うつ病で障害者手帳はもらえる?申請前に知りたい条件やメリット・デメリット
うつ病と診断され、障害者手帳の取得を検討している方もいるでしょう。しかし、制度や取得後のことについてよく知らないと、自分にとって最適な判断がつかず、不安や迷いが生じるのも無理はありません。
この記事では、うつ病で障害者手帳が取得できるのかどうかや申請の手順と判定基準、メリット・デメリットなど、事前に知っておくと役立つ情報をまとめました。
目次
うつ病は障害者手帳の対象
結論として、うつ病のある方は、障害者手帳の交付対象です。障害者手帳には、大きく分けて3つの種類があり、うつ病のような気分障害があり、国・自治体の定める一定の基準を満たす方は「精神障害者保健福祉手帳」が取得できます。まずは申請の判断材料として、自分の状態が障害者手帳の対象範囲に含まれるかを確認してみてください。
うつ病で取得できる「精神障害者保健福祉手帳」とは
「精神障害者保健福祉手帳」とは、長期的な精神障害により、日常生活や社会生活に制約・困難がある方を対象とした認定制度です。具体的には、統合失調症、うつ病、てんかん、薬物依存症、高次脳機能障害、発達障害などの精神障害のある方が交付対象となります。
うつ病で日常生活に支障がある場合や、はたらけないといったことに悩んでいるときは、精神障害者保険福祉手帳を取得することで解決のきっかけがつかめたり、負担を軽減できたりすることもあるので、選択肢の一つとして検討してみてください。
精神障害者保健福祉手帳の申請方法と審査の流れ
精神障害者保健福祉手帳を申請する基本的な流れは次の通りです。
- 1.主治医への相談と診断書の作成依頼
- 2.必要書類の準備
- 3.自治体の窓口へ申請
- 4.審査
- 5.手帳の交付
まず精神科や心療内科を受診し、医師からの確定診断を受けたうえ、診断書を発行してもらいます。なお、障害者手帳を申請するための診断書は、初診日から6ヶ月以上経過した後に発行されたものでなければなりません。これは、障害者手帳の交付対象が、長きに渡って日常生活や社会生活に支障が出ている方となっているからです。
続いて、お住まいの自治体の定める申請書類を準備し、診断書を添えて障害福祉窓口(役場・保健センターなど)に相談した後、必要書類を提出して交付決定を待ちましょう。
うつ病が分類される精神障害者保健福祉手帳の等級
精神障害者保健福祉手帳には、1〜3級の等級があり、「精神疾患(機能障害)」と「能力障害(活動制限)」の2つの状態を総合的にみて区分されます。以下では、それぞれの等級の判定基準を確認しましょう。
1級の判定基準
精神障害者保健福祉手帳1級は、周囲の援助・介助がないと日常生活が送れないほどの精神障害がある方の区分です。具体的には、下記のような状態に複数該当する場合に分類されます。
- 食事や入浴、整容といった基本的な生活動作ができない
- 規則的な通院・治療や金銭・危機管理、各種社会手続きが自力では行えない
- 周囲とコミュニケーションが取れず、円滑な人間関係が築けない
- 社会情勢や趣味・娯楽に興味がない、もしくは十分に参加できない
うつ病では、気分や意欲の落ち込み、行動・思考の制限の程度が極めて高く、長期にわたって症状が持続したり、頻繁に繰り返したりして、継続的な通院・治療を要するケースが該当します。
2級の判定基準
精神障害者保健福祉手帳2級は、日常生活や仕事に著しく制限がかかるほどの精神障害がある方の区分です。具体的には、下記のような状態に複数該当する場合に分類されます。
- 基本的な生活動作や通院・治療、金銭・危機管理、各種社会手続きに援助・介助を必要とする
- コミュニケーションや人間関係の構築にサポート・配慮を必要とする
- 周囲の援助なしには、文化的・社会的活動へ十分に参加できない
うつ病では、気分や意欲が落ち込んだり、行動・思考が制限されたりすることが持続的もしくは頻繁にあるケースが該当します。
3級の判定基準
精神障害者保健福祉手帳3級は、精神障害があることで、日常生活や仕事に困難が生じやすい方の区分です。具体的には、下記のような状態に複数該当する場合に分類されます。
- 自発的かつ適切な日常生活動作や通院・治療、金銭・危機管理、各種社会手続き、社会的・文化的活動への参加はおおむね可能だが、なお援助を必要とする
- 安定的なコミュニケーションが取れず、人間関係の構築に支障がある
うつ病では、軽度の気分・意欲の落ち込みや、行動・思考が制限される時期が続く、もしくは頻繁に繰り返すケースが該当します。
うつ病で障害者手帳を取得する3つのメリット
うつ病のある方が障害者手帳を取得すると、大きく分けて「経済面」「就労面」「生活面」に関するメリットが得られます。
経済面
障害者手帳を取得している方は、税制上・生活上のさまざまな優遇制度が利用できるようになります。
例えば、障害者手帳を取得している方本人と、生計を一にする配偶者・扶養親族は、確定申告で障害者控除が受けられます。2025年12月現在、所得税の障害者控除の額は27万円です。また、精神障害者保健福祉手帳1級の場合、税制上の「特別障害者」に区分され、本人は40万円、同居し生計を一にする扶養親族・配偶者は75万円が控除されます。所得税のほか、次年度の住民税や、相続税も控除の対象なので、申告することで税負担が軽減するでしょう。
そのほか、公共料金や携帯電話料金、各種生活サポートの利用料金の割引が受けられるケースもあり、医療費や通院にかかる交通費、税金などの経済的負担を軽減できます。
就労面
障害者手帳を取得すると「障害者雇用枠(障害者採用枠)」の求人への応募が可能になります。障害者雇用枠とは、障害のある方へ、個々の特性に応じた合理的配慮を提供することを前提に募集されている求人枠です。仕事内容や就労時間などの配慮を受けながら、自分に合った働き方ができる可能性が高まります。
また、障害者手帳を取得した方を対象とする就労支援サービスを活用することで、はたらくうえでの基礎的な能力となる「職業準備性」が整えられるほか、復職・転職などの仕事探しの選択肢が広がるでしょう。
生活面
うつ病のある方が精神障害者保健手帳を取得すると、生活に役立つさまざまな障害福祉サービスを受けられるようになります。
具体的には、公共交通機関や公共施設の割引、公営住宅入居の優遇措置、NHK受信料の減免などが挙げられます。必要に応じて活用することで、QOL(Quality of Life=生活の質)の向上に貢献するでしょう。
うつ病で障害者手帳の取得を検討する際の注意点とデメリット
障害者手帳の取得には、いくつかの注意点があります。必ずしもデメリットになるとは限りませんが、人によっては大きな負担に感じることもあるので、事前にチェックしておきましょう。
更新手続きがある
精神障害者保健福祉手帳の有効期限は、原則として、申請受理日から2年後の月末までです。また、引っ越しや名前が変わったなどで登録情報に変化があるときや、障害者手帳を紛失した場合は、有効期限内であってもすみやかに手続きを済ませなければなりません。
なお、更新手続きでは改めて審査が行われ、そのときの症状によっては等級が変わることもあります。
申請すれば必ずしももらえるとは限らない
うつ病があっても、制度上に定められた要件を満たしていないと、障害者手帳は取得できません。認定の目安となるのは、主に以下の2点です。
- 初診日から6ヶ月以上経過している
- 症状が現在も継続もしくは頻繁に繰り返し、日常生活や社会生活に支障をきたしている
また、障害者手帳の取得後、うつ病の症状が軽快し、認定基準を満たさなくなったと見なされるときには、原則として返還しなければなりません。
なお障害者手帳の審査では、病名・障害名ではなく、精神障害があることで「社会生活や日常生活にどれほどの制約・困難が生じているか」がポイントとなります。精神障害があっても、審査で「要支援に相当する困難が生じていない」と判断されてしまうと、取得できないこともあります。
そのため申請時には、事前に特性の情報をまとめ、自分の状態や困りごとを明確に伝えることが必要です。一人では説明が難しいときは、主治医に相談する、家族に付き添いをお願いするなど、症状・特性による困りごとが客観的に伝わるよう工夫してみるとよいでしょう。
障害開示への抵抗感や不安を覚える場合がある
人によっては、障害者手帳の取得で、自分が「障害者」だという公的認定を受けることに対する抵抗感や、周囲に病気を知られる不安を覚えるという方もいるでしょう。
とはいえ、前提として、障害者手帳の保持はプライバシーに関わる情報であり、自分から開示しない限り、会社や他人に知られることはありません。障害者雇用枠で就職している場合は、総務や人事など社員の一部に知られる可能性はありますが、個人情報保護の観点がしっかりした企業であれば、ほかの社員にまで広く知られることはないので安心してください。
保険加入が難しくなることがある
障害者手帳を取得するデメリットとして、生命保険や一部の民間医療保険への新規加入が難しくなる可能性があることが挙げられます。手帳の有無自体が欠格事由になるわけではありませんが、現在の健康状態や経済状況を判断する材料の一つとされることがあるからです。
とはいえ、障害者手帳を取得している方でも加入できる保険はありますし、将来的なライフプランに影響を及ぼすのではないかと心配な場合は、専門のアドバイザーに相談して判断するとよいでしょう。
うつ病で障害者手帳をもらえない方でも利用できる支援制度
うつ病のある方で、障害者手帳を取得できない、もしくは取得しない場合でも、次のような障害福祉・生活扶助が受けられる可能性があります。
- 障害年金
- 自立支援医療(精神通院医療)
- 生活保護
また、ハローワークの障害者窓口や地域障害者職業センター、就労移行支援事業所といった就労支援制度も、障害者手帳の有無を問わず利用可能です。
ただし、制度によっては「障害福祉サービス受給者証」の取得が必要な場合もあります。各種制度の利用を希望する方は、まず各サービスを管轄する窓口に問い合わせてみてください。
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障害者手帳は、うつ病のある方の暮らしや仕事をより良くするためのツールです。例えば、現在の職場ではたらき続けることが難しいなら、障害者手帳を取得し、障害者雇用枠での就労を視野に入れることで、自分らしくはたらける仕事が見つかりやすくなります。また、継続的に治療を受ける中で、経済的な負担が大きい場合も、障害者手帳の取得が手助けになるでしょう。主治医や家族の意見も参考にしつつ、障害者手帳を持つことが自分の状況に与える影響を踏まえ、困りごとを解決する手段になりそうだと感じた場合は取得を検討してみてはいかがでしょうか。
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公開日:2026/2/20
- 監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
- 上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■障害者職業生活相談員
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