肢体不自由の方が仕事をする上で困ることとは?肢体不自由の方が最適な職場を見つける手段

車椅子

肢体不自由のある方には、障害の部位や程度によって日常生活の動作に困難を感じる方もいれば、見た目からは分からず周囲のサポートを受けづらいという方もいます。通勤や職場での困りごとを抱えている方も少なくありません。肢体不自由のある方が快適に長くはたらくためには、さまざまな配慮が整えられた職場環境を選ぶことが重要です。
この記事では、肢体不自由の方が仕事をする上で困ることや、最適な職場を見つける手段をご紹介します。また、肢体不自由の方がはたらきやすい環境を選ぶポイントについても詳しく見ていきましょう。

肢体不自由の基礎知識

肢体不自由とは、上肢・下肢・体幹機能の一部または全部が損なわれ、日常生活動作(立つ・座る・歩く・食べる・字を書くなど)が困難な状態のことをいいます。原因としては先天性のもの、脳や脊髄等の神経に損傷を受けて発症するもの、生後の怪我・事故といった後天的なものなどさまざまです。障害の部位や程度には個人差があり、車椅子や杖を使う方、日常生活で介助を必要とする方もいれば、見た目からは障害が分からず困難を感じさせない方もいます。

肢体不自由の障害等級は1級から7級まで分類されており、機能の障害の程度によって障害者手帳を取得できます。障害者手帳を取得することで、適切な福祉サービスが受けられたり、障害者雇用枠で就労したりすることが可能です。

肢体不自由の方の就労状況

肢体不自由の方

厚生労働省が発表している「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業で雇用されている身体障害者の数360,157.5人で、前年から0.7%増えている結果です。そのうち、肢体不自由のある方の数は117,349人となっています。さらに令和6年4月以降、障害者の法定雇用率が段階的に引き上げられるとされ、障害者雇用のための支援が強化されます。今後、企業は障害者の採用に積極的に取り組むことが予想され、肢体不自由の方の就労機会はどんどん広がっていくでしょう。

肢体不自由の方が仕事をする上で困ること

肢体不自由の方は、仕事をする上でさまざまな懸念や不安を感じる場面があります。ここでは、仕事における肢体不自由の方の困りごとについてご紹介します。

通勤や社内の移動

肢体不自由の方は歩行や姿勢維持の困難が原因で、「移動」に関して障壁を感じることが多いです。通勤時に公共交通機関を利用するときの人混み、階段、小さな段差でも車椅子や杖が必要な方にとっては一苦労です。そのため、フレックスタイムや迂回ルートの利用を希望する方は少なくありません。また、社内移動でも建物の入り口やドア付近に段差がある、通路が狭く旋回スペースがない、会議室への移動が多いといった困りごとがあります。

行動が制限される

車椅子や杖を使用している方は短距離の移動でも疲れを感じ、段差や階段を超えるのが困難になります。また、上肢障害・下肢障害の場合は身体を動かせる範囲が限られるため、棚の上のものをとったり落ちたものを拾ったりすることも一苦労です。

体調の管理が難しい

脊髄や頚髄を損傷された方の中には、手足が自由に動かないことから衣服の着脱による体温調節が難しいケースもあります。周囲の方が適温だと感じていても、一定の体温維持が困難な肢体不自由の方は熱中症にかかりやすいこともあり、オフィス内の冷暖房には注意が必要です。また、下肢障害の方はエコノミー・クラス症候群になる可能性も考えられるでしょう。

できる仕事に限りがある

肢体不自由の方は身体に負担がかかる仕事に関して、できることに限りがあります。工事などの現場仕事や運転が必要な仕事、移動の多い営業職など、職種や仕事内容によっては制限される場合があります。しかし、肢体不自由の方でも活躍できる場は多く、場合によっては補助具を使用すればできるということもあるでしょう。障害の程度をしっかり理解して、自身の能力や強みを活かせる仕事を見つけることが大切です。

トイレで困ることが多い

肢体不自由の方が困る場所の一つとしてトイレが挙げられます。特に車椅子の方は、専用のトイレが違う階にある、トイレ内が狭くて方向を変えられない、便器への移乗が大変など、使いにくいと感じることが多いかもしれません。そのため、多目的トイレがあるフロアで就労したり、トイレ内に十分なスペースや手すりを設けてもらうなどの配慮が必要となります。

肢体不自由のある方がはたらきやすい場所を選ぶには

肢体不自由の方がはたらきやすい場所とは、自身にとって必要な条件・配慮が整っている職場であるということです。その中でも、求職時には以下のポイントについては必ず確認しておきましょう。

さまざまな通勤時間や手段が用意されているか

仕事をする上で困難とされる通勤に関しては、通勤時間や手段を考慮してもらえる環境が整っていると安心です。ラッシュを避ける時差出勤、フレックスタイム制、または在宅勤務が可能といったはたらき方を導入している企業は多く存在します。どのような制度があるかを事前に確認しておきましょう。

オフィスの環境は快適か

近年はバリアフリー化したオフィスが増えてきており、快適な環境が整っていることが多いです。ただ、オフィス内を見学できる場合は見学することをおすすめします。ホームページや求人案内などにバリアフリーの記載があるとしても、トイレの場所やスペース、段差の有無などは実際に移動してみてチェックしておくと安心です。面接時や見学時に、困ったときに気兼ねなく助けを求められる雰囲気か、はたらきやすい職場かどうかを直接確認しておきましょう。

肢体不自由の方が就職・転職する上で苦労すること

肢体不自由の方が就職・転職活動を進める上で、自分のみで情報収集をして通勤やオフィス環境を確認することは非常に困難です。実際の通勤経路や時間、業務スペースなどは企業のホームページや募集要項だけでは分からないことも多いでしょう。障害の部位や程度は人それぞれ違うため、自分に最適な配慮が整っている企業を探すには障害者向けの支援機関や専門の転職エージェントが役に立ちます。

肢体不自由の方が最適な職場を見つける手段

車椅子ではたらく女性

肢体不自由の方が就職・転職活動を行う場合は、支援機関を利用することをおすすめします。ここからは、最適な職場を見つけるのに役立つ支援機関をご紹介します。

ハローワークを利用する

ハローワークは、厚生労働省によって全国の都道府県に設置されている公共職業安定所です。一般就労者だけではなく障害がある方の就労支援を行う専門窓口があり、豊富な求人から障害の特性に合った転職先を紹介してもらうことができます。その他、就職・転職活動に関する幅広いサポートを無料で受けることが可能です。

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、障害者向けの専門的な職業リハビリテーションサービスを提供しています。また事業主に対しても、障害者の雇用管理に関する相談、援助を行っています。ハローワークと連携し、就職・転職活動の支援から就業後のサポートまで、継続的なサービスを提供しています。

障害者向け就職・転職エージェントサービス

障害者向けのエージェントは、障害に詳しい専門のキャリアアドバイザーが一人ひとりに合った求人紹介の他、面接対策や履歴書サポートなど就職・転職全般を支援してくれるサービスです。

dodaチャレンジでは、求職者の障害特性や希望条件をしっかりとヒアリングした上で、非公開求人を多数含む豊富な求人情報から一人ひとりに合った仕事をご提案いたします。その他、応募書類作成のアドバイス、面接対策、入社日や給与等の条件交渉など転職に関して総合的なサポートを行っております。
経験豊富なキャリアアドバイザーが求職者と企業の橋渡しとなり、就職・転職活動に不安がある場合も安心して取り組めるようフォローいたします。障害者雇用のサポートはdodaチャレンジにお任せください。

まとめ

肢体不自由の方が最適な職場を見つけるためには、自分の特性や強み、どのような環境がはたらきやすいかを把握することが大切です。「自分にはできない」と転職をためらってしまう方も、一人で抱え込まずにまずは今回ご紹介した支援機関の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

公開日:2024/3/4

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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