【2025年】障害者雇用に積極的な企業ランキング|障害のある方がはたらきやすい会社とは?

障害者雇用の人事のイメージ

障害のある方が無理なく安定してはたらき続けるためには、個々の特性に合った仕事を見つけることが大切です。また、通院や治療が必要な場合、両立できる仕事や働き方を見つけることが求められます。そのためには「どんな企業なら安心してはたらけるのか」を把握しておくことも欠かせません。そこで障害者にとっての優良企業を見極める際、一つの指標としたいのが「障害者雇用率」です。この記事では、障害者雇用に積極的な企業を「雇用率」「業種」「雇用人数」の3つの視点からランキング形式で紹介します。障害者雇用の基礎知識と現状を踏まえ、障害者雇用枠ではたらくメリットや、特性に合わせてはたらきやすい求人の見つけ方についてもまとめました。

【2025年最新】障害者雇用率ランキングTOP10!上位5社の取り組みとは?

東洋経済新報社が毎年発表している「CSR企業総覧(雇用・人材活用編)」の2025年版によると、障害者雇用率ランキングTOP10は次の結果となりました。

ランキング 企業名 障害者雇用率 障害者雇用人数
1 フアレス 15.13% 59人
2 ゼネラルパートナーズ 14.65% 43人
3 エフピコ 12.6% 393人
4 MRKホールディングス 10.81% 4人
5 デコボコベース 8.3% 9人
6 キトー 7.82% 39人
7 JSP 5.75% 48人
8 ファーストリテイリング 4.89% 1,194人
9 横浜魚類 4.85% 5人
10 NTTドコモビジネス 4.65% 41人

出典:障害者雇用率」が高い企業ランキング!10位NTTドコモビジネス、9位横浜魚類、8位ファーストリテイリング、さらに上位に入ったのは?|東洋経済ONLINE

以下では、ランキング上位5社を抜粋し、それぞれの主な取り組みを紹介します。

第1位.フアレス

2025年の障害者雇用率第1位を記録したのは、訪問マッサージ事業を展開する「フアレス」です。2024年版のTOP10圏外から大きく躍進し、障害者雇用率15.13%、障害者雇用人数は59人となりました。視覚障害のあるあん摩マッサージ指圧師の有資格者を積極採用し「ライトサポーター」と呼ばれる専任ドライバーとペアで行動させることで、従業員のはたらきやすさと業務効率化を両立しています。

第2位.ゼネラルパートナーズ

第2位にランクインしたのは、障害者向けの人材紹介および求人情報サービスを展開する「ゼネラルパートナーズ」です。雇用率14.65%と2024年より少ない割合にとどまったものの、前年比約1.25倍となる43人もの障害者を雇用しています。事業のほぼすべての部門で障害のある従業員を雇用し、管理職を担う障害者も複数人在籍していることでも有名です。就労を目指す障害者のサポートや就労継続支援A型事業所の運営を行ってきた実績やノウハウを活かし、障害のある方の安定就労や経済的自立の実現をサポートしています。

第3位.エフピコ

第3位は、食品トレーおよび弁当・総菜容器の最大手企業「エフピコ」でした。ランキングは前年と同位だったものの、障害者雇用率は12.6%、雇用人数は上位5社の中で最も多い393人と、いずれも成長を記録しています。自社の事業所や特例子会社で多くの障害者を雇用し、社内でのキャリア形成を促しています。また、取引先での障害者雇用のサポートを行うなど、障害者が活躍できる場を広げる取り組みにも積極的です。

第4位.MRKホールディングス

第4位にランクインしたのは、女性用補整下着やボディメイク・美容、マタニティ・ベビーウェアなどに関連する事業を展開する「MRKホールディングス」です。障害者雇用率は10.81%、雇用人数は4人でした。障害者手帳の取得者を対象とし、一般枠と大差ない好条件の求人枠を設置し、障害者の積極採用を行っています。

第5位.デコボコベース

障害者雇用率ランキング第5位に食い込んだのは、障害児の通所支援や自立支援、就労移行支援、障害者向け情報サイト運営などの事業を展開する「デコボコベース」です。障害者雇用率は8.3%、雇用人数9人であり、障害者雇用の取り組みが優良だと認められた中小事業主が取得できる「もにす認定」をはじめとするさまざまな受賞歴・認定実績を有しています。自社での障害者雇用率10%を目指していることを公言しており、今後ますますの活躍が期待される企業の一つです。

障害者雇用率が高い業種ランキング

同調べによると、2023年度における障害者の平均雇用率が多い業種は以下の通りです。

ランキング 業種 比率 企業数
1 石油・石炭製品 2.66% 2社
2 小売業 2.63% 95社
3 鉱業 2.62% 3社
4 電気・ガス業 2.60% 13社
5 水産・農林業 2.56% 2社
6 空運業 2.54% 3社
6 パルプ・紙 2.54% 11社
8 銀行業 2.51% 36社
8 鉄鋼 2.51% 16社
10 食料品 2.49% 53社

同年で、法定雇用率2.3%以上の業種は14業種あり、全体平均は全体平均は2.25%でした。なお、対象企業数が10社以上で平均雇用率が高かったのは小売業、電気・ガス業、パルプ・紙、銀行業、鉄鋼などでした。2026年7月からは、法定雇用率が2.7%に引き上げられる予定です。これからの障害者雇用には、数値目標の達成だけではなく、個々の特性や適性に合わせた支援や配属の仕組みづくりを進めることが期待されています。

障害者雇用数が多い企業

雇用率ランキング100位以内で障害者の雇用人数がトップだったのは、1,194人もの障害者を雇用し、法定雇用率8位にランクインした「ファーストリテイリング」です。「ユニクロ」を展開するグローバル企業であり、障害の種別にかかわらず「1店舗1人以上の雇用」を目標に、障害者の雇用機会の拡大を推進しています。同条件で障害者の雇用人数が2番目に多かったのは「しまむら」です。障害者雇用率は4.46%、ランキングでは16位にとどまりましたが、716人もの障害者を雇用しています。いずれの企業も、障害者へ多くの就労機会を積極的に提供していることが伺えます。

そもそも障害者雇用とは?制度や法的な配慮について

人事部のイメージ

ここで、障害者雇用に関する基礎知識をおさらいしておきましょう。

障害者雇用とは

「障害者雇用」とは、簡単にいうと各企業・組織が障害のある方を障害者雇用枠で雇い入れることです。障害の有無にかかわらず、すべての人を同じ条件で雇用した場合、障害のある方にとって不利になってしまいかねません。

例えば、聴覚障害や上肢障害のある方が電話を受けながらメモを取る必要のある業務に配属されると、多くの困難を伴います。また、障害特性によって音や光、人とのコミュニケーションなど苦手なことがあるにもかかわらず、それを避ける配慮が得られないと、就労自体が苦痛になってしまうでしょう。そこで、障害者雇用促進法に基づき、障害の有無に関わらず個々の人格と個性を尊重し、公平な就業機会を提供するための制度として「障害者雇用枠」が設けられました。

障害者雇用促進法の概要と重要なポイント

「障害者雇用促進法」は、障害者の社会的・経済的な自立を促す措置として制定されました。主に、以下の3点を軸としています。

  • 障害者雇用率の設定
  • 障害者に対する合理的配慮の提供
  • 障害者差別の禁止

法定雇用率とは、従業員数43.5人以上の企業に対し、障害者を一定割合以上にすることを義務化する制度です。労働市場の動向や経済状況を反映し、定期的に見直されることになっています。なお、2025年時点での法定雇用率は、40人以上の従業員を雇用する民間企業は2.5%、国・地方公共団体は2.8%、都道府県等の教育委員会は2.7%です。2026年7月には、37.5人以上の従業員を雇用するすべての民間企業で2.7%に引き上げられる予定となっています。

また、合理的配慮の提供は、障害のある方が健常者と公平な条件・環境ではたらけるようにするため、2016年に義務化されました。具体例として、職場の環境を障害に応じて適切に整えたり、補助ツールを導入したりなどが挙げられます。本人の要望や能力を踏まえ、企業・障害者双方の合意の下でサポート内容を検討すべきだとされています。

さらに、企業の採用活動や従業員への対応において、正当かつ合理的な理由なしに障害者を差別する行為は禁止です。例えば、合理的配慮の範囲を超える不当な配置や、福利厚生面で差を付けるなどの行為は法律で禁止されています。

障害者雇用の現状

続いて、現在雇用されている障害者の人数と法定雇用率の達成度から、国内における障害者雇用の現状を確認していきましょう。

雇用されている障害者の人数

内閣府の調べによると、2024年6月1日時点で、民間企業における障害者の実雇用者数は約67.7万人です。前年と比べ約5%増加し、21年連続で過去最高を更新しました。(出典:第2節 障害のある人の雇用・就労の促進施策|令和7年版 障害者白書|内閣府

法定雇用率を達成している民間企業の割合

2024年6月1日時点で、民間企業の法定雇用率の達成率は46.0%です。一方、国・地方公共団体における法定雇用率の達成率は、国の機関97.7%、都道府県の機関89.3%、市町村の機関71.1%です。民間企業では前年を下回る結果となりましたが、これは2024年4月1日に実施された法定雇用率の引き上げからまだ間もないことが要因だと考えられます。雇用されている障害者の人数が、全規模の企業で増加していることから、障害者雇用は今後さらに広がりをみせることが予想されます。

企業が障害者雇用を推進する理由

障害者雇用ではたらく人々のイメージ

近年、多くの企業が障害者雇用を推進しています。ここでは、その3つの理由を説明します。

法定雇用率の達成が義務付けられているから

障害者雇用の法定雇用率が課せられている企業や事業所がそれを達成できないと、障害者雇用納付金を納付しなければなりません。未達成の罰金ではありませんが、達成している企業との経済的負担の公平化の観点から、納付の義務が生じる仕組みです。

また、ハローワークなどからの行政指導が入ることもあり、準備のための業務負担が増える恐れがあります。行政指導が入った後も達成できないままだと、企業名が公表されることもあるため、慎重な対応が求められることが障害者雇用への意識向上につながっているのです。

CSR活動の一環になるから

障害者雇用は「CSR」活動の一環であり、優良企業ほど積極的に推進しています。CSRとは、企業の社会的責任のことであり、社会的・環境的に公正な事業活動に取り組むべきとされています。障害者が活躍できる場を提供することは、大きな社会貢献として企業としての価値を高める要素です。CSRを達成することで、優良企業として社会的に認定されることにもつながります。

企業全体の環境改善につながるから

障害者雇用を進めることで、障害者だけではなく、誰もがはたらきやすい職場が実現することも積極的に取り組む企業が増えた理由です。従業員一人ひとりの個性や能力を認めるという風土が培われ、企業全体の職場環境の改善につながります。はたらきやすい職場になれば、業務効率化が実現して個々の生産性が上がり、企業の持続可能性が高まることが障害者雇用推進の後押しとなっているのです。

障害者雇用が進んでいる企業の求人に応募するメリット

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障害者雇用を推進する企業ではたらく4つのメリットをみていきましょう。

障害特性に合わせて無理なくはたらける

障害者雇用率が高く、雇用数の多い企業は、障害者に対する理解も深い傾向にあります。そのため、業務内容やコミュニケーション面で個々の特性に応じた適切な配慮が得られる可能性が高いです。自分のペースで無理なくはたらけるうえ、必要以上の精神的負担を感じる心配もありません。

就業と治療が両立しやすい

障害者雇用における合理的配慮の一例として、療養・通院のための休暇の取得や勤務時間の柔軟な調整、時短勤務・在宅勤務の推進、残業をなくすなどの配慮や制度が挙げられます。そのため、障害のある方が、就業と治療を両立しやすい環境です。

キャリアアップが目指せる

障害者雇用に尽力している企業は、雇い入れた時点だけではなく、採用後のキャリアアップにも積極的に取り組んでいます。障害者雇用ではたらく方が長期的なキャリアを築くことで、就労の安定化と社会的な自立、モチベーションアップを促し、引いては企業や社会に大きな利益として還元されると考えているからです。

採用人数が多い

大規模で従業員の多い企業には、法定雇用率により、多くの障害者を雇用する義務が課せられています。一般枠では膨大な数のライバルがいる大手・有名企業でも、障害者雇用枠の法定雇用率引き上げで採用人数が増加傾向にあることから、相対的に競争率が低くなる可能性があります。うまくいけば、思いもしないような大手企業への就職が実現するかもしれません。

障害者雇用に前向きな企業での就職を目指すには?

大企業・大手企業の障害者雇用枠での就職を目指したい方は「障害者向けの転職・就職エージェント」への登録をおすすめします。障害者向けの転職・就職エージェントに登録すれば、一般公開されていない非公開求人の紹介も受けられるため、応募のチャンスが広がります。

また、登録者一人ひとりに専任のキャリアアドバイザーがつき、障害者雇用に関する情報提供や、一人ひとりの特性や状態に応じてパーソナライズしたサポートが受けられることも大きなメリットです。求人紹介のほか、合同面接会やセミナーが開催されることもあり、大企業・大手企業への応募や情報収集が効率よく進められます。

障害者雇用に積極的な企業の求人を探すなら「dodaチャレンジ」へ

障害者雇用のカウンセリングイメージ

法定雇用率の引き上げや社会貢献、はたらきやすい環境への改善などの観点から、障害者雇用に積極的な企業が年々増加しています。障害のある方が障害者雇用に積極的な企業ではたらくことで、個々の特性に合わせ、無理なく安定して活躍できる可能性が高まります。自分の力だけで優良企業を見極めるのは容易ではないため、障害者向けの転職・就職エージェントを活用し、自分らしくはたらき続けられる就職先を見つけましょう。

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公開日:2025/11/26

監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■障害者職業生活相談員
  • dodaチャレンジで、専任のキャリア
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