大人の女性のADHDとは?よくある特徴と障害特性との上手な付き合い方
ADHDは発症の比率に男女差はないものの、女性だと自他ともに気づかないまま成長するケースも多い障害です。障害に対する正しい知識を知らないまま大人になった方は、社会生活にさまざまな問題や悩みを抱えているケースも珍しくありません。
今回の記事では、大人の女性のADHDにスポットを当て、特徴と仕事・恋愛でのあるある、生きづらさを解消するヒントをお伝えします。
目次
大人の女性のADHDに関する基礎知識
まず、ADHDの特性と、女性によくある特徴をみていきましょう。
ADHDの特性
ADHD(注意欠如・多動症)とは、注意や集中の継続が難しいことを特性とする発達障害の一種です。「不注意優勢型」「多動性・衝動性優勢型」「混合型」の3つに分類され、それぞれ以下のような特徴があります。
不注意優勢型の特徴
- 集中力が長く続かない
- 物事の細部にまで注意が向かない
- 忘れ物・物忘れが多い
- いっぺんに複数の指示を出されると対応が難しい
多動性・衝動性優勢型の特徴
- 落ち着きがない
- 待てない
- 衝動が抑えられない
- 順序立てて行動できない
混合型の特徴
- 不注意・多動性・衝動性に由来する行動特性がみられる
本来、注意力と集中力は個人差の大きい能力であり、多少発達に凹凸があるからといって障害とは限りません。しかし、12歳以前から不注意や多動の傾向が顕著であり、その困難によって日常生活に支障をきたす場合はADHDと診断されます。
ADHDの男女比
ADHDのある方の男女比は、大人だと1:1に近くなりますが、子どものうちは女児より男児のほうが3〜5倍多いといわれています。こうした男女差は、女性の発達障害は不注意優勢型が多く、男性より特性が目立ちにくいことが一因です。
大人になってからADHDに気づく女性が多い理由
ADHDのある女性は、子どもの頃は性格的な問題だと捉えられ、大人になってから障害に気づくケースが少なくありません。その理由は、大人になって仕事や恋愛、子育てをする中で、ADHDの特性がさまざまな困り事として表面化するためだと考えられます。
また、ジェンダーの固定観念や社会通念上の観点から、ADHDのある女性本人がコミュニケーション上の困難を必死の努力でカバーしてきた結果というケースもあるでしょう。その場合、本人は過剰適応による大きなストレスや葛藤を抱えています。生きづらさから、うつ病や不安障害、摂食障害といった二次障害を発症するリスクを抱えたまま大人になった方もいるでしょう。
こちらの記事では、大人になってからADHDに気づいた2名の女性の体験談を掲載しています。障害との上手な付き合い方や、より良い仕事の探し方の参考になるので、ぜひチェックしてみてください。
Y.Y.さん 20代 ADHDのある方の転職成功ストーリーはこちら
S.M.さん 20代 ADHDのある方の転職成功ストーリーはこちら
大人のADHDの治し方
現在の医学では、ADHDといった発達障害は完治できず、対症療法が基本です。薬で精神的な症状を抑えつつ、ソーシャルトレーニングで自らの障害特性や周囲との付き合い方を訓練することで、生きづらさが解消できます。
仕事・日常あるあるからみる大人のADHDがある女性の特徴
ここでは、大人のADHDの女性によくある困り事をまとめました。ただし、ADHDをはじめとする発達障害の特性は、男女かかわらず個人差が極端です。あくまでもADHDがある大人の女性に多くみられる傾向として、一つの参考にしてください。
不注意や衝動性によるミスを繰り返す
ADHDがある女性の方は、大人になっても不注意や衝動性によるミスを繰り返しがちです。例えば、家庭や職場での以下のような行動が挙げられます。
- 買い物で何を買う予定だったかを忘れてしまう
- 料理中に別のことに気を取られて焦がしたり吹きこぼしたりする
- 衝動買いしてしまう
- 提出物の期限や決められた時間が守れない
- 複数のことが同時にできずに混乱してしまう
- 部屋やデスクが片付かない
- 予定外の事態にうまく対処できない
スケジュール・タスクの管理や時間配分、整理整頓が苦手で、家事・育児がうまくいかないと悩む方が多い傾向にあります。
女性同士の輪に入れない
一般的に、女性同士の会話は複数の人が一斉に発言するシーンが多く、話題もコロコロ切り替わります。ADHDがあると、複雑な会話にうまく対応できず、何をいつ話せばよいのか混乱してしまいがちです。
また、衝動性が強いタイプのADHDの女性は、思ったことや感情を隠すのが苦手です。しゃべり過ぎたり、相手の言外の気持ちや場の雰囲気を読まない言動を繰り返したりして、周囲から浮いてしまうこともあるでしょう。しかし、本人に悪気があるわけではないので、なぜトラブルになるのか分からず、周囲との溝を深めてしまいます。
気分や体調の変動が大きい
女性は、ホルモンバランスの関係で気分や体調の変動が起こることが多いものですが、ADHDがあるとそれが顕著になりやすい傾向にあります。特に、ホルモンバランスが乱れやすい月経の前後はADHD特有の衝動性が増し、些細なことにイライラしたり、ついカッとなったりしてしまいがちです。
また、ADHDのある大人の女性は、PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)になりやすいことも指摘されています。気分の急激な変動は、双極性障害(躁うつ病)の可能性もあるため、慎重な診断と早期の対処が重要です。
恋愛がうまくいかない
障害特性により、恋愛がうまくいかないことがあるのも、ADHDのある大人の女性に多い特徴です。大人のADHDのある女性が恋愛でよく起こすトラブルとして、以下の例が挙げられます。
- 約束を忘れる
- 待ち合わせに遅れる
- 率直な物言いでパートナーを傷つける
- 相手の気持ちを考えず感情のまま行動してしまう
- 恋愛にのめり込み過ぎる
ADHDといった発達障害は見た目や顔つきでは分かりづらく、大胆でストレートな言動から、異性に好感を抱かれやすい女性もいるようです。しかし、障害の有無に限ったことではありませんが、特性をきちんと理解してくれる相手でないと、交際や結婚が長続きしないかもしれません。
ADHDのある大人の女性が生きづらさを解消するコツ
ADHDのある方もしくはその疑いのある方が現在生きづらさを抱えている場合は、ぜひ次の3つの行動を試してみてください。
- 専門の医療機関を受診する
- 自分を責め過ぎない
- 各種支援サービスのサポートを受ける
専門の医療機関を受診する
ADHDによるさまざまな困難に、自己判断や知識・理解のない人の考えだけで対処しようとするのは逆効果になりかねません。発達障害の専門家である精神科・心療内科の医師に相談することが、生きづらさ改善の第一歩です。正確な診断や治療、二次障害へ予防・対処のためにも、早めの受診をおすすめします。
自分を責め過ぎない
ADHDのある大人の女性は、不注意や衝動性の抑制、コミュニケーション不全を自分のせいだと責め、自己肯定感が低い方が多くみられます。しかしそれらの困難は障害特性のせいであり、自分の努力だけではどうしようもありません。
自分を責め過ぎるのは止め、自らの障害特性への理解を深めてみてください。専門家や周囲とも協力しながら、上手な自己管理やコミュニケーションの方法を考えるとよいでしょう。
各種支援サービスのサポートを受ける
現在、ADHDといった発達障害のある方がより良く生きていくための公的・民間サポートが充実しています。例えば、ADHDによる日常生活や家庭の悩みは全国の発達障害者支援センター、精神保健福祉センターなどに相談することでサポートしてもらえるでしょう。
また、仕事や転職・就職に関する悩みは、ハローワークの障害者専門窓口ほか、障害者専門の転職・就職エージェントで相談を受け付けています。ADHDの専門的な知識・ノウハウを有するプロの支援が受けられるので、気軽に相談してみてください。
ADHDのある女性がより良くはたらける仕事探しは「dodaチャレンジ」へ
大人のADHDがあると、特性である不注意や衝動的な行動により、人とのコミュニケーションや仕事で、失敗を繰り返しやすい傾向にあります。特に女性だと、特有の文化やホルモンバランスによる心身の変調にうまく対応できず、幼い頃から人知れず思い悩んできた方も多いでしょう。ADHDの特性による困り事は、自身の努力だけで解決できる問題ではありません。周囲やプロのサポートを受けつつ、障害特性との上手な付き合い方を学ぶことが大切です。
ADHDの障害特性により、現在の職場や仕事に困り事があったり悩んだりしている方は「dodaチャレンジ」へご相談ください。専任のキャリアアドバイザーがつき、一人ひとりの希望に合わせて最適な求人の紹介および就活支援を提供します。あなたのチャレンジに親身に寄り添ってサポートするので、ぜひお気軽にご登録ください。
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公開日:2025/3/31
- 監修者:木田 正輝(きだ まさき)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア開発支援事業部 担当総責任者
- 旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士