私は、先天性の下肢障害、視覚障害、体幹障害、ぼうこう直腸障害があり、身体障害者手帳の等級は1級です。視覚障害については、左目はほぼ見えず、右目も視野が半分欠損しています。いくつかの障害はありますが、小学校から高校まで、普通校に通っていました。
高校時代に、大学への進学を考えて相談をした先生から、視覚障害者・聴覚障害者のための大学があることを教えてもらいました。国立筑波技術大学です。視覚障害者がパソコン技術やプログラミングを習得できるカリキュラムも充実していて、「就職のためにPCスキルを身につけたい」と考えていた私にぴったりだと思いました。当時、私は関西に住んでいたので、転居して寮で生活することになりますが、両親も快く応援してくれました。
最初は慣れないことも多く大変だった一人暮らしも、自分でできることが日々増えていくことは喜びでした。大学の授業ではExcelやWord、プログラミングを学び、社会で役に立つスキルが身に付いていくので、自信にもなりました。
1社目は契約社員で、10年勤続
就職活動は大学3年生の春から始めました。なかなか内定がもらえず不安になっていた4年生の夏、携帯販売代理店の東京本社で事務職に内定しました。内定が出たときはほっとして、とても嬉しかったです。
障害者雇用で契約社員として入社し、Excelを使った業務が中心で、仕事の幅は広かったと思います。下肢障害のある私にとって、片道1時間の通勤は決して楽ではありませんでしたが、この会社で10年はたらき続け、業務を任せてもらうなど「自分でも仕事ができる」という自信がつきました。
閉ざされた正社員への道
30歳を機に、私は転職を考えるようになりました。正社員ではたらきたいと強く思うようになったからです。10年間契約社員で、先のキャリアのことを上司に相談してもあいまいな返事が続きました。この先長く続けても正社員になれそうにない、定年までずっと契約社員で同じ仕事を続けていくのか、と考え不安になったことがきっかけで、思い切って環境を変えよう!と転職活動に踏み切りました。