統合失調症/40代女性/IT事務への転職ストーリー

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統合失調症の私が入社6年目。発症から転職、長期定着に至るまで

E.I.さん 40代 統合失調症

転職活動期間
4ヶ月
前職
システム運用保守
現職
IT事務

長期定着ができた3つの理由。何より疾患への理解と周囲の支え

私が、統合失調症を抱えながら、長期就業できている理由は、3つあります。自分をよく見せようと無理をしないこと、焦らないこと、疾患を理解してくれた方々に恵まれたことの3つです。特に、周囲の理解に恵まれたことは大きかったと思います。私は発症後、早いタイミングで、「統合失調症の自分として、これからを生きていく」ことを受け入れられたのですが、それは家族や周囲のサポートがあってこそと感謝しています。

発症するまで、精神障害の兆候も思い当たる特性もなかったので、私にとっても、家族にとっても突然のこと。もともと私は、中学・高校では運動部に所属し、いわゆる「スポ根(スポーツ根性ものの略)」時代の活発な性格でした。だから、発症は思ってもみない突然の出来事だったのです。

統合失調症の発症からリハビリ・休養期間中の過ごし方

当時、私は、社内のシステム運用・サーバー管理の仕事をしていました。もともとハードワークだったのですが、追い打ちをかける人員不足に対して補充がなされず、欠けていくメンバーの仕事も私が引き受けることになり、忙しさも倍増していました。残業60時間超えは当たり前、出張も多かったので、体力は限界に達していたと思います。最初に現れたのは、不眠でした。心療内科に行き、薬を処方してもらいましたが、2~3ヶ月で幻聴が起きました。自分の悪口や批判の声が聞えるんです。そのうち、見えない人が見える幻覚まで現れて、知り合いの医療関係者に相談すると、大きい病院ですぐに診てもらった方が良いとアドバイスをされました。統合失調症と診断され、精神科への入院も検討しましたが、付き添いで来ていた両親が、自宅で看病することを強く希望したので、入院はしませんでした。家族は、統合失調症についての勉強や、病院内の家族サークルに入って、症状への対応について理解を深めてくれました。献身的なサポートのおかげで、症状が落ち着いてきたので、統合失調症と診断された1ヶ月後から、知り合いの歯科医院の受付でボランティアさせてもらうことになりました。受付のバックヤードで、座っているだけの時間ですが、人と接触することで、社会復帰のリハビリになったと思います。並行してスポーツクラブに入会し、運動を始めました。その間、焦ることなく、ゆるやかな気持ちで過ごすことを心がけていました。

勤めていた会社には、親が早々に退職手続きを行いました。職場に戻る判断はしなかったです。家族や周囲のサポート、信頼できる主治医のおかげで、早めに社会生活へのリハビリができたことは、私の場合においては良かったのかなと思います。このリハビリ・休養期間中に、自習型のパソコンスクールに通い、MOSの資格も取得しました。

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2回目の転職で出会った企業で現在も長期就業中

発症から1年ほどして、本格的な転職活動を始め、精神障害の採用枠で、契約社員の一般事務職に決まりました。業務内容は、タイムカードの時間をExcelに転記する、資料のファイリングのみです。1年の契約満了後、継続更新はせず自己都合で退職しました。精神的なストレスのない業務ではありましたが、スキルを活かして新しい未来を見つけたいと思ったことと、もう1つは、女性社員の職域が狭い会社だったので、長期にわたったキャリア形成が難しいと考えたからです。

2回目の転職は、dodaチャレンジに登録し転職支援サービスをうけました。カウンセリングルームもお洒落で、気持ちが明るくなったのを覚えています。
キャリアアドバイザーから「自分が向いている仕事は一つとは限らない。思い込まずに、視野を広げることも大事」と言われたことは、今も心に残っています。私は、SEとしてITの仕事を希望していました。しかし、当時は、まだ精神障害者の採用は今ほど浸透しておらず、企業側の不安も大きかったですし、特に繁忙期などがあるIT関連職種では受け入れる企業が少なかったと思います。自分の希望する職種だけではなく、私に向いているとキャリアアドバイザーが提案してくれた企業や職種にも興味を持ってみようと、受けていくことにしました。

内定を頂いた企業は、現在も就業中の小売業界です。馴染みのある業界ではありませんでしたが、第一印象は「社員の人柄がとても温かい会社」でした。社員同士、お互いを思いやり、分け隔てのない社風は初めてで、不安が取り除かれましたね。配属されたのは情報システム部で、電話応対や請求書管理などの庶務を担当しました。キャリアアドバイザーの方が、採用担当の方と話して、私が得意とするシステム領域や知識が活かせるようにと、配慮してくれたのだと思います。

統合失調症がある私の実績も一般社員と同様に評価してくれる

私が統合失調症を患っていると知っているのは、直属の上司と一部の人事担当者だけです。周りの社員は、知りません。同じ部署には社員が15名、客先常駐のSEが30人ほどいる大きな組織ですが、それでも、私の症状が落ち着いているのは、職場の風土や社風がおだやかで、社員が温かいからだと思います。私一人での転職活動だったら、出会えていない会社だったと思います。自分の思い込みを外し、視野を広げ、キャリアアドバイザーの提案を受け入れて良かったです。

業務にも会社にも慣れた1年後に、正社員登用されヘルプデスク業務にも従事するように。4年後には昇格試験に合格し、昇格・昇給を達成、6年目を迎えた現在は、PSO(プロジェクトサポートオフィス)業務を行っています。勤務実績を認めてくれ、一般社員と公平に評価してもらえる会社の姿勢に感謝しています。今後は、予算投資分析や部門予算管理を極めて、部署の皆さんの役にもっと立ちたいと考えています。

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メッセージ

私が長く安定してはたらき続けられているのは、自分を良く見せようとか結果を早く出そうと焦らなかったからだと思っています。まず入社1、2年は、一日一日を大切に過ごすこと、社員とのコミュニケーションをとることを大事にしました。他の部署の人にも挨拶することを心がけ、多くの社員に私の顔を覚えてもらいました。そのうちに、声を掛けてくれたり、話をする機会が増えたり、相談できる友人までできました。会社の一員になれたという感覚は、長期就労定着に大切なことだと思います。
統合失調症は一度発症したら、この先も薬や病気と共存しなければならない病です。これまでとは違う自分を受け入れるまでに時間がかかるかもしれませんが、必ず、道は拓けます。だから、焦らないことです。無理をしないことです。はじめから希望通りを目指さなくても大丈夫、正社員でなくても大丈夫。自分が思ってもいないような分野に適性があるかもしれない、自分自身も知らない他の能力が発揮されるかもしれない、と気持ちを穏やかにして一つ一つ進んでくださいね。

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