精神障害者手帳3級で受けられるサービスとは?取得のメリットや申請手順を解説

精神障害者手帳3級

精神障害者手帳を持っていると、医療費負担の軽減、各種割引・無料化など、さまざまなメリットが得られます。等級によって受けられるサービスは異なりますが、積極的に活用することで、障害特性による生活上の困難や医療費負担が軽減するはずです。

この記事では、精神障害者手帳3級の取得で受けられる福祉サービスを紹介します。該当する障害の程度や、取得申請の流れもお伝えしているので、ぜひ参考にしてください。

目次

精神障害者手帳3級で受けられる割引・無料サービス一覧

精神障害者保健福祉手帳の紹介をする人

精神障害者手帳3級を取得すれば受けられる割引・無料サービスの一覧を紹介します。

税控除・非課税

精神障害者福祉手帳を取得している場合、一部の税金で障害者控除が受けられます。障害者控除がある主な税金と、精神障害者手帳3級で受けられる控除額は以下のとおりです。

控除が受けられる税金の種類 控除額
所得税 27万円
住民税 26万円
相続税 85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者は20万円)
障害者扶養共済制度(しょうがい共済)では非課税
贈与税 信託受益権の価額のうち3,000万円まで→非課税
障害者扶養共済制度(しょうがい共済)では非課税
障害者等のマル優 預貯金の元本合計350万円までの利子が非課税

年末調整や確定申告を行うことで、次の年の税負担が抑えられます。

公共交通機関・タクシーの運賃割引

精神障害者手帳を提示すれば、バス・航空機などの公共交通機関や、タクシーなどが割引運賃で利用できる場合があります。ただし、自治体や事業者によって条件やサービス内容が異なるため、利用を希望する際は各窓口へ確認してください。

携帯電話・スマートフォンの料金割引

携帯会社各社では、精神障害者手帳の交付を受けている方を対象に、割引制度を設けています。携帯電話・スマートフォンの基本利用料のほか、各種サービスの使用料、契約時の手数料などが割引対象です。

NHK受信料の免除

NHKの受信料は、世帯の構成員に精神障害者手帳を持っている方がおり、世帯全員が市町村民税(住民税)非課税だと全額免除です。手続きの際は、自治体の障害者福祉の担当課や保健センター、NHK各局の窓口に問い合わせてください。

公共施設・テーマパークや宿泊施設の利用料割引

各種公共施設や宿泊施設で精神障害者保健福祉手帳を提示することで、割引料金や無料で利用できる場合があります。お出かけやレジャーをよりお得に楽しめるので、チェックしてみるとよいでしょう。

公営住宅への入居の優遇措置

自治体によっては、精神障害者手帳3級でも公営住宅の入居抽選で優遇措置が受けられるケースがあります。ただし、1〜2級までを優遇措置の対象としている自治体も多いため、事前に担当窓口へ確認してください。

民間の生活サービス利用料の割引

ネットスーパーやクリーニングといった民間の生活サービスの中には、独自で障害者向けの割引・特典サービスを展開しているものがあります。代表的なのはコープ(生活協同組合)です。配達の手数料が無料・割引になるほか、障害がある方の生活をサポートする各種商品・メニューも充実しています。

医療費負担の軽減

障害のある方は、障害者手帳の有無にかかわらず、自立支援医療(精神通院医療)による医療費助成や、障害者総合支援法による障害福祉サービスが受けられます。また、医療費が高額になった場合は高額療養費が適用され、一定の自己負担限度額までの支払いもしくは払い戻しになる可能性があるため、加入している保険協会に相談してみてください。

障害手当金の受給

障害手当金とは、障害やケガで就労に制限がある方に支給される一時金を指します。厚生年金の加入者で保険金の納付要件を満たしており、障害の発症から5年以内に症状が治るもしくは固定したと診断された場合が対象です。

ただし、精神障害者手帳3級だと必ずしも対象になるとは限らず、特性の程度によって受給の可否が判断されます。自治体によっては独自の障害手当を支給している場合もあるため、障害者福祉の窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。

就労支援サービスの利用

精神障害のある方が就活するにあたって、障害者手帳があれば、より幅広い就労支援サービスが活用できます。障害者手帳の取得で利用できる就労支援サービスの代表格が、障害者専門の転職・就職エージェントです。精神障害者手帳の有無にかかわらず利用できるハローワークの障害者窓口や就労移行支援などのサービスにくわえ、専門のエージェントによるサポートを受けることで、仕事探しやはたらくうえで大きな助けとなるでしょう。

精神障害者手帳3級とはどの程度の支援が必要な方なのか

精神障害のある方の支援

精神障害者手帳3級は、次のような精神障害のうち、日常生活に差し障りはあるものの、それが比較的軽度に該当する方に交付される認定証です。

  • 統合失調症
  • 気分(感情)障害(うつ病、双極性障害など)
  • てんかん
  • 非定型精神病
  • 中毒精神病
  • 器質性精神障害(高次脳機能障害など)
  • 発達障害(ASD、ADHD、LD)
  • その他の精神疾患(ストレス関連障害など)

そもそも、精神障害者手帳は正式名称を「精神障害者保健福祉手帳」といい、障害特性の程度によって1〜3級の等級に分類されています。精神障害者手帳を取得することで、障害者総合支援法に基づき、障害がある方がより良く生活するための支援を受けることが可能です。

そのうち、3級は程度が最も軽い区分であり、日常や社会生活上での制限が顕著だったり、不能になったりするほどの障害ではありません。なお、知的障害のある方は基本的に療育手帳の交付対象となりますが、精神障害を併発している場合は精神障害者手帳も同時に取得できます。

精神障害者手帳3級のサービスが受けられるようになるまでの流れ

以下では、精神障害者手帳の取得申請の流れを説明します。

1.申請

まず、自治体の障害福祉窓口で所定の申請書をもらい、必要項目を記入します。障害の診断書や各種証書など指定の書類の写し、本人の写真を添え、窓口に提出してください。

ただし、障害者手帳の申請は、障害の初診日から6ヶ月以上経過していることが条件です。なお、申請書の作成・提出は代理人が行っても構いません。代理人が申請する場合は、提出時に本人確認書類が必要となります。

2.審査

申請後、自治体の窓口や精神保健福祉センターなどで、認定調査員により内容が審査されます。生活上の困難や制限の度合いによって、障害者手帳の交付の可否や、どの程度のサービスが必要かについて検討されます。

3.判定

審査の結果、障害者手帳の等級が決定すれば、以後は障害支援区分に応じた各種サービスが利用・申請できるようになります。

なお、障害者手帳の有効期限は、交付日から2年が経過する日が属する月の末日までです。原則として2年ごとの更新となるので、同じ手順で手続きを行ってください。

【番外編】もし障害者手帳3級の審査に落ちたら?

精神障害者手帳3級は比較的軽度の障害のある方が対象とはいえ、必ずしも申請が通るわけではありません。審査に落ちた場合は、各種福祉サービスが利用できなくなります。

判定時の重要なポイントとなるのは、円滑な日常生活の可否です。日常生活上の困難の度合いは、客観的な診断だけでは伝わりにくいことがあるため、主治医に明確に申告したうえで診断書を作成してもらうことをおすすめします。

精神障害者手帳3級の取得には大きな意味がある!

精神障害者手帳3級は、等級としては高いわけではありませんが、取得することでより良い生活や就業が実現しやすくなるはずです。現在持っている方もしくは取得を検討している方は、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

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公開日:2025/3/31

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア開発支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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