私が就活を意識するようになったのは大学1年生のときです。将来に向けてパソコンスキルを習得しようと考え、視覚障害専門の就労移行支援事業所に通い始めました。パソコンは盲学校のときから使用していましたが、ビジネスで役立つレベルではなかったので、就労移行支援事業所でWord、Excelを身に着け、ビジネス文書の作成ができるまでになりました。また、パソコンスキルは、大学のレポート作成にも活かせたので、早めに勉強を始めて良かったと思います。
大学では日本文化を専攻しました。9歳の頃から続けている琴と三味線がきっかけで、日本文化をより深く学びたいと思うようになったからです。日本文化を知ることで、国際交流にも興味が広がっていき、充実した学生生活を送ることができました。
大学のキャリアセンターに相談し就活開始
具体的な就職活動は、他の学生と同じく3年生でスタートしました。意識して取り組んだことは、自分の長所は何か、自己PRでは何を伝えれば良いかなどを、自分ひとりで考えるのではなく、キャリアセンターのアドバイザーに相談しながら進めていくことでした。プロの客観的なアドバイスはとても参考になりました。
しかし、大学では、障害のある学生向けの求人情報はそれほど多くありませんでした。キャリアセンターでは障害者採用枠での就活支援経験が少なかったようで、親身に相談にのっていただけましたが、具体的な活動方法については情報が足りないと感じました。より多くの求人を求め、大学に頼りきりではなく、自分自身でも情報収集をしはじめるようになりました。そのような中、コロナウイルスによるパンデミックが起こりました。
コロナウイルス感染拡大――内定ゼロで感じた不安
どの企業も採用活動が滞ってしまい、このまま就活がどうなっていくのか、就職できるのかなど大きな不安と焦りを感じました。誰もが初めて経験する事態ですので、誰に相談すれば的確なアドバイスをしてもらえるのかさえ分かりません。模索しながら就活を進め、大学4年生の6月時点で、化粧品会社、マスコミ、物流など様々な業界にエントリーし、面接に進んだ企業が3社、内定はゼロでした。