発達障害のある方が退職するときにやるべきことは?退職前後の流れや手続きの方法
発達障害の特性とのミスマッチから、今の会社を退職したいと悩んでいませんか。また退職したくても、次の仕事がすぐ見つかるかどうか不安で、踏み出せない方もいるかもしれません。
今回の記事では、退職を決意する前にできることと、進退に迷ったときの解決のキーポイントを紹介します。実際に退職する際の手続きの流れや、次の仕事探しに役立つ情報もまとめました。
目次
発達障害のある方が退職を決める前に検討すべきこと
発達障害のある方が、仕事がつらくて退職が頭をよぎったときは、まず次の5つのポイントを踏まえて進退を検討してみてください。
- 職場へ相談する
- 医療機関を受診する
- 障害者専門の就業支援窓口を利用する
- 休職する
- 退職後の生活手段を考える
職場へ相談する
退職するかどうか悩んでいるとき、最もシンプルな解決方法は、職場へ相談することです。上司や人事担当者に相談することで、環境調整や配置転換に応じてもらえるかもしれません。もし取り合ってもらえなかったとしても、それが退職を決意するきっかけになるでしょう。
また、会社に相談窓口や産業医が設置されている場合は、積極的な活用をおすすめします。相談窓口や産業医には守秘義務があるため、退職するかどうか悩んでいることが会社に伝わる心配はありません。
医療機関を受診する
発達障害があって定期的に通院している方で、仕事を辞めたいと考えている場合は、まずかかりつけ医に相談するとよいでしょう。医学的な視点から、障害特性に応じた適切なアドバイスがもらえます。
また、仕事や職場の悩みから、心身に不調を感じているときはすぐに医療機関を受診してください。すみやかな受診・治療開始で早期回復が見込めるので、自己判断で軽視せず医師に相談しましょう。
障害者専門の就業支援窓口を利用する
仕事や障害特性に関する悩みは、専門の就業支援窓口へ相談することをおすすめします。発達障害がある方の代表的な就業支援窓口として挙げられるのは、ハローワークや発達障害者支援センターなどです。
障害者雇用の専門的な知識を持つ第三者から、客観的な意見や特性に合わせたアドバイス、就労サポートを得ることで、考えがまとまりやすくなります。また、必要に応じて自身と会社の間に入って環境調整を提案するサービスもあり、合理的配慮が得られるきっかけになるかもしれません。
ただし、発達障害者専門の相談窓口は、障害者手帳の取得が利用条件となっているサービスもあるので注意しましょう。グレーゾーンや現在まだ障害者手帳を取得していない方が就業支援サービスの利用を検討している場合は、事前に問い合わせてみてください。
休職する
仕事に関するつらい気持ちを誰かに相談してもどうにもならないときは、焦って結論を出す前に、休職を視野に入れてみてください。いったん仕事を休むことで、落ち着いた環境でゆっくり考えをまとめる時間が得られます。
ただし、休職制度の有無や内容は会社の任意であり、必ずしも取得できるとは限りません。したがって、休職を検討する際は、まず就業規則を確認することから始めましょう。また休職を申請するときは、医師の診断書があれば手続きがスムーズになるので、かかりつけ医や精神科・心療内科に相談してみてください。
退職後の生活手段を考える
もし退職した場合、すぐに次の就職先が決まるとは限らないため、その間の生活手段について確認しておくことが大切です。退職後の生活基盤を整えておくことで、不安感や焦燥感が薄れ、その後のことを前向きに考えられるようになります。
事前に確認すべき内容は、退職金の有無や、各種失業給付制度が適用されるかどうかなど、主に収入面のことです。離職中に必要となる支出がどれくらいあるのかをチェックしたうえ、それと照らし合わせ、今後の生活の段取りを立てておくとよいでしょう。
一人では考えがまとまらない、何を検討すればよいか分からないというときは、周囲に相談すれば、支援やよいアドバイスが得られるかもしれません。
発達障害のある方が退職するかどうか悩んだときの注意点
退職したいほど仕事がつらい気持ちを抱え続けるのは、とても苦しいものです。現在退職するかどうか悩んでいる場合は、ぜひ次の2つの心がけを思い出してください。
- 悩みを一人で抱え込まない
- 結論を急がない
悩みを一人で抱え込まない
仕事や職場の人間関係などに悩んでいるときは、一人で抱え込まず、誰かに相談してください。孤独な状況で悩んでいると、気持ちが落ち込みやすく、うつ病や適応障害などの二次障害を発症する恐れがあります。
相談相手は医師やキャリアアドバイザーなどの専門家がベストです。誰かに話を聞いてもらうだけでも気持ちが軽くなるので、家族や友人など身近な第三者でも構いません。思い切って悩みを打ち明けてみれば、自分だけでは思いつかないような解決のヒントが得られることもあるでしょう。
結論を急がない
仕事がつらく、気持ちに余裕がないときは「退職するしかない」と思い込んでしまいがちです。しかし、衝動的に退職した場合、経済面の不安や困難を抱える恐れがあります。焦って結論を出すと、後悔するかもしれません。
退職する以外にも、選択肢はたくさんあります。周囲や支援機関に相談し、さまざまな意見を聞いたうえで落ち着いて検討することで、自身にとって最善の方法が見えてくるはずです。
発達障害のある方が退職する際の手続き
検討の結果、退職することを決意した際は、次の手順で手続きを進めましょう。
- 1.職場へ退職の意向を伝える
- 2.社会保険の手続きを進める
1.職場へ退職の意向を伝える
退職することを決めたら、まず直属の上司や人事担当者へその意向を伝えます。退職の意向を伝える一般的な手段は、退職日や退職理由などを記した退職届の提出です。
退職の際、正社員および契約期間が5年以上に渡る労働者の方は、2週間前までに申し入れることが定められています。なお健康上や家庭の事情などやむを得ない理由があるときは、上記の限りではありません(出典:民法|e-Gov法令検索)。ただし、就業規則で退職の申し出や引き継ぎに関する期間が指定されている場合があるため、事前に確認することでトラブルが防げるでしょう。
2.社会保険の手続きを進める
退職が決定したら、次は社会保険の変更手続きを行います。もし有給休暇が残っているなら、その消化期間中に手続きを進めても構いません。
社会保険の変更に必要な手続きは、以下のとおりです。
- 健康保険・年金の切り替え
- 失業保険の申請
健康保険は種類や加入の有無によって手続きの内容や方法が異なりますが、一般的には自治体の窓口で、国民健康保険および国民年金に切り替えます。家族の扶養に入る場合は、その勤め先に相談してください。
また、在職中の社会保険を任意継続することも可能です。その際、退職から20日以内の申請が条件なので注意してください。
くわえて、在職中に雇用保険に加入しており、一定の条件を満たしていれば、申請により失業保険が受け取れます。失業保険の申請には離職票をハローワークへ提出する必要があるので、必ず職場から受け取っておきましょう。
退職後は発達障害の特性に合わせてはたらける仕事について考えてみよう
退職したあと、心身に余裕が生まれたら、次の就職へ向け、どのような仕事なら自身の発達障害の特性に合わせてはたらきやすいかを考えてみてください。一般的に、発達障害がある方に向いているのは、以下のような仕事だといわれています。
- 興味や関心が活かせる仕事
- フレキシブルにはたらける仕事
- 合理的配慮が得られる仕事
- 在宅勤務ができる仕事
また、障害者雇用枠で障害があることをオープンにしてはたらくことで、業務や働き方、環境整備などで適切な合理的配慮が得られる可能性が高まるでしょう。障害者雇用枠の求人への応募は障害者手帳の取得が前提ですが、定着率も高く、安心してはたらき続けられる仕事が見つかりやすいといえます。
発達障害がある方の退職後の転職相談は「dodaチャレンジ」へ
自身の発達障害の特性と仕事とのミスマッチで退職を意識し始めたときは、まず職場や身近な方、専門の支援窓口に相談してみることをおすすめします。障害があって困ったときは、必ず助けとなる存在がいるので、一人で悩まないでください。
相談や検討の結果、退職を決意した場合は、状況が落ち着いてからでいいので次の仕事のことも考えてみましょう。発達障害をはじめとする障害がある方の就活支援は、障害者専門の転職・就職エージェント「dodaチャレンジ」におまかせください。障害者雇用に関する深い知識と理解のあるキャリアアドバイザーが、特性に合わせて自分らしくはたらける仕事探しをお手伝いします。
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公開日:2025/4/30
- 監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
- 上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■障害者職業生活相談員