【2026年最新】障害者の法定雇用率2.7%|求人の変化と失敗しない仕事探し

車椅子女性が電話をかけているようなイメージ

2026年7月に、障害者の法定雇用率が引き上げられました。今回の法改正は、はたらく障害者の方にとっては、「選択肢が広がるチャンス」といえます。一方で、「雇用されたのに仕事がない」といった悲しいニュースも耳に入ってきています。

この記事では、社会保険労務士で人事労務問題に詳しい玉上信明氏が、法改正のポイントをわかりやすく解説するとともに、トラブルを回避し、自分に合った企業を選ぶコツをお伝えします。

   

この記事を監修した人

玉上 信明氏

玉上 信明 (たまがみ のぶあき)

三井住友信託銀行にて年金信託や法務、コンプライアンスなどを担当。
定年退職後の2017年1月に社会保険労務士玉上事務所を開業し、執筆やセミナー講演を中心に活動中。人事労務問題を専門とし、企業法務全般・時事問題・補助金業務などにも取り組んでいる。

■資格
社会保険労務士・健康経営エキスパートアドバイザー

■監修・執筆実績
M3 Career 産業医ポータルサイト
Money Forwardクラウド
FREENANCE MAG

2026年7月からなにが変わった?障害者の法定雇用率「2.7%」への引き上げとは

「障害者の法定雇用率」とはなにか、その引き上げがなにを意味するかを確認しましょう。

そもそも「法定雇用率」ってなに?

「法定雇用率」とは、国が定めた民間企業における障害者の雇用割合です。企業は従業員数に応じて一定割合以上の障害者を雇用する義務があり、雇用数が不足している企業からは納付金を徴収し、逆に多く雇用している企業には調整金や報奨金が支給される仕組みとなっています。

この制度は、障害がある方が能力を十分に発揮し、社会の一員として自立してはたらけるようにするため、すべての企業が等しく役割を分担するためのルールです。その制度の根幹は、障害を理由に不当に排除されることなく、誰もがはたらく機会を得られる社会の実現にあります。

すなわち「共生社会の実現」や「労働力の確保」、「生産性の向上」を目的とした制度といえます。

なお、雇用率の対象になるのは以下の方です。

  • 身体障害者:身体障害者手帳1~6級に該当する方
  • 知的障害者:児童相談所などで知的障害者と判定された方
  • 精神障害者:精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方

法定雇用率が2.5%から2.7%へ|今回の引き上げが意味すること

2026年7月1日より、法定雇用率は2.5%から2.7%へと引き上げられました。これにより、企業はより積極的に障害者の採用や定着に向けて取り組むことが求められます。市場全体で障害者求人が活発になれば、これまで以上に自分に合った職場を選べるようになると考えられます。

あなたにも関係する!障害者雇用の義務が「従業員37.5人以上」の企業へ拡大

電卓で計算しているようなイメージ

今回の改正では、障害者雇用が義務づけられる企業の範囲も拡大されました。これにより、応募できる企業の選択肢がどのように増える、または広がるかを紹介していきましょう。

身近な中小企業でも障害者雇用が本格スタート

今回の法改正では、障害者雇用率だけでなく、障害者雇用の義務対象も「従業員40人以上」から「37.5人以上」の企業へと拡大しました。これにより、これまで義務の対象外だった地域密着型の中小企業など、身近な場所でも障害者雇用の機会が増える、または広がると考えられます。

応募できる企業(選択肢)がこれまで以上に増えるチャンス

はたらく場所の選択肢は、大企業や特例子会社だけではありません。アットホームな規模の企業や、自宅から通いやすい地元の会社も選択肢に加わります。自分自身の障害特性やライフスタイルに合わせて、これまで以上に多様な働き方を選べる可能性が広がると考えられます。

データで見る障害者雇用の今:はたらく障害者数は過去最高を更新中

厚生労働省の「令和7年「障害者雇用状況」の集計結果」データによると、民間企業ではたらく障害者数は70万人を超え、22年連続で過去最高を更新し続けています。実雇用率(常用雇用労働者に占める、障害者である労働者の数)は2.41%、障害者雇用率達成企業割合は46.0%となっています(令和7年6月1日現在)。

特に「精神障害・発達障害」のある方の雇用が大きく伸びている

障害種別で見ると、近年は特に精神障害や発達障害のある方の就職件数が顕著に伸びています。背景には、本人のスキルや適性に加え、企業側でも体調管理や就労支援のノウハウが蓄積され、障害特性に応じた環境調整を行う企業が増えていることがあると考えられます。

雇用障害者数と実雇用率の推移

※出典:厚生労働省 「障害者雇用のご案内~共に働くを当たり前に~

【要注意】求人が増える一方で…ニュースで話題の「仕事がないまま放置」されるトラブルとは

求人が増える一方で、雇用後に問題が発生するケースも指摘されています。実際の事例も踏まえながら、どのようなトラブルやリスクが起こり得るかも確認しておきましょう。

2026年5月報道:在宅勤務で「自習ばかり」、業者への丸投げが問題に

2026年5月に、在宅勤務の障害者社員に対し、具体的な業務を与えず「自己学習ばかり」をさせるなど、実質的に放置されるケースが社会問題として報じられました。企業が仲介業者へ管理を「丸投げ」し、本人とのコミュニケーションが十分に取られなかった結果、孤立しやすくなり、心身の不調により離職につながるケースも発生しています。
※出典:読売新聞オンライン 「障害者雇用「仕事与えられず放置」相次ぐ…業者に就労管理「丸投げ」の企業、在宅勤務で連絡も取らず

なぜ起きる?「数合わせ」だけで障害者を雇う企業のリスク

こうしたトラブルは、企業が「障害者の雇用率の達成」だけを目的とし、本来必要な業務設計や受け入れ体制の整備が不十分なまま雇用を進めた場合に起こりやすいとされています。これは国の障害者雇用理念に反するものであり、現在、労働局による調査対象となるケースもあります。

また、雇用率の達成を優先する企業に対する一部障害者雇用代行ビジネスが、当事者のはたらきたい意欲とのミスマッチを招くなどの問題点も指摘されており、就業環境や支援体制が自分に合っているか、応募前・入社前にしっかり確認しておくことが大切です。

雇用後のトラブル防止には、障害者雇用に精通した専門エージェント(dodaチャレンジなど)や支援機関を活用することも有効です。(詳しくは「専門のエージェントや就労支援を賢く活用してミスマッチを防ごう」を参考にしてください)

失敗しない転職・就職活動のために!「はたらく環境」をしっかり整えてくれる企業の見極め方

転職・就職で失敗しないためには、はたらく環境がしっかりと整備されている企業を見極めることが重要です。求人票の見方や面接で確認したいポイントについて解説します。

面接前にチェック! 求人票で確認すべき項目

求人票を確認する際は、「事務作業」などの抽象的な記述だけでなく、「データ入力のみ」「電話応対なし」など、具体的な業務内容が明記されているかをチェックしましょう。合理的配慮が行き届いている企業であれば、障害者雇用の実績や職場環境についての情報公開していることが多いです。

面接でここを確認!「具体的な業務内容」と「毎日の連絡体制」

面接の際は、以下のように、できる限り具体的な内容について確認しておくことが重要です。

  • 労働時間の柔軟性(時短勤務・シフト調整の可否・時差出勤やフレックスタイムの有無など)
  • 在宅勤務の可否(頻度運用方法、日々のご有無報告や相談先など)
  • 具体的な業務内容(担当する業務の範囲や内容、評価方法などについて確認する)
  • 通勤・設備面の配慮(エレベーターの有無、段差、多目的トイレの有無など)

これらの点について具体的に説明してくれる企業であれば、受け入れ体制が整っている可能性が高いといえるでしょう。安心して長くはたらき続けるためにも、詳細を丁寧に確認しておくことが大切です。

専門のエージェントや就労支援を賢く活用してミスマッチを防ごう

ご自身だけで企業の実態を見極めるのは難しいケースがあるかもしれません。障害者雇用に精通した専門エージェントやハローワーク、就労支援機関などを活用すれば、障害特性に応じた企業の受け入れ体制や配慮内容などの情報を把握しやすくなります。

例えば、労働時間の柔軟性や在宅勤務の可否、業務内容の具体性、職場環境の設備などについて、具体的な情報を把握できます。

中でも、障害者雇用に特化した転職エージェントでは、求職者の状況や希望を踏まえたうえで企業の情報を整理してもらえるため、自分に合った職場を見つけやすくなります。 こうしたサービスの一例として、「dodaチャレンジ」 では、障害者雇用に精通したキャリアアドバイザーが、応募前に「どんな仕事を任されるのか」「配慮はどこまで可能か」「働き方や評価のルールはどうなっているのか」などを事前に整理し、必要な情報を分かりやすく提示してくれます。

困ったときの相談窓口

万が一、就職先でトラブルが生じた場合や、悩みがあるときは、一人で抱え込まずに専門の公的機関へ相談することが大切です。厚生労働省では、障害のある方に向けた就労支援や相談先に関する情報をまとめたページを公開しており、支援機関や相談窓口に関する情報も掲載されています。

■厚生労働省
相談・支援機関の紹介: 「どこへ相談すればいいかわからない方へ

いま、はたらくチャンスが広がっている

車椅子男性がパソコン画面を見ているようなイメージ

2026年7月の法改正は、はたらく障害者の方にとって大きな追い風といえます。社会全体で障害者雇用への理解も進んでおり、多くの方が活躍しています。その一方、求人の中には「数合わせ」を目的とした企業が含まれている可能性もあります。

トラブルを避けるためには、応募者自身が企業の仕事内容や職場のサポート体制を丁寧に確認することが重要です。ご自身のはたらく意欲を大切にしながら、専門機関の力も活用し、「かけがえのない人材」として必要としてくれる職場を見つけ、新しい人生を切り開いていきましょう。

公開日:2026/07/08

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