私は、幼稚園の頃から「周りとの違和感」による「生きづらさ」を感じていました。その違和感や生きづらさは何なのか?自分自身のことを知りたくて、大学では心理学を専攻し、卒業後は大学院へと進みました。院進学の理由の一つは、社会に出て企業に就職をすると、性別役割を期待される、そのことへの抵抗があったからです。女性社員は女性らしい仕事を、男性社員は男性らしい仕事を、と期待されるであろうことが自分には引き受けられないと考え、その時は就職の道は選択しませんでした。
院では社会学を専攻しました。私は、トランスジェンダーとして生きづらさを抱えて生きてきて、その研究をすることで自分を説明する言葉を持ちたいと考えていました。しかし、大学院でも性別役割への期待は一般社会と変わらず、この頃から、体調や心身のバランスが不安定となり、25歳でうつ病と診断されました。
うつ病とアルコール依存症だった20代後半~30代後半
不眠から始まり、寝返りができないほどの倦怠感、手すりに掴まらないと歩けないほどのめまいを感じ、最初は、脳や免疫、内臓系の疾患かと考え、内科、耳鼻科などを受診しました。なかなか診断がつかずにいたところ、精神科を紹介され、うつ病と診断されました。その後も体調・心身の不調は良くならず、寝付くためにアルコールを摂取することが習慣となり、アルコール依存症と診断されたのが32歳のときです。これまで精神科の主治医にも相談をしていましたが、社会生活が送れているならアルコール依存症ではない、と言われていました。診断のきっかけは、転院です。結婚により東京で暮らすことになり、転院先の新しい主治医から、「アルコール依存症」とはっきりと診断され、治療に踏み切れました。何度も断酒と再飲酒を繰り返しながら当事者会にも通い、2012年12月からは断酒に成功し、今も継続しています。