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睡眠中に無呼吸の状態が繰り返される病気、それが睡眠時無呼吸症候群。英語での病名、Sleep Apnea Syndromeの頭文字を取って「SAS」と呼ばれることもある。最近では認知度も高まってきたが、睡眠中に症状が現れるだけに無自覚の有病者も多く、日本人の有病率は3〜4%と推定されている。 |
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この睡眠時無呼吸症候群の症状は、睡眠中に、呼吸が停止(無呼吸)したり、気道が狭くなることによって呼吸が細くなる(低呼吸)というもの。医学的には、10秒以上の無呼吸や低呼吸状態が1時間に5回以上繰り返されると、睡眠時無呼吸症候群だと定義されている。この病気の兆候となって現れるのが、いびきだ。もともと、いびきは気道が狭くなることによって喉の粘膜が振動して独特な音が出るもので、飲酒や疲れといったその日の体調によって起こることもある。だが、就寝後しばらくしてから大いびきが始まり、いびきといびきの間に呼吸が停止してしまう場合、これは睡眠時無呼吸症候群のシグナルとみることができる。
「無呼吸」と聞くと、睡眠中に呼吸が停止して死んでしまうのでは?と思いがちだが、睡眠中にそのまま死に至るわけではない。睡眠時無呼吸症候群の弊害として最も大きいのが、無呼吸が原因による睡眠の質の低下といえる。これは一晩に何度も無呼吸状態になるため、夜中に目が覚めてしまう中途覚醒が起こり、結果として日中の眠気、起床時の頭痛、不眠などの睡眠障害が現れるのだ。
なかでも日中の眠気は、車を運転する人にとっては事故のもとになる重大な問題。現に、睡眠時無呼吸症候群が原因で運転中に急激な眠気に襲われ、居眠り運転やハンドル操作ミスによる事故を起こしてしまうケースが多発している。とくに2003年に起こった新幹線運転士が約8分間居眠り運転をした後、自動運転制御装置で停止したという事件が記憶に残っているだろう。この運転士が重度の睡眠時無呼吸症候群の有病者であったため、この症状は交通安全の面でも社会的に大きな関心を集めることとなったのだ。
こうした深刻な現状を受けて、2007年に警察庁交通局では運転免許を保有する約3000人を対象にアンケート調査を実施している。この調査によると、「自分が睡眠時無呼吸症候群ではないかと思うこと」が「ある」と回答したのは全体の6.8%。「医師により睡眠時無呼吸症候群と診断されたこと」が「ある」と回答したのは全体の1.1%であった。さらに、「睡眠時無呼吸症候群ではないかと思うこと」が「ある」と回答した人のうち、居眠り事故の経験が「ある」と回答したのは23.1%にも上っている。これは回答者全体に占める割合の2.2倍もの数字だ。「睡眠時無呼吸症候群と診断されたこと」が「ある」と回答した人においては、32.4%が「居眠り事故の経験がある」と答えている。これは回答者全体の回答率の3.1倍という驚くべき結果である。このことからもわかるように、睡眠時無呼吸症候群は居眠り運転による事故の危険性を大いに高めてしまうのだ。
いびきや日中の眠気のほかに、合併症を罹患するケースが多いというのも、睡眠時無呼吸症候群の特徴だ。とくに併発しているものとしては、肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症といった生活習慣病が多い。これは無呼吸によって酸素の取り込みと二酸化炭素の排出が一時的に停止してしまうことが原因と見られている。血液中の酸素不足と炭酸ガスの排出不全が繰り返されることで、血流の変化、血液凝固といったさまざまな要因により、臓器に多大な悪影響を及ぼすことになってしまうのだ。
こうした合併症として現れる生活習慣病を放置しておくと、脳梗塞や心臓病などの死に至る病気に発展してしまうケースもあるため要注意。睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病は密接に関連しているので、適度な運動や食事制限などの生活習慣病の治療法を行うことでも、睡眠時無呼吸症候群の症状を緩和させることにつながるという。飲酒や喫煙といった習慣を見直すのも効果的だ。
ただし、睡眠時無呼吸症候群に加えて合併症もあるという場合は、命に関わりかねないので医療機関で検査や診断を受ける必要がある。また、睡眠時無呼吸症候群は寝ている間の症状だけに自分では気づきにくい。家族やパートナーの客観的な意見も参考にするといいだろう。睡眠時無呼吸症候群の症状に思い当たるものがある人は、早めに医師や専門家に相談し、快適な睡眠を取り戻してほしい。
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