dodaチャレンジには実は2回、転職支援してもらっています。1度目は5年前、2度目は3年前に利用しました。
最初にdodaチャレンジに登録したときは、まだHIV感染者としてのキャリアの将来に不安は続く中でした。精神的にも限界にきていたのかもしれません。「転職エージェントを利用してみようかな…」と覚悟を決め、LGBTQ当事者でありHIV感染による免疫機能障害があることを隠さずに登録しました。これでdodaチャレンジからの対応がなければ仕方ないと諦めてもいましたが、すぐにキャリアアドバイザーから連絡があったんです。心の底から嬉しかったですね。私は最初に、「HIVに感染していてもはたらけますか?」とたずねました。キャリアアドバイザーの返答は「大丈夫ですよ。はたらけますよ」でした。その言葉でどれだけ安堵したことか、私は忘れません。
1回目の転職で紹介されたのは外資系を中心に大手企業ばかり
登録した当時の私は、とにかく自分に自信がありませんでした。病気のことを知られたら周りから受け入れてもらえないのではないか、いつもそんな心境でいましたから。ですので、転職することで、「何をやりたい」「どんな仕事がしたいのか」そういった希望は一切なかったんですね。ただ私は、病気のことを隠さずに安心して、正社員ではたらけることだけを望んでいました。そんな状況でしたが、キャリアアドバイザーは、私のキャリアについて丁寧に話を聞いてくれ、英語力以外にも、ゼロから生み出す構築力と行動力が私の強みだと、外資系を中心に、コンサルティング、IT、金融、教育、サービス、医療系など幅広い業界の企業を紹介してくれました。
病気や障害のことは、1次面接の段階で、自分から話そうと決めていました。とても緊張しながら話したように記憶していますが、面接官がとても自然に、普通に対応をしてくれて、「これでいいの?」と拍子抜けするほどでした。さらに、「配慮して欲しいことはありますか?」と確認までしてくれて、3ヶ月に一度の通院ができれば良いこと、それ以外の配慮は特に必要ないことを伝えました。
はじめての人事職で、広がったキャリア
転職したのは外資系IT企業です。人事部門で社保手続きや労務管理、外国籍社員の入退社手続きを担当しました。はじめて大企業の人事の仕事をして、専門スキルが身に付いていくのは楽しかったですね。少しずつ自信も意欲も回復していきました。入社して2年近く経った頃、業務にも慣れてきて、もう少し人事全般を把握できる仕事がしたいと思うようになりました。
キャリアアップのため、dodaチャレンジで2度目の転職活動
「今以上にキャリアを広げていきたい」とキャリアアドバイザーに率直に気持ちを伝えたところ、「すぐにご紹介できないこともありますが、I.Kさんに合った企業がありましたら、ご連絡しますね」とおっしゃってくれました。嫌なそぶりもなく受け入れてくれて、信頼度はさらに上がりました。
dodaチャレンジでの2回目の転職活動で内定を頂いたのは、外資系コンサルティング企業です。ダイバーシティ&インクルージョンの推進担当としての採用が、入社の決め手でした。LGBTQ当事者として、障害者として、そして英語圏でのマイノリティ経験も活きてくる仕事です。私に与えられた使命ではないかと感じました。ダイバーシティ&インクルージョン推進は、全社で取り組むことなので、影響も大きく、やりがいもあります。そして、あれだけ隠し続けていたHIV感染のことも、周りにはたくさんの理解者がいて、孤独ではありませんでした。苦しかった経験が、誰かの役に立つことができる、人生とはこうつながっていくのか、と思いましたね。
現在ー、ダイバーシティ&インクルージョンの仕事は、私の使命
そして今、私は、コンサルティング企業からさらに転職をして、外資系IT通信企業の人事部でダイバーシティ&インクルージョン担当としてはたらいています。転職した経緯としては、dodaチャレンジでの1回目の転職で入社した外資系IT企業の元上司の紹介でした。社会から自分が必要とされていると実感できて、声をかけてもらったときは本当に嬉しかったです。前職での経験をさらに還元できる仕事ができていることを担当のキャリアアドバイザーに報告したところ、私のキャリアアップを応援してくれました。
キャリアアドバイザーは、生涯にわたり私のキャリアの伴走者
HIVに感染してからの3年間、ひとりで悩みに悩んで苦しんで、覚悟の気持ちで登録したdodaチャレンジ。キャリアアドバイザーの「大丈夫ですよ」の一言はとても大きなものでした。私のように、すべての方が、精神的に安心できる状態ではたらける社会をつくっていきたい。障害があっても、LGBTQ当事者であっても、マイノリティもマジョリティも区別なく、お互いを理解し合い、すべての方が安心した心持ちではたらける社会づくりに貢献していきたいと思います。