障害者の方の転職・就職に活かせる資格とは?取得の判断基準と支援サービスも紹介
身体や知的、精神に障害があり、良い仕事がなかなか見つからないと悩んでいるなら、資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
取得制限がある資格も一部ありますが、障害があっても取れる資格はたくさんあります。
今回の記事では、障害者の方におすすめの国家資格・民間資格をまとめました。これから就職を目指す方で、どのような資格を取得すればよいか検討中の方や、リスキリングを検討している方もぜひ参考にしてください。
目次
障害者の方が資格を取得すれば仕事の選択肢が広がる!
前提として、就活にあたり、特定の職種を除き資格取得が必須というわけではありません。しかし、資格があれば、自らの実力を目に見える形で証明でき、高待遇の仕事に就きやすくなるほか、キャリアアップも目指せます。自分に合った仕事がなかなか見つからないという方は、資格を取得してスキルアップし、就活の幅を広げるのも一つの方法です。
特に近年では、障害者のキャリアアップおよび転職活動を有利に進めるための手段として「リスキリング」が注目されています。リスキリングとは、転職やスキルアップのため、新たな分野の知識や技術を習得することです。経済産業省が推進している事業でもあり、障害のある方が新たな時代でより良くはたらくために必要なプロセスの一つだといえます。
【ジャンル別】障害者の方におすすめの資格一覧
ここでは、障害者の方の就活に活かせる国家資格・民間資格の代表例をみていきましょう。
事務・IT系資格
障害者の方におすすめなのは、マニュアルがあり、マイペースで仕事が進められる事務系やパソコンを操作する仕事です。さまざまな事務系・IT系の資格の中から、特におすすめの以下4種の詳細を紹介します。
- 日商簿記検定
- MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
- 日商PC検定
- 情報処理技術者試験
日商簿記検定
日商簿記検定とは、会社の経理に欠かせない複式簿記の知識を証明・評価する、日本商工会議所主催の試験です。事務や経理の仕事に就く際に必ずといってよいほど求められるスキルであり、多くの企業が取得を推奨しています。
検定の区分は、基本的に1級〜3級です。日商簿記初級や原価計算初級といった、入門的な検定も設けられています。1級を除き、各試験会場で随時受験できるネット試験といった制度もあるため、取得が目指しやすいでしょう。
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)とは、Word・Excel・PowerPointなどの知識や操作技術を証明する民間資格です。実用的なパソコンスキルを持ち、デスクワークの即戦力になることが客観的に示せるため、人気かつ注目度の高い資格となっています。
日商PC検定
日商PC検定とは、商工会議所が主催の、ビジネス用パソコン・ITスキルを証明する資格であり、次の3種類に分けられています。
● 文書作成(Word操作)
● データ活用(Excel操作)
● プレゼン資料作成(PowerPoint操作)
上記はそれぞれ難易度によって1級〜3級のレベルに区分されているほか、文書作成およびデータ活用の資格ではより易しいBasicレベルも設定されています。出題範囲がMOSより実践的な内容となっており、認知度や信頼性も高い傾向です。
なお、社会福祉法人 日本視覚障害者職能開発センターでは視覚障害者向けの日商PC検定が受けられ、合格すれば2級と3級の資格が取得できます。
情報処理技術者試験
情報処理技術者試験とは、ITの知識・スキルを有することを証明する国家資格です。独立行政法人 情報処理推進機構が主催する国家資格であり、出題範囲・難易度の異なる全12の区分があります。取得しておけば、SEを目指す際にも役立つでしょう。
そのうち、ファーストステップとしておすすめなのはITパスポート試験です。ITや経営・マネジメントスキルの入門的な資格であり、難易度が比較的低いため、初心者でもチャレンジしやすいといえます。また、情報セキュリティマネジメント試験や基本情報技術者試験などの上位資格の足がかりにもなるはずです。
保健・福祉系資格
保健・福祉分野の仕事は、障害者の方もはたらいている仕事の一つです。次のような関連資格を取得すれば、キャリアアップの道が開けるかもしれません。
- 社会福祉士・精神保健福祉士
- 介護福祉士
- 公認心理士
社会福祉士・精神保健福祉士
社会福祉士とは、障害のあるすべての方およびその家族らの生活・福祉支援や就業サポートなどを主な職務とする国家資格です。
一方、精神保健福祉士は、社会福祉士と似た業務に従事するための資格ですが、支援の対象が精神障害のある方およびその家族などに特化しています。
社会福祉士および精神保健福祉士は、需要が右肩上がりの職業です。活躍の場が多く、障害者福祉施設や医療機関のほか、学校や児童相談所など働き口も幅広いでしょう。
なお、いずれの資格も、受験するには学歴や実務経験といった一定の条件を満たさなければなりません。複数の取得ルートがあるものの、どれも数年単位の時間がかかります。
介護福祉士
介護福祉士とは、介護職に関する専門知識やスキルがあることを証明する国家資格です。現場で介護を要する方およびその家族を直接サポートするため、人の役に立つ仕事をしたい方や、身体を動かしてはたらきたい方にも人気があります。
介護福祉士の資格を取得するには、福祉系の高校や大学、養成施設での単位修得や研修、一定の実務経験を積むことなどが必要です。介護の仕事に必須の資格というわけではありませんが、取得することで職場や働き方の選択肢が増えるほか、給与およびキャリアアップも目指せます。
公認心理士
公認心理士とは、心理職で唯一の国家資格です。心理学の専門的な知識に基づき、カウンセリングを通して、心の悩みの解決をサポートします。
受験資格を得るには、4年制大学もしくは大学院で特定の科目の履修や、一定の実務経験が必要です。資格取得は容易ではないものの、各種カウンセラーとして活躍の幅も広く、民間資格である臨床心理士よりアピール力が高いといえます。
障害者の方が取得できない資格・免許一覧
以下のような資格・免許は、身体・精神・知的な障害が欠格条項のため、該当する障害のある方は取得できない場合があります。
● 医師・歯科医師・獣医師
● 薬剤師
● 看護師・准看護免許・助産師
● 救急救命士
● 保健師
● 栄養士
● 調理師・製菓衛生師
● 理容師・美容師
● 理学療法士・作業療法士
● 柔道整復師
● 歯科衛生士
● 歯科技工士
● 診療放射線技師
● 臨床検査技師・衛生検査技師
● 視能訓練士
● 言語聴覚士
● 臨床工学技士
● 義肢装具士
また受験資格自体はあっても、警察官や警備員、一部の国家公務員などは、障害があると業務・執務内容が限定的です。くわえて、知的・精神障害のある方は、特性によっては、運転免許の取得に医師の許可が必要な場合があります。
社会的自立の観点から、障害があることだけを理由に特性の差を無視して全般に当てはめるのは不当として、欠格条項は以前より緩和されました。しかし一部の資格では、いまだに従来のルールが踏襲されている現状があり、今後、欠格条項のさらなる見直しが求められています。
障害者の方がどの資格を取得するか選ぶ基準となる3つのポイント
障害者の方がどの資格を取得するか検討する際は、次の3つのポイントを基準に考えてみてください。
- これまでの経験・経歴
- 社会的なニーズや将来性
- 自らの興味・関心
これまでの経験・経歴
自らの経験や経歴が活かせる資格を選べば、効率よく取得が目指せます。また、実務経験があると、一部の条件が緩和される資格もあるので、より有利に進められるはずです。
社会的なニーズや将来性
資格自体の将来性は、どれを取得するか選択するうえで重要なポイントです。せっかく取得できても、社会的なニーズが低いと、役に立たないかもしれません。認知度や信頼性の高さをチェックし、将来性が高い資格を選べば、活用の幅が広がります。
自らの興味・関心
興味・関心の深い資格なら、学習のモチベーションが維持しやすくなります。目的意識も明確になるため、勉強にも身が入るでしょう。
障害者の方の資格取得やスキルアップを支援するサービス
障害者の方が資格取得を目指す際は、以下のようなサービスの支援が受けられます。
- 就労移行支援
- ハロートレーニング
就労移行支援
就労移行支援とは、65歳未満の障害のある方が一般就労に必要なスキルを実際にはたらきながら身につけられる支援制度です。ハローワークとも連携し、職業見学・体験や企業とのマッチングなど、仕事選びおよび資格取得に関する包括的なサポートが受けられます。利用を希望する際は、まず自治体の障害者福祉の担当窓口へ相談してください。
ハロートレーニング
ハロートレーニングとは、全国のハローワークが実施する職業訓練です。障害者の方向けのハロートレーニングもあり、特性や状況に応じて訓練が受けられます。
ハロートレーニングのうちの一つが、障害者職業能力開発校です。障害がある方の雇用の機会を広げることを目的として、全国の複数箇所に設置されています。なお入校には、原則として障害者手帳の取得と選考の通過が不可欠です。
障害者職業能力開発校では、パソコン操作やものづくりの技術、対人コミュニケーションといった就労に役立つ知識やスキルが無料で学べるほか、資格取得も目指せます。訓練終了後は、職業紹介や、就業に関する各種相談などが可能です。
ハロートレーニングの受講や障害者職業能力開発校への入校を希望する際は、まずハローワークへ相談しましょう。
障害者の方の資格取得やキャリアアップの相談は「dodaチャレンジ」へ!
障害者雇用で就職・転職を目指す際、仕事に活かせる資格を取得していれば、新たな就職の道が開けるほか、キャリアアップのチャンスをつかむことにもつながります。各種支援サービスも活用して、就活の選択肢を積極的に増やしましょう。
障害者専門の転職・就職エージェント「dodaチャレンジ」では、障害のある方のより良い就業を実現するための情報提供や求人の紹介、就活のサポートを提供しています。障害者雇用のプロであるキャリアアドバイザーとの面談を通し、自己分析や業界分析を深めれば、今の自分に必要な資格・スキルが見えてくるはずです。
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キャリアドバイザーが親身にお話をうかがいます
公開日:2025/3/28
- 監修者:木田 正輝(きだ まさき)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア開発支援事業部 担当総責任者
- 旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士