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女性のモヤモヤを解消する100問100答

#049

2020.03.16

Q. パリのアラサー女性もとらわれる「普通の幸せ」。
「こうあるべき」に縛られず自分軸を手に入れる方法を知りたい。

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結婚すること、子どもを産むこと、ひとりでいること。
幸せの形は人それぞれだけど、 私の幸せはなんだろう?

フランスのベストセラーコミック『クレール』(DU BOOKS)。本書に登場する32歳のクレールは、新生児集中治療室(NICU)で働く看護師。自身を「賞味期限切れ」と評したり、結婚や出産のために恋人との付き合いに疑問を感じながらもと別れられずにいたり…。

結婚にとらわれず、自由に恋愛を楽しんでいるイメージの強いフランスにも「こうあるべき」に縛られて自分らしく生きられずにいるクレールのような女性もいる。その姿は、日本でモヤモヤを抱えながら生きる私たちと重なります。

フランス人の結婚観や仕事観から、べき論に惑わされず、自分らしく生きるためのヒントは得られるのでしょうか。『フランスはどう少子化を克服したか』(新潮新書)の著者であり、在住地のフランスから家族政策について情報発信をしている、ライター髙崎順子さんに聞きました。

おひとりさまが生きにくいフランス

フランスでも家族やパートナーを持つことが重要視されるものの、その理由は日本とは異なるそう。

「フランスでは基本的に、『人はひとりで生きていくことはできない』と考えられています。ひとり=必要なときに支え合える相手がいない、つまり、どこか不安定な状態と認識されます。その状態から抜け出すために大切なのは人とつながること。本来なら、つながる相手は誰でもいいはずなのですが、フランスではその最小単位として、パートナーシップが重視されています」

精神・生活両面で安定し、よりよく生きるために、パートナーを求める。ある意味、合理的な考え方です。

こうした背景から、シングル生活が長い人は、「エゴイストだから」「子どものままだから」他人と生きられないのだと評価され、理解されにくい。この現象は『クレール』の中にも描かれています。

形式よりも「実態」を重視するフランスの結婚観

フランスでは一般的な事実婚ですが、日本で事実婚を選択した場合は「あえて結婚しないことを選んだ」と解釈されることがあります。

「結婚よりも事実婚の方が、ハードルが高いような扱いですね。これは、離婚に対しても似たことを感じます。日本における結婚は、かつて家制度の維持の側面があったことから、家族になるための唯一の手段のように捉えられています。だから一度築いた家族を壊すことへの抵抗感も根強く残っている。そのため、仮に相手といて精神・生活が安定しなくても離婚を決断できない人が多いのではないでしょうか」

一方フランスは、法律婚以外にも「PACS(パックス:連帯市民協約)※」や事実婚などの選択肢があり、形式にとらわれずにパートナーとの関係を築いている印象を受けます。

「フランスには戸籍制度がなく、上流階級でない限り『家系をつないでいくべき』とのプレッシャーもありません。今のフランス人にとって、家族とは自分で選び取る拠点。扶養する義務を強制される共同体というより、生きる楽しさや喜びを分かち合う対象と考えられています

現代のフランスでは、シンプルに「一緒にいて幸せを感じられない相手とは別れる」。と考えるのが一般的です。家族の形よりも、“自分の幸せ”に対して誠実でありたいという価値観を表しているのかもしれません。

※同性または異性の成人2人による、共同生活を結ぶために締結される契約

「自分」を主軸にしたフランスの働き方

パートナーとの関係性を「自分を幸せにするためのライフハック」として考えるフランス人が、どのような働き方をするのかも気になります。

「多くのフランス人にとって仕事は『生計を立てるための生活の一部』であり、最優先事項ではありません。楽しいほうがいいけど、やりがいを求めてはいない。なかにはがむしゃらに働く人もいますが、そういう人たちは『やりたくてやっている、仕事に対して情熱のある人』と見られています」

結婚と同様、仕事に対しても「自分がよりよく暮らせること」を重視していることが分かります。

女性の「こうあるべき」を語ることが時代遅れ

女性につきまとう結婚・出産などの「普通の幸せ」という呪縛。髙崎さんは、「フランスでは、性別でモノを語るのは、時代遅れの感覚がある」と前置きした上で次のように述べます。

「あえてフランス人女性を縛るものを挙げるとすれば、『人はひとりでは生きられない』『誰かと生きていたほうがいい』という社会的な考え方でしょうか。シングル志向の女性にとっては、日本の方が生きやすいのかもしれないと感じます」

とはいえ、これは性別に関係なく根付いている価値観なのだそう。

「フランスにおける幸せは、“女性として”ではなく“人間として”語られます。人間としての幸せとは『あなたがあなたのままに、快適にいられること』。この状態をフランス語で『Epanouissement personnel(個の開花)』といい、政府の文書にも使用されています。『個の開花』のためには、精神的にも生活面でも安定している必要があり、そのためにパートナーがいたほうがいい、とされているのです」

「個」を重視することが前提にあり、そこからパートナーや働き方を判断する。フランス人は自然と自分らしく生きることができていると感じます。

自分を幸せにできるのは自分しかいない

日本で育ち、フランスに移住した髙崎さん。フランスでの暮らしは、髙崎さんにどのような変化をもたらしたのでしょうか。

「幸せの価値観が変わりました。 以前の私は、『誰かが私を幸せにしてくれる』『そのうちいい出会いがある』と自分の幸せを外側に委ねていた。だけど、“個”を尊重するフランス文化で育ったフランス人の夫との生活を通して、『自分を幸せにできるのは自分しかいない』と考えるようになりました」

さらに、自分を大切にすることで、他者に対しての意識も変わったそうです。

「自分が幸せでいるためにも、他者を尊重し、適度な距離と良好な関係を保つことが大切だと感じています。夫とは『自分の幸せは自分で責任を持とう。でも、一番に助け合えるパートナーとして一緒にいよう』とよく定点観測をし合っています」

髙崎さんのように環境を変えなくても、日本で自分を変えられる方法はあるのでしょうか。

「やはり、『自分を幸せにできるのは自分しかいない』と覚悟を決めることではないでしょうか。いくら待っても白馬の王子さまが来るとは限らないし、理想通りの完璧な職場に出会える保証もない。不確かな何かを待つよりも、自分にできる範囲で“幸せ”と感じる時間を重ねた方がいい。そのためには無責任な外野の声はシャットアウトし、自分が幸せだと感じる状態を見極めることが大切と思います」

自分が何をしているときが楽しく、何に喜びを見いだしているのか。改めて自分を見つめる機会をつくることが、自分らしい幸せを見つけるための第一歩だそうです。

「自分と価値観や考え方を共有できる人を大切にすれば、『ああ、今私は幸せだわ』と感じられる時間が少しずつ長くなっていくのではないでしょうか。その上でパートナーに限らず、つながって生きていける人たちに出会えれば、なおよし!ですね」

まとめ

「こうあるべき」に縛られず、自分らしい幸せを見つけるには…

誰かに幸せにしてもらうのではなく、「私を幸せにできるのは私」と腹をくくる。

価値観や考え方を共有できる人を大切にする。

フランスと日本は、文化的・社会的な背景も異なります。でも、「個」としてのあり方に国籍は関係ありません。フランスの人たちを参考に、まずは自分を見つめるところから始めてみるといいかもしれません。

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Profile

識者プロフィール

髙崎順子(たかさき・じゅんこ)
1974年東京都生まれ。東京大学文学部卒業後、出版社に勤務。2000年に渡仏し、パリ第四大学ソルボンヌ等で仏語を学ぶ。フランスの文化に関する取材・執筆のほか、各種コーディネートに携わる。共著に『パリ生まれ プップおばさんの料理帖』(新潮社)など。
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