例えば、扱う「商材」が変われば、まずその商材に関する市場分析力や、競合企業の動向を探る情報収集力を身につけなければなりません。時には、より商品が売れる仕組みづくりを行なう販売促進やマーケティングなどのスキルも求められることでしょう。また、「顧客」が変わった場合は、コミュニケーション力を発揮し、相手からの信頼をいち早く獲得しなければいけません。提案先が経営層であれば、高度なプレゼンスキルやパフォーマンス力が求められ、提案先が個人や一般ユーザーに近い立場の方であれば、相手の立場に立った細やかなヒアリング力とアフターフォローの丁寧さが、信頼を構築するキーとなります。そのほか、「顧客」に対して継続的な提案を行なう粘り強さや柔軟性なども、自らの営業スキルの一つとして高められることでしょう。

例えば、営業スパンが変われば、それに応じたスケジュール管理能力を高めなければなりません。売上目標や工数など、数字に対する正確性を身につけ、自己管理能力も高める必要があります。また、営業スパンが長い商品はおのずと扱う金額も高額となるため、万全なアフターフォローや長期にわたる顧客との親密な信頼関係構築が、次回提案につながる重要な要素となります。「顧客」によっては、経営層から技術部門まで、あらゆる部署との交渉をひとりで担う場合もあり、高い調整能力とともに、リスク管理能力、論理的思考力、プロジェクト推進力などが求められるでしょう。時には、既存商品に付加価値をつけた新しい提案を期待されることもあり、顧客ニーズへの理解と共に商品企画力も問われます。この場合、コンサルタント色の強い営業職としてのキャリアアップが見込めることでしょう。

トランスファラブルスキルを活かして異業界に転職し、新たなスキルを身につけ、それをトランスファラブルスキル化する。また、すでに持っているトランスファラブルスキルをさらに強化する。そうして、結果的にキャリアアップにつながりやすいのが、異業界転職です。もちろん同業界転職でもキャリアアップは可能です。また、異業界転職には超えるべき壁も数多く立ちはだかるでしょう。そのため無謀な異業界転職はお勧めできませんが、一方で昨今の労働市場を考えると、会社や業界に依存せずに生きていける強さを身につける努力も不可欠です。その鍵の一つが異業界転職にあることは間違いありません。