腎臓病・腎機能障害がある方に向いている仕事・働き方とは?

在宅で勤務するエンジニア

腎臓病・腎機能障害とは、老廃物をろ過するという腎臓の機能が何らかの原因で低下する疾患です。腎臓病があると、日常生活や仕事に制限が出てしまいます。本記事では、腎臓病がある方に向いている仕事や、負担をかけない仕事内容について解説します。

腎臓病・腎機能障害とは

「腎臓病(腎機能障害)」とは、何らかの原因で腎臓の機能が低下してしまう疾患です。腎臓には、血管内の老廃物をろ過したり、体内の水分量を調整したりする機能があります。しかし、腎臓病になるとこの機能が低下し、体内に有害物質が蓄積してしまいます。

その結果、むくみ・だるさ・タンパク尿などさまざまな症状が出て、日常生活や仕事内容などに制限が出てしまうのです。まずは腎臓病・腎機能障害について、次のポイントから解説します。

  • 腎臓病・腎機能障害の主な症状
  • 腎臓病の主な原因

腎臓病・腎機能障害の主な症状

腎臓病の代表的な症状には次のようなものがあります。

  • むくみ
  • だるさ
  • 尿の異常
  • 貧血

腎臓病の代表的な症状が「むくみ」で、手足や顔などが腫れるようになります。むくみの原因は、腎機能の低下で血液中の余分な水分や塩分を体外に排出できず、体内に留まってしまうことです。腎臓病が悪化すると、人体に有害な尿毒症物質が蓄積し、「尿毒症」を発症して疲れやすさやだるさなども生じます。

腎機能の低下により、血尿やタンパク尿などさまざまな尿の異常が出るようになります。また、エリスロポエチンという赤血球をつくるためのホルモンの分泌量が減るため、赤血球の生産能力が低下して貧血になることもあります。

腎臓病の主な原因

腎臓病や腎臓機能障害の主な原因は、先天的な原因のほか、病気や事故などの後天的な理由、生活習慣や加齢などにあると考えられています。偏った食生活・飲酒や喫煙・運動不足などは、心臓病・糖尿病・高血圧などさまざまな疾患の原因となり、腎臓に大きな負担をかけてしまいます。また加齢による腎硬化症や、先天的な腎形態異常も腎臓病の原因となるようです。

腎臓病・腎機能障害の治療方法

腎臓病の治療法には次のようなものがあります。

  • 薬物療法
  • 食事療法
  • 人工透析

薬物療法

腎臓病そのものを治療する特効薬はないため、薬物療法により腎機能の低下を遅らせたり、合併症を予防したりします。薬物療法で使用される薬には、降圧剤・利尿剤・リン吸着薬・エリスロポエチン製剤・ステロイドなどがあります。

食事療法

不規則な食習慣が腎臓病や腎機能障害を悪化させるため、薬物療法と合わせて食事療法を行うことも大切です。たんぱく質・塩分・リンなどの摂取量を制限して、適切な量の水分を取ることで腎臓への負担を軽減します。

人工透析

腎臓病が悪化すると、体内の余分な塩分や老廃物を腎臓で取り除けなくなるため、尿毒症など深刻な状態に陥ってしまいます。これを防ぐために、機械で血液をろ過してきれいにする「人工透析」が行われます。ちなみに、腎臓病の治療法にはステージ1~5までがありますが、透析療法はステージ5の末期腎不全に該当する状態で行われる治療法です。

腎臓病・腎機能障害による仕事内容の制限

病院の廊下

腎臓病を発症することで、仕事や就労に次のような制限が出ることが考えられます。

  • 体力がないため疲れやすい
  • 周囲の理解が得づらい
  • 透析治療は時間の制約もある

体力がないため疲れやすい

腎臓病にかかると体内に老廃物が溜まるため、体力がなく疲れやすい体質になります。そのため、肉体労働や長時間労働を行うと、状態がさらに悪化してしまうので注意が必要です。免疫力も低下するため、感染症にかかって重症化してしまう恐れもあります。

周囲の理解が得づらい

腎臓病の症状は外部から分かりづらいため、周囲からの理解が得づらいことも課題です。周囲の理解や配慮が得づらいため、ストレスを感じてしまうこともあるでしょう。また、人工透析を行っている場合は腕に「シャント」という血管を作りますが、それを傷めてしまうのを防ぐために重い物が持てません。腎臓病を治療しながらはたらくためには、このような点について職場の理解を得ることが必須です。

透析治療は時間の制約もある

腎臓病が悪化すると人工透析が必要になりますが、1回あたり半日ほど時間がかかるうえに、週3~4回程度行わなければなりません。そのため、正社員としてフルタイム勤務することは困難で、配置換えや転職などが必要になることがあります。

腎臓病・腎機能障害がある方に向いている仕事

腎臓病がある方は、職場選びで次のようなポイントを意識しましょう。

  • 柔軟な勤務形態やサポート体制がある企業
  • 身体的負担が少ないデスクワークが向いている
  • 症状によっては身体障害者手帳を取得できる

柔軟な勤務形態やサポート体制がある企業

腎臓病になると、突然体調が崩れてしまうことがあります。そのため、医務室・休憩室や産業医が配置されているなど、充実したなサポート体制が整っていると安心です。また、長時間労働や過労は腎臓病を悪化させるため、フレックスタイム制やテレワーク、時短勤務や週4日勤務など、多様な働き方が選べる職場がおすすめです。

身体的負担が少ないデスクワークが向いている

腎臓病があると疲れやすくなるため、肉体労働やノルマの厳しい職種は心身に大きな負荷がかかり、症状が悪化してしまう恐れがあります。そのためデスクワークやシステムエンジニア、もしくはクリエイティブ職のような、身体的な負担が少ない職種を選ぶことが大切です。システムエンジニアやクリエイティブ職は、在宅勤務ができるケースも多いため、治療しながらでもはたらきやすくなります。

症状によっては身体障害者手帳を取得できる

腎臓病がある場合は、症状や日常生活・仕事への影響などから、身体障害者手帳が取得できることがあります。身体障害者手帳があれば、「障害者雇用枠」で就職できるため、労働環境が整った職場が見つかりやすいうえに、所得税・住民税の控除や医療費補助などが受けられるのでおすすめです。

腎臓病・腎機能障害がある方が転職先を探す方法

PCとノート

現在の職場で症状の改善が難しい場合は、次のような方法で転職先を探すことも検討してみましょう。

  • ハローワーク
  • 就労移行支援事業所
  • 障害者雇用枠に特化した転職サービス

ハローワーク

全国のハローワークでは、一般枠だけではなく障害者雇用枠の求人も紹介しています。専門知識がある相談員から、転職に関するさまざまなサポートが受けられるため、腎臓病の方も仕事を探しやすいことが魅力です。また、履歴書や応募書類作成のサポートや、就職・転職に役立つ職業訓練も受けられるので安心です。

就労移行支援事業所

就労移行支援とは、障害者総合支援法が定める障害福祉サービスのひとつです。就労移行支援事業所では、一般企業への就職を希望する障害者の方々が、必要な知識や能力を習得するための支援を受けることができます。

障害者雇用枠に特化した転職サービス

腎臓病の方がはたらきやすい、障害者雇用枠に特化した就職・転職エージェントも利用できます。障害への理解が深い企業の求人情報が手に入るうえに、就職・転職のための手厚いサポートも受けられるので、腎臓病・腎機能障害がある方も安心です。身体障害者手帳があれば障害者雇用枠を利用できるため、腎臓病の方におすすめの転職方法です。

腎臓病の方の就職・転職には「dodaチャレンジ」がおすすめ

腎臓病・腎機能障害を発症すると、むくみ・だるさなどの症状が出ます。症状が悪化すると人工透析が必要となるため、フルタイムでの勤務が難しくなるかもしれません。現在の職場で治療に専念しづらい場合は、はたらきやすい職場への転職を検討してみましょう。

障害者の方のための転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」では、腎臓病・腎機能障害の方が安心してはたらける企業の求人を紹介しています。就職や転職でお悩みの場合は、この機会にぜひご相談ください。

公開日:2024/6/21

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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