「うつ病かも」と思ったら？初期の特徴と今後の仕事について考えるヒント

うつ病の初期症状

うつ病とは、慢性的な気持ちの落ち込みと、それに伴う諸症状を特性とする気分障害です。まずは、うつ病の初期によく現れる症状を、身体と精神の2つに分けてみていきましょう。

うつ病初期の身体症状

うつ病初期の特徴的な身体症状は以下の通りです。

疲れが取れない

うつ病になると、まず身体の疲れがなかなか取れないと感じ始めることが多いです。肉体的な疲労や加齢による体力の衰えとは関係なく、身体のだるさや回復の遅さを感じているときは、うつ病のサインかもしれません。

睡眠障害が生じる

不眠・過眠といった睡眠障害は、うつ病の代表的な初期症状の一つです。身体は疲れているのに、不安感や気持ちの妙な昂りで眠れなくなります。意図せず早朝に起きたり、夜中何度も目覚めたりして、なかなか寝つけないこともあるでしょう。逆に常に眠気に襲われ、時間に関係なく起きていられなくなることもあります。

原因不明の身体の不調が生じる

うつ病患者は頭痛や肩こり、下痢・便秘といった不調が現れる方も珍しくありません。一般内科や脳神経外科などの病院にかかっても、身体に病気は見つからず、原因が分からないといわれるケースが多い傾向にあります。

食欲減退もしくは過食になる

食欲の変化もうつ病初期によくある症状です。代表的なのは食欲減退。食欲が湧かず、体重が減少することで、周囲に異変を指摘されることも多いでしょう。逆に食欲が異常に増し、意思とは関係なく過食してしまい、体重が増加するケースもあります。

うつ病初期の精神症状

うつ病になると、初期に次のような精神症状が現れやすくなるといわれています。

悲観的になる

うつ病になると、気持ちがひどく落ち込み、悲観的なことばかり考えるようになりがちです。自分をダメな人間だと否定してしまい、将来に希望が抱けません。さらに悪化すると、人生に絶望感を抱くようになり、希死念慮が生じることもあります。

落ち着きがなくなる

うつ病を患うと、漠然とした不安感や焦燥感からソワソワしてしまい、落ち着きがなくなるという方が少なくありません。居ても立ってもいられず、意味もなく周囲を歩き回ったり、特定の行動・行為を繰り返したりしてしまうことがあります。

身だしなみが気にならなくなる

抑うつ感が強いと、身だしなみに気を遣う気力がなくなります。洗顔や入浴、整髪、爪切りといった日常的な整容動作が疎かになり、清潔感が失われてしまいがちです。

外に出るのが億劫になる

うつ病になると、人との関わりがストレスに感じられるようになり、そのきっかけとなる外出が億劫になります。また、うつ病の特性である慢性的な疲労感や整容動作への忌避感も、引きこもりを加速させる要因の一つです。

飲酒や喫煙が増える

急に飲酒や喫煙が増えたときは、うつ病に注意してください。うつ病による不安感や苦痛を回避するため、無意識に別の行動で紛らわせようとする方が多い傾向にあります。その回避行動の代表例が飲酒や喫煙です。しかし、飲酒・喫煙による気分の軽快は一時的なものでしかありません。飲酒や喫煙は、習慣化すると逆に抑うつ感や不安感が増し、悪循環に陥ることが指摘されています。

うつ病の初期によくみられる仕事上の困り事

最近、心身の不調と併せて、仕事で次のような変化が生じていませんか。

仕事のパフォーマンスが低下する

うつ病になると、集中力が著しく低下しがちです。仕事のやる気が出ず、誤字脱字や物忘れといったこれまでにはなかったようなケアレスミスが増え、パフォーマンスが落ちてしまいます。

仕事に行きたくなくなる

うつ病による心身の不調で、仕事に行きたくなくなる方も多いでしょう。症状の悪化に伴い、徐々に遅刻や早退、欠勤が増えていきます。職場に連絡することすら億劫で、無断欠勤を繰り返すようになるケースも少なくありません。夜眠れないせいで、朝にすっきり起きられず、時間通りの行動ができなくなることも多い傾向にあります。

周囲が散乱した状態になる

うつ病による意欲減退から、身の回りの整理整頓ができなくなることがよくあります。うまく片付けられず、デスクやロッカーが散乱した状態になり、それが原因でトラブルになる方も珍しくありません。

居眠りをしてしまう

うつ病の不眠・過眠症状と関連して、日中にひどい眠気に襲われるようになることがあります。仕事中に頻繁に居眠りをしてしまい、指摘を受けることが増えたときは要注意です。

人間関係のトラブルが増える

うつ病のある方は、人とのコミュニケーションがうまく取れなくなることにより、トラブルが増えることがあります。うまく受け答えできなくなったり、些細なことで癇癪を起こしてしまったりを繰り返すと、次第に周囲から浮いてしまうかもしれません。

自分がうつ病かもしれないと思ったときの対処法

「身体の不調が取れない」「いつもと様子が違う」と思ったときは、すみやかにメンタルヘルス専門の医師へ相談してください。精神科や心療内科への受診が最善ですが、抵抗感があったり、忙しくて時間が取れなかったりする場合、まずは職場の産業医やメンタル窓口へ相談することで対処しても構いません。また、職場によってはストレスチェックやメンタルヘルス研修が実施されており、積極的に参加すれば、うつ病に関する気づきが得られるかもしれません。

うつ病は、速やかな発見・治療開始が早期回復の鍵となります。初期症状を見過ごすと、悪化・長期化を招くほか、抑うつ症状の裏に別の病気が隠れていることもあるので、自己判断は厳禁です。些細な変化でも気のせいだと思わず、すぐに相談するよう心がけてください。

うつ病と診断されたあとの仕事の選択肢

うつ病だと診断された際、現在勤めている仕事をどうすればよいか悩むこともあるでしょう。その際の選択肢として、次の3つの方法が挙げられます。

仕事をしながらうつ病を克服する

前提として、うつ病がある方は休養が最優先です。症状が比較的軽度で、今の仕事を継続する意志を強く持っているなら、治療と就業を両立させられるかもしれません。

精神科や心療内科で治療を受けつつ、職場に相談して配慮を得ることで、仕事と両立できる可能性が高まります。また、治療と仕事の両立には、生活習慣を整えることも大切です。起床・就寝の時間を一定させる、栄養バランスの取れた食事と適度な運動を心がけるなど、リズムの整った生活を心がけましょう。

ただし、症状の悪化や限界を感じたときは、すみやかに別の選択肢を検討することが推奨されます。

うつ病でも仕事は行ける？休まないで克服する方法とはたらけないときの選択肢

就業中の方がうつ病になった場合、まず気になるのは「これからも仕事に行けるのか」ということでしょう。治療中の生活やお金、休職・退職後の復帰に関する不安を抱えている方も多いと思います。…

いったん休職してから職場復帰を目指す

うつ病になり、現状では仕事の継続が難しいものの、今の仕事を辞めたくないと考えている場合は、いったん休職するのも一つの方法です。休職すれば、会社や組織に籍を置いたまま、うつ病の治療に専念できます。

また、会社の規定や加入している社会保険によっても異なりますが、休職中の給与の一部支給や、傷病手当金が受給できるケースもあります。休職中の経済的な不安が気になっている方は、上司や人事担当者に相談してみるとよいでしょう。

なお休職の際は、医師の診断書があると手続きがスムーズになります。休職を検討している場合、まずは精神科や心療内科で相談してみてください。

うつ病で休職することになったら？休職期間中の過ごし方や給料・手当について

この記事では、うつ病で休職することになった場合の手続きや休職期間中の過ごし方についてご紹介します。給与に関することなど、事前に確認しておくべき重要事項もまとめてあります…

退職してより良くはたらける仕事へ転職する

今の会社を辞め、心身をゆっくり休めたいという方には、退職が第一選択肢です。うつ病は、仕事の内容や職場の人間関係などが原因となって発症・悪化するケースも多い傾向にあります。しかし、自身を犠牲にしてまで仕事を続ける必要はありません。

ただ、一時的な感情で早まって退職を決めると後悔する可能性もあります。そのため、まずは精神科・心療内科の医師や、信頼できる周囲の人に相談してみてください。そのうえで退職の意思を固めたときは、職場の上司または人事担当者に申し出ましょう。

なお退職の際は、法律や就業規則などで申請の期日が定められている場合があるため、事前に確認しておくことをおすすめします。退職後、治療や休養で症状が回復して意欲が湧いてきたら、転職・就職支援サービスを活用し、より良くはたらける仕事を探していきましょう。

うつ病で会社を辞めたい…退職前に確認すべきポイントとは

うつ病にかかり「治療に専念したい」「体力や気力が続かない」といった理由で仕事を辞めることを考えている方もいると思います。会社を辞め、ゆっくり休める状況を確保することは大切ですが、退職前に確認しておいたほうが良いこともいくつかあります…

うつ病からの仕事復帰の相談は「dodaチャレンジ」へ

うつ病は、本人や周囲が気づかないまま症状が悪化、重症化するケースも少なくありません。些細な異変からうつ病の兆候を敏感にキャッチし、速やかに受診することが早期回復の第一歩です。受診の結果、うつ病と診断された場合は、まずは休養に努めましょう。症状が回復してきたら、自身の体調を最優先に、希望や将来的な展望も踏まえ、今後の仕事について考えてみませんか。

うつ病からの仕事復帰にあたり、障害者雇用枠での就労を検討している場合は「dodaチャレンジ」へご相談ください。障害特性や障害者雇用に関する専門知識を持つキャリアアドバイザーが専任となり、より良くはたらける仕事探しをサポートします。会員登録およびサービスの利用はすべて無料です。まずはお気軽にご登録ください。

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公開日：2025/6/26