関節リウマチの方に向いている仕事とは?おすすめの業種や転職方法を解説
「関節リウマチ」は全身に痛みを感じ、その日によって症状の重さが異なるため、就職・転職を諦めてしまう方もいるかもしれません。関節リウマチがある方の職探しは、症状への理解があり、業務内容・時間・働き方などの配慮が受けられる職場を探すことが大切です。そこで本記事では、関節リウマチの症状がある方が就職・転職時に意識すべきことや、おすすめの職種などについて解説します。
目次
関節リウマチとは
まずは関節リウマチの概要について、次のポイントから確認しておきましょう。
- 関節リウマチの基礎知識
- 関節リウマチの主な症状
- 関節リウマチの原因とは
- 関節リウマチの治療方法
関節リウマチの基礎知識
「関節リウマチ」とは、免疫の異常によって関節に炎症が起こり、関節に激しい痛みや腫れが発生する疾患です。症状が進行すると関節が変形し、全身にさまざまな症状が出るようになり、日常生活や就労が大きく制限されてしまいます。
なお、厚生労働省が平成30年に公表した「リウマチ対策の現状について」によると、関節リウマチの推定患者数は70~80万人といわれています。
関節リウマチの主な症状
関節リウマチの代表的な初期症状として、関節の痛みや腫れ、倦怠感や食欲不振などが挙げられます。起床時に手が開きにくかったり身体が動かしにくくなったりするなど、関節のこわばりが出ることもあります。重症化すると関節の損傷が進み、手足の変形や関節の脱臼などが起きたり、脊髄の圧迫で四肢の麻痺や呼吸障害に至ったりすることもある疾患です。
関節リウマチの原因とは
関節リウマチは「免疫システム」の異常によって発症すると考えられています。免疫システムは、外部から侵入した異物を排除するためのものですが、何らかの原因で自身の組織や細胞を攻撃するようになることがあります。この現象が関節で発症するのが関節リウマチですが、免疫システムが暴走するそもそもの原因は、現在のところ不明です。
関節リウマチの治療方法
以前は「不治の病」と見なされていた関節リウマチですが、厚生労働省の「リウマチ対策の現状について」によると、近年では寛解が期待できる疾患となっています。特に早期発見・早期治療によって、関節破壊を阻止して重症化を防ぐことができます。
リハビリテーションを行えば、破壊された関節の機能も回復できるため、社会生活を送ることも十分に可能です。薬物療法では抗リウマチ剤と非ステロイド性消炎剤、もしくはステロイド剤や免疫抑制剤などを使用します。リハビリテーションでは、理学療法・運動療法・作業療法などによる身体機能の回復がメインとなっています。
関節リウマチは身体障害者手帳の交付対象
関節リウマチは全身の障害の原因になるため、症状によっては身体障害者手帳の交付を受けることができます。関節リウマチの身体障害者手帳のポイントについて見ていきましょう。
- 主治医への相談で身体障害者手帳を申請できる
- 身体障害者手帳で福祉サポートが受けられる
- 身体障害者手帳があれば「障害者雇用枠」での就労が可能
主治医への相談で身体障害者手帳を申請できる
身体障害者手帳を申請するためには、市区町村の窓口で相談したうえで指定医を受診し、障害の程度を診断してもらう必要があります。認定基準は主に、手・肘・肩・膝・足などの関節機能の障害の度合いです。申請後は1~2ヶ月ほどで都道府県側の審査が完了し、認定されると身体障害者手帳が交付されます。
身体障害者手帳で福祉サポートが受けられる
身体障害者手帳を取得すると、さまざまな福祉サポートが受けられます。例えば、身体障害が比較的軽度な場合は、公共交通機関の交通費や所得税・住民税の減免などです。重度な場合は、医療費の免除が受けられることもあります。なお、身体障害者手帳は障害の程度により、1級~7級に分けられています。
身体障害者手帳があれば「障害者雇用枠」での就労が可能
身体障害者手帳があれば、「障害者雇用枠」で企業に就職・転職できます。バリアフリーが整った環境ではたらくことができたり、業務の内容・時間・勤務形態などで配慮が受けられたりするため、身体的・精神的な負担を軽減しながらはたらけます。関節リウマチの治療を受けながらはたらきやすいので、障害者雇用枠での就職・転職がおすすめです。
関節リウマチの方が避けるべき仕事の種類
関節リウマチの方は、次のような仕事は症状を悪化させてしまうため避けるようにしましょう。
- 長時間の動作が必要な仕事
- 関節に負担がかかりやすい仕事
- 気候の影響を受けやすい仕事
長時間の動作が必要な仕事
長時間立ち続けたり動いたりしなければならない仕事は、関節に大きな負担がかかるため、接客業・サービス業・工場作業などは関節リウマチの方に向いていません。同じ姿勢を続けると症状が悪化するため、デスクワークの場合でも休憩時の離席やストレッチなどで関節の緊張を和らげることが大切です。
関節に負担がかかりやすい仕事
重い物を持ったり運んだりする仕事は、関節に大きな負担がかかって症状が悪化するため、建設業・運送業・介護職などは関節リウマチの方に向いていません。どうしても重労働が避けられないのであれば、分散して運ぶことやサポートを受けるなどの対応が必須です。
気候の影響を受けやすい仕事
関節リウマチは「冷え」で症状が悪化するため、雨雪に当たることがある仕事は関節リウマチの方に負担が大きいです。例えば、外で作業することが多い建設業や運送業や、冷暖房の適切な調整が難しい環境などです。オフィスワークの場合でも、夏場の冷房で冷えすぎないようにブランケットなどの防寒対策が必要になります。
関節リウマチの方に向いている業種・働き方
関節リウマチの方は次のような業種や働き方であれば、治療を続けながらはたらきやすいのでおすすめです。
- 気候に左右されにくいデスクワーク
- 身体的な負担が少ない軽作業系
- 在宅ではたらきやすいクリエイティブ職
気候に左右されにくいデスクワーク
関節リウマチの方は気温や湿度の変化で症状が悪化しやすいため、環境を整えやすいデスクワークがおすすめです。例えば、事務職は室内でのパソコン作業が中心で外気の影響を受けにくいため、関節リウマチの方も体調が比較的安定しやすくはたらきやすいです。
ただし、デスクワークで座った姿勢を続けると関節に負担がかかるので、適度に休憩を挟んでリフレッシュすることが大切です。また、冷暖房の温度調節や風向きの設定などにも注意が必要です。
身体的な負担が少ない軽作業系
商品管理・検品・テレフォンオペレーターなどの軽作業系も、身体的な負担が少ないためおすすめです。特別な知識やスキルが要求されないことが多いため、未経験でも取り組みやすく、環境が整っていれば続けやすいでしょう。
在宅ではたらきやすいクリエイティブ職
ITエンジニア・イラストレーター・ライターなどのクリエイティブ職は、デスクワーク中心で身体的な負担が少ないのでおすすめです。在宅ワークに対応している企業や、フリーランスで案件を受注できることが多く、自宅ではたらきやすいこともポイントです。在宅ワークなら部屋の環境を適切に維持しやすく、通院などの理由で休む際もスケジュールを調整しやすいでしょう。
関節リウマチの方が利用できる就業サポート
関節リウマチの発症により現職の就労が難しくなった方は、まずは無理をしないで現職に相談・配置換え・配慮要請などを行いましょう。それでも就労継続が難しい場合は、転職を検討するのもひとつの方法です。転職する場合、障害者手帳をお持ちの方は次のようなサポートを利用できます。
- ハローワーク(職業安定所)
- 就労移行支援事業所
- 障害者雇用枠に特化した転職サービス
ハローワーク(職業安定所)
全国のハローワークでは、一般枠はもちろん障害者雇用枠の求人も紹介しており、専門知識がある相談員からサポートが受けられます。履歴書や応募書類作成のサポートや、就職・転職に役立つ職業訓練の案内を受けることもできます。
就労移行支援事業所
「就労移行支援事業所」では、一般企業への就職を目指す関節リウマチ患者の方を対象に、就労に向けた支援を提供しています。自分に合う仕事や働き方を探すためのアドバイスに加えて、エントリーシートの作成や面接対策の支援なども受けられます。メンタル面でのサポートや職場定着支援もあるため、安心して就職・転職活動ができるでしょう。
障害者雇用枠に特化した転職サービス
関節リウマチの方がはたらきやすい障害者雇用枠に特化した就職・転職エージェントも利用できます。障害への理解が深い企業の求人情報が手に入るうえに、就職・転職のための手厚いサポートも受けられます。身体障害者手帳があれば障害者雇用枠を利用できるため、関節リウマチの方に特におすすめの方法です。
まずは、キャリアアドバイザーに転職相談を
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キャリアドバイザーが親身にお話をうかがいます
関節リウマチの方の転職には「dodaチャレンジ」がおすすめ
関節リウマチの方には、心身への負担が少ないデスクワークやクリエイティブ関連の職業が向いています。身体障害者手帳があれば、「障害者雇用枠」での就労が可能なため、さまざまなサポートを受けながらはたらくことができるでしょう。
障害者のための転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」では、関節リウマチの方が安心してはたらける企業の求人を紹介しています。就職や転職でお悩みの場合は、この機会にぜひご相談ください。
公開日:2024/5/27
- 監修者:木田 正輝(きだ まさき)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
- 旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士