突発性難聴になると仕事はどうなる?原因と治療法・仕事との付き合い方を解説

突発性難聴

「突発性難聴」とは、突然耳が聞こえなくなってしまう疾患です。発症時には「聴力が回復するか」「仕事はどうなるか」など、さまざまな不安が生じることでしょう。しかし、突発性難聴は早期の発見と治療により、聴力の回復が十分に見込める疾患です。

そのため、突発性難聴を発症したらまずは治療に専念し、無理をせず徐々に業務に復帰していくことが大切です。本記事では、突発性難聴の原因と治療法や、仕事との付き合い方について詳しく解説します。

突発性難聴とは

まずは突発性難聴について、次のポイントから解説します。

  • 突然耳が聞こえなくなる疾患
  • 突発性難聴の原因
  • 突発性難聴の主な症状
  • 突発性難聴は早期の診断が大切

突然耳が聞こえなくなる疾患

厚生労働省の定義によると、「突発性難聴」とは突然耳が聞こえづらくなる疾患のことを指します。難聴にはさまざまな種類がありますが、そのうち原因がはっきりしないものの総称が突発性難聴です。通常は片方の耳に症状が出ますが、まれに両方の耳が難聴になることもあります。

突発性難聴の原因

40〜60代に発症しやすい傾向がある突発性難聴ですが、原因ははっきりと判明していない部分が多いです。ただし、音波を感じて脳に伝える「有毛細胞」が何らかの原因で損傷し、その結果難聴の症状が出るという説が有力視されています。この有毛細胞が損傷する原因として、ストレスや過労、睡眠不足やウイルス感染などが挙げられます。

突発性難聴の主な症状

突発性難聴には、次のような症状が出ることが多いです。

  • 左右の聞こえ方が違う
  • 朝起きると音が聞こえなくなっていた
  • 耳鳴りのあと音が聞こえなくなった
  • 高音だけが聞こえにくい
  • 急に電話の音が聞こえなくなった

また突発性難聴の症状が出る前は、次のような前兆を感じることが多いことが分かっています。

  • 耳の詰まりや閉塞感がある
  • 耳鳴りがする
  • めまいや吐き気

ただし症状には個人差があるため、自己判断ではなく医師の診断を早めに受けることが大切です。

突発性難聴は早期の診断が大切

突発性難聴は放置すると悪化し、症状が良くなることは基本的にありません。一方で、治療開始が早ければ早いほど、回復の可能性が高いことが分かっています。そのため、突然耳が聞こえなくなった場合は、早めに医師の診断を受けることが大切です。

突発性難聴の診断には、似た症状が出るほかの疾患の可能性を除外するために、問診・聴力検査・画像診断などさまざまな診断が行われます。薬の副作用で突発性難聴になることもあるため、服用中の薬について医師に伝えることも大切です。

突発性難聴の主な治療方法

厚生労働省によると、突発性難聴の治療を1週間以内に始めることで、約4割が完治し、約5割が症状が回復するとされています。そのため、まずは職場に相談して配置換えや休職などの対応を受け、しっかり休んで治療に専念することが大切です。突発性難聴の主な治療法には、「薬物療法」と「生活習慣の改善」の2つがあります。

薬物療法

突発性難聴の治療は、基本的に「副腎皮質ステロイド」という薬による薬物療法が中心となります。副腎皮質ステロイド薬を内服、もしくは点滴で投与することで、突発性難聴の症状の改善が期待できます。副腎皮質ステロイドのほかにも、血管拡張薬や代謝促進薬などが使用されることもあります。なお、薬物療法は症状が改善したからといって自己判断で中止せず、医師の指示する期間中は服用を続けることが大切です。

生活習慣の改善

ストレスや疲労なども突発性難聴の原因だと考えられているため、薬物療法と同時に次のように生活習慣を改善することも大切です。

  • 起床時間と就寝時間を一定にする
  • 起床後は太陽の光を浴びる
  • 習慣的に軽度の運動をする
  • 栄養バランスの良い食事をとる
  • カフェインやアルコールを控えめにする

仕事の疲労・ストレスが症状を悪化させることもあるため、職場のストレスの軽減も大切です。職場の上司や周囲の人に相談し、症状によって仕事にどのような支障があり、どのようなサポートが必要かということを具体的に伝えましょう。また、次のような方法で気分をリフレッシュすることでも、ストレスを解消しやすくなります。

  • 趣味を楽しむ
  • 自然に触れる
  • 落ち着ける場所を作る
  • 友人と交流する

突発性難聴で日常や仕事で困ること・対処法

メモを取る人

突発性難聴を発症することで、日常生活や仕事にどのような影響があるか、その対処法について見ていきましょう。

突発性難聴の主な困りごと

突発性難聴を発症した方は、特定の方向からの声や音に反応できなかったり、複数人での会話が聞き取りづらかったりするなどの悩みを抱える傾向があります。自身の症状や状況によって、困りごとにも違いが生じるため、それに合わせた対処法が必要です。

日常生活における対処法

日常生活では、次のような対処法を意識することで過ごしやすくなるでしょう。

  • メモ帳や筆談ボードを携帯する
  • よく質問することをあらかじめ紙に書いておく
  • 耳が聞こえづらいことを示す「耳マーク」を身につける
  • 電話リレーサービスを活用する

コミュニケーションは口頭ではなく、メモ帳などを使ってテキストを使うと便利です。筆談ボードを携帯しておくと、外出先でアナウンスが聞き取りづらい場合でも、筆談で会話できます。また「耳マーク」を身につけておくことで、突発性難聴への配慮を受けることができるでしょう。

それでもコミュニケーションが困難な場合に備えて、電話でのやり取りの内容を手話や文字などで伝えてくれるインフラサービスである、「電話リレーサービス」に登録しておくと安心です。

仕事における対処法

仕事における困りごとには、次のような対処法が効果的です。

  • 自身の聞こえ方をまとめたメモを用意する
  • テキスト形式でのコミュニケーションを増やす
  • スマホの文字起こしアプリを活用する

電話対応の業務などでどうしても対応が難しい場合は、ほかの業務に変えてもらうといいでしょう。

突発性難聴がある方が受けられる就労サポート

PCとノート

配置換えや休職などの対応が難しい、もしくは復職時の状況などに課題がある場合は、思い切って転職を検討してみましょう。突発性難聴の方が受けられる就労サポートとして、次のようなものがあります。

  • 障害者就業・生活支援センター
  • 就労移行支援事業所
  • ハローワーク
  • 障害者雇用枠に特化した転職サービス

障害者就業・生活支援センター

障害のある方を対象として、就職に関するサポートを行う機関で、全国各地に設置されています。はたらくことを含めた、社会生活面と日常生活面の両方の支援を提供しています。転職活動の支援や職場への助言なども受けられるため、突発性難聴の方が安心して転職できるでしょう。

就労移行支援事業所

障害のある方が、職業訓練や転職活動のサポートを受けることができるサービスです。社会福祉法人やNPO法人などさまざまな団体が運営しており、全国各地に設置されています。ただし求人を紹介するサービスではなく、あくまでそのサポートを提供するため、転職活動は自身で行う必要があります。

ハローワーク

求人紹介や雇用保険など、各種雇用支援を行うための機関で、全国各地に設置されています。障害のある方を対象とした窓口があり、専門知識のある職員の対応が受けられます。

障害者雇用専門の転職支援サービス

突発性難聴の方がはたらきやすい、障害者雇用枠専門の就職・転職エージェントも利用できます。障害への理解がある企業の求人情報を探すことができ、就職・転職に役立つ手厚いサポートも受けられます。身体障害者手帳があれば障害者雇用枠で転職活動できるため、突発性難聴の方に特におすすめの方法です。

突発性難聴がある方の就職・転職は「dodaチャレンジ」にご相談ください

突発性難聴は、突然耳が聞こえづらくなる疾患ですが、早期に治療すれば症状の大幅な改善が期待できます。そのため、まずは職場に相談したうえで、しっかり休んで治療に専念することが大切です。もし配置換え・休職などの対応を受けることが難しいのであれば、はたらきやすい職場への転職を検討してみましょう。

障害者の方のための転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」では、突発性難聴の方が安心してはたらける企業の求人を紹介しています。障害者手帳をお持ちで、就職や転職でお悩みの場合は、この機会にぜひご相談ください。

公開日:2024/6/21

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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