視覚障害/20代女性/総務事務職への転職ストーリー

視覚障害の方の転職体験談視覚障害の方の転職体験談

地元仙台・未経験から事務職へ転職を実現。障害者採用枠ではたらくという選択肢

S.T.さん 20代 視覚障害(先天性の緑内障による視野障害)

転職活動期間
6ヶ月
前職
販売職
現職
総務・事務職

高校卒業後、初めての就職は一般採用枠でスタート

私は音楽が好きで、高校卒業後は、大手CDショップチェーンに就職をし、接客販売やPOP製作など売り場づくりの仕事をしてきました。先天性の視野狭窄の障害がありますが、接客販売の業務では大きな支障はないだろうと考え、一般採用枠での就職をしました。実際に、周りの方から特別な配慮をしてもらう必要性をあまり感じることもなく、音楽に仕事で関われることはとても楽しいものでした。結婚後は複数回、夫の転勤がありましたが、雇用形態をアルバイトに変えて、職場をうつして仕事を続けました。地元の仙台に戻ってきたタイミングで、仙台を拠点に生活をしていこうと夫婦で話し合い、私も長く安心してはたらける仕事を探そうと考えるようになりました。また今後、家族が増えたときを見据えて、転勤がなく、土日休みを条件に転職活動を始めました。

地元仙台・土日休みを条件に転職活動を始める

まずハローワークに登録し、求人を探したところ、土日休みの仕事だと、事務職が多いことが分かりました。前職で少しパソコンを使用していたこともあり事務職に興味はありましたが、積極的には考えていませんでした。というのも、視覚に障害がある私は、パソコン画面に目を近づけないと見えないので、障害のない方と同じスピードで仕事ができるだろうか、そもそも障害のある私を事務職として採用してくれるのかと不安だったからです。このときに思い出したのが、高校卒業時に主治医が私に言った「障害者採用で就職する道もあるよ」の一言でした。自分のこれからの人生を考えたとき、選択肢は多い方が良いと考え、障害者採用枠での転職をインターネットで調べはじめました。

登録後すぐ、キャリアアドバイザーから連絡があって安心

dodaチャレンジに登録後すぐに、メールとお電話をいただき、親身に話を聴いてくださったことがとても印象に残っています。東京からの転職支援でしたが、電話でも話しやすく感じの良いキャリアアドバイザーを信頼して、障害者手帳を取得し、転職活動をしようと思いました。

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未経験からのチャレンジ。大手企業事務職への転職

接客販売の仕事を中心にしてきた私にとって、一般企業の事務職ではたらくことは未知の世界です。オフィスではたらくイメージができず不安だった私に、担当のキャリアアドバイザーは、企業の魅力や仕事内容について丁寧に、また、興味が持てるように説明してくれました。話を聞いていると、だんだんワクワクしてきて、やってみようという気持ちになり、5~6社の企業にエントリーしました。地元企業だけでなく、仙台支社のある大手企業も多く紹介していただき、特に今の仕事は、「Tさんに合っていると思う」と熱心に勧めてくださいました。自分一人での転職活動であれば、仕事のイメージが湧かずエントリーをしていなかっただろうと思います。企業情報だけでなく職務内容も細かく紹介していただいたことが意欲に繋がり、最終的に2社から内定をいただき、今の会社に入社することにしました。

障害の状況は、客観的に、正しく伝える工夫を

お互いを理解する場である面接では、障害の状況について正しく伝える工夫をしました。 人事の方は、パソコンを見続けることで目に悪影響を与えないかと心配してくださっていることが分かりました。安心していただくには、主治医の太鼓判に勝るものはないと思ったので、さっそく主治医に確認をとりました。「問題ない。今まで通り月1回の定期診断で診ていくから大丈夫」という主治医からの話を面接官に伝えたところ、とても安堵されたようでした。面接では、人事や面接官が心配されていることについて、意欲や精神論で伝えるだけでなく、客観的で正しい情報で安心感を与える工夫も必要だと思います。

初めての事務職、そしてこれからの抱負

仙台支社の総務部は10名程度で、総務課に配属されました。具体的には、研修の事務的な仕事や受講者登録などを行う人事関連業務と社員150人の健康診断管理などの安全衛生業務のサポートをしています。どちらも、はじめての仕事ですが、やりがいがあり面白いです。また、一緒にはたらく職場の方も、「文字、見える?」など心配りをしてくださいますし、障害があることを理解したうえで採用していただいたので、私自身も、障害特性を理由にできないときは「できない」と言いやすく、気持ちよく仕事をさせてもらっています。これから少しずつでも、一から自分でできる業務を増やし、部署の皆さんのお役に立てるようになりたいです。とくに人事関連の業務に興味があるので、実務の積み重ねのほか、本を読むなど勉強もしていこうと思っています。

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メッセージ

これまで、私は、視覚障害によって、学校生活においても、社会人生活においても大きな支障を感じたことはありませんでした。しかし、転職をして、周りの方の理解がある中で仕事をするようになって、これまでの自分よりも自然体でいられていると感じています。私の障害は先天性なので、「(視野の一部が欠損・見えにくいことが)自分にとって当たり前」で、周りと同じようにできるよう工夫や努力をすることは当然で、無理をしていると感じていなかっただけなのだと思いました。障害者手帳を取得してこなかったのも、「障害があるように見られたくない」とどこかで思っていたからでした。しかし、実際は、視覚障害が不利になる仕事を選んでこなかっただけだということに気づきました。
障害者採用枠ではたらくという道は一つの選択肢だと捉えることで、気持ちが前向きになり、踏み出すことができました。もし、障害者採用枠と一般採用枠の就職で悩んでいる方がいらっしゃるのであれば、選択肢は多い方がいいとアドバイスさせていただきたいです。数ある選択肢の中から、最終的にご自身が納得のいく就職をされたら良いと思います。

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