精神障害者保健福祉手帳2級の判定基準とは?取得するメリットや利用できる制度・サービス

障害者手帳のイメージ

「精神障害者保健福祉手帳」は、一定の精神障害や発達障害の状態にあり、長期にわたり日常生活や社会生活への制約がある方が取得できる障害者手帳です。障害の内容によって1級~3級の等級があり、精神障害者保健福祉手帳の「2級」はその中間の等級です。

これから精神障害者保健福祉手帳を取得しようとお考えの方は、自身がどの等級に該当するか、2級を取得した場合のメリットや受けられる支援などが気になるでしょう。そこで本記事では、精神障害者保健福祉手帳2級の判定基準や取得するメリット、利用できる制度・サービスについて分かりやすく解説します。

精神障害者保健福祉手帳とは

精神障害者保健福祉手帳」は障害者手帳の一種で、精神疾患が原因で生活や仕事において長期間、一定以上の支障が出ている人に交付されます。精神障害者保健福祉手帳の等級や交付の基準は、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法) 」で定められており、障害の程度によって1級から3級の等級があります

厚生労働省の「令和5年度衛生行政報告例の概況」によると、精神障害者保健福祉手帳を所有する人は2023年度では約145万人で、前年度から10万人以上増えました。

精神障害者保健福祉手帳の対象となる精神疾患

精神障害者保健福祉手帳の交付対象となる精神疾患として、次のようなものが挙げられます。

  • 統合失調症
  • うつ病や双極性障害
  • 高次脳機能障害
  • 発達障害
  • その他の神経症性障害やストレス関連障害など

いずれの精神疾患も「生活に支障が出る場合」に、精神障害者保健福祉手帳の交付対象となる可能性があります。

精神障害者保健福祉手帳の障害等級と判定基準

厚生労働省の資料によると、精神障害者保健福祉手帳の障害等級は次のような基準で判定されます。

障害等級 精神障害の程度
1級 精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級 精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級 精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの

障害等級の判定は「精神疾患の状態」と「能力障害の状態」、つまり精神疾患の「症状」と「できることの範囲」の2つの要素から行われます。生活や仕事で困難なことが増えると障害等級が上がり、精神障害者保健福祉手帳2級は生活に大きな支障をきたしている状態を指します。

精神障害者保健福祉手帳2級の日常生活・仕事への影響

精神障害者保健福祉手帳2級に該当する方の具体的な状態・症状について、次の2つの観点から見ていきましょう。

  • 生活への影響
  • 仕事への影響

生活への影響

精神障害者保健福祉手帳2級に該当する人は、日常生活におけるさまざまな部分が大きな制約を受けます。例えば、うつ病の影響で気分の落ち込みが激しく、家事や金銭管理がままならなかったり、対人関係で会話や感情のコントロールが困難だったりするなどです。このように、日常生活を単独でスムーズに行うことが難しいため、身近な人のサポートが必要になることが多い傾向があります。

仕事への影響

精神障害者保健福祉手帳2級に該当する人は、仕事においても制約を受けることが多くなります。例えば「疲れやすく長時間の集中が難しい」「体調の波により勤務時間が不安定になる」などです。

また、対人関係やコミュニケーションが大きなストレスとなるので、周囲の理解がない状況でははたらくこと自体が難しくなります。そのため、短時間勤務や在宅勤務のようなフレキシブルな働き方ができるなど、障害への適切な配慮が得られる職場を選ぶことが大切です。

精神障害者保健福祉手帳2級を取得するメリット・受けられる支援

患者の手を包む看護師の両手のイメージ

精神障害者保健福祉手帳2級の交付を受けることで、次のようなメリットがあります。

  • 経済的なサポートが受けられる
  • 自治体の福祉サービスを利用できる
  • 障害者雇用枠で就労できるようになる

経済的なサポートが受けられる

精神障害者保健福祉手帳2級を取得すると、次のように税金の控除や公共料金の割引など、さまざまな経済的支援が受けられるようになります。

  • NHK受信料の減免
  • 所得税・住民税・相続税の控除および減免
  • 給付金の非課税
  • 鉄道・バス・飛行機など公共交通機関の料金割引
  • 映画館・美術館・テーマパークなど余暇施設の料金割引
  • 携帯電話料金の割引
  • 医療費の助成

なお、税制の特例については国税庁のページをご確認ください。

自治体の福祉サービスを利用できる

自治体によっては独自の福祉サービスが受けられるケースがあります。例えば、さいたま市の「心身障害者福祉手当」や姫路市の「姫路市障害者福祉金」などのように、月額・年額など一定期間ごとに給付される手当などです。ただし、居住期間や所得などの条件が設けられていることもあるため、事前に窓口などで確認しておきましょう。

障害者雇用枠で就労できるようになる

精神障害者保健福祉手帳2級を取得することで、「障害者雇用枠」で就労できるようになります。

障害者雇用枠とは、一般雇用枠とは別に障害者手帳を所持している方を対象とした採用枠です。障害への理解や合理的配慮が得やすい職場で、安心してはたらけることが大きなメリットです。これにより就職・転職後の定着率が上がり、長期的に安定就労しやすくなります。なお合理的配慮の詳細については、次の記事も併せてご確認ください。

精神障害者保健福祉手帳2級の方をサポートする支援機関・サービス

精神障害者保健福祉手帳2級を取得している方は、前述したように生活や仕事で困難な部分が多いため、障害者雇用枠で就労することで、障害特性や症状と付き合いながらはたらきやすくなります。

しかし、そもそも「どうやって仕事を見つけるか」が、障害者雇用での就労を目指す方のハードルでもあります。そこで次のような就労のための支援機関・サービスを活用することで、あなたに合う仕事や職場が見つかりやすくなるでしょう。

  • ハローワークの障害者関連窓口
  • 就労移行支援事業所
  • 障害者向けの転職エージェント

ハローワークの障害者関連窓口

ハローワークの「障害者関連窓口」は、障害のある方を対象とした就労支援サービスです。専門知識がある担当者に相談することで、ご自身に合った求人を紹介してもらえます。履歴書作成や面接対策などのサポートも受けられるので、スムーズな転職活動ができるでしょう。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、就労を目指している障害者の職業準備性を整える就労トレーニングや、就職・転職活動の個別支援を求職者に提供している機関です。はたらくための知識やスキルの習得に加えて、就職・転職後も定着支援として困りごとや悩みを相談できます。

パーソルダイバースが運営する「ミラトレ」は、障害のある方の就労をかなえるための就労移行支援事業所です。安定したはたらき方を実現するために、さまざまな支援を行っておりますのでお気軽に見学・ご相談ください。

障害者向けの転職エージェント

精神障害者保健福祉手帳2級を取得している方が、ご自身に合った仕事を探すためには「障害者向けの転職エージェント」の活用がおすすめです。精神障害のある方が就労を目指すとき、障害への理解が職場で得られるかなど、不安や悩みがつきものです。

適切な合理的配慮を得るためには、まずご自身の障害特性や症状を理解したうえで、必要な配慮事項をまとめる必要があります。障害者向けの転職エージェントでは、サポート実績が豊富な専任のキャリアアドバイザーが障害のある方にとって「はたらきやすい環境」での就労をサポートします。

精神障害者保健福祉手帳2級の方の転職支援も「dodaチャレンジ」で!

転職活動中の人々のイメージ

精神障害者保健福祉手帳2級を取得するメリットは、経済サポートや、自治体などのあらゆる福祉サービスが利用できるほか、障害者雇用枠での就労が可能となることです。はたらくことに悩みがあり、就職・転職を検討されている方は、障害者の就労を支援する機関やサービスの利用を検討してみましょう。

精神障害のある方が就職・転職を目指すときは、パーソルダイバースの転職支援サービス「dodaチャレンジ」がおすすめです。専門知識があるキャリアアドバイザーが、あなたの「障害特性や症状への理解が得られるか」「それに適した就労環境が見つかるか」といった不安と向き合い、理想の就労・転職をかなえるサポートをします。

公開日:2025/10/24

監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■障害者職業生活相談員
  • dodaチャレンジで、専任のキャリア
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