精神障害・精神疾患の方に向いている仕事は?仕事をする上での悩みや続けるポイント
精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方や、現在精神疾患を治療中の方が就職を考える場合、どのような仕事がご自身に向いているか悩むことも多いでしょう。また、現在就業中の場合、今の仕事が向いているのかどうか、もっと自分に向いている仕事があるのでは、と考えることも多いのではないでしょうか。
この記事では、精神障害(精神疾患)のある方に向いている仕事や、就職後も長く仕事を続けるポイントをご紹介します。安定して長くはたらき続けるためにどうしたら良いかお悩みの方は、ぜひご参考にしてください。
目次
精神障害(精神疾患)の方が仕事で抱える悩み
まず、精神障害(精神疾患)がある方が仕事で抱えがちなお悩みや困りごとにはどのようなものがあるか見ていきましょう。
心身の調子に波がある(変化が大きい)
そのときによって気分や体調の変調が激しく、ご自身の仕事のペースを推し量りにくいという困りごとが予測できます。いつでも安定して仕事をし続けることが難しく、「予定通りに仕事が進まない」「なぜうまくいかないのか」という悩みに発展してしまう恐れもあるでしょう。
疲れやすい
過去の失敗やトラブルを引きずってしまう特性から、必要以上に物事を重く受け止めすぎることも考えられます。いつもの日常的な仕事であっても、常に過度の緊張感にさらされることにより疲れやすくなる傾向もあるでしょう。
職場・周りに特性を理解されづらい
職場によっては、ご自身が悩んでいても「周りと同じように仕事ができないのは困る」など、障害の特性を理解してもらえない可能性もあります。障害や病気ではなく本人の意欲や姿勢の問題とみなされてしまうことで、さらなるストレスにつながることもあるでしょう。
仕事の内容が特性に合っていない
ご自身の障害や症状の特性によっては、合わない業務やはたらき方もあります。そのような仕事に就いてしまうと、ただ仕事をするだけでストレスが大きくなり、はたらきづらさを感じてしまうこともあるでしょう。
精神障害(精神疾患)がある方が仕事を続ける上でのポイント
精神障害(精神疾患)がある方が仕事を長く続けるには、どのようなことを意識すると良いのでしょうか。ここでは、長くはたらくためのポイントをご紹介します。
通院し主治医やカウンセラーに相談する
まずは定期的に通院し、医師の診察や心理士のカウンセリングをきちんと受けるようにしましょう。お薬を処方されている場合は用法・容量を守り忘れずに服用するなど、ご自身も治療へ積極的に取り組むことが重要です。
自分の状態を伝え周囲の理解を得る
仕事において得意なことや苦手なこと、ご自身の障害特性を明確に伝えて周囲の理解を得ることも1つの手です。
自分に合ったはたらき方を選ぶ
正規・非正規などの雇用形態や、フルタイム勤務・時短勤務・在宅ワークなど、さまざまなはたらき方の選択肢があります。障害や症状の特性を考慮し、ご自身にマッチするはたらき方を選ぶことも、仕事を長く続ける上では大切です。
自分の特性に合った仕事内容を選ぶ
仕事を進めるペースや、はたらく場所の環境などが、障害や症状の特性に大きく影響することがあります。このため、ご自身の特性に合う仕事内容を選ぶことも、精神障害のある方が安定してはたらくには大切です。
精神障害(精神疾患)のある方に向いている仕事
精神障害や精神疾患とひと口でいっても、障害や症状によってさまざまな特性があるものです。あくまで代表的な例にはなりますが、ここではいくつかの精神障害(精神疾患)について、どのような仕事が向いているかをご紹介します。
うつ病・統合失調症の方に向いている仕事
うつ病や統合失調症のある方は、気分の変調に仕事のペースや成果が左右されてしまうことがあります。それだけに、安定して長くはたらくにはマルチタスク能力(複数の仕事を並行してこなす能力)を求められない業務のほうが良いでしょう。また、あまり成果を早急に求められない、マイペースで続けられる仕事がおすすめです。
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双極性障害(躁うつ病)の方に向いている仕事
そのときによって気分の乱高下が起こる双極性障害(躁うつ病)のある方には、業務量や業務時間が一定した定型業務が適しているといえます。また、スピードや大量処理を要求されず、ご自身のペースで進められる業務だとなお良いでしょう。
パニック障害のある方に向いている仕事
周囲の状況に影響されて心を乱しがちなパニック障害のある方が落ち着いてはたらくには、状況変化に左右されない業務がおすすめです。ご自身のペースで進められる定型業務や、在宅勤務可能な仕事などが適しているでしょう。
社交不安障害、全般性不安障害のある方に向いている仕事
人とのコミュニケーションで困りごとを抱えがちな不安障害のある方には、対人関係が少ない仕事や変化が少なく定型業務の多い仕事が適しています。
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強迫性障害のある方に向いている仕事
強い不安感から何かを頻繁に確かめるのがやめられない強迫性障害のある方には、一人でできる作業の多い業務が向いています。また、何度も確認したくなってしまう特性を考慮すると、確認作業自体が少ない仕事内容であれば尚良いでしょう。
精神障害(精神疾患)がある方が安定してはたらいていくためには
精神障害(精神疾患)を抱えながらはたらくことは、簡単なことではありません。「仕事を辞めたい」という思いがよぎることもあるでしょう。もし、今の職場や仕事内容がどうしてもご自身に合わないと感じる場合は、新しい労働環境を見つけるため転職に踏み切ることも一つの手でしょう。
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まとめ
精神障害や精神疾患のある方がはたらくにあたって、ご自身の症状や状況を伝えるのをためらってしまったり、特性を理解してもらえなかったりすることでお悩みを抱えてしまうケースも少なくないと思います。
長く安定して仕事を続けるには、周囲の理解を得るとともにご自身が積極的に治療へ取り組むことも欠かせません。その上で、もし現在の仕事がどうしても合わず困りごとの解決が難しいようなら、新しい仕事やはたらき方を模索してみることも一案です。
精神疾患を治療しながらの転職活動をご検討中であれば、ぜひdodaチャレンジまでご相談ください。
公開日:2022/9/1
- 監修者:木田 正輝(きだ まさき)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
- 旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士