【障害者の就活】自己分析のやり方とは?目的と成功のコツ

自己分析のやり方

自己分析は就活の第一歩です。特に障害がある方にとって、自己分析がきちんとできているかどうかが選考結果や満足度、就職後の継続率に大きく関わります。しかし、自己分析とは具体的に何をするのか分からず、お困りの方も多いのではないでしょうか。
障害者の方には、就職エージェントを活用した就活がおすすめです。プロの客観的な視点から自己分析のサポートが受けられるだけではなく、障害特性に応じた就活の進め方をアドバイスしてもらえます。

この記事では、就活における自己分析の意味と重要性を解説したうえで、その方法とうまくいくためのコツをお伝えします。就活の方向性が定まらずに困っている方や、自分にぴったりの仕事や企業を見つけたい方は、ぜひ参考にしてください。

自己分析とは

「自己分析」はさまざまなシーンで使われるワードですが、就活における意味合いを正しくご存知ですか。自己分析に取りかかる時期についてもあわせて、はじめに確認しておきましょう。

自己分析の定義

自己分析とは、自分を形成する軸となる重要なポイントを模索する作業のことです。就活においては、自らを客観視することで自分の好みや志向、強み・弱みを自覚し、応募先や志望動機等を決めるために活用します。また、障害がある方にとっては、自らの障害特性を正確に把握し、周囲に説明しやすくするために欠かせない作業です。

自己分析を始める時期

自己分析をいつやり始めるか、どのように進めるかについての明確なルールはありません。ただし、就活を意識し始めたタイミングで始めると、その後のエントリーシート(ES)作成や面接準備がスムーズに進めやすくなります。就活を始めているのにまだ自己分析ができていないとしても、決して遅くはありませんので、思い立ったときにぜひ取りかかってみてください。

障害者の就活で自己分析が重視される5つの理由

自己分析は、就職を希望する障害のある方にこそ必要なプロセスです。なぜなら、障害をオープンにしてはたらく場合、それぞれの特性や症状、求める配慮などを明確にしておくことが必要だからです。次は、自己分析の重要性を5つのポイントから読み解いていきましょう。

就活の軸が定まる

自己分析で気づいた価値観や信念は「就活の軸」のひとつになります。あらかじめ就活の軸を定めておくことで、自分の考えや行動に一貫性が生まれ、自分に合う仕事や職場環境がスムーズに識別できるようになるでしょう。

志望動機を自信を持って伝えられる

自己分析の結果は、自分の人となりや強みなどをふまえた説得力のある志望動機を考える材料です。志望動機がはっきりしていれば、エントリーシート(ES)や面接に自信を持って挑めます。

アピールポイントが見つかる

自己分析を基にアピールポイントを割り出せば、面接官の心へ強く訴えかけられます。自らのスキル・実績や熱意と、志望企業のニーズとマッチングさせることで、どうアピールすればよいかが見えてくるでしょう。

ミスマッチが減らせる

自己分析で明確化した自らの能力や障害特性をあらかじめ正しく伝えておけば、企業とのミスマッチが減らせます。もし双方の認識があいまいなまま入社した場合、企業と自分のニーズに行き違いが生じやすく、早期離職の原因になりかねません。

職場からの理解が得やすくなる

自己分析をすることで、障害特性に適した環境や就業上のサポートを自覚するきっかけになるため、周囲にも分かりやすく説明できるようになります。あらかじめ職場にきちんと説明していれば、合理的配慮に対する理解を得やすくなるでしょう。

就活における自己分析の3つの要素

自己分析をする人

以下では、就活における自己分析の鍵となる3つの要素をご説明します。

今の自分にできること(CAN)

1つめの要素は、自分が現在できることです。自分のスキルや経歴、実績などを基に、自分には何ができるのかを考えます。

自分にできることは、プライベートや趣味など、仕事に直結しないようなことでも構いません。大きなポイントから些細なことまで、できることをどんどん書き出してみてください。その際、もし障害の特性や症状が原因で今の自分にはできないことがあったり、できることが見つからなかったりしても心配いりません。障害がある方の就業は合理的配慮が前提ですので、どんなサポートがあればできるようになるのかを一緒に考えてみましょう。

将来的に自分がやりたいこと(WANT)

2つめの要素は、これから何をやってみたいのか、仕事を通してどんなことを成し遂げたいのかということです。現状ですぐ実現できないことでも構いませんので、目標や理想として掲げていることを考えてみてください。

自分に求められていること(MUST)

3つめの要素は、現代社会における自らの役割です。社会のニーズに対し、どのようにアプローチできるかを検討してみてください。ニーズを把握するためには、業界分析を行うとともに、最新のニュースや流行にもアンテナを張り巡らせておくとよいでしょう。

5ステップで完了!就活での自己分析のやり方

ここからは、就活における自己分析の進め方を5つのステップに分けてお伝えます。

1.過去の自分を振り返る

まず、自分の歴史を振り返ることから取りかかってください。これまでのキャリアや過去の体験、そこで感じた気持ちや学んだことなども思い出しながら、自分史を作ります。

2.現在の自分を見つめる

前の工程で作成した自分史を参考に、現在の自分の特徴や好き嫌いなどをまとめます。今の自分はどんな性格で何を考えているのか、どのようなことに興味があるのかを明らかにしてください。過去と照らし合わせながら今の自分自身を見つめ直す中で、就活の軸となる価値観が見えてくるでしょう。

3.自らの障害に向き合う

自分の障害とその特性を分析します。その障害はいつから発症したのか、現在の程度はどれくらいなのか踏まえて、就業の支障になりそうなポイントを客観的に分析してください。

4.自分に合う仕事の条件を考える

今の自分を形づくる要素がまとまったら、それを基にどのような職業・職場ではたらきたいのかを考えます。自分らしくはたらくために必要な配慮やサポートも考慮することで、求める仕事像が定まってくるでしょう。

5.自分の言葉でまとめる

最後に、自己分析の各プロセスでリストアップした内容を、自分の言葉で他者に説明できるようにまとめます。過去の振り返りや自分自身の見つめ直しの結果から、自らの指針となる価値観や信念が浮き彫りになっているはずです。もしうまくまとまらないときは、最初のステップに戻って分析し直してみてください。

就活時の自己分析がうまくいく5つのコツ

自己分析のコツ

就やみくもに自己分析を始めても、なかなかうまくいかずにお困りの方も多いのではないでしょうか。そこでここからは、就活において自己分析を成功させるためのコツを5つご紹介します。

言葉にして書き出す

自己分析は、ただ頭で考えるよりも、実際に文字を書いて視覚化するほうがスムーズに進められます。前の項目でお伝えした自己分析の3要素を中心に据え、それを形づくるキーワードを箇条書きにすることから始めてみてください。また、それぞれのトピックを枝分かれさせるように深掘りしていく「マインドマップ」を活用するのもよいでしょう。そうして書き出したことを基に考えれば、就活の軸となる価値観や信念が見つかるはずです。

具体的なエピソードを基に考える

自己分析を始めてみたものの、どんなことを挙げていけばよいか分からない場合は、過去に実際にあった出来事を振り返ってみるとよいでしょう。今の自分は、これまでの積み重ねから形づくられています。経験や行動、感じたことから得た考え方こそ、今の自分を形作る根幹やアピールポイントです。

ネガティブなポイントにも向き合う

自己分析では、自分のよい部分だけではなく、苦手なことや短所、障害特性にも向き合わなければなりません。ネガティブな部分も含むすべての要素が、今の自分を形づくっているからです。自らの弱みが分かるからこそ、強みも活きてきます。また、障害特性による困難を乗り越えた経験から得たスキルや気づきもあるはずであり、それは自分にとっての大きな強みです。

身近な第三者の意見を参考にする

家族や友人、知人など身近な第三者に意見を求める他己分析と組み合わせる「ジョハリの窓」を活用することで、自己理解がさらに深まります。ジョハリの窓とは、自己・他己の認識の違いを把握するためのフレームワークです。

ジョハリの窓

開放の窓
(自己・他己ともに認識していること)
盲点の窓
(自分では気づかないが他人は認識していること)
秘密の窓
(自分は認識しているが他人は知らないこと)
未知の窓
(自己・他己ともに認識していないこと)

ジョハリの窓では、自己認識に加え、自分の客観的な印象が分かります。これまで気づかなかった新たな一面を知ることで、自己分析がよりはかどるでしょう。

障害者雇用のプロに相談する

障害がある方の自己分析や就活の進め方などに関するお困りごとは、障害者専門の就職エージェントへの相談をおすすめします。専門的な知識や経験のない方が、自分の力だけで自己分析を進めるのは非常に難しいと言わざるをえません。また、障害者の就職事情に詳しくない方に相談したとしても、的確なアドバイスは期待できないでしょう。そんなときに頼れるサポーターこそ、障害者専門の就職エージェントです。専門的な知識・ノウハウに長けたプロのキャリアアドバイザーから、雇用する企業側の視点も含めた就活のトータルサポートが受けられます。

「dodaチャレンジ」は障害がある方の就活・自己分析を徹底サポート

自己分析で自らの価値観や信念が明らかになることで、就活での失敗を減らせます。自分の強みとなる能力や魅力を見つけるほか、障害特性と求めるサポートを周囲に正しく理解してもらうためにも、自己分析に取り組んでみてください。

障害者のための転職・就職エージェント「dodaチャレンジ」では、プロのキャリアカウンセラーが就活における自己分析を無料で徹底サポート。これまで気づかなかった自分自身の適性や希望を一緒に探し、はたらく可能性が広がるようていねいにお手伝いいたします。自己分析に役立つ各種セミナーも随時開催しておりますので、この機会にぜひご登録ください。

公開日:2024/6/20

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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