業の考え方と擦り合わせていくことが大切です。
障害のある方が就活の軸を見つけたいなら「dodaチャレンジ」へご相談を
就活の軸が明確になっていると、仕事探しや選考が有利に進められるだけではなく、就職後の満足度や継続率も高くなります。自らのスキル・実績や興味、障害特性なども考慮しながら自らの就活の軸を定め、理想的な仕事を見つけてください。
転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」は、障害のある新卒学生の方の就活を手厚くバックアップいたします。障害特性に応じたチーム体制で一人ひとりの方とじっくり向き合いながら、就活の軸探しから応募書類の作成、面接までトータルサポートいたします。就活は早めの行動が肝心です。ご相談や各種サービスはすべて無料でご提供しておりますので、この機会にぜひご登録ください。
公開日:2024/6/20
- 監修者:木田 正輝(きだ まさき)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
- 旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士