精神障害(精神疾患)のある方が就職活動で感じる不安を解消するには

就活に不安を感じる若者

精神障害のある方は、就職先を探すときも何かと困りごとを抱えているのではないでしょうか。大きいものとしては、「精神障害者の就職は難しいイメージが強く、不安が大きい」といったことなどが挙げられるでしょう。
そこでこの記事では、精神障害(精神疾患)のある方が就職に際して感じる不安を乗り切る方法や、前向きに就活に取り組むためのポイントをご紹介します。

精神障害者の就職は難しい?

厚生労働省の「令和2年 障害者雇用の促進について」によると、精神障害のある方は、身体障害者や知的障害者に比べて職場定着率が低い状況にあるとされています。
参考: 障害者雇用の促進について 関係資料 | 厚生労働省

上記資料に関するニュースを耳にするなどして、「精神障害があると就労が安定しない」というイメージをご自身のなかで膨らませてしまい、はたらくことに対して不安を抱く方が多いようです。

しかし、2018年の法律改正により、精神障害者も障害者雇用促進法の対象となりました。この法改正によって法定雇用率が引き上げられたことで、ハードルが高いとされていた精神障害者の就職は大きく緩和されました。
実際に、上記資料の2年後にあたる令和4年の雇用状況では、精神障害者は109,764.5人(前年比11.9%増)と、雇用者の中でも精神障害のある方の雇用伸び率が大きかったことが分かります。
参考: 令和4年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省

精神障害のある方が就職活動に感じる不安

精神障害のある方の多くが就活中に感じる不安とは、どのようなものなのでしょうか。ここでは、精神障害がある多くの方が感じる就職活動に関する不安事項をご紹介します。

障害の内容を企業にどう伝えたら良いか

障害について、どこまで伝えるべきなのか分からない方も多いのではないでしょうか。また、ご自身でも明確に把握できていない部分が大きい場合もあります。このような背景から、企業側に精神障害のことをどのように伝えれば良いのか分からない、正しく伝える自信がないという事情からくる不安もあるでしょう。

面接時に障害について伝えなければならないのか

精神障害のことを伝えるタイミングも、悩みのタネの1つです。ご自身の障害を面接で詳しく伝える必要があるのかどうかを考えてしまい、気後れしてしまうというケースも考えられます。

どんな配慮事項が必要かイメージできず伝えられる自信がない

まだはたらいたことがない学生の方は、ご自身が就職後に受けたい配慮について想像がしにくいかもしれません。アルバイト経験や学生生活を元にしてある程度想像できていたとしても、面接などの短い時間ではとても伝えられないと考え、悩んでしまうケースもあります。

一般枠と障害者雇用枠どちらで就活すべきか

障害者手帳をお持ちの方は、一般枠と障害者雇用枠のどちらかで就職するかを選ぶことができます。しかし、障害者手帳は持っていても、障害者枠で就活すべきか、ご自身の障害を明かさずに一般枠で就職を考えるかで迷ってしまうこともあるのではないでしょうか。

就活スケジュールなどマルチタスクを一人で管理するのが難しい

スケジュール帳に記入する人

就職活動は履歴書や面接の準備などやることが多いため、スケジュール管理が複雑になりがちです。そのため、自分一人で管理して就活ができるのか自信がないという方も多いです。

就活のストレスでバランスをくずしそう

就活は緊張やプレッシャーも大きいため、それらのストレスに自分が耐えられるかどうか不安に思ってしまうケースも少なくないでしょう。

また、精神障害がある方の場合、就職活動以前に「学生生活から社会人生活へと移行する」といったことや、就職に伴う引越しといった環境の変化に対する不安が、ストレスとなってしまうことも考えられるでしょう。それらのストレスは、症状悪化の引き金となりやすいため注意が必要です。

精神障害のある方が就職活動をするときのポイント

何かと不安の種が多くなりがちな、精神障害のある方の就職活動ですが、工夫することで不安解消につながることもあります。

自分の障害の特性を把握する

精神障害とひと口に言っても、さまざまな種類に分けられます。

  • 統合失調症
  • 気分障害(うつ病・双極性障害)
  • 適応障害
  • 不安障害
  • 強迫性障害
  • てんかん など

上記の分類だけでなく、同じ障害でも症状や原因は人によって異なります。就職活動に際しては、ご自身の特性をきちんと把握しておきましょう。それと同時に症状が発症したときの状況を思い出し、その原因や症状への対策を分析します。

就労条件を決める

ご自身がはたらくことに適した条件を、よく検討の上明確にしておきましょう。例えば、フルタイムでの勤務にするか、短時間勤務を希望するかなども、重要な条件の1つです。

障害について具体的に伝える

ご自身の障害について伝える場合は、これまでの経験や医師の意見などを交えて具体的に説明しておくと、企業側もどのような配慮が必要なのかと判断することができます。そのためにも、まずはご自身の特性を把握しておきましょう。具体的に伝えることで、入社後のミスマッチも軽減されます。

障害者採用枠で就活する

精神障害があり障害者手帳をお持ちの方は、障害者枠で就職活動することを検討してみてください。障害があることを職場に隠す必要がないため、面接時に自分の症状について詳しく相談できますし、就職後の心配も軽減できます。さらに就職後はご自身の障害に合わせて配慮を受けられるようになるため、長くはたらき続けることが期待できるでしょう。

精神障害のある方の就職面接で、面接官が注目しているポイント

面接

精神障害のある方の就職面接を実施する際、担当の面接官は応募者のどのような点に注目するのでしょうか。ここでは、精神障害のある方を面接する際に面接官が注目しているポイントをご紹介します。

長くはたらけるかどうか

面接する側も、応募者に長くはたらいてもらうことを望んでいます。そのため、就職面接の質問で「長くはたらく意思があるかどうか」を聞かれることも少なくないでしょう。

「長くはたらけるかどうか」を聞かれたら、「学生時代も〇年間アルバイトを続けられた」「同じスポーツを〇年続けている」など、具体的なエピソード込みで回答することがおすすめです。

症状が安定しているかどうか

長くはたらくためには、症状などが落ち着いているかどうかも重要なポイントです。
「症状が落ち着いているかどうか」を聞かれたら、定期的に通院していることや「服薬によって症状が軽減されるようになった」など具体的な例を、分かりやすい言葉で伝えましょう。

これらの他、生活リズムを管理する能力、持続力などはたらくために必要な力=職業準備性(就労準備性)が身に付いているかどうかを伝えることが重要です。
職業準備性に関しては、以下の記事もぜひご参考にしてください。

どんな仕事に適性がある方か

ご自身が持っているスキルや、ご自身の強みをしっかり伝えることで、入社後のミスマッチ防止にもなります。
得意分野などを聞かれたら、学校で学んだ内容のほか、「小さい頃からパソコンが好き」「プラモデル製作が好きで、細かい作業をコツコツ続けることが得意」などの仕事につながるような興味・趣味趣向について話すことがおすすめです。

人柄・コミュニケーション能力

円滑なコミュニケーションができるかどうかや、一緒にはたらきたいと思える人柄かどうかも面接官は注目しています。学生時代のサークル活動やアルバイト、友人関係に関する具体的なエピソードを交えて、問題なく人間関係を築けることをアピールしましょう。

一人での就職活動が不安なときは就職エージェントに相談を

精神障害がある方の中には、自分一人の力だけで就職先を見つけることが難しいと感じる場合もあるでしょう。そのような不安があれば、就活のサポートや仕事上の相談に応じてもらえる、障害者専門の就職エージェントに相談することがおすすめです。
精神障害がある方の採用実績が豊富な企業も増えてきています。しかし、一人で管理しながら就活を行うとなると不安も多いでしょう。
就職エージェントは、自己分析や面接のアドバイス、必要な配慮がある求人とのマッチングだけでなく、万一就活がうまくいかなくなったときの相談などにも応じています。
就活全般のサポートを行ってくれる、障害者専門の就職エージェントへのご相談をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

dodaチャレンジは、パーソルダイバースが運営する障害者専門の就職エージェントです。一般公開されない「非公開求人」を中心に、就活に関するご相談やご希望をしっかりヒアリングし、安定してはたらける職場探しをサポートします。

まとめ

「精神障害者は就職しにくい」と言われていましたが、法改正などが進んだ影響で、現在では就職のハードルが下がってきています。精神障害のある方がはたらくにあたっては、障害特性を詳細に理解してもらうことが特に重要です。
これまで一般枠での就活を考えていた方も、障害者手帳の取得や障害者枠での求職も検討してはいかがでしょうか。その際はdodaチャレンジが力になりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

公開日:2023/3/1

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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