免疫機能障害の治療と仕事は両立できる?就業上の必須条件や支援機関をご紹介

悩みをかかえる男性

免疫機能障害を発症し、これまでの社会生活や就業を維持できないのではないかと不安に感じている方はいませんか。結論として、免疫機能障害の治療と就業は両立できます。治療により症状が良くなり、一般の方と同様に仕事をしている方も少なくありません。しかし、病気の原因や障害特性への誤解・偏見に苦しんでいる方がいることも事実です。

この記事では、免疫機能障害がある方がより良くはたらける働き方や環境、就業上の注意点をお伝えします。就職・転職活動の支援サービスに関する情報もまとめていますので、障害があってもはたらきやすい仕事を探している方はぜひ参考にしてください。

免疫機能障害とは

はじめに、免疫機能障害の特徴をご説明します。主な原因の一つであるHIV感染症とエイズの違いについても、正しく理解しておきましょう。

免疫機能障害の特性

免疫機能障害とは、慢性的な免疫系の機能不全を主症状とする障害です。細菌・ウイルスに対する防御能力が損なわれ、頻繁に感染症を発症したり、重症化・長期化したりするようになります。膠原病(リウマチ、甲状腺疾患など)をはじめとする自己免疫疾患やがん(リンパ腫)を引き起こす場合もあるため、適切な処置と理解が必要です。

免疫機能障害の原因

免疫機能障害の原因には、原発性と続発性のものの2種類があります。原発性とは、遺伝などによる生まれつきの障害です。一方、続発性とは出生後に発症する障害であり、以下を原因として発症します。

  • HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症
  • がん・糖尿病などの病気の長期的な罹患
  • 特定の薬の使用

上記のうち、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症は、免疫機能障害の最も一般的な原因です。原発性・続発性のいずれの障害も程度は人それぞれですが、早期の適切な治療で悪化を防げるうえ、完治・寛解も目指せます。

HIV感染症とエイズの違い

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症とエイズ(AIDS:後天性免疫不全症候群)は混同されがちですが、まったく同じものではありません。

HIV感染症とは、その名の通りヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)に感染した状態を指します。適切な治療を受けなければ、初期の「急性期」を経て「無症候期」へと移行しながら、体内で徐々に悪化していきます。

一方エイズ(AIDS:後天性免疫不全症候群)は、HIV感染症の最終段階です。「エイズ発症期」とも呼ばれ、HIV感染症が重症化した結果、免疫機能が正常にはたらかなくなります。なお、HIV感染キャリアになったからといって、必ずしもエイズを発症するわけではありません。抗HIV薬による治療を試みることで、発症を抑えたり、遅らせたりできることが実証されています。

障害者手帳における免疫機能障害の等級

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症による免疫機能障害がある場合、検査を受けて認定基準を満たせば、身体障害者手帳が取得できます。なお、身体障害者福祉法における分類は内部障害です。障害の等級には1級〜4級があり、CD4陽性Tリンパ球の数値と、日常生活における制限の度合いによって区分されます。障害者手帳の交付を受けた場合、医療費の助成や税金の控除、生活扶助が受けられるほか、障害者雇用枠の求人への応募も可能です。

免疫機能障害の治療と就業の両立について

免疫機能障害があっても、これまで通り生活や仕事が続けられます。HIV感染症をはじめとする免疫機能障害は、薬物療法の有効性が確立されているためです。定期的な通院や服薬治療を受け、一定の免疫機能の維持が確認できれば、就業に問題はありません。

また、体力的に問題なく、働き方への適切な合理的配慮に理解がある職場なら、退職・転職も不要です。しかし、障害への偏見でストレスを感じている場合や、適切な配慮が得られないときは、転職を視野に入れてみるとよいでしょう。

免疫機能障害のある方が仕事をするうえでの必須条件

キャリアアドバイザーの男性

免疫機能障害がある方が仕事をするうえでは、自分に合う働き方や就業環境を見つけることが大切です。転職・就職を検討しているときは、以下3つのポイントに留意してください。

  • 通院・治療を妨げない働き方を見つける
  • 障害に対する正しい理解が得られる職場を選ぶ
  • 障害特性を正確に説明できるよう準備しておく

通院・治療を妨げない働き方を見つける

免疫機能障害がある方にとって、障害特性や日々の体調に合わせてはたらける仕事が最適です。体力・体調面で発症前にはなかったさまざまな問題が生じやすくなり、場合によってははたらきやすい仕事に転職する必要性が生じるかもしれません。

また、定期的な通院や治療上の制限が求められる場合もあるため、必要に応じて休暇が取りやすい仕事が適しています。時短勤務や在宅勤務ができる仕事のほか、障害者手帳を持っている方は障害者雇用枠の求人への応募も検討するとよいでしょう。

障害に対する正しい理解が得られる職場を選ぶ

免疫機能疾患のある方がよりよくはたらくためには、周囲からの理解が不可欠です。まず前提として、どのような原因の免疫機能障害であっても、皮膚や汗への接触など日常的な範囲の触れ合いで感染することはありません(出典:AIDS(後天性免疫不全症候群)とは|国立感染症研究所)。そのため、適切な治療を受け、身体的・精神的に問題なければ、一般就労の方と同じように就業できます。

とはいえ、誤った知識や偏見から差別を受けて苦しんでいる方も少なくありません。組織全体が免疫機能障害に対する正しい知識を身に付けており、理解を示してくれる職場を選ぶことで、自分らしくはたらけるはずです。

障害特性を正確に説明できるよう準備しておく

就業上の注意事項を周囲へ正確に説明するためにも、自分の障害の特性を整理し、正しく理解しておくことが重要です。なお、免疫機能障害を患っていることは、必ずしも職場の全員に知らせる必要はありません。しかし、多量の出血を伴う怪我など万が一の事態に備え、身近な人には知らせておくほうが好ましい場合もあります。

また、就職活動における面接では、安全配慮義務を理由に障害の程度や服薬状況、通院の頻度などを尋ねられることも珍しくありません。発症のきっかけなどプライバシーにかかわることを答える必要はありませんが、就業にあたって知らせるべきことをまとめておくことをおすすめします。

免疫機能障害のある方の転職・就職サポートを提供する機関

転職サポート機関の女性

免疫機能障害を発症して転職・就職を考えている場合は、次のような支援機関の利用を検討してみてください。

  • ハローワーク(公共職業安定所)
  • 障害者専門の転職・就職エージェント

ハローワーク(公共職業安定所)

ハローワーク(公共職業安定所)では、求人の紹介や転職・就職活動におけるさまざまな助言・指導が受けられます。また、障害のある方へ向けた専用の窓口が設置されており、地域の各種支援機関(地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなど)と連携した包括的なサポートを受けることも可能です。さらに、障害者手帳を持っている場合、障害者雇用枠の求人も紹介してもらえます。

障害者専門の転職・就職エージェント

障害者専門の転職・就職エージェントでは、障害がある方の就業サポートに特化したさまざまなサービスが受けられます。障害者雇用のプロのキャリアアドバイザーと相談しながら各々の能力・スキルや障害特性に最適な仕事を紹介してもらえるほか、条件交渉や面接対策など、就職活動のあらゆる局面で心強い味方になるはずです。

また、一般公開されていない非公開求人への応募もできるため、選べる仕事の幅がぐっと広がります。内定後や就業中のフォロー体制も万全であり、仕事をするうえでのさまざまな不安が解消するでしょう。

「dodaチャレンジ」は免疫機能障害がある方のはたらく意欲を全力でバックアップ!

免疫機能障害があっても就業や仕事への復帰を諦める必要はありません。しかし、偏見や誤解から適切な合理的配慮が得られない場合、障害に理解のある仕事に転職するほうがよいでしょう。

転職・就職を検討している障害者の方は「dodaチャレンジ」にぜひご相談ください。障害者雇用に関する豊富な知識・ノウハウやネットワークを活かし、よりよい仕事への転職・就職の可能性を広げます。豊富な求人の中から、専任アドバイザーが障害特性・適性とのマッチングを見極めて最適な仕事をご紹介できるほか、条件交渉も可能です。自分らしく活躍できる仕事がきっと見つかりますので、ぜひご登録ください。

公開日:2024/7/19

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
  • dodaチャレンジで、専任のキャリア
    アドバイザーに転職・就職活動を相談する

    会員登録(無料)

    まずは就労準備トレーニング。実際の
    仕事と同程度の実習で「はたらく力」を。

    就労移行支援
    「ミラトレ」について