仕事に行けなくなったらどうする?理由がわからない ときの対処法も解説

仕事に行けずに悩む女性のイメージ

これまで問題なく出勤していたのに、ある日突然仕事に行けなくなった……。そんな症状に悩んでいませんか。ほかのことはできるのに、仕事に対してのみ無気力感が強いという方もいるでしょう。それは、仕事によるストレスが限界に達した心のSOSかもしれません。

今回は、仕事に行けなくなる精神的な原因とその解決方法、理由が分からないときの適切な対処法を解説します。

突然仕事に行けなくなったときにまずやるべきことは?

突然仕事にいけなくなったときは、まず休養をとってみることをおすすめします。ひどい無気力感に襲われているときに仕事へ行っても、はかどらないばかりか、症状がどんどん悪化するかもしれません。

「仕事に行けないのは甘えだ」とつい我慢してしまいがちですが、無理は禁物です。数日ほど休暇をとり、その間は仕事のことを忘れ、リフレッシュに専念してください。

休むことは決して甘えではなく、心身の回復に必要な過程です。ゆっくり休んで気持ちや状態が少し落ち着き、余裕ができたら、自身がなぜ仕事に行けなくなったのかを見つめ直してみるとよいでしょう。

あなたが仕事に行けなくなったのはなぜ?よくある7つの原因と解決策

出勤できずに悩む男性のイメージ

ここでは、突然仕事に行けなくなったという方によくみられる7つの原因と、適切な解決策を解説します。

業務内容とのミスマッチ

担当業務とのミスマッチがあると、それがストレスになり、仕事に対するモチベーションが低下します。誰しも、得意・不得意があって当たり前です。好きなことばかりできるわけではないと理解していても、適性や性格に合わない仕事を続けるのは心身に大きな負担となるでしょう。

対処法

業務内容が原因で仕事に行けなくなったときは、それを上司や人事担当者などに相談してみることをおすすめします。現状や適性を踏まえ、担当業務の変更や配置転換といった配慮が得られるかもしれません。

職場の人に言いづらいときは、産業医や精神科・心療内科の医師に相談してみてください。診断書や意見書を出してもらうことで、適切な配慮が得やすくなります。

過酷な労働環境

仕事自体は好きでも、その環境が自身にとって過酷過ぎる場合、知らぬ間にストレスを溜めてしまうことがあります。例えば、長時間の労働や残業、長距離の通勤、通勤ラッシュなどです。身体的・精神的な体力は、人それぞれ異なります。「ほかの人が問題なくできているのだから」と、自分を責める必要は一切ありません。

対処法

労働環境の過酷さから仕事に行けなくなったのであれば、働き方を見直してみるとよいでしょう。例えば、通勤が負担になっているなら、自宅から近場への異動やリモートワークへの変更、フレックスタイムを導入して混雑を避けるなどの対策で解決できます。勤務時間が長過ぎるときは、短時間勤務制度の利用を検討してみてください。

自身の工夫だけでは解決が難しい場合は、上司や職場のコンプライアンス窓口に相談するほか、転職を考えてみるのも一つの方法です。

職場の人間関係

はたらくうえで心の負担となりやすいのが、同じ職場ではたらくメンバーとの間に不和があるケースです。上司や同僚からのハラスメントや、取引先や顧客との相性が合わずに悩んでいる方もいるでしょう。

多くの時間を過ごす場に居づらかったり、頻繁に嫌なことがあったりすると、心に大きな負荷がかかります。人間関係のトラブルはいずれか一方の努力だけでは解決しにくく、仕事に行きたくなくなるのも無理はありません。

対処法

仕事に行けなくなるほど職場の人間関係に悩んでいるときは、身近な第三者に意見を求めてみることをおすすめします。まずは、直属の上司に相談してみてください。客観的なアドバイスや、トラブルの状態に応じた調整・配慮が得られるかもしれません。上司に相談しにくいときは、人事担当者やメンタルヘルス窓口、仲の良い同僚や友人・知人、家族などに相談してみるとよいでしょう。

相談では解決できない場合は、転職も選択肢の一つです。職場を変えるのは決して「逃げ」ではなく、どうしようもないことから自分を守るために必要な「戦略」だといえます。

自信の喪失

「はたらき始めて間もない方や、配置転換があった後などに多いのが、仕事に対する自信の喪失です。初めての仕事や慣れない業務にとまどい、スムーズに仕事ができないほか、失敗から挫折を味わい、自信をなくしてしまうこともあるでしょう。

仕事に慣れていても、スランプに陥ったり、正当な評価が得られなかったりして、はたらく自信がなくなることも珍しくありません。また、仕事で頑張り過ぎるあまり、ストレスが限界に達し、ある日突然やる気がなくなるケースもあります。

対処法

仕事に対する自信の喪失からはたらく意欲が湧かなくなっているときは、モチベーションを上げる工夫を凝らしてみてください。例えば、自分の中で小さな目標を設定して成功体験を積み重ねたり、自分へのご褒美を用意したりなどの対策が挙げられます。他者からの評価だけではなく、自己評価や自身の満足感の向上に目を向けることで、モチベーションが保ちやすくなる効果が期待できます。

自身が正当に評価されていないと感じるときは、上司や人事担当者にその気持ちを相談してみてください。相談しづらい、もしくは理解してもらえないときは、自身が正当に評価される仕事への転職を検討するのもよいでしょう。プロのサポートを得ながら就活を進めることで、自分らしく輝ける職場がきっと見つかります。

生活習慣の乱れ

突然仕事に行けなくなったケースで意外に多いのが、生活習慣の悪化による出勤への拒否感です。頻繁な深夜残業や夜更かし、乱れた食生活などの良くない生活習慣を続けていると、心身のバランスを崩し、精神的に参ってしまうことがあります。

また、生活習慣の乱れは、不眠症を招く要因の一つです。夜眠れないことで朝起きられなかったり、仕事の最中に眠くなったりして、はたらくのがつらくなる方も少なくありません。

対処法

生活の乱れによって仕事に行けなくなったときは、習慣を見直すことが一番の解決策です。睡眠時間の確保はもちろん、起床と就寝の時間を一定にするだけでも生活リズムが整いやすくなります。

加えて、栄養バランスのとれた食事を意識し、アルコールやカフェインの摂取、喫煙といった精神的な悪影響の恐れがある習慣は極力控えましょう。正しい生活習慣を心がけることで、心身のバランスが整い、仕事への意欲がまた湧いてくる可能性があります。

ただ、一度定着した習慣は、自身の努力だけで改善するのは容易ではありません。特に、精神的な要因で不眠症や食欲の異常、強い疲労感が生じているケースだと、医学的なアプローチが必要です。自身の心がけでは改善が難しいときは、精神科や心療内科へ相談してみることをおすすめします。

精神的な病気

仕事に行けなくなった状態の裏には、精神的な障害や病気が潜んでいることがあります。日常生活や仕事のストレスから、うつ病や適応障害、自律神経失調症などを発症すると、意欲や気力を失ってしまいやすくなるからです。

無気力感に加え、原因不明の身体や食欲の不調、気持ちのひどい落ち込みや自己肯定感の低下などの症状が続いているときは特に要注意です。精神的な病気は予防や自己管理が難しく、誰しもかかる可能性があるため、そのサインをすみやかにキャッチすることが大切だといえます。

対処法

仕事に行けなくなった気持ちの背景に精神的な病気の疑いがあるときは、すぐに精神科や心療内科を受診してください。職場に産業医やメンタルヘルス窓口が設置されている場合は、そこへの相談でも構いません。対処が遅れると、症状がどんどん悪化し、回復に時間がかかるようになる恐れがあります。

相談・検査の結果、うつ病や適応障害などと診断され、無気力感が強いときは、休職して治療に専念することが最優先です。意欲減退といった症状の程度が軽く、適切な配慮とサポートを得ながらであれば、治療と仕事が両立できる可能性もあります。

ただ、治療や休職で一時的に回復しても、ストレッサーとなる要因そのものを取り除かないことには、二の舞になるかもしれません。思い切って退職し、障害者手帳を取得してより良くはたらける職場を探してみる道もあります。

発達障害

仕事に行けなくなった背景に「注意しているつもりでもミスしてしまう」「人間関係でトラブルを抱えがち」といった悩みがありませんか。その場合、発達障害が関与しているかもしれません。

発達障害は基本的に先天的なものですが、大人になって発覚する、いわゆる「大人の発達障害」に悩む方も多いです。また、発達障害の特性の傾向が強いものの、医学的に明確な根拠がない状態、いわゆる「グレーゾーン」の場合もあります。

発達障害およびその傾向があると、仕事でうまくいかないことが起きがちです。本人が努力しているにもかかわらず、ミスやトラブルを繰り返すと、はたらく意欲が湧かなくなるのも無理はありません。特性によって生じたトラブルが引き金となり、うつ病やパニック障害などの二次障害を発症する恐れもあるため、決して軽視してはいけない問題です。

対処法

自分が発達障害かもしれないと思ったときは、精神科や心療内科の専門医に相談し、検査を受けてみることをおすすめします。もし発達障害だと診断された場合は「障害者手帳」を取得することで、さまざまな障害福祉サービスが受けられるほか、障害者雇用枠での就労が可能です。職場での合理的配慮を受けながらはたらくことで、活き活きと仕事へ行けるようになるでしょう。

明確な診断が下りず、障害者手帳が取得できなくても、自治体から交付される「障害福祉サービス受給者証」があれば受けられる支援もあります。例えば、生活サポートの給付が受けられたり、就労移行支援事業所を利用できるようになったりなど、日常や仕事での困り事の解消・克服につながるはずです。

仕事に行けなくなった理由がわからないときは?

突然仕事に行けなくなったにもかかわらず、原因がまったくわからないときは、まず医療機関を受診することをおすすめします。特に、うつ病や適応障害、発達障害といった精神的な病気や障害は、外からはわかりづらいものです。医師やカウンセラーなどに仕事に行けなくなった原因を医学的な視点から判断してもらうことで、早期発見につながります。

近年はメンタルヘルス関連の相談が増え、精神科や心療内科が身近になりました。検査の結果、病気や障害でなかったとしても、まったく問題ありません。心身に原因不明の不調を感じたら、些細なことでも「気のせいかもしれない」「甘えだ」などと思い込まず、気軽に相談してみてください

仕事に行けなくなった気持ちを一人で抱え込まないで

職場の仲間のイメージ

ある日突然やる気を失い仕事に行けなくなったのは、多くの場合、本人の甘えやわがままではありません。辛い状況をなんとかしようと頑張り過ぎ、心が限界に達したサインです。精神的な病気や発達障害の兆候の可能性もあるため、まずは精神科や心療内科の受診をおすすめします。

仕事に行けなくなった原因に精神疾患・障害があるときは、今までとは違う働き方を検討する転機かもしれません。障害をオープンにし、障害者専門の就労支援サービスを活用して仕事を探すことで、自分らしい働き方に一歩近づけるはずです。障害者雇用枠での就活を考えているなら「dodaチャレンジ」に相談してみませんか。専任のキャリアアドバイザーが、あなたの希望や特性を踏まえ、理想の仕事を見つけるお手伝いをします。まずはお気軽にご登録ください。


公開日:2025/7/31

監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■障害者職業生活相談員
  • dodaチャレンジで、専任のキャリア
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