リスキリングとは?取り組むメリットやおすすめの分野・スキル・資格を紹介
「リスキリング」とは、仕事で必要とされるスキルを取得するための学び直しのことです。障害のある方がリスキリングに取り組むことで、キャリアアップを目指すことができます。しかし、どのようなスキルや資格にチャレンジできるかなど、分からないこともあるでしょう。そこで本記事では、リスキリングの魅力や具体的なおすすめスキル・資格について解説します。
目次
リスキリングとは
リスキリングという概念・用語について、まずは次のポイントから見ていきましょう。
- 仕事のための新たなスキルを習得すること
- リスキリングと「リカレント教育」の違い
- 障害のある方の転職にもリスキリングは効果的
仕事のための新たなスキルを習得すること
リスキリングとは、「新しい職業に就く、あるいは現職で必要なスキルの変化に対応するために、必要なスキルを習得すること」を意味します。経済産業省の資料によると、リスキリングは単なる「学び直し」とは異なり、職業で価値を創出し続けるために学ぶことがポイントです。
リスキリングと「リカレント教育」の違い
リスキリングと似た用語に「リカレント教育」がありますが、両者は「学び方」の点で異なります。前述した資料によると、リカレント教育は学びのために離職が前提となっており、就労と学びのサイクルを回し続けるものです。
一方でリスキリングは、転職のほかに現職でのスキルアップも対象とするため、必ずしも離職が前提とはなりません。また、企業主体で実施するものを「リスキリング」、個人が主体的に取り組むものを「リカレント」と区別する場合もあります。ただし本記事では、リスキリングは個人で取り組めるものと定義して解説します。
障害のある方の転職にもリスキリングは効果的
リスキリングは、障害のある方が転職やキャリアアップを目指す場合にも効果的です。企業の求めるスキルを習得することで、理想の転職を実現できる可能性が高まります。もちろん、自身の障害特性や得意分野に合った転職先を選ぶことで、合理的配慮を受けながら理想のキャリアを実現することが可能です。
リスキリングに取り組むメリット
個人がリスキリングに取り組むことで、次のようなメリットが得られると考えられます。
- キャリアアップにつながる
- 職種や業務の選択肢が増える
- 自身の市場価値が向上する
キャリアアップにつながる
リスキリングにより新たな知識・スキルが身に付くため、業務で高いパフォーマンスを発揮しやすくなります。企業や組織に今までより大きな価値を提供できるため、キャリアアップにつながるでしょう。
職種や業務の選択肢が増える
新たな知識やスキルの習得により、これまでより職種や業務の選択肢が広がります。例えば、これまで事務職としてはたらいてきた人が、IT分野でのリスキリングに取り組むことで、ITエンジニアとしてのキャリアをスタートできるかもしれません。
自身の市場価値が向上する
現職でのキャリアアップはもちろん、転職においても自身の市場価値を高めることができるのが、リスキリングの大きな魅力です。さまざまな業界で人手不足が深刻化し、企業はスキルのある人材を必要としているため、自身のスキルをアピールすることで待遇や収入アップが期待できます。
リスキリングにおすすめの分野・スキル
リスキリングにおすすめの分野・スキルには、次のようなものがあります。
- マーケティングスキル
- プログラミングスキル
- 財務・経理スキル
- 語学スキル
- 動画編集スキル
- データ分析スキル
- AI・機械学習など先端IT領域のスキル
ただし、どの分野やスキルが向いているかは、個人の得意分野や特性などで大きく変わるため、ご自身に合うものをご検討ください。
マーケティングスキル
マーケティングは、製品・サービスが売れるための仕組みを作り出すために欠かせないスキルです。IT技術の発展により、SNSやWebサイトなどを活用したデジタルマーケティングが注目されています。今後も継続的な需要があると考えられるため、学ぶ価値のある分野だといえます。
プログラミングスキル
プログラミングは、システム・Webサービス・アプリなどを動作させるために必要な、プログラムを作る技術です。さまざまな分野でデジタル化が進み、ITエンジニアの不足が深刻化しているため、プログラミングスキルの取得はキャリアアップに最適な分野のひとつです。
財務・経理スキル
財務・経理スキルは、組織の経営資源を適切に配分して、効果的な財務計画を立てるためのものです。企業の経営資源のひとつである「カネ」を管理する能力が身に付くため、将来的に自身で事業を展開したり起業したりする際にも役立つでしょう。
語学スキル
語学スキルを磨くことで、外国語を自在に操ってコミュニケーションができるようになります。少子高齢化やグローバル化などの影響で、外国語の重要性が高まっています。外国語の書類作成や翻訳・通訳などの業務のほか、場合によっては海外での就労でも役立つでしょう。
動画編集スキル
動画コンテンツを制作・編集するために必要なスキルです。近年では、顧客とのコンタクトポイントが従来のマスメディアからSNSに移行し、動画をマーケティングに活用する企業が増えています。そのため、動画編集やソフトウェアの操作スキルがある人材が重宝されています。
データ分析スキル
膨大なデータから情報を抽出し、経営戦略や課題解決に活かすための「データ分析」も、リスキリングで人気の高い分野です。DXやAIなどの普及で、データ分析の重要性が高まっていることから、キャリアアップのための選択肢として魅力的だといえるでしょう。
AI・機械学習など先端IT領域のスキル
現在では業務効率化や人手不足解消など、さまざまな課題を解決するために、企業でIT化やDXが推進されています。そのため、IT人材の需要が高まっていますが、実際には経済産業省の資料が示すように人材不足が深刻化しています。DXの中核となるAIや機械学習など、先端IT領域のスキルをリスキリングで習得することでキャリアアップにつながるはずです。
リスキリングでチャレンジしたい資格試験
リスキリングでチャレンジしたい資格試験として、次のようなものが挙げられます。
- TOEIC
- ITパスポート
- 情報セキュリティマネジメント試験
- MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
- Pythonエンジニア認定試験
- 日商簿記検定
- ビジネス統計スペシャリスト
- マーケティング検定
- 中小企業診断士試験
TOEIC
「TOEIC」は英語力を測るための資格で、ビジネスシーンにおける英会話能力を照明するために役立ちます。ただし、TOEICは国際的な資格としての認知度は低いため、英語をフルに活用する職種を目指す場合は「TOEFL」も検討してみましょう。
ITパスポート
「ITパスポート」は、IT分野の基礎的な知識を証明するための国家資格で、難易度が低いため初学者でもチャレンジしやすいことが魅力です。IT分野のリスキリングに取り組む人は、ぜひ取得しておくといいでしょう。
情報セキュリティマネジメント試験
「情報セキュリティマネジメント試験」は、企業・組織の情報セキュリティを確保し、脅威から守るためのスキルを認定する国家資格です。サイバーセキュリティの重要性が高まっているため、取得する価値の高い資格であるといえます。
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
「MOS」は、Word・Excel・Power Pointといった、Microsoft Office製品を活用するためのスキルを証明する資格です。これらのソフトウェアは日常の業務に欠かせないため、事務職としてキャリアアップを目指す人に向いています。
Pythonエンジニア認定試験
「Pythonエンジニア認定試験」は、プログラミング言語のPythonに関する専門知識を認定するための資格です。PythonはAIや機械学習など、先端IT技術の開発に広く活用されているプログラミング言語です。Pythonを習得することで、ITエンジニアへの道が開けるでしょう。
日商簿記検定
「日商簿記検定」は、企業や組織で生じる収支を記録するスキルを測る資格です。経営や会計の管理、財務諸表の見方や分析力などが身に付くため、幅広い事務タスクに対応できるようになります。
ビジネス統計スペシャリスト
「ビジネス統計スペシャリスト」は、Excelを活用したデータ分析や活用スキルを証明するための資格です。統計的な思考や業務に役立つ実践スキルが身に付くため、人事やマーケティングなどの分野のキャリアアップに役立つでしょう。
マーケティング検定
「マーケティング検定」は、マーケティング能力を測定するための内閣府認定の資格試験です。マーケティングに関する幅広い知識が身に付くため、マーケティング部門や経営でのスキルアップに効果的です。
中小企業診断士試験
「中小企業診断士試験」は、中小企業に経営課題に関する診断や助言を行うための、中小企業診断士として必要な知識を示す資格です。経済学・会計経営法務経営法務など、企業経営に関する幅広い知識が身に付くため、独立やマネジメント層を目指す人に向いています。
リスキリングの支援制度や補助金・助成金
個人が利用できるリスキリングの支援制度や補助金・助成金として、次のようなものがあります。
- リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
- 教育訓練給付制度
- ハロートレーニング
なお、上記以外にも自治体独自の支援制度や補助金・助成金が利用できることもあるため、詳細は各自治体にご確認ください。
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」は、経済産業省が提供するリスキリング支援制度です。一定の条件を満たすことで、指定の補助事業者を受講する際に、その費用の一部補助が受けられます。プログラミング・Webデザイン・動画編集など、受けられる講座は多岐にわたります。
教育訓練給付制度
厚生労働省が提供する「教育訓練給付制度」では、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了したあとで、受講費用の一部サポートが受けられます。教育訓練給付制度には、次の3種類のものがあります。
種類 | 対象講座の例 | 補助額 |
---|---|---|
一般教育訓練給付金 | TOEIC・簿記検定・ITパスポートなどの資格 | 受講費用の20%(上限10万円) |
特定一般教育訓練給付金 | 介護支援専門員実務研修・介護職員初任者研修など | 受講費用の50%(上限25万円) |
専門実践教育訓練給付金 | 第四次産業革命スキル習得講座・介護福祉士・看護師・歯科衛生士など | 受講費用の80%(上限64万円) |
教育訓練給付制度の申請窓口はハローワークとなるため、スキルや資格の習得にチャレンジしたい場合は、まず自治体のハローワークにご相談ください。
ハロートレーニング
「ハロートレーニング」は、ハローワークの求職者を対象として、再就職のために必要な訓練を実施する制度です。いずれも無料で受けることができる職業訓練制度ですが、「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2種類のものに分かれています。両者は基本的な内容に大きな違いはありませんが、公共職業訓練は雇用保険の受給者が対象で、求職者支援訓練はそれ以外が対象という違いがあります。
障害のある方の転職は「dodaチャレンジ」へ!
障害のある方が転職活動を行う際にリスキリングに取り組むことで、職種や業務の選択肢が増えたり、休職中の方がスムーズに復職を目指しやすくなったりします。リスキリングでチャレンジできる分野は多様ですが、IT系や財務・経理系などは、転職やキャリア形成におけるメリットが大きいためおすすめです。
障害のある方の転職活動は「dodaチャレンジ」にご相談ください。dodaチャレンジの転職支援サービスでは、さまざまな障害に対する専門知識があるキャリアアドバイザーが、あなたに合った求人情報をご紹介するほか、応募書類作成のサポートや面接対策など、一人ひとりの転職を支援します。転職にあたって学び直しが必要な方や休職中・離職中で不安のある方には、リスキリングサービスのご案内も行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
dodaチャレンジの「リスキリングサービス」について詳しくはこちら
まずは、キャリアアドバイザーに転職相談を

電話orオンライン
でお気軽にご相談ください
転職について不安なことも
障害者雇用の知りたいことも
キャリアドバイザーが親身にお話をうかがいます
公開日:2025/5/28
- 監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
- 上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■障害者職業生活相談員