四肢麻痺/20代/事務への転職ストーリー

四肢麻痺の方の転職体験談四肢麻痺の方の転職体験談

週3日、1日4時間半の超短時間勤務を実現して4年。はたらいて、社会とつながる喜びを

上田健人さん 20代 脊髄損傷による四肢麻痺(高知)

転職活動期間
10ヶ月
前職
就労継続支援B型事業所
現職
パーソルダイバース株式会社 広報部(完全在宅勤務・週3日の短時間勤務)

「上田さんの人生、まだ先は長いよ」

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「自分にできることを見つけて、はたらきたい」そう思ったのは二十歳のときでした。
私は、高知県の実家で農業の稼業を継ぐため農業高校に通い、卒業後は農業大学に進学しようと考えていた高校3年の夏、不慮の事故により頸椎骨折により脊髄を損傷しました。県内の医療センターで手術、そして県内、県外のリハビリテーション病院を経て、大分県の重度障害者センターでは1年間のリハビリ生活を行いました。18歳で受傷してから、リハビリ生活は2年にも及びましたが、在宅生活の希望が見えてきたとき、職員の方にかけてもらった「上田さんの人生、先は長いよ」の言葉がとても心に響きました。「そうだ。自分にできることがあるはずだ。それを見つけよう」と思ったのです。

左肘しか曲げることができなくても、はたらくことを諦めなかった

四肢麻痺がある私は、動かせるのは左肘を曲げることだけです。体はほとんど動かず入浴や着替え、排せつはヘルパーのケアが必要ですし、指と手首の関節も動かせません。ですが、肘を曲げて手の甲を使えばパソコンの操作ならできるとリハビリ生活中に知りました。具体的には、施設の方、もしくは施設で実践的にはたらいている方に話を聞き、今の体でどうやってPCを使用していくかを訓練しました。元々高校でもPCを使う授業があり、ビジネス文書検定を取得していたので、PCを使った仕事のイメージはできていました。そこで、私はWord、Excelのスキルアップのため勉強も始めました。

私は現在パーソルダイバースではたらいていますが、入社してから、データを収集し加工したり、グラフや表を作ったり、会議の資料作成などの仕事をしてきて、あのとき「自分にできることは必ずあるはずだ」と諦めなくて本当に良かったと思います。

フル在宅勤務で仕事を始める

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高知県の実家に戻り、しばらくは静養しすぐには仕事を見つけられませんでした。何もしない時間が物足りなくなってきた数ヶ月後、市の社会福祉士の方から、就労継続支援B型事業所ではたらかないかと連絡をいただいたんですね。完全在宅のテレワークでパソコンを使ったアンケート入力などの仕事でした。それが、私のキャリアの始まりです。分からないことがあれば上司や他の社員に相談したり、連絡をしたり、そういった人との関わりが新鮮で嬉しく思いました。社会の一員として生きる実感を得られた気持ちでした。

パーソルダイバースとの出会い

就労継続支援B型事業所ではたらき始めて10ヶ月ほど経った頃、東京の企業でテレワークの人材を探しているから応募してみてはどうかと紹介されたんです。最初に思ったことは、「高知県に住む私が、東京の企業ではたらけるの?」でした。当時はコロナ禍前で、テレワークや在宅勤務という働き方は浸透していなかったからです。しかし、せっかくの機会です。挑戦するだけやってみようと応募しました。

応募締切りが2週間後に迫っていたので、急いで応募書類を作成したことを覚えています。その東京の企業というのが、現職のパーソルダイバース株式会社です。面接でお会いした社員の雰囲気が自分にとても合っていて、ここではたらきたいと思いました。あとで聞いたのですが、B型事業所の担当の方が、前向きで諦めずに努力できる人だと、推してくださったようです。

週3日10:00~15:30の短時間、完全在宅勤務を実現

現在私は、週3日10:00~15:30の短時間、完全在宅で勤務しています。私の生活は、訪問サービスの時間に合わせてスケジュールが決まっているため、その中に短時間の就労時間が組み込まれました。ですから、その決められた時短勤務の中でも、任された担当業務はしっかり成果を出したいと、正確に丁寧に取り組む努力をしています。自分なりに努力したり工夫したりしていると、だんだんと仕事への挑戦欲も出てきて、新しくやりたいことがまた見えてくるんです。

今では、会社の広報活動としてSNSで情報発信しています

例えば、入社した頃は、トラックボールマウス、スクリーンキーボードを使って短い文章を作ったりする程度だったのですが、今は、音声入力を使うことで長文も書けるようになりました。音声入力の精度を高めるための専用マイクは、私から上司に導入を提案し購入してもらいました。そのおかげで、会議の資料作成や会社のInstagramで情報発信を担当するなど、入社時には想像できないほど、仕事は多様化し広がっています。また、社員から「資料作成、ありがとう」「イメージ通りのものをありがとう」などの声をもらい、誰かの役に立ったやりがいや喜びを感じる機会も多くなりました。仕事の幅が広がると、社会とのつながりを一層感じるようになります。

これからも諦めない、挑戦していきたい

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周りの方から、「上田さんは前向きだね」とよく言われます。なぜ私が前向きでいられるのか、自分を振り返ってみると、2年間のリハビリ生活が今の自分をつくったと思います。受傷した直後から、体をどうやったら動かせるのか、携帯電話でメールをしたい、自分でご飯を食べられるようになりたいと、一つずつ一つずつ、できることを考えて増やしていきました。その2年間の一つ一つの積み重ねが、前向きに挑戦する精神力を私に与えてくれたのだと思います。

いろいろな工夫や支援によって、はたらくことができるということを知ってほしい

これからも私は挑戦していきたいですね。それに、ITやAI等の技術進歩で、可能性は広がっていますし、必要な知識、スキルを身に着けて成長し、業務の幅を広げていきたいと思っています。また、どうやったら自分でもできるかとアンテナを立てることも大切だと思っています。挑戦をしながら、これからも長い人生を充実感いっぱいではたらいていきたいと思います。

私は、リハビリ施設にいたとき、はたらきたくても体の機能が限定されて、はたらくことを諦める人たちを見てきました。それでも、施設の職員の方は、私に希望を持ち続けるよう話してくれました。二十歳だった私は、自分にしかできないことがきっとある、そして自分なりのやり方をみつけていこう、頑張っていこうと決心しました。それから6年が経ち、私はパーソルダイバースの広報活動として、重度の身体障害があってもはたらけることを社会に発信しています。6年前には考えもしなかったキャリアです。

四肢麻痺の方からのメッセージ四肢麻痺の方からのメッセージ

メッセージ

今は働き方が多様化され、重度の障害があっても、また週20時間未満の時短勤務や完全在宅勤務であっても、はたらく選択肢が増えています。私のような重度の障害がある中でも長くはたらき挑戦を続けることができているという、この経験そのものが、同じような障害があってもはたらきたい人の背中を押すことができたらと思います。 「はたらくために何をすればよいのか」と悩んでいる方は、まずは短時間でもはたらきたい、というような自分の思いを家族や支援員の方、またdodaチャレンジのキャリアアドバイザーに相談してみてください。

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