新しい時代と社会をともに創りませんか?生活者との対話から生まれる多様な視点を大切にしながら、DE&Iを実践し、インクルーシブな企業文化を育んでいます

[写真左から]経営革新部:岡林さん/ピープル&カルチャー本部:山本さん
150年以上の歴史を持つ資生堂は、日本初の民間洋風調剤薬局としてスタートし、現在は化粧品事業を中心にしながら、多くの領域で、新しい価値を生み出しています。つねに時代の先を行く革新に挑み続け、DE&I推進においても、社会をリードする存在となっています。今回は、経営革新部 サステナビリティ戦略推進室 DE&Iグループの岡林さん、ピープル&カルチャー本部 タレント&ビジネスパートナー部 採用1グループの山本さんに、LGBTQ+の取り組みについて、お話を伺いました!
長年にわたり育まれてきた、多様性を尊重する意識とカルチャー

岡林:私たちは、ビューティーの提供を通じて、心身の健やかさや生き方にも寄り添い、世界中のお客さまの生活をより豊かに、幸せにする「ビューティーイノベーション」で社会に貢献することを目指しています。多様な価値観やニーズに応えるため、さまざまなお客さまと向き合い続けてきた歴史があり、長年にわたり多様性を尊重する意識が根づいていたと考えています。
山本:ダイバーシティの観点からお話しいたしますと、資生堂は多様な人材にあふれていると思います。社員の約半数がキャリア入社で構成され、外国籍の方や障がいのある方など、異なる価値観や多様性を尊重する組織カルチャーがあると感じます。私自身も中途入社なので、資生堂はとてもフラットで、自然体でいられる組織だと実感しています。
「属性」を意識しない組織づくり

山本:資生堂では、すべての社員が能力を発揮できる環境づくりに取り組んでいます。属性によって役割や職務を限定せず、そもそも、この「属性」を意識しない組織を私たちは目指しています。そのために、合理的配慮はもちろん、福利厚生などの制度整備や就業規則の改訂も必要に応じて行っています。
LGBTQ+に関する取り組みのきっかけ

草の根から広がった社外活動の拡大と東京レインボープライドへの出展
岡林:企業としての取り組みは、美容部員(パーソナルビューティーパートナー)向けの社内研修から始まり、時代の変化に合わせてお客さま対応を見直す中で、LGBTQ+のお客さまへの応対研修へと発展しました。2015年には、東京レインボープライドに初めてブースを出展しています。出展当初は当事者やアライの社員が中心になって運営していましたが、次第に経営層を含めた管理職層にも取り組みへの理解が浸透し、社内での呼びかけを通じてボランティアとして参加する社員が草の根的に増えていきました。
当時のプライドイベントでは、参画企業の多くが外資系で、日系企業の参加はまだ限られている印象でしたが、年月を経て現在では多様な企業が出展するようになり、企業を含めてLGBTQ+支援の輪が社会全体へ広がりつつあることを実感しています。
全国各地のプライドイベントへの出展を継続
岡林:出展ブースでは、肌測定やパーソナルB(ビューティー)カラー診断®を用いた似合う色の提案を提供しています。資生堂ブースには、普段は美容部員とあまりゆっくり話す機会のない当事者の方を含めた多くの生活者がお越しくださいました。お一人15分ほどの短い時間ではありますが、美容部員に相談することで安心されたり、楽しそうに過ごされる様子が見られ、私たちも嬉しく思います。また、パレードに参加した社員からは、「沿道から応援のお声がけをいただいて嬉しかった」「資生堂ではたらいていることに誇りを感じた」「新しいコミュニティに対して新しい理解が得られた」など新たな気づきがあるようで、私たちも元気をもらっています。
2025年は東京、名古屋、大阪、広島、岡山、福岡など日本各地に留まらず、ケルン、ニューヨーク、台北のプライドイベントにも参画しました。2026年も各地で開催されるレインボープライドや関連イベントへの参加を予定しており、引き続き取り組みを広げていく予定です。
高い倫理観と企業文化が支えるDE&Iの広がり
岡林:資生堂には、資生堂グループの社員が取るべき行動を定めた「資生堂倫理行動基準」があります。社員一人ひとりが高い倫理観を持って業務に取り組むための具体的な指針で、The Shiseido Philosophyと一貫しています。こうした高い倫理観に基づいて行動することを大切にしていますので、多様性を尊重し、互いを認め合う風土が自然に醸成されているのだと思います。先ほどご紹介したTokyo Prideへのボランティア参加の広がりも、こうした背景の表れではないかと感じています。
同性パートナーも異性の配偶者と同等の制度利用が可能
岡林:企業文化や風土の醸成だけでなく、制度面の整備にも取り組んでいます。資生堂では2017年に就業規則を改訂し、社員の同性パートナーも異性の配偶者と同様に対応することとしました。これにより、特別休暇や介護休暇、育児休暇などの各種制度を利用することが可能となっています。
また、毎年6月のプライド月間には、3日間にわたり「ダイバーシティウィーク」を開催し、LGBTQ+をはじめとする多様性への理解を深めるウェビナーを社員へ配信しています。こうした制度や取り組みを通じて、誰もが自分らしくはたらける環境づくりを進めています。
社会全体の変革に向けた企業活動
岡林:しかし、企業単独の取り組みだけでは解決できない社会的な壁もあります。そのため資生堂は、社会全体の変革に向けた取り組みにも参画しています。たとえば、2020年には婚姻の平等(同性婚の法制化)の実現を目指すキャンペーン「Business for Marriage Equality」に賛同しました。また、2024年には企業経営者によるアライネットワーク「Pride1000」に参加し、2025年からは「ビジネスによるLGBT平等サポート宣言」に賛同しています。これは、性的指向や性自認を理由とした差別の禁止や、誰もが平等に扱われる職場・社会の実現に向けた法整備を後押しする企業参加型キャンペーンです。
このような取り組みが評価され、2025年にはwork with Prideが策定する「PRIDE指標」において、資生堂グループ9社が最高評価である「ゴールド」を受賞しました。株式会社資生堂としては通算4回目の「ゴールド」受賞となります。また、2年連続で「レインボー認定」も取得いたしました。
自治体・NPOとの協働による新しいメイク技術の取り組み
岡林:社外での取り組みも、これまでご紹介したもの以外に多岐にわたります。その一つとして、近年ではLGBTQ+を支援するNPO法人と協働し、トランスジェンダー女性やノンバイナリーの方々に向けたメイク技術を開発しました。「 自分らしさを彩るメイクアップガイド 」を制作し、Webサイトで一般公開しています。
このガイドの制作にあたっては、認定NPO法人「虹色ダイバーシティ」の協力のもと、トランスジェンダー女性やノンバイナリーの方々を対象に、メイクに関する悩みやニーズについてアンケートを実施しました。その結果は、私たちにとってとても印象的なものでした。
対話から生まれた気づきと現場への変化
岡林:例えば、「眉の描き方を知りたい」「自分に似合うカラーを知りたい」「メイクの順番がわからない」といった、メイクの基本に関する悩みが想像以上に多いことがわかりました。私たちは当初、骨格や皮脂、肌に関する悩みが多いのではないかと考えていたため、これは大きな気づきとなりました。
この経験を通じて、あらためてお一人おひとりのお客さまに向き合うことの大切さを実感し、その学びを全国の美容部員向けトレーニングにも取り入れました。応対では身構えず、自然体でお客さまと向き合い、一人ひとりの声に耳を傾け、遠慮せずに対話を重ねることを心がけるようになりました。
また、毎年6月のプライド月間に合わせてトランスジェンダー女性・ノンバイナリー向けメイクアップ講座を開催し、多くの反響をいただいています。メイクを通じて「なりたい自分」を表現したいというニーズの高さを実感しています。
ERG活動から生まれる理解浸透と心理的安全性の向上
岡林:当事者とアライの社員がERG活動を主体的に推進し、コミュニティが自走できる環境づくりを目指しています。当社におけるERG(Employee Resource Group/社員リソースグループ)とは、組織の中で共通の特性や価値観を持つ社員が主体となって自主的に運営するグループであり、社員の多様性を尊重しながらインクルーシブな企業風土を醸成するDE&Iの中核的な活動です。
当事者への理解は、日々一緒に肩を並べてはたらく社員がどのような思いや考えを持っているのかを知ることから始まると考えています。会社主導の研修や外部の有識者による講演も重要なのですが、理解をより深く社内に浸透させるためには、コミュニティ主導で進めていく意義は大きいと捉えています。現在は、ジェンダーやLGBTQ+などをテーマに活動を展開しており、LGBTQ+のERGメンバーは現在、当事者とアライを合わせて約150名です。
プライド月間に実施するダイバーシティウィークも、プログラムの企画からウェビナーの進行までコミュニティメンバーが担います。社内の反応ですが、サーベイ結果から大きな手応えがあったとわかりました。具体的には、「資生堂の風土に感動した」「部下や同僚がカミングアウトした際のポジティブな対応が理解できた」「『大事な話をしてくれてありがとう』と伝えたい」「『自分にできることはある?』と声を掛けたい」といった感想が寄せられ、社内の心理的安全性が高まったと受け止めています。
中途入社で実感したインクルーシブな組織風土
岡林:私は外資系IT業界から3年前に資生堂へ転職しましたが、社員のLGBTQ+への理解が深く、社内にも広く浸透しているほか、多様性に関するアンテナも高いと感じています。
山本:私も中途入社ですが、資生堂はインクルーシブな組織づくりを重視し、前職と比べてダイバーシティ推進力が高いと感じました。障がい者雇用では、資生堂グループ全体で約350名の障がいのある社員がはたらいており、そのうち約200名の社員が各事業部門の部署・職場ではたらいています。一緒にはたらく社員にとっても多様性が身近なものとなり、資生堂はインクルージョンの考え方が進んでいると感じます。
企業活動の先にいる一人ひとりの「生活者」と向き合う
岡林:私たちは「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力で、よりよい世界を)」を企業使命に掲げています。その根底にあるのは、企業活動の先にいる一人ひとりの生活者が「自分らしい美」を実現し、「なりたい自分」を見つけられるよう支援したいという思いです。そのためにも、さまざまな背景を持つ生活者の方々との対話を継続し、理解を深めていくことを大切にしていきたいと考えています。
山本:私たちはお客さまを「生活者」という視点で捉えています。美を通じて日々の生活に新しい価値を届けていくという考え方に基づいているからです。そのため商品開発においても、品質の高い製品を提供するだけでなく、資生堂の商品を通じて、お客さまの生活がより豊かに、より心地の良い生活になることを目指しています。
資生堂にしかできない「ビューティーイノベーション」とは、まさに生活の中に新たな価値を生み出すことだと考えています。
当事者の「生活者」としての不安に寄り添う
岡林:性自認の悩みが深い方の中には、「周囲からどう見られているか」という葛藤や、ご自身に自信を持ちにくいことから、生活に不安を抱えている方もいらっしゃいます。お話を伺うと、化粧品をオンラインストアや接客のないドラッグストアで購入し、誰にも相談できないままお使いの方もいらっしゃいます。
資生堂が開催する美容講座への参加がきっかけとなり、「美容部員のいる店頭にも行ってみたい」といった前向きな言葉をいただいたり、表情が明るくなるなどの変化に触れるたび、私たちの取り組みが美の力による自己効力感の醸成につながっているのではと、嬉しく思います。こうした対話を重ねながら、当事者の皆さまと共に新たな価値をつくっていきたいと考えています。
啓発にとどめず、日常業務やマネジメントの実践へつなげるDE&I推進
岡林:LGBTQ+に限らず、DE&Iの推進においては継続性が重要です。単なる啓発で終わらせず、日常業務やマネジメントの中での実践へとつなげていくことが求められます。その一例として、数年前からマーケティング領域においてインクルーシブマーケティングのトレーニングを導入しています。これは、年齢、性別、国籍、障がいの有無などにかかわらず、多様な人々を前提にしたマーケティングの考え方です。また、当事者の方々との対話の機会を設けることで、現場の意識や行動に変革をもたらし、ブランド活動にDE&Iの視点を取り入れる動きを強化しています。
インクルーシブで心理的安全性の高い職場へ

山本:採用においては、大きく2つの考え方があります。一つは、多様な人材が制約を受けることなく自分らしくはたらき、能力を最大限発揮できるインクルーシブな環境を整備していくことです。もう一つは、各部署における受け入れ体制の理解をさらに深め、心理的安全性の高い職場環境をつくっていくことです。
最近では学生の意識の変化を感じることも多くあります。就職後のキャリアの中でどのように活躍していけるかなど、自分の可能性を前向きに考える方が増えていると感じています。私たちは、これからの時代を担う若い世代にとっても、一人ひとりが自分らしく能力を発揮できる組織づくりを進めていきたいと考えています。中途採用では、旧姓・戸籍姓のいずれで業務を行うかは、ご本人の選択を尊重しているなどご自身のありたい姿を大切にしながら、力を発揮していただきたいと考えています。
自分らしくはたらけるフィールドを見つけるために
山本:私は15年間人事の仕事に携わっていますが、その間に社会も大きく変化したと感じています。障がいへの理解はまだまだ進んでいない部分はあると思いますが、是非ご自身が活躍できるフィールドを見つけていただきたいと思います。資生堂には、それぞれの強みや志向に応じたフィールドが数多くあります。「資生堂でこんなことに挑戦したい」という想いをお持ちの方は、ぜひご応募ください。お一人でも多くの方とお会いできることを楽しみにしています。
新しい時代における「自分らしい美」を共に創造する仲間へ
岡林:社会全体のインクルージョンの推進に共感いただき、同じ志を持って取り組んでいただける方にご興味を持っていただけると嬉しく思います。また、自分らしさを活かしながら、新しい美のイノベーションを創出したいと考える方にも期待しています。資生堂は、その時代における美のあり方を提案し続けてきた会社です。これからの新しい時代における「自分らしい美」をともに創造していきましょう。
株式会社資生堂

資生堂では、障がいのある社員に対して、「本気で期待する」「必要な配慮はするが特別扱いはしない」「一生懸命働きたい情熱のある社員を積極的に応援する」ことを約束し、職場の貴重な人材として成長を期待しています。成長を見守り、背中を押してくれる仲間がいますので、安心してチャレンジできる風土があります。「一人ひとりの力や個性に期待し、歓迎する会社」で、ぜひ一緒にはたらきましょう。

