障害者雇用の企業事例
「キリン株式会社」

キリン株式会社キリン株式会社

多様な人材から生まれるイノベーションが、新しい飲料文化の創造につながる。

誰もが活き活きとはたらける雇用を目指しています。

人事総務部担当者から

私が現在所属する部署は、女性やシニアの活躍、障害者雇用など多様性全般を推進するため「多様性推進室」という組織として2013年のキリン株式会社の設立と同時に人事総務部の中に新設されました。ここでは、キリングループ全体の障害者雇用の推進、そして職制内での相談や解決を基本としながら、本人・職場双方への定着支援を主に担っています。採用についてはキリン単社を含むグループ各社でも行っているのですが、多様性推進室ではグループ全体の障害者雇用の方針、目標などを設け、知見・情報共有、各社が集まって障害者雇用に関する意見交換やネットワークをつくる機会提供を通じて各社のサポートを行っています。

多様性推進室ができる前も、すでに障害者雇用に関するさまざまな取り組みを行ってきました。その中でも象徴的なものに、2011年1月に制定した「キリングループ障害者雇用憲章」があります。これは“人重視の経営方針”に基づくもので、「障害のある人も、ない人も、共にはたらき、共に生きていく社会を実現するために、だれもが活き活きとはたらけるキリンらしい障害者雇用を目指す」と明記されています。今後は、キリングループ内での変化や時代の流れに合わせて、さらに進化させることも検討しています。

この「キリングループ障害者雇用憲章」に基づき、私たちキリングループは特例子会社は作らず、グループ各社がそれぞれに雇用を推進し、分散を基本とした配置により職場・会社での多様性受容意識の醸成と、そこから生まれる価値創造実現に取り組んでいます。

なお、「障害者雇用憲章」を制定する際に、「障害」について「障害」とひらがなで表記するかどうか、表記のあり方をめぐる議論がありました。それぞれに論拠があると思いますが、私たちは「障害」を障害者その人の問題とするのではなく、社会全体で解消していくべき「バリア(障壁)」として捉える考え方に基づき、「障害」の表記を採用しています。

私たちキリングループは“多様な人々がいるのが当たり前”という風土の中で、性別、国籍、障害のある方など、さまざまな背景の違いをお互いに受け容れ合いながら刺激し合うことで、新しい価値を生み出そうという考え方を持っています。その考え方は、わかりやすいところで言えば、多様なお客様に商品をお届けすることにもつながっています。多様な人材が活躍することで新たなイノベーションが生まれ、それが新しい飲料文化を創りだすことにも貢献していくだろうと考えているのです。

障害のある方について、障害内容によって配属する部署を決めることはしていません。また、ジョブ・ローテーションも採用していますので、障害の有無に関わらず、みなさん同様に異動もあります。ですので、障害を開示されて就職活動をされる方には、やりたい仕事やご自身の強みとともに障害についての必要なサポートについてはっきりと意思表示していただいたり、逆に配慮が不要なことなどご自身について把握していることを教えていただく方がいいと思います。そうしていただくことで、入社後の活躍の場もさらに広がることにつながっていくことになります。

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キリン株式会社 人事総務部 多様性推進室
中畑佐知子さん

責任を感じることが、大きなやりがいにつながる

在職者インタビュー

私は大学院を修了し、2016年4月に新卒として入社しました。就職活動をする上で第一に望んでいたのは、自分が薬学部の中で研究していたことが活かせるような職場ということと、なおかつ“健康”という分野に興味があったので、その両方を満たせる職場です。具体的には食品と医薬品業界に絞って探していたのですが、障害者採用を行っている会社がまだまだ少なかったため、そういった採用をしていない会社にも積極的にチャレンジしていきました。そんな中で面接など採用過程が進んでいくうちに、受け入れられる職種や担当者の障害に対する認識など、さまざまな会社があるということをあらためて実感しました。

一連の就職活動を通して感じたことは、自分自身についてちゃんと認識をした上で、それがきちんと面接で伝えられるかどうかが成功の鍵を握っているということです。自分の殻に閉じこもってしまっては、良いことは一つもありません。自分が何をやりたいのか、自分にある障害で何ができて何ができないのか――それらを包み隠さず、明確に全部伝えきれるかどうかが大事なポイントだと思います。それができたのが、キリン株式会社の面接でした。

実は、内定をもらった時には別の会社からも内定をいただいていました。けれども、実際に自分が配属されるであろう職場を見学させてもらい、ここでなら安心して自分の力を発揮できると心から実感できたので、入社を決意しました。

入社後に感じたのは、良い意味でのギャップです。自分に任せてくれる責任が最初に想像していたよりも重く、それが大きなやりがいにもつながっています。今後は専門性を高めて、エキスパートとして頼られる存在になりたいと思っています。

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キリン株式会社 R&D本部 基盤技術研究所
矢内秀さん 下肢体幹機能障害