うつ病でつらいときの「自宅での過ごし方」は?回復のためのポイントや注意点
うつ病は心身ともにさまざまな症状が出る精神疾患ですが、十分な休息を取ることで回復が期待できます。だからこそ、うつ病になったときは「自宅での過ごし方」が重要なのです。そこで本記事では、うつ病から回復するための自宅での過ごし方について、ぜひとも意識したいポイントや注意点を解説します。
目次
うつ病から回復するためには「休養」が最重要
うつ病から回復するためには、十分な休養を取ることが重要です。まずは自宅での過ごし方で特に大切なポイントを見ていきましょう。
- 焦って無理をすると症状が悪化してしまう
- 「頭」をゆっくり休めることで回復していく
- 回復過程に合わせた過ごし方を意識しよう
焦って無理をすると症状が悪化してしまう
うつ病はすぐに治るものではなく、回復には相応の期間が必要となります。しかし、症状が少し回復した段階で「もう休養は不要だ」と感じたり、休むことに抵抗感や罪悪感があったりすることも珍しくありません。十分な休養を取ることなく無理に動き始めると、症状が悪化して回復が遅れてしまう恐れがあります。
「頭」をゆっくり休めることで回復していく
うつ病の治療で最も重要なことは「休養」ですが、そもそも休養とはどうすればいいか分からず、困惑してしまうこともあるでしょう。うつ病は、不安や悩みなどがきっかけとなり、考えすぎるようになることで、発症や症状の悪化につながります。
うつ病になると物事をネガティブに、もしくは複雑に捉えるようになるため、そこから心の向きを変えて休養を取る必要があるのです。厚生労働省のポータルサイトでも、まずは「脳を休ませること」が推奨されています。
うつ病の「回復過程」ごとの自宅での過ごし方
うつ病は「急性期」「回復期」「再発予防期」の3段階の回復過程を経て、少しずつ回復していくと考えられています。回復過程ごとに症状の出方が大きく異なるため、自宅での過ごし方では次のようなポイントに注意が必要です。
- 急性期:とにかく休んでストレスから離れる
- 回復期:無理せずに少しずつできることを増やす
- 再発予防期:ストレスに注意して復帰を目指す
急性期:とにかく休んでストレスから離れる
うつ病の「急性期」では、抑うつ感や意欲の低下、身体のだるさや不眠などうつ病の代表的な症状が強く出ます。これらはストレスの影響を受けて悪化しやすいため、とにかく頭を休ませて心身に負担を掛けないことが大切です。ストレスの原因となるものから可能な限り離れることが、急性期における自宅での過ごし方のポイントだといえるでしょう。
回復期:無理せずに少しずつできることを増やす
うつ病の「回復期」では、前述したような強い症状が出ることは減りますが、日によって気分の浮き沈みが見られるようになります。急性期では常に気分が沈んでいたのに対し、回復期になると多少は気分が良くなる日が増えてくるということです。
だからこそ、つい無理をしてしまうのですが、症状が悪化すると急性期に逆戻りする可能性があります。「休養を多めに取る」くらいの意識で、少しずつできることを増やしていくことが、回復期における自宅での過ごし方のポイントです。
再発予防期:ストレスに注意して復帰を目指す
うつ病の「再発予防期」では、急性期や回復期のつらい症状が寛解して、ある程度は普段どおりの生活が送れるようになります。ただし再発予防期という名のとおり、この時期に無理をすると、うつ病が再発してしまう恐れがあります。
そのため、少なくとも1年以上は生活習慣に注意したり、ストレスを溜めないようにしたりすることが大切です。詳細は後述しますが、復職を目指す場合は職場から配慮やサポートを得るようにして、それが難しい場合は転職を考えるなどの対策が欠かせません。
うつ病から回復するための自宅での過ごし方
うつ病から回復するためには、次のような自宅での過ごし方を意識しましょう。ただし急性期の場合は、無理をすると症状が悪化してしまいます。あくまで半年ほど経って症状が安定し始める「回復期」に入ってから、少しずつ実践していくようにしましょう。
- 生活習慣を整える
- 好きなことを楽しむ
- できることを増やしていく
- 体調の変化に合わせて過ごす
生活習慣を整える
うつ病の症状を悪化させてしまう原因のひとつが、生活習慣の乱れだと考えられています。例えば、厚生労働省の資料によると、夜遅くまで起きて昼まで寝るといった生活を続けていると、体内時計の乱れが睡眠の質の低下を招きます。それがうつ病のつらい症状を、さらに悪化させる可能性があるのです。
そのため、夜は早めに寝て早朝に起きるといった、基本的な生活習慣を意識することが大切です。ただし、すでに生活習慣が乱れている場合は無理をせず、1日10分ずつ就寝時間を早めたり、意識的に日光を浴びるようにしたりするなど、徐々に改善していきましょう。
好きなことを楽しむ
うつ病は症状がつらいときは何もする気が起きませんが、回復期になると「何かを楽しんでみようかな」という気分になるときがあります。そうしたときは、好きな音楽や映画を鑑賞したり短時間の外出を楽しんだりするなど、自分が好きなことをしてみましょう。
好きなことをすることで気分転換になり、心のつらさや負担を軽減できます。ただし、それを毎日続ける必要はないため、気分が安定しないときは心身を休ませるなど、体調に合わせることが肝要です。
できることを増やしていく
さらに症状が安定してきたら、次第に「できること」を増やしていきましょう。できることが増えるという成功体験を重ねることで、自己肯定感が高まって気持ちにゆとりが生まれます。例えば、「短時間の散歩をする」「新聞を少し読む」「図書館で本を読む」などです。ただし「必ずやる」と決めると、できないことがストレスになってしまうため無理は禁物です。
体調の変化に合わせて過ごす
前述したように、うつ病はそのときによって気分の浮き沈みがあるため、できることを増やすなどのタスクに取り組むのは、体調が良い日にする必要があります。気分が良くない日は休むことに専念して、うつ病を悪化させないことを意識するなど、体調の変化に合わせて過ごすことを意識しましょう。
また、体調やその日の出来事などを記録しておくと、体調管理のポイントを把握しやすくなります。自分自身を大切にして体調の変化を敏感に察知することが、うつ病から回復するための自宅での過ごし方のコツです。
うつ病の治療で注意すべき自宅での過ごし方
うつ病の治療効果は「自宅での過ごし方に左右される」といっても過言ではないため、次のようなポイントに注意しましょう。
- 回復を焦ってしまう
- 自己判断で服薬を止めてしまう
- つい頑張りすぎてしまう
回復を焦ってしまう
うつ病を悪化させる要因の代表例が「焦り」です。例えば、「なかなか調子が良くならない」「早く社会復帰したい」など、回復に対する焦りが強いと自分自身を責めてしまい、そのストレスでさらに症状が悪化します。
体調が良かったときの「当たり前のこと」ができなくなるのが、うつ病という疾患です。まずは「うつ病になった自分」を受け入れたうえで、少しずつステップを進めていくことが回復への近道となります。
自己判断で服薬を止めてしまう
うつ病の回復が進むと、元気に過ごせる日が増えてくるため、「そろそろ薬はいらないのではないか」と思うことがあるものです。しかし自己判断で服薬を止めると、その反動で不眠や疲労感などの「離脱症状」が出て、つらい症状が再発するリスクがあります。
うつ病の治療薬には不眠・強い眠気・体重増加など、さまざまな副作用があるため、「早く止めたい」と思うこともあるものですが、必ず医師の指示どおりに服薬することが大切です。
つい頑張りすぎてしまう
うつ病にかかる人は、真面目で責任感が強い傾向があるといわれており、治療の面でもつい頑張りすぎてしまうことがあります。例えば、体調が良いときに遠出をしたり、無理して復職や転職をしようとしたりするなどです。
繰り返し解説したように、うつ病の治療における自宅での過ごし方では「十分な休養」が大原則なので、医師の許可を得てから徐々に社会復帰を目指していきましょう。
うつ病のある方におすすめの転職支援機関・サービス
これまでに解説した「自宅での過ごし方」を意識することで、うつ病は寛解へ向かって徐々に動き出せるようになります。「社会復帰に向けて準備したい」という気持ちが芽生えてきたら、かかりつけ医に就労の許可がえられた段階で、次のような転職支援機関やサービスの利用を検討してみましょう。
- 就労移行支援事業所
- 地域障害者職業センター
- 障害者向けの転職エージェント
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、はたらくための知識やスキルの習得に加えて、就労に向けた総合的なサポートが受けられる機関です。転職後も「定着支援」として、悩みや困りごとの相談ができるため、うつ病の症状に悩む方が安心して利用できます。
ただし、就労移行支援事業所では求人紹介は受けられないため、転職活動はハローワークや転職エージェントなどを利用する必要があります。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、身体的・精神的な障害がある人が職業リハビリテーションを受けることができる機関です。全国の都道府県に設置されており、ハローワークや企業・医療と連携したサポートが受けられます。そのため、安心してうつ病の治療に専念しながら社会復帰を目指せるでしょう。
障害者向けの転職エージェント
うつ病の方が症状の再発・悪化を防ぎながらはたらくためには、ストレス要因が少ない仕事や職場を探すことが大切です。通院や支援機関の利用を通じて「また仕事をしたい」という意欲が出てきたら、専門的な知識とサポート実績がある転職エージェントを活用してみましょう。
障害者向けの転職エージェントでは、うつ病の症状や個人の特性に合う働き方の提案が受けられるので、安心して転職活動ができます。
うつ病のある方の転職相談はdodaチャレンジがおすすめ!
うつ病の治療における自宅での過ごし方では、ゆっくり休むことが大切です。焦って無理せずに「できること」を少しずつ増やしていくことで、急性期・回復期・再発予防期を経て寛解に向かうことができます。かかりつけ医の許可が得られたうえで、無理なく仕事を続けていくために転職をお考えなら、「dodaチャレンジ」へご相談ください。
dodaチャレンジの転職支援サービスでは、うつ病などの精神疾患について専門知識を持ったキャリアアドバイザーが一人ひとりの就職・転職を支援します。あなたに合った求人情報を探してご紹介するほか、応募書類作成のサポートや面接対策、さらに個別相談への対応なども行うので、安心して転職活動に臨めるでしょう。
まずは、キャリアアドバイザーに転職相談を

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公開日:2025/5/1
- 監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
- 上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■障害者職業生活相談員