オワハラとは?企業がオワハラを行う理由や具体的なパターン・対処法を解説

オワハラ

「オワハラ」は近年、ハラスメントの一種として問題視されることが増えています。オワハラは簡単にいうと、内定を出した企業が対象者に「就活の終了」を強要することであり、職業選択の自由を侵害する行為とみなされています。

しかし、いざオワハラを受けたときに、どう対応すべきか分からないこともあるでしょう。そこで本記事では、オワハラの概要や代表的なパターン、対処法などについて解説します。

オワハラとは

まずは「オワハラとは何か」について、次のポイントから見ていきましょう。

  • 就職活動の終了を強要する行為
  • 就活生の約1割がオワハラを経験している
  • オワハラが注目されている背景

就職活動の終了を強要する行為

「オワハラ」とは、「就活終われハラスメント」の略称であり、企業が内定や内々定を出した就活生に対し、就活の終了を強要することを指します。そのため、就活生がその企業に就職する場合は、ほかの企業に応募することはできず、仮に選考が進んでいる場合でも辞退しなければなりません。

厚生労働省が発表した資料では、オワハラは憲法で保障された「職業選択の自由を侵害する行為」であるとされており、企業や事業者に対する注意喚起が行われています。

就活生の約1割がオワハラを経験している

内閣府が発表した学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査(令和6年度)によると、就活生の9.4%が「オワハラを受けたことがある」と回答しました。

さらにその内訳として、「内々定を出す代わりに他社への就職活動を止めるように強要された」が約6割を占めています。このように、一定数の就活生がオワハラを受けており、障害者雇用においても決して他人事ではないため、オワハラへの対処法を理解しておくことが大切です。

オワハラが注目されている背景

オワハラという言葉は、2015年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされたことで、広く知られるようになりました。オワハラが増えた背景として、就活の解禁時期が影響していると考えられます。

厚生労働省の資料にあるように、2015年には政府与党の要請で、経団連(日本経済団体連合会)加盟企業の採用選考開始時期が、6月から8月へ後ろ倒しになりました。しかし、中小企業やベンチャー企業など、経団連非加盟の企業はその影響を受けません。

そこで、加盟企業への人材流出を防ぐために、オワハラを行う企業が増えたのではないかと考えられています。一般雇用だけではなく、障害者雇用枠においても同様にオワハラが行われています。

企業が就活生にオワハラをする理由

前述したように、オワハラは就活生の権利を侵害する行為であるため、企業がオワハラを行うことは禁止されています。しかし次のような理由から、企業が就活生にオワハラをすることがあると考えられています。

  • 優秀な人材を確保したい
  • 採用活動を効率化したい
  • 法定雇用率を満たしたい

優秀な人材を確保したい

企業は優秀な人材を求めるものですが、そうした人材はほかの企業からも内定を受ける可能性が高いです。特に近年では、さまざまな業界で人手不足が深刻化しており、企業の人材獲得競争が激化しています。他社への人材流出を防ぎ、確実に自社に入社してもらうための「行き過ぎた囲い込み」として、オワハラが行われてしまうのです。

採用活動を効率化したい

企業の採用活動には相応のコストがかかり、内定辞退によって採用計画の見直しや追加募集が必要なこともあります。そこで採用活動を効率化するために、内定者を囲い込もうとして、オワハラが起きてしまうケースが珍しくありません。

また、内定者の自社への志望度が本当に高いかどうか、その真意を知るために自社への就職を強く求めて、内定辞退をできるだけ減らそうとすることもあります。

法定雇用率を満たしたい

従業員数が一定以上の規模の企業・組織では、従業員に占める障害者の割合を「法定雇用率」以上の割合で雇用する義務があります。

その法定雇用率は定期的に引き上げられており、2025年3月時点では2.5%となっています。この数値を満たせない場合は罰則が科せられる場合があるため、採用目標を達成するために障害者雇用で行き過ぎた囲い込みが行われて、オワハラになるケースも珍しくないでしょう。

オワハラの代表的な種類や特徴

内定承諾書

就活生がオワハラに対処するためには、オワハラの種類について理解しておくことが大切です。代表的なオワハラのパターンとして、次のようなものが挙げられます。

  • 1. 強要
  • 2. 懐柔
  • 3. 脅迫

パターン1:強要

オワハラの代表的な種類が「強要」です。これは基本的には「就活の終了」を共有するもので、次のようなパターンが考えられます。

  • 他社の内定辞退を強要する
  • 内定承諾書へのサインを強要する

例えば、「他社の内定辞退と引き換えに内定を出す」「入社を宣誓する内定承諾書にサインさせられる」など、自社への入社以外の選択肢を奪うようなオワハラです。厚生労働省の資料にもあるように、内定承諾書に法的拘束力はないのですが、一度サインすると心理的な面で内定辞退が難しくなるため注意が必要です。

パターン2:懐柔

「懐柔」はあからさまに内定辞退を強要するものではありませんが、他社への就職活動を行いづらくなるように干渉するタイプのオワハラです。具体的には次のようなパターンが考えられます。

  • 内定後の研修会で長時間拘束する
  • 社長や役員による過剰な接待を行う
  • 懇親会で先輩に入社を薦められる

例えば、内定者向けの研修会やインターンシップなどで就活生を長時間拘束すれば、スケジュールや疲労の影響で他社への就職活動が行いづらくなります。また、高級レストランでの食事会や社長直々の手紙など手間やコストをかけることで、就活生に内定辞退への罪悪感を抱かせるケースもあります。

パターン3:脅迫

悪質なオワハラとして、他社の選考や内定を辞退せざるを得ない状況を作り出すような、次のような脅迫パターンもあります。

  • 「内定辞退で損害賠償を請求する」と言う
  • 高圧的な言動で内定辞退を拒否される
  • 「その大学からは今後採用しない」と言う

例えば内定を辞退しようとしたら、「これまでにかかった費用を請求する」「内定承諾書にサインしただろう」と脅されるなどです。大学や専門学校、後輩に迷惑がかかると言われたり、「ふざけるな」などと高圧的な対応をされたりするケースもあります。

オワハラを受けたときの対処法

企業からオワハラを受けたとしても、就活生はそれに従う必要はありません。就職活動はその後の人生を左右する大きな出来事なので、安易な決断をしないことが大切です。そのために、次のようなポイントを意識して毅然とした対応を取りましょう。

  • 要求に従わず就職活動を継続する
  • 大学の就職支援センターに相談する

要求に従わず就職活動を継続する

冒頭で触れたように、憲法により「職業選択の自由」が保証されているため、就活生は自分が納得できるまで就活を続けることができます。そのため、たとえ内定を出した企業が「就職活動の終了」「他社の内定辞退」「内定承諾書へのサイン」などを要求してきたとしても、就活生はそれに従う必要はありません。

また、頻繁な連絡や研修の開催などは必ずしもオワハラとは限りませんが、スケジュール的に参加が難しい場合は調整してもらうようにしましょう。

大学の就職支援センターに相談する

企業からオワハラを受けてその対応に困ったときは、大学の就職支援センターに相談するのも効果的です。前述したように、就職活動は人生を左右するため、自分ひとりで判断すると将来的に大きな後悔になってしまうかもしれません。

就職課やキャリアセンターの担当者は、これまでにさまざまなケースに対応してきた経験があるため、適切なアドバイスが得られるはずです。特に「今後あなたの大学からは採用しない」などのオワハラ発言を受けた際は、大学側への影響もあるため必ず相談するようにしましょう。

納得のいく就活を行うために内定者ができること

前述したように、オワハラは禁止されている行為ですが、就活生の不適切な行動や内定辞退がオワハラを招いてしまうことがあります。また、就職エージェントを活用して就活することも、障害のある方が後悔のない就職活動を行うためには有効です。以上を踏まえて、就活時に次のようなポイントを意識してみましょう。

  • 早めに内定辞退する
  • 音信不通にならない
  • 就職支援サービスなどを活用する

早めに内定辞退する

何らかの理由で内定を辞退する場合は、できるだけ早めに会社に連絡することが大切です。前述したように、内定辞退によって採用計画の見直しが必要なケースがあります。入社日が近づいてからの内定辞退は、企業側にとって大きな負担となるため、オワハラが発生する可能性があるのです。

音信不通にならない

内定者には社会人としてのモラルが求められているため、「音信不通」になってしまうことは避けたいところです。また、オワハラを受けたからといって音信不通になっても、問題は解決できないため、前述したように就職支援センターなどに相談したり、はっきりと内定辞退の意思表示をしたりすることが大切です。

就職支援サービスなどを活用する

オワハラはクローズ就労やオープン就労を問わず、障害のある方の就職活動においても行われる可能性があります。障害のある方がオワハラを受けてしまった場合や、オワハラを受けてしまうことが心配な場合は、後悔のない就職を実現するためにも、プロのサポートが得られる支援機関やサービスを利用するのがおすすめです。

特に障害者向けの転職エージェントでは、専門知識があるキャリアアドバイザーから、個人の障害特性や適性に合った仕事の紹介が受けられるので、後悔のない就職活動が行いやすくなるでしょう。

障害のある方の就活にはdodaチャレンジがおすすめ!

キャリアアドバイザー

企業によるオワハラは障害者雇用でも行われており、オワハラを受けると就職活動の自由が奪われてしまいます。オワハラの種類はさまざまですが、いずれの場合でもオワハラに屈することなく、「後悔のない就活」を貫くことが大切です。

障害者雇用など障害を開示して就労する場合、納得のいく就職活動を行うためには、自分に合った企業を選ぶ必要があります。迷ったときに相談に乗ってくれたり、後押ししてくれたりするパートナーの存在は心強いものです。障害のある方の就職活動のお悩みは、ぜひ「dodaチャレンジ」へご相談ください。

dodaチャレンジの就活支援サービスでは、さまざまな障害に関する専門知識を持ったキャリアアドバイザーが一人ひとりの就活を支援します。あなたに合った求人情報を探してご紹介するほか、応募書類作成のサポートや面接対策、さらに個別相談への対応なども行いますので、安心して就職活動に臨めるでしょう。


公開日:2025/5/1

監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■障害者職業生活相談員
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