先天性の感音性難聴ですが、幼稚園から中学校までは一般の学校に通っていました。また小学校卒業まで地域のソフトボールクラブに所属していました。小さい頃から耳が聞える人たちとの交流や接触は多かった方だと思います。
小学校時代はロマンを感じて歴史にはまり、中学に入ると一転、パソコンへの好奇心からコンピュータ部に入部しました。小さい頃からゲームが好きで、幼稚園の時のゲームボーイに始まり、ファミコン、Wii、PS3・・・と、ゲームの進化を通して技術の発展を身近に感じ、ITへの興味が自然と湧いたのだろうと思います。中学でプログラミングを覚え、ソフトウェアを作る楽しみを知りました。制作したゲームが入賞したときは嬉しかったですね。
将来のことを現実的に考え始めた高校時代
高校は、ろう学校に入学しました。ここでは社会に役立つ知識を学ぶ授業が多くありました。具体的には、ワードやエクセル、HTMLを学べる授業や、ワープロ検定や情報処理検定を取得するための授業など、とても実用的だったと思います。
比較的早くから将来について考えるようになっていましたが、高校での学びの中でソフトウェアに対する適性があると自覚したため、そこから積極的にPCに関連しそうなことを学習するようになりました。私はIT関連の企業ではたらきたかったので、高校卒業後は、より高度な学びができる大学への進学を選択しました。
手話をメインとした情報保障が受けられる大学へ
IT関連の内容をしっかり学べて、手話をメインとした情報保障が受けられる環境が整っている筑波技術大学に進学しました。1、2年生の時は学業優先で知識・技術の習得に努め、少し余裕が出てきた3年生で、文化祭実行委員として活動範囲を広げるなど大学生活は有意義に過ごせました。
大学3年秋から就活。実力主義の通信サービス会社へ
就職への意識は高い方だったと思います。2年生の夏季休暇にインターンシップへ参加したり、3年生の秋から具体的に就職活動を開始しました。就職活動で一番苦労したことは、企業の調査です。就職活動を始めたものの、四季報や就職口コミサイトなど、アナログからデジタルまで様々な手法があり、たくさんの情報の中で自分が欲しいと思っている情報を探すことが大変でした。大学の就職支援や教授、同期と情報を交換しつつ、何とか就活を進めていました。また、筆談での面接も正直、困難に感じました。私は口話ができますが、家族との間でしか使っていなかったので、人事の方との一対一の面接は苦労が多かったです。今も職場では筆談やUDトーク等でコミュニケーションを取っています。
障害の有無によらず実績で評価する実力主義に魅力を感じ、新卒で入社したのは大手通信サービス会社です。サーバー構築や設計、自動化ソフトウェア開発に携わり、職場の人間関係も良好ではたらきやすく満足していました。個性に寛容な方々が多かったため、話を聞いてもらいやすい環境でもありました。しかし同時に、短期的に早く結果を求められる雰囲気も感じていました。3年くらい経った頃から、より安心して仕事をしながら長期的に業務や学習を通して自分のスキルを磨いていきたいと思うようになっていきました。