上肢障害がある方の仕事探しのポイントとは?向いている職種や転職・就職支援もご紹介

営業職の人

上肢障害があり、右手もしくは左手を使わない仕事や、手が不自由でもできる仕事をお探しの方も多いでしょう。しかし、自分の障害特性に合う仕事探しや、企業とのマッチングの見極めは難しいものですよね。

この記事では、上肢障害がある方に向いている仕事と必要な配慮、障害者雇用を支援する相談先についてお伝えします。手に負担のかからない仕事への転職・就職のポイントを知りたい方は、ぜひご一読ください。

上肢障害とは

まず、上肢障害について特性・原因・公的区分の3つの視点から解説します。

上肢障害の特性

上肢障害とは、左右の肩下〜指先の部位のいずれかもしくはすべてに、日常生活を送るうえで困難が生じるほどの永続的な運動障害がある状態を指します。具体的な障害の症状は、以下のとおりです。

  • 上肢の形成不全
  • 上肢の欠損
  • 運動機能不全
  • 上肢の痛みや痺れ

上記のほか、上肢以外の部位の痛みや痺れ、歩行困難が生じるケースもあります。

上肢障害の原因

上肢障害の主な原因は、以下のどちらかだというのが現在の通説です。

  • 骨・間接・筋肉などへの外傷による直接的な要因
  • 脳の運動中枢に生じた何らかの異常による間接的な要因

いずれの要因も、先天的・後天的の双方で発症する可能性があるといわれています。

上肢障害の区分

上肢障害は、下肢障害と合わせて「肢体不自由」に区分されます。程度が著しいものから順に、1級〜7級に分類され、そのうち6級以上の方は身体障害者手帳の取得が可能です。

上肢障害による仕事上の困難

頭を抱えるスーツの男性

上肢障害のある方が就業するにあたり、職業選択や業務遂行、環境的な壁が立ち塞がるケースも珍しくありません。以下では、上肢障害の特性からくる仕事上の困難にはどのようなことがあるのかをみていきましょう。

手が不自由だとできない仕事がある

上肢障害の特性で運動に支障がある以上、どうしてもできない仕事が存在します。例えば、右手もしくは左手を使わずに重い物を持ったり掴んだりして運ぶ業務をこなすのは非常に難しいでしょう。また、片手ずつ異なる動きを要する仕事も極めて困難です。くわえて、両手が使えないと、公共交通機関の利用時に吊り革をうまく掴めない、揺れでふらついた際に転倒の恐れがあるなどの困難が生じる場合もあるため、通勤が難しくてできない仕事も出てきます。

スピーディーな業務遂行が難しい

上肢障害で左手もしくは右手のいずれかが使えないと、パソコンのタイピングや資料整理などの単純作業でもスムーズにいきません。慣れや、時間をかければ難なく行えるようになる場合もあるものの、時間配分に配慮が必要です。

正しい理解が得られない

上肢障害の特性は見た目に分かりやすいものも多く、仕事上の配慮が得られる反面、過度の気遣いにより精神的にストレスを感じるかもしれません。見当違いな配慮や必要以上の気配りがなされているにもかかわらず、行為を無下にするのがしのびなく、なかなか言い出せない方も多いでしょう。逆に、見た目には分かりづらい特性があると、周囲からの理解が得られず、職場の人間関係に悩むケースも少なくありません。

上肢障害がある方に負担がかからない仕事環境

上肢障害がある方がよりよくはたらくためには、いかに手に負担をかけない仕事を選ぶかがポイントです。ここでは、上肢障害がある方にはどのような仕事環境が適しているのかを考えていきましょう。

バリアフリー設備が整っている

上肢障害があると、就業上で物理的な不便が生じることも多いため、それをカバーするバリアフリー設備が必要です。バリアフリー設備には、デスクの位置・高さといった軽微なものから、スロープやエレベーターなどの大掛かりなものまでさまざまな種類があります。自らの障害特性に合うバリアフリー環境が整備された職場なら、上肢が不自由でも問題なく実力を発揮できるでしょう。

勤務・通勤スタイルを柔軟に選べる

健常者と同じように通勤したり、フルタイムではたらいたりするのが難しい場合は、柔軟な働き方が好ましいといえます。時短勤務やフレックスタイム制などを選べる仕事なら、通勤ラッシュの回避や定期的な通院も容易になるはずです。

障害特性に対する理解が深い

障害特性に対する理解が深く、相談しやすい職場なら、中・長期的に就業できる可能性が高まります。上肢障害のある方がスムーズにはたらくためには、周囲からの適切なフォローが欠かせません。また、通院に関する就業上の配慮が必要な場面も出てくるでしょう。就職活動における企業研究で、気兼ねなく必要なサポートを申請できる雰囲気があるかをチェックしてみてください。

上肢障害がある方に向いている仕事を探すコツ

積まれたブロック

上肢障害のある方が仕事を探すときは、自らの適性や障害特性に合うかどうかを見極めることが重要です。以下では、上肢障害がある方の就職活動における要チェックポイントをお伝えします。

自らの障害をきちんと把握する

自己分析および周囲からの理解を得るためにも、就職活動を本格的に始める前に自らの障害特性と向き合ってみてください。あらかじめ、できること・できないことを整理しておくと、企業とのミスマッチが防げます。また、自らの障害をきちんと把握できていれば求める配慮も明確になり、無理なくはたらける職場がイメージしやすくなるでしょう。

支援ツール使用の可否を確認する

上肢障害で手・腕が思うように使えなくても、以下のような支援ツールが導入されている会社なら業務遂行がスムーズになります。

業務内容 支援ツールの例
書類整理 ・書類を片手で揃える治具
・輪ゴム・クリップの留め外しを片手で行える治具
PC操作 ・音声入力ソフト
・高さ・角度が調整できる台
電話対応 ・ヘッドセット

上記のほかにも、業務を支援するさまざまなツールがあるため、面接の際などに導入の有無を確認しておくと安心です。

障害者雇用枠や特例子会社も検討する

肢体不自由の等級が6級以上で障害者手帳が交付されている方は、障害者雇用枠の求人に応募できます。一般就労が難しい場合は、障害者雇用枠や特例子会社の求人も選択肢に入れてみてください。「特例子会社」とは、障害者へ特別に配慮した子会社のことです。いずれも合理的配慮を前提として障害者の方を雇用しているため、特性に合わせた働き方ができます。

上肢障害があってもOK!片手でもできる仕事3選

上肢障害がある方に適している仕事は、下記のような片手でもできる職種です。

  • デスクワーク全般
  • IT関連の技術職
  • コールセンターのオペレーター

デスクワーク全般

事務や受付などのデスクワークは、身体的な負荷が少なく、片手で行える業務も多いため、上肢障害がある方向きの仕事です。ただし、片手で電話を取りながらもう片方でメモを取るなどの両手作業は困難ですので、こうした業務は避ける配慮や支援ツールの導入が求められます。

IT関連の技術職

WebデザイナーやWebライター、エンジニアなど、IT関連の技術職は比較的マイペースで取り組みやすい仕事です。会社勤めなら業務の大半がチーム体制で進められるため、周囲からのサポートが期待できます。また、完全在宅でできる業務も多く、通勤の負担を減らしたい方にもおすすめです。

コールセンターのオペレーター

コールセンターのオペレーターは、基本的にヘッドセットを付けたうえでの電話対応となることが多いため、片方の手・腕が使えなくても就業可能です。電話応対以外は単純な事務作業がメインであり、手に負担をかけずに勤務できます。

上肢障害がある方の仕事探しを支援するサービス

ここからは、上肢障害のある方が仕事を探すときに利用できる代表的な3つの就業支援サービスをご紹介します。

ハローワーク(公共職業安定所)

ハローワーク(公共職業安定所)とは、厚生労働省が管轄する求人紹介や仕事に関する相談を受け付ける公的機関です。障害者専門の窓口が設置されており、地域障害者職業センターや障害者就労・生活支援センターなどと連携した包括的な就職支援が受けられます。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、一般就労を目指す障害者の方をサポートする通所型の福祉サービス機関です。長期就労を目指して、職業訓練やスキルアップに関する各種サポートが最長で2年間受けられます。

障害者向けの転職・就職エージェント

障害者の方が就職活動を始めるときは、専門の転職・就職エージェントの利用をおすすめします。障害者向けの転職・就職エージェントとは、障害特性を抱える方の仕事探しのサポートサービスです。障害者の方が応募できる求人の紹介や応募書類の作成、面接準備のほか、自己分析や就労後の定着支援までカバーするサービスもあります。非公開求人の紹介も行われているため、就業の可能性が広がるきっかけになるでしょう。

上肢障害がある方の転職・就職に関する相談は「dodaチャレンジ」へ!

上肢障害があってもできる仕事は多いため、就業を諦める必要はありません。安定した長期就労のポイントは、上肢に負担が少なく、スムーズな配慮が得られる仕事・環境を選ぶことです。各種支援サービスを活用して、自らの適性や障害特性に合う仕事を探してみてください。

障害者のための転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」は、現在仕事を探している方や、これから就職活動を始める方のトータルアドバイザーです。専任のキャリアアドバイザーがご希望や適性を丁寧にヒアリングしたうえ、非公開求人を含む多数の求人から最適な仕事をご紹介します。仕事の条件交渉や定着支援、キャリアに関するお悩みも特例子会社としての実績・ノウハウを駆使してサポートいたしますので、ぜひご登録ください。

公開日:2024/7/19

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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