私が、統合失調症を抱えながら、長期就業できている理由は、3つあります。自分をよく見せようと無理をしないこと、焦らないこと、疾患を理解してくれた方々に恵まれたことの3つです。特に、周囲の理解に恵まれたことは大きかったと思います。私は発症後、早いタイミングで、「統合失調症の自分として、これからを生きていく」ことを受け入れられたのですが、それは家族や周囲のサポートがあってこそと感謝しています。
発症するまで、精神障害の兆候も思い当たる特性もなかったので、私にとっても、家族にとっても突然のこと。もともと私は、中学・高校では運動部に所属し、いわゆる「スポ根(スポーツ根性ものの略)」時代の活発な性格でした。だから、発症は思ってもみない突然の出来事だったのです。
統合失調症の発症からリハビリ・休養期間中の過ごし方
当時、私は、社内のシステム運用・サーバー管理の仕事をしていました。もともとハードワークだったのですが、追い打ちをかける人員不足に対して補充がなされず、欠けていくメンバーの仕事も私が引き受けることになり、忙しさも倍増していました。残業60時間超えは当たり前、出張も多かったので、体力は限界に達していたと思います。最初に現れたのは、不眠でした。心療内科に行き、薬を処方してもらいましたが、2~3ヶ月で幻聴が起きました。自分の悪口や批判の声が聞えるんです。そのうち、見えない人が見える幻覚まで現れて、知り合いの医療関係者に相談すると、大きい病院ですぐに診てもらった方が良いとアドバイスをされました。統合失調症と診断され、精神科への入院も検討しましたが、付き添いで来ていた両親が、自宅で看病することを強く希望したので、入院はしませんでした。家族は、統合失調症についての勉強や、病院内の家族サークルに入って、症状への対応について理解を深めてくれました。献身的なサポートのおかげで、症状が落ち着いてきたので、統合失調症と診断された1ヶ月後から、知り合いの歯科医院の受付でボランティアさせてもらうことになりました。受付のバックヤードで、座っているだけの時間ですが、人と接触することで、社会復帰のリハビリになったと思います。並行してスポーツクラブに入会し、運動を始めました。その間、焦ることなく、ゆるやかな気持ちで過ごすことを心がけていました。
勤めていた会社には、親が早々に退職手続きを行いました。職場に戻る判断はしなかったです。家族や周囲のサポート、信頼できる主治医のおかげで、早めに社会生活へのリハビリができたことは、私の場合においては良かったのかなと思います。このリハビリ・休養期間中に、自習型のパソコンスクールに通い、MOSの資格も取得しました。