すべての社員が自分らしく働ける、インクルーシブな組織づくりを大切にしています
英国・ケンブリッジに本社を置く製薬会社アストラゼネカは、がん、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患を重点領域に医療用医薬品を開発し、世界中に新薬を届けるグローバル企業です。そんな世界100ヶ国以上に拠点を持つ企業の、LGBTQIA+フレンドリーな職場づくりについての取り組み、そしてダイバーシティの考え方について、人事本部I&D推進室の瀧口さんに取材してきました
すべての社員が制約なく働けるインクルージョンの実現を目指して
私の担当業務はI&Dの推進です。I&Dと聞いて、皆さんの中には、「インクルージョン&ダイバーシティ?インクルージョンが先なの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。一般的には、ダイバーシティ&インクルージョンと言われますが、私たちアストラゼネカは、あえてインクルージョンを先に置いています。ダイバーシティ(多様性)は「あらゆる違い」、インクルージョンはそれらを認める行動のこと。職場でのインクルージョンとは、様々な考えを促し、評価し、十分に活用して、平等な文化を構築して結果を出すこと。ダイバーシティ(多様性)だけが存在しても、それを活かすインクルージョン(行動)がないと何も始まりません。インクルージョンは、社員一人ひとりが自分らしく振舞うことができ、自分の意見も遠慮なく発言できて、100%のパフォーマンスを出せる環境を作っていく行動です。
安心してSpeak my mindできる組織
私たちが大切にする考えの一つに、Speak my mind(スピーク マイ マインド:自分の意見や気持ちを伝える)があります。Speak my mindしても安心な組織の状態を常に目指しており、一人ひとり、それぞれのアイディンティが尊重される風土づくりに力を入れています。Speak my mindというのは簡単ですが、そこには心理的安全性の課題もあり、真の意味でのSpeak my mindを実践していくのは簡単ではありません。良いケースをお伝えしましょう。昨年、役職や部署に関係なく、全網羅的に社員が参加できる社内SNSを使ってSpeak my mindを推進する行動や、逆に阻害する事例など、「現場あるある」を募集しました。すると実に700以上の「あるある」事例が出てきたんですね。チームで話し合った内容を投稿してくれたり、個人の意見を投稿してくれた社員もいました。重複する事例も含まれていますが、お伝えしたいのは、アストラゼネカにはSpeak my mindを阻害する事例も記名で投稿できるカルチャーがあるということと、組織全体で自分らしくSpeak my mindできるカルチャーを更に高めていこうと常に取り組んでいることです。
すべての人は生まれながらにして固有。もちろん個々のセクシャリティに関しても尊重されて当たり前
LGBTQIA+フレンドリー企業であることは、ごく当たり前のことと捉えています。セクシャリティに限りませんが、人を区別したり、ラベリングするのではなく、一人ひとり違ったバックグラウンドを持っているものですし、人はすべて生まれながらにして固有です。基本的人権の考えからすれば、当たり前のことだと思っています。しかし、いろいろな考えを持った人が集まる企業において、こういったことを浸透させるためには、「正しい知識」を社員に提供することが必要ですね。LGBTQIA+に関する知識がないから接し方に困る、身近にいなかったら自分事に感じられない・・・それでは、企業でのI&Dは推進できません。
正しい知識を学ぶ3つの機会を提供
具体的な機会ですが、1つは研修です。有識者から正しい知識をレクチャーしてもらうオンライン研修を企画・実施。社内のeラーニングもあります。また、LGBTQIA+当事者の社員にゲストになってもらい、当事者の声を届けるオンラインセッションも行いました。私がインタビュアーとなって、当事者の経験などを聞かせてもらうというセッションで、任意参加にもかかわらず、全国から500名を超える社員がオンラインで出席してくれました。実際に参加した社員からは、「はっと気づかされた」「自分事になった」など前向きな声が上がりました。もちろん、知識さえあれば良いというわけではありません。自分の周りには当事者はいないと思っていると、ある程度知識があったとしてもLGBTQIA+に関する冗談をいってしまうことがあるかもしれません。カミングアウトしていない人がほとんどで、見かけや振る舞いではわからないことが多いLGBTQIA+。カミングアウトは当事者のチョイスということをみんなが理解していくことが基本かと思います。I&Dの推進は、地道に活動していくことが大切です。焦らずじっくりと、これからも、正しい知識提供のための研修やセッションを継続的に実施していきたいと考えています。
「LGBTQIA+フレンドリー」を分かる形で発信し、安心感の醸成を
2つ目は安心感を醸成するコミュニティの活動です。LGBTQIA+当事者の社員だけが参加できる非公開の社内オンライングループを作っています。また、アストラゼネカとしてBusiness for Marriage Equalityという婚姻の平等(同性婚の法制化)に賛同するキャンペーンにも参加しています。その他、プライド月間(Pride Month)である6月はオンライン会議の背景デザインをレインボーにした素材を配布したり、オフィス内カフェコーナーにLGBTQIA+に関する書籍やリーフレットを置いたりなど、LGBTQIA+フレンドリーを可視化する工夫もしています。見て分かる形で発信することで、当事者社員にも会社がサポートしていることを理解して安心してもらいたいですし、会社全体で受け入れやすい風土づくりにも繋がります。2022年のプライド月間では、より会社全体で受け入れやすい風土作りを促進すべく、業界他社と共同で相互の取り組みや現状・課題について共有しました。
良いことはすぐに実行!社内制度も変更
3つ目は、制度の整備です。同性パートナーシップの慶弔休暇や慶弔金の給付、転勤時の社宅下見の休暇などできるところから制度を変えてきました。ご家族がLGBTQIA+当事者の場合も、もちろん対象です。実際にこの制度を利用した社員から「会社が自分の存在を認めてくれたと感じられ、とても嬉しいです。自分も受け入れられているんだという安心感は、私の仕事に対するモチベーションにつながっています」という言葉を聞いた時にはとてもうれしかったです。
ダイバーシティに関する最新の情報や知識は、常にアップデートしていく
I&D推進室に所属する私が意識していることは、知識をアップデートする機会を社員に提供し続けていくことです。正しい知識は物事の見方・捉え方を変えます。そして、より良い組織づくりに繋がります。アップデートするために、まず、第一に大事にしたいことは、声を上げてくれた当事者社員の思いや意見に耳を傾けることです。そして、私自身も謙虚でありたいと思っています。自分自身の知識は完全ではないかもしれないし、最新ではないかもしれない、そういった姿勢を大切にして、当事者社員と向き合うことを心掛けています。これは、ダイバーシティ全般に言えることです。また、私自身も他社から学ぶなど外部からの最新情報の収集は続け、他社に新しい良い取り組み事例があれば、アストラゼネカでもチャレンジしていきたいですね。
企業成長に不可欠なのは「ダイバーシティ」
アストラゼネカが掲げるビジョン2025の中に、Growth through Innovation(グロース・スルー・イノベーション)の考え方があります。これは、0を1にする成長だけではなく、既存のものを改善したり、多様なアイディアを重ねながら新しいものを生み出し成長していくという考え方がベースになります。Growth through Innovationの実現には、社会的マイノリティも含むいろいろなバックグラウンドを持った社員の意見や思い、アイデアを出し合っていくことも不可欠だと捉えていますので、人材採用においても、多様な方々にご応募いただきたいと思っています。
先日、中途入社社員に入社後の感想を聞く機会がありました。その社員は、自分らしくいられる、自分の力を発揮でき仕事が充実していると言います。異業界からの転職者も多いですし、外資系企業は当社が初めてという社員もいますので、アストラゼネカに少しでも興味をお持ちいただけた方には応募いただけたら嬉しいです。これまでご自身の力が発揮できなかった、自然体でいられなかったとお思いの方には、働きやすい会社だと思います。
アストラゼネカ株式会社
アストラゼネカは以下のようなマインドやケイパビリティをお持ちの方に期待しています。ヘルスケアに強いパッションがあること、AZのバリューに共鳴していただけることはもちろんですが、加えて、