身体障害のある方に向いている仕事は?はたらきやすい職場・仕事の見つけ方

オフィスビルの前にいる車椅子利用者の女性

身体障害をお持ちの方の中には、就職・転職ができるのかといった不安や悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、身体障害のある方がはたらきやすい職場や仕事の見つけ方についてご紹介します。身体に障害があり、就職や転職をお考えの方はぜひご参考にしてください。

身体障害とは?

身体障害とは、先天的な身体の特徴や後天的要因(事故や疾患の後遺症など)により、一部の身体機能に障害がある状態を指します。また身体障害のある人について「身体障害者」と呼ぶ場合は、身体障害者福祉法第四条で以下の定義がされています。

身体障害者:身体に特定の障害があり、都道府県より身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上の人
参照:身体障害者福祉法(厚生労働省)

上記の定義で述べられている特定の障害の種類については、次の項目で詳しくご説明します。

身体障害の種類

身体障害と一口にいっても、障害のある部分や状態は人によって異なります。ここでは、身体障害者福祉法で定められた身体障害の種類についてご紹介します。

肢体不自由

右手と左手を指す上肢、右足と左足を指す下肢、そして胴体部分のいずれかに欠損または機能障害があり、日常生活に不自由をともなっている状態を指します。障害の等級は、上肢と下肢それぞれが計7等級(1級~7級)、体幹が1級、2級、3級と5級の計4等級に分けられています。

視覚障害

先天的および後天的な要因による視力の低下や視野の狭窄(きょうさく)によって、日常生活に支障をきたしている状態を指します。また障害の等級は、計6等級(1級~6級)に分けられています。

聴覚・平衡機能の障害

聴覚障害は、聴力=耳の聞こえに障害がある状態を指します。平衡機能障害は、三半規管の機能障害によって身体のバランス感覚が損なわれている状態のことです。聴覚障害の等級は2級・3級・4級・6級の計4等級、平衡機能障害の等級は3級・5級の計2等級に区分されます。

音声・言語・そしゃく機能の障害

音声機能障害とは、声を発する喉頭(こうとう)という器官がない、または喉頭があっても障害により発声に支障がある状態のことです。
また言語機能障害とは、聴覚障害にともなって言語が習得できなかったために人との会話が成立しない状態や、脳梗塞などの後天的な疾患による失語症により言葉を発することができなくなった状態を指します。
そしゃく機能障害とは、正常に食べ物を噛んで飲み込む動作に関して障害がある状態を指しています。音声・言語・そしゃく機能障害の等級は、3級・4級の計2等級に区分されています。

内部障害

身体の内部器官に障害があることにより、生命維持や日常生活の面で大きな影響を受けている状態を指します。内部障害は、以下の7つの障害へさらに細分化されています。
・心臓機能障害(1級・3級・4級の計3等級)
・腎臓機能障害(1級・3級・4級の計3等級)
・呼吸器機能障害(1級・3級・4級の計3等級)
・膀胱または直腸機能障害(1級・3級・4級の計3等級)
・小腸機能障害(1級・3級・4級の計3等級)
・肝臓機能障害(1級~4級の計4等級)
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害(1級~4級の計4等級)

身体障害のある方が就いている仕事と雇用形態の最新情報

ここからは、身体障害のある方のはたらき方について見ていきましょう。まず、身体障害のある方が実際にどのような仕事に就き、どのような産業に多く従事しているか、最新データを基にご紹介します。

身体障害のある方が多くはたらいている産業

厚生労働省の「平成30年度障害者雇用実態調査結果」によると、身体障害のある方の就業状況を産業別に見た場合、多く雇用されている業種は以下の通りです。

  • 1.卸売業、小売業(23.1%)
  • 2.製造業(19.9%)
  • 3.医療、福祉(16.3%)
  • 4.サービス業(14.6%)

身体障害のある方が多くはたらいている雇用形態

身体障害者の就業状況について、雇用状況の面からも見ていきましょう。身体障害のある方がどのような雇用形態ではたらいているか、以下に多い順からご紹介します。

  • 1.無期雇用の正社員(49.9%)
  • 2.有期契約の正社員以外(27.2%)
  • 3.無期契約の正社員以外(19.9%)
  • 4.有期契約の正社員(3.2%)
参照:平成30年度障害者雇用実態調査結果(厚生労働省職業安定局 障害者雇用対策課 地域就労支援室)

多くの身体障害のある方が能力を生かしてさまざまな業種で活躍し、またほぼ半数の方は正社員として無期雇用ではたらき続けていることがデータから分かります。

身体障害のある方がはたらきやすい環境

次に、身体障害のある方が安定してはたらくにあたって、どのような環境がはたらきやすいのかをご紹介します。

1.職務配置に配慮がある

はたらく人の障害の程度や種類に応じ、適した職務への配置が行われることで、障害のある方も長く活躍することが可能となります。

2.能力開発に配慮がある

身体障害のある方について、個々の得意分野や継続可能な業務などを把握・理解し、それらを伸ばす取り組みが行われることで、個々の持つ能力を生かした活躍を実現できます。

3.職場環境に配慮がある

雰囲気の良いオフィス

身体障害のある方が仕事をするにあたって、動作や体調に関する制限を意識せずにはたらける環境整備への配慮がなされることで、支障を感じることなく業務を続けられます。また通院が必要な場合は、勤務時間についても柔軟に対応するなど、個々の業務ペースへの理解と配慮も大切です。職場環境に配慮があるか、確認しておきましょう。

4.通勤に配慮がある

身体障害があると、通勤が困難になるラッシュ時間帯を避けるため時差出勤としたり、送迎の手段を確保したりするなど、出退勤の手段や時間帯への配慮が必要となるケースが多いことでしょう。仕事内容だけでなく、通勤についても適切な配慮がなされていることにより、長く活躍することができます。通勤に関する配慮についても事前にチェックしておくと安心です。

身体障害のある方に向いている仕事

身体障害のある方に適している職種を挙げるとすれば、勤務中の移動機会や体力的な消耗が少ない事務職など、デスクワーク中心の仕事が向いているといえます。

デスクワークが中心だと、体力負担が少ないことのほか、ある程度ご自身に合わせたペースで業務を進めやすいという特徴も備えています。また職場によっては、在宅勤務の制度が整っている場合もあります。テレワークをご希望の場合は、在宅勤務の制度がある職場への就業を検討すると良いでしょう。

身体障害のある方が仕事を探す方法

身体障害のある方が転職・就職に向け仕事を探す場合には、どのような方法があるのでしょうか。身体障害のある方の仕事の探し方としては、以下の3つの方法が挙げられます。

1.ハローワークの「専門援助部門」を利用する

地域のハローワークには専門援助部門があり、障害のある方の就職・転職のサポートを行っています。最寄りのハローワークにある障害者専用窓口に出向き、就職相談をすることで利用できます。

2.地域障害者職業センターを利用する

地域障害者職業センターとは、各都道府県にあり、障害のある方のための就職支援を行っている施設です。相談支援専門員や障害者職業カウンセラーなどが就職に関する相談にあたり、専門性の高いサポートを受けることが可能です。

3.障害者専用の就職・転職サイトで求人を探す

ビジネスパーソン同士の握手

就職・転職情報を掲載しているサイトの中には、障害のある方専用のサービスを提供しているものもあります。障害者の方の就職や転職に関するノウハウを熟知し、高い専門知識を持つプロのスタッフのサポートを受けられるメリットがあります。専属のスタッフと求職者の方が、二人三脚で就職成功をめざすことが可能です。

身体障害のある方におすすめな就職・転職の方法

身体障害がある方が自分に合った職場を見つけて長くはたらくには、実績が多く知見の広い転職・就職のプロによるサポートを受けながら、就職・転職活動をすることがおすすめです。dodaチャレンジは、障害のある方に特化した就職・転職サービスをご提供しています。多くの身体障害のある方が、dodaチャレンジで適した職場を見つけた事例を以下にご紹介しますので、ぜひご参考にしてください。

身体障害のある方の転職成功事例

身体障害がある方の転職成功事例を以下にまとめました。転職・就職の際、ぜひ参考にしてください。

まとめ

身体障害のある方がさまざまな職場で活躍するケースが増え、多くの企業が身体障害のある方の雇用に関心を持っています。身体障害のある方が転職・就職する際には、新たな職場に配慮に関する希望を明確に伝えることが重要です。
しかし、障害に起因する困りごとははたらき始めてから新たに生じる場合もあるでしょう。その都度相談でき、配慮内容の見直しを柔軟に行ってくれる職場を見つけることも大切になります。
仕事探しにお悩みであれば、身体障害のある方の転職・就職活動を熟知したdodaチャレンジにぜひご相談ください。

公開日:2022/1/7

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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