障害者枠は受かりやすい?受かりやすいといわれる理由・採用されるためのコツを解説

障害者雇用促進法に関する書類

障害者の方が就職・転職を考えるとき、「一般枠」と「障害者枠」の2種類の選択肢があります。そのため、「どちらで応募すべきか」「どちらか受かりやすいか」と悩む方は多いです。実は、「障害者枠は受かりやすい」といわれることがあり、大手企業に就職・転職できるケースもあります。そこで本記事では、障害者枠が受かりやすいといわれる理由や、採用されやすくなるためのコツについて解説します。

障害者枠が「受かりやすい」といわれる理由

障害者枠とは、「障害者雇用枠」のことを指します。「狭き門」というイメージがあるかもしれませんが、実は障害者枠は次のような理由から、むしろ「受かりやすい」といわれることがあります。

  • 法定雇用率が引き上げられているため
  • 大手企業の「特例子会社」が増加しているため

法定雇用率が引き上げられているため

障害者雇用促進法43条第1項により、民間企業の「法定雇用率」は2.5%となっています(2024年10月現在)。法定雇用率とは、企業が雇用すべきと定められている障害者の割合のことです。例えば従業員数120人の企業の場合は、「120×0.025=3」となり、少なくとも3人以上の障害者を雇用する必要があります。

ちなみにこの法定雇用率は、2018年4月に2.2%、2021年3月に2.3%、2024年4月から2.5%と段階的に高まっており、2026年7月からは2.7%となります。つまり、1社あたりに就労できる障害者の人数が増えるため、その分だけ障害者枠で受かりやすくなっているということです。

一般枠では競争率が高い大手企業でも、障害者枠の場合は対象者の少なさと前述した法定雇用率の上昇により、一般枠と比べると相対的に競争率が低くなる傾向があります。そのため、「思いもしなかった大手企業に就職できた」というケースもあるのです。

大手企業の「特例子会社」が増加しているため

近年では、障害者雇用のために設立される「特例子会社」が、少しずつではありますが増えています。そのぶん、採用される障害者の人数が増えるため、以前と比べて受かりやすくなっている状況です。また、特例子会社は大手企業が設立している場合が多いため、雇用が安定している傾向もあります。特例子会社については、次の記事もぜひ参考にしてみてください。

一般雇用枠で就労する際に考慮すべきリスク

一般枠とは、「一般雇用枠」のことを指します。一般枠には障害のある方の就労にとって次のような課題があるため、リスクと考えられる場合は障害者枠を選択したほうがいいでしょう。

  • 一般雇用枠は定着率が低い
  • 障害の症状が悪化してしまうリスクがある
  • 転職を繰り返せば転職しづらくなってしまう

一般雇用枠は定着率が低い

障害者が一般枠に応募して就労することは可能で、昇進や昇給を目指すこともできます。しかし、一般枠で長期間はたらき続けることは容易ではなく、相当の困難が伴うと考えるほうがいいでしょう。

実際に厚生労働省の「障害者雇用の現状等」によると、障害者雇用枠の1年後の定着率は70%前後であるのに対し、一般枠では50%を大きく下回ります。その大きな理由のひとつが、一般枠では自身の障害特性を開示しない「クローズ就労」が一般的で、合理的配慮が受けにくいことです。はたらきやすい環境での就労を目指すのであれば、合理的配慮が受けられる障害者枠のほうが安心です。

障害の症状が悪化してしまうリスクがある

前述したように、障害者の方が一般雇用枠ではたらく場合には困難なことが多く、身体的・精神的に大きな負担となります。それで無理をすると、体調を崩したり障害の症状が悪化したりして、はたらくことが難しくなってしまうかもしれません。

障害者枠で就労するほうが、適切な合理的配慮が得られるため、無理せず安心してはたらけます。体調が安定するきっかけとなり、長期間の就労を経験することができ、将来的にさらなるステップアップにつながるという好循環が生まれることもあるのです。

転職を繰り返せば転職しづらくなってしまう

障害者の方が一般雇用枠で就労した場合、少なくとも半数以上は1年以内で退職してしまいます。言い換えれば、一般雇用枠での就労により、転職を繰り返すようになってしまう恐れがあるということです。一般的には、短期間での転職が多い求職者は「不安定」だと判断されて、転職活動で不利になる傾向があります。こうしたリスクを未然に防ぐためには、障害者のためのはたらく環境が整えられた障害者雇用枠を選ぶほうが安心でしょう。

障害者枠で受かりやすい人の特徴

PCで仕事をするエンジニア

障害者枠では、次の特徴に当てはまる人が特に受かりやすいと考えられます。

  • スキルや経験がアピールできる
  • 苦手なことや必要な配慮が明確
  • 職業準備性が整っている

スキルや経験がアピールできる

スキルや経験を業務に活かせるとアピールできる求職者は、障害者枠で特に受かりやすい傾向があります。法定雇用率が高まり、以前と比べて受かりやすくなっているとはいえ、採用要件が下がるわけではありません。企業はあくまで、求職者がスキル・能力を発揮できること前提で募集していることは変わらないのです。

企業は求めるスキル・経験や経歴など、採用したい人材の要件を募集要項に定めています。これらを満たしていない場合は、そもそも採用の検討対象になりづらいため、自分に合う求人を探したり必要なスキルを身につけたりすることが大切です。

苦手なことや必要な配慮が明確

障害者枠での就労を目指す際は、「苦手なこと」や「必要な合理的配慮」を明確にすることが大事です。企業は従業員の能力を最大限に発揮し、自社に貢献してもらいたいと考えています。そのためには、適切な配置や業務の割り振りを行うなど環境を整えてサポートすることが必須なので、企業側は求職者の障害特性について知りたいのです。

履歴書や自己PRなどに障害特性について記載しておくと、企業側が検討しやすくなるうえに、「障害と前向きに向き合えている」というアピールにもなります。そのため、合理的配慮があれば自身のスキル・経験を活かせるとアピールすることが大切です。

職業準備性が整っている

「職業準備性」とは、はたらくうえで必要とされる基礎的な能力が整っているかどうかを意味します。安定的にはたらき続けるためには、次の5つの要素が必要であると考えられています。

  • 健康管理
  • 日常生活管理
  • 対人技能
  • 基本労働習慣
  • 職業適性

まずは自身の障害特性や体調について理解して、自分に合う職業を探すことが大切です。そのために、障害者向けの就労に関する支援機関・サービスや、キャリアアドバイザーへの相談が効果的です。

障害者の方が障害者枠で就労する方法

新入社員

実は「受かりやすい」といわれている障害者枠も、求人数は一般枠より少ないので、障害者がはたらきやすい環境が整った中小企業の求人などは、自身で探すのが難しい傾向があります。「どこでもいい」というのであれば、求人数が圧倒的に多い一般枠が受かりやすいのも事実です。しかし、職場の理解を得ながら安定的に就労したいのであれば、障害者枠での就労が向いています。そのため、次のような支援機関・サポートを活用するのがおすすめです。

  • ハローワークの障害者向け相談窓口
  • 障害者専門の転職エージェント

ハローワークの障害者向け相談窓口

全国のハローワークには、障害者向けの相談窓口が設けられています。障害について理解があり、障害者雇用に関する専門知識がある担当者が対応してくれるので、自身の障害特性や体調に合う障害者枠の求人を紹介してくれます。履歴書作成や面接対策などのサポートも受けられるので、安心して転職活動ができるでしょう。

障害者専門の転職エージェント

障害者専門の転職エージェントは、障害者の就労に特化したサービスで、自身の希望や適性に合う求人の紹介が受けられます。自身で探せない大企業の求人の取り扱いが非公開求人も含めて多いため、自分に合う転職先が見つかりやすいことが魅力です。

また、キャリアアドバイザーに無料で相談して、自身の障害特性に合わせた適切な転職先について知ることができるうえに、履歴書作成や面接対策などのサポートも受けられるので、安心して転職活動ができるでしょう。

障害者枠での就労を目指すなら「dodaチャレンジ」がおすすめ

障害者枠が受かりやすいと言われる理由には、法定雇用率が上昇していることや、ライバルとなる求職者が少ないことが挙げられます。また、障害者枠で就労することで障害特性を踏まえた合理的配慮が受けられるため、はたらきやすい環境で就労しやすくなります。

障害者の方が障害者枠での就労を目指すなら、パーソルダイバースの転職支援サービス「dodaチャレンジ」がおすすめです。dodaチャレンジは大手企業を中心に、さまざまな業界業種の障害者枠の求人を保有しているため、最適な求人の紹介が可能です。キャリアアドバイザーへの相談も無料で行えるので、この機会にぜひ「転職ご支援実績No1」のdodaチャレンジにご相談ください。


公開日:2024/10/30

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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