【実態調査】精神障害・発達障害のある方で休職経験者は約7割。合理的配慮とはたらきやすさの関係に迫る
精神障害や発達障害がある方は、その特性から職場でストレスやトラブルを抱えやすく、休職にいたるケースも少なくありません。休職に至る背景には、個人的なことだけでなく、職場環境といった外部要因も大きく影響しています。
障害のある方のための転職・就職エージェント「dodaチャレンジ」では、精神障害・発達障害のある方300名を対象に、休職に関するアンケート調査を実施。その結果、休職経験者は約7割にのぼり、合理的配慮と障害理解の有無が、はたらきやすさ・休職後の働き方に大きく関わることが明らかになりました。この記事では、精神障害・発達障害がある方の休職経験やその実態から、安心してはたらき続けるための選択肢を読み解きます。
- 精神障害・発達障害がある方のうち67.3%が、職場環境や働き方に起因する問題から、現在または過去の職場で休職を経験
- 休職後、半数以上が3ヶ月以内、7割超が半年以内に職場復帰している
- 一方で、休職後に「1年以上かけて復帰(12.9%)」した層や「復職せずに転職(6.4%)」した層も一定数存在する
- 休職を会社に伝えた際の反応は、「業務に関する具体的な配慮・提案(26.3%)」「働き方に関する具体的な配慮・提案(24%)」など、具体的な合理的配慮を挙げられるケースが多かった
- その反面、「理解不足やネガティブな対応があった(12%)」「退職を勧められた(4.7%)」という回答もあり、職場の理解不足が休職や離職につながる実態も伺えた
調査概要
調査日 :2026年5月15日
調査方法:インターネットアンケート調査(Freeasy)
調査対象:精神障害または発達障害のある方
サンプル数:300名
<調査結果の引用・転載時のお願い>
本記事の調査結果や画像を引用する場合は、「dodaチャレンジ」の名前を明記のうえ、引用元として以下のリンク設置をお願いいたします。
https://doda.jp/challenge/contents/column/304.html
目次
精神障害・発達障害がある方の約7割が休職を経験している事実が判明
精神障害・発達障害がある方に、現在、または過去の職場での休職経験について尋ねたところ、休職したことがあると回答した方の割合は67.3%でした。想像以上に多くの方が、休職という選択に悩み、一度は立ち止まらざるを得ない状況にあったことが分かります。
さらに、休職経験者の障害開示状況を調べたところ、以下のような結果が得られました。
| 休職経験者の障害開示状況 | 割合 |
|---|---|
| 開示している | 65.4% |
| 開示したいと思っているが開示していない | 27.7% |
| 開示するつもりはない | 6.9% |
休職経験者は、障害を開示していない方より、開示している方のほうが多い傾向が見られます。一般的に、休職に至るまでには、業務内容や職場環境、個人の体調などさまざまな要因が影響しているものです。そのため、一概にはいえないものの、この結果は以下2つの背景を示唆していると考えられます。
- 就労が難しい状態にあるとき、障害を開示していたことで休職について相談しやすかった
- 障害を開示していても、職場の理解や配慮が十分ではなく、はたらきづらさが生じた
一方、休職経験者のうち、障害を開示していない方は合わせて3割程度に留まりました。この結果からは、休職経験者の中でも障害開示に対する考えや状況がさまざまであることが分かります。
いずれにせよ、休職に至るほどのストレスやトラブルを防ぎ、安定してはたらき続けるためには、本人の努力だけでなく「職場の環境や体制」が欠かせません。仕事で困ったときに「気軽に相談できるかどうか」が、はたらきやすさを左右する大事な要素の一つになりそうです。
3ヶ月以内の職場復帰が最多となった一方で、約2割が「1年以上の長期休職」や「復職せずに転職」を選択
休職から職場復帰までにかかった期間について尋ねたところ、「3ヶ月以内で復帰(29.7%)」が最も多く、全体では休職経験者の7割超が半年以内に職場復帰していることが分かりました。一方で、「1年以上で復帰(12.9%)」した方や「復職せずに転職(6.4%)」した方もおり、約2割は長期休職や転職という選択を経験していました。
この結果から、休職後の進路は一様ではなく、体調や職場環境、働き方などによって選択が分かれる実態が伺えます。
多くの企業は、休職を「職場復帰を前提とした制度」と位置づけています。そのため、休職したからといって、悲観的に捉える必要はありません。しかし、休職や体調不良の直接の原因が仕事・職場にある場合や、相談しても改善や適切な配慮が得られない場合は、職場復帰が最適な選択とは限らないこともあります。業務負担や職場環境、働き方が変わらないまま復帰すると、再び不調に陥る可能性もあるためです。休職中に、現在の職場や働き方に不安がある場合は、次のようなアクションが選択肢になります。
- ハローワークや就労移行支援事業所などに復職支援(リワーク)について相談する
- 転職エージェントのキャリアアドバイザーに自分に合った仕事や働き方を相談する
なお、休職中に転職活動を始めることは推奨されていません。法律で禁止されているわけではないものの、多くの企業は「休職を復職を前提とした制度」としているため、休職中の転職活動がトラブルにつながる可能性があります。休職をきっかけに転職を検討する際は、就業規則や個別の状況、体調などを考慮しつつ、慎重な判断が必要です。
はたらきやすさを左右する「特性に応じた配慮」と「職場の理解」
続いて「休職を会社に伝えた時の職場の対応」について尋ねたところ、長くはたらきやすい職場とはたらきづらい職場それぞれに共通するポイントが見えてきました。
長くはたらける職場に共通する「合理的配慮」と「障害理解」
最も多かった回答は「業務に関する具体的な配慮・提案があった(26.3%)」です。そのほか「働き⽅に関する具体的な配慮・提案があった(24%)」「職場環境の改善をしてくれた(11.7%)」といった回答も多く見られました。業務量の調整やマニュアルの整備、柔軟な働き方の採用、パーテーションやイヤーマフの利用をはじめとする職務スペースの環境調整など、具体的な配慮がある職場では、多くの方が就労を継続しやすいと感じていることが分かります。
こうした「合理的配慮」の提供は、現在すべての企業に課せられている義務の一つです。従って、業務上の困りごとやはたらきづらさを職場に相談し、合理的配慮を求めることは、決して特別な要求ではありません。とはいえ、必要な配慮事項は、個々の障害特性や業務内容によって異なります。だからこそ、障害のある方本人と企業が対話を重ねながら調整していくことが重要なのです。
配慮や理解が得られない場合は「環境の見直し」も選択肢
一方で「会社からの理解不⾜や、ネガティブな対応・反応があった(12%)」「退職(自主退職)を勧められた(4.7%)」という意見もありました。休職の申し出に、心ない言葉や理解のない言動、適切なフォローが得られないケースもあることが分かります。
こうした配慮不足や無理解は、会社側の障害者雇用や精神障害・発達障害に関する知識が十分でないことが要因の一つだと考えられます。はたらきづらさや休職の原因を、自分だけに求める必要はありません。
職場とのミスマッチにより、現職への復帰が難しい場合は、環境を見直すことが今後のはたらきやすさにつながることもあります。例えば、障害者手帳を保有している場合は、障害を開示してはたらく「障害者雇用枠」を検討することも選択肢の一つです。手帳を取得していない方は、必要に応じて、医師や障害者の支援機関に相談してみるのもよいでしょう。
ただし、休職中は心身の回復を優先すべき時期なので、今後のキャリアについて重要な判断を急がないことが大切です。休職後の働き方や、自分に合った仕事・職場を見極めるためには、専門的な相談ができる相手がいると安心です。まずは、利用できる就労支援サービスの情報を集め、身近な相談先を確認することから始めるとよいでしょう。
休職経験者に見られた職場環境や働き方とのミスマッチ
今回の調査では、精神障害・発達障害のある方の約7割が休職を経験しており、その背景には、職場環境や働き方に関する要因があることが分かりました。また、職場復帰にかかる期間は3ヶ月以内が最多で、休職経験者の7割超が半年以内に職場復帰しています。一方で、職場復帰に1年以上かかるケースや、職場に復帰せず、転職を選択するケースも2割程度見られました。
職場から受けた対応では「業務に関する具体的な配慮・提案があった」「働き方に関する具体的な配慮・提案があった」といった回答が多くみられました。この結果から,職場からの支援や配慮がはたらきやすさに影響していることが伺えます。その一方で、休職時に理解不足やネガティブな対応を経験したという声もあり、障害への理解度や、職場環境によってはたらきやすさに差が生じる実態も明らかになりました。
■本調査に関する考察:戸田 幸裕
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
今回の調査から、精神障害・発達障害がある方の休職の背景には、個人の問題だけではなく、職場環境や働き方とのミスマッチが大きく影響していることが改めて示されました。重要なのは、休職という経験を「回復の期間」に留めるのではなく、その後の働き方を見直す機会と捉える視点です。
適切な合理的配慮や環境が整えば、安心してはたらき続けられる可能性が高まります。加えて、復帰後の環境に不安を感じる場合には、自分だけで無理に結論を出そうとせず、第三者に相談しながら状況を整理することが重要です。
障害のある方のための転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」では、一人ひとりの状況に合わせた選択ができるよう、企業紹介から定着支援まで一貫してサポートしています。将来の働き方に迷いが生じた際には、一人で抱え込む必要はありません。主治医や支援機関への相談に加え、転職エージェントの活用も選択肢の一つとしてご検討ください。
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公開日:2026/07/31
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